超重神山さんDESTINY

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第7話 夜襲 前編




 中央塔の中にある軍の宿舎施設。そこに用意された個室のベットでマグナは横になっていた。戦闘後、彼は配属初日という事もあり色々とやる事がありそれに追われていたのだ。先ほど部屋に戻ってきたマグナは疲れ切ったようにベットに寝ころぶ。

「あ~、疲れたぁ~」

寝ころぶと同時にたまっていた疲れと眠気が一気に襲いかかってくる。
本当なら今日中に荷物を整理するつもりだったのだが疲れたし何より眠い。宿舎施設の個室にはTVやベットなどの他にシャワーとトイレも付いているが利用する気には今は慣れない。とにかく疲れた眠い。

「片付けは明日でいいか・・・・ふあぁ・・・・」

そう呟くとそのまま眠りにつく。部屋には山積みにされたダンボールが所狭しと並んでいた。

「Zzzz・・・・・」

目を瞑ってからほんの一秒。彼はすでに熟睡していた。



同じ宿舎にある別の個室。シャイルに用意された部屋だ。
備え付けのデスクの上のノートパソコンが起動している。

「・・・・ふぅ」

シャワーを浴びていたシャイルはその場にあったバスローブを羽織ってからパソコンを操作する。ディスプレイにはエーギル等、ガンダムのデータが映し出されている。軍のメインコンピューターにハッキングしているのだ。

「型式番号ANーG01ヴァハ、ANーG02フォルセティ、AN-G03エーギル、AN-G04ティルテュ・・・・なるほど、単純な戦闘力ではティルテュがが一番高いみたいね・・・・」

ハッキングの痕跡を残さないように注意しながらアクセスを止める。そして、ベットに脱ぎ捨てていた自分の服の中から一枚のデータディスクを取り出す。

「このデータがあれば・・・・みんな・・・もう少し、待っててね」

そう呟きながら窓の外に広がる夜の海を見る。その目にはどこか遠くを見ているように見えた。



アトランティス外周エリア。そこへ海の中から数人の人影が現れた。それを出迎える3人の男。

「手はず通りだな?」

「ああ、こっちが動いてから艦から船長達も来る・・・抜かりはないよ」

お互いに確認しあうと男達は近くに隠してあった銃を取るとアトランティス内部へと潜り込んだ。



「機体はすでに完成し微調整もすんでいます」

「後は俺の腕次第という事か?」

「そうなりますね・・船長なら大丈夫かと思います」

男と女は会話をしながら格納庫へと入る。そこには数機のティターンとドックに固定された鮫のような姿の機体があった。

「鮫?何故にこのような形なのだ?」

男は疑問を口にした。女が話していた新型はMSだと思っていたが人型ではなく鮫型だったのだ。

「水中での機動性を求めた結果です。水中での高速移動では水中に住む動物の姿に
近いほうが良いかと」

「上の連中が言っていたモビルアーマーとかいう奴か?」

「そのようです。キラーハンターと言うようですね」

男はそのモビルアーマー(以下MA)と呼ばれた機体、キラーハンターを見上げる。

「これの実戦運用テストもかねてあのディスクを取り返せ、と言うのが上の命令です」

「やれやれ・・・・命令するだけの連中は・・・まぁ、いいさ」

男はそう呟き格納庫を出る。女もそれに続く。

「マウラーク、潜入した部隊は?」

マウラークと呼ばれた女が答える。

「すでに潜入したはずです」

「そうか、すぐに出る。準備をしておけ」

「はっ」



「おい、見張りの兄ちゃんよ?」

アトランティス軍事施設の奥にある独房。そこに入れられていたジューディスはにやけた顔をしながら見張りの軍人に話しかける。

「何だ?」

話しかけられた軍人は後ろを振り向きジューディスに聞き返す。

「なんだか冷えてきてな、毛布かなんかないかい?」

「・・・あと5分で俺と交代の奴が来るから、その時に渡してやるよ」

「5分も待てってかよ?冷たいねぇ~」

「5分ぐらい我慢しろ。まったく・・・・」

軍人が振り返って見張りの戻ろうとした時、ジューディスがまた話しかける。

「あ、もう一個いいかい?」

「何だ?」

「サヨナラってね」

「何だ・・ぐっ!」

ゴキッと言う鈍い音と共に見張りの軍人は倒れて動かなくなる。そして彼の首を折った男が鍵をとって独房のドアをあける。

「助けにくるのが遅いぞ?」

「準備というものがあるだろ」

「そりゃそうだ、俺にも一個くれよ」

ジューディスがそう言うと男が手に持っていたマシンガンを手渡す。男は軍人からマシンガンを拾い上げそれを装備する。

「さて・・・一暴れするのかい?」

「ああ、我々が行動を開始したら船長達も来る手はずになっている」

「よぉし・・・・それじゃ、暴れさせてもらおうか」

独房から出る前に男が腰に下げていた手榴弾のピンをはずして投げる。二人は走って階段を上っていく。昇りきった直後、手榴弾が爆発した。



「なんだ!?」

爆発の振動と音はアトランティス中に響き渡った。格納庫で機体の整備をしていたゲイルもそれに気がつく。

「どうかしたんですか!?」

下の階にいる整備員に聞く。

「わからないが、どっかで爆発が起きたらしい!!」

「爆発!?」

そして、申し合わせたかのように敵襲を告げるサイレンが響き渡る。

『6時の方向より敵機接近、MS隊は出撃体勢を・・・』

「なっ・・・クソッ!」

ゲイルは整備が終わっていない自分のガルーダではなく横のメンテナンスベットに固定していたヴァハに乗り込む。

「サリア、こいつを借りるぜ!!」

コクピットハッチを閉じて起動させる。整備員から通信が入る。

『装備は砲戦装備でいくからな』

「了解、了解」

ヴァハの胸部、脚部、腕部の装甲が取り外され緑色の分厚い装甲が取り付けられる。背中には2問のチェインガンと大型ビームランチャーをとりつけたパックバックが装備され頭部にも長距離ロックオン用のセンサーとバイザーが取り付けられる。

「装備完了、出ますよ!」

ベヒモス用のハッチからデッキエリアへと出る。6時方向を見るとティターンが4機、海上をスラスターで走りながらこちらへと向かってきていた。

「来やがったな・・・・」

大型ビームランチャーを構え頭部のバイザーをおろす。ロックオンサイトにティターンを一機捕まえる。

「当たれよ!!」

引き金を引く。ビームが放たれティターンの腹部を貫き海上で爆発させる。

「よっしゃ!!もう一発!!」

狙いをつけてもう一度ビームを放つ。しかし、この攻撃は上手くかわされてしまう。

「チッ!!」



「では、お先に行って参ります」

通信用モニターに映った男に敬礼しながらマウラークが言う。

『ああ、俺もすぐに出る』

通信を終えモニターを切る。

「マウラーク・レノア、ティターン行きます」

海上に出ている潜水艦のハッチから飛び出し脚部のスラスターを使って海上を滑るように走っていく。ジューディスが使っていた物とは違い脚部にスラスターユニットを取り付けた海上走行用である。
マウラークのティターンが出た後、潜水艦の下部ハッチが開きそこに鮫型のMA、キラーハンターが発進準備を終えて待機する。
コクピットの乗り込んだ男は操縦桿を握りしめ深く深呼吸をする。

「・・・・ジャウルク・ルノ、キラーハンター出撃する」

そして、潜水艦から一匹の凶暴な鮫が解き放たれた。



爆発の衝撃とサイレンで飛び起きたマグナは格納庫へと走っていた。

「ったく・・・少しは寝かせろよなぁ・・・」

パイロットスーツに着替えエーギルに乗り込む。

「マグナ・ルーヴィル、エーギルガンダム出すぞ!!」

水中へと続くハッチから出撃する。
エーギルが出た後、パイロットスーツに着替えたサリアも格納庫に入る。

「あれ?ヴァハはどこですか!?」

「ヴァハならゲイルが乗って出たよ!今回はディープワングにでも乗って出てく
れ!!」

「えぇ~!ったく・・・・なんでヴァハで出るかなゲイルは!!」

愚痴っても仕方ないのでディープワングに乗って水中に出撃する。



先行していたエーギルは海上を走るティターンの姿を確認した。

「見つけた!!」

胸部のフォトンメーサーの狙いをつける。

「くらいな!!」

フォトンメーサーを放とうとした直前、横殴りの衝撃がエーギルをはじき飛ばす。

「ぐああっ!!な・・・なんだ!?」

マグナはエーギルをはじき飛ばした物の姿を探す。そこにいたのはエーギルの2倍はあろう鮫型の機動兵器だった。

「鮫?MSじゃないのか?」

鮫、キラーハンターのコクピットでジャウルクが呟く。

「ほう・・・・こいつが新型か・・・こいつの実戦データを取るには丁度よい相手だ」

キラーハンターをエーギルに向ける。

「仕掛けてくる気か!!」

マグナもエーギルのツイントライデントを構えキラーハンターと対峙する。
先に動いたのはキラーハンター。ヒレの部分に当たるカッターでエーギルに襲いかかる。

「なっ、速い!!」

ツイントライデントでカッターを受け止めるが加速がついた敵の攻撃を防ぎきれず衝撃でそのままはじき飛ばされる。

「どおあっ!!ヤロォ!!」

パックバックを担ぐように構え魚雷を放つ。

「フン」

キラーハンターは背びれの辺りの装備された魚雷と口に当たる部分に装備されたフォトンメーサー砲で魚雷を撃ち落とし再びカッターで襲いかかる。

「くっ!!」

フォトンメーサーで牽制するがあっさりとかわされ一気に間合いをつめられる。

「貰う!!」

「チィッ!!」

機体を無理矢理ひねらせカッターをかわす。しかし、避けきれずに左腕を切り落とされる。

「うわっ!!左腕をやられた!?」

手元のパネルを操作し圧壊を防ぐために左腕のジョイント部分のシャッターを閉じる。

「かわしたのか? やるな・・・・・久々に楽しめそうだ」

「こいつ・・・・速い上に強い!!」

キラーハンターがフォトンメーサーを撃ちながら体当たりを仕掛けてくる。フォトンメーサーはかわしたがカッターを避けられずツイントライデントを切り落とされる。

「ぐっ!!」

二つに切られたツイントライデントの残った方を構える。
キラーハンターはカッターでまた襲いかかる。

「逃げてばかりじゃ勝てないか・・・ならっ!!」

ツイントライデントを突き出すように構えキラーハンターへと突撃する。

「おおおおおおおおおっ!!!」

「真っ正面からだと!!面白い!!」

キラーハンターのカッターとエーギルのトライデントが正面からぶつかり合った。


続く



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