ジェイクとオジーの絶妙なコンビ・プレイ。 伏して聴け!
A面 1.罪と罰- The Ultimate Sin 2.シークレット・ルーザー 3.ネバー・ノウ・ホワイ- Never Know Why 4.サンク・ゴッド- Thank God for the Bomb 5.ネバー- Never B面 1.ライトニング・ストライクス- Lightning Strikes 2.キラー・オブ・ジャイアンツ- Killer of Giants フール・ライク・ユー- Fool Like You 4.暗闇にドッキリ!- Shot in the Dark 7月22日にオジー・オズボーン(Ozzy Osbourne)が死去したとのことで、急遽オジーの邦題アルバムの中で個人的に最も親しみのある86年リリースの4thアルバム「罪と罰 アルコールに溺れ、ドラッグに溺れ、鳩やコウモリの頭を嚙みちぎっても、76歳まで生きられたのはスゴい。亡くなった悲しみより、よく今まで生きてたなぁという思いが勝ってしまう。オジーのバンドの初代ギタリストだったランディ・ローズ(Randy Rhoads)と43年ぶりに再会して、あの世で酒を酌み交わしながら思い出話に花を咲かせているだろう。
オジーは68年にブラック・サバス(Black Sabbath)を結成し、70年にデビューアルバム「黒い安息日(Black Sabbath)」をリリース。その後も順調にヒットしていたものの70年代後半には衰退し、77年にオジーが脱退するもすぐに復帰。しかし79年には薬物やアルコール漬けになっていたオジーは解雇されてしまい、ソロ活動を開始することに。 ソロ1作目は80年発売の「ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説(Blizzard of Ozz)」。gに元クワイエット・ライオット(Quiet Riot)のランディ・ローズ、bには一時レインボー(Rainbow)に在籍していたボブ・デイズリー(Bob Daisley)、dsには元ユーライア・ヒープ(Uriah Heep)のリー・カースレイク(Lee Kerslake)を迎え、元々はバンド名が “The Blizzard of Ozz” のはずだったのだが、リリースされたアルバムのジャケットにはオジーの名前がバンド名より大きく書かれており、ブリザード・オブ・オズというタイトルのオジーのソロアルバムのようになってしまったのであった。 81年に2ndアルバム「ダイアリー・オブ・ア・マッドマン(Diary of a Madman)」をリリース。レコーディング終了後、ボブとリーは当時のオジーのマネージャーで後にオジーの妻となるシャロン(Sharon Osbourne)により突然解雇されてしまう。この件やらオジーの常習的な薬物とアルコールへの依存やら何やらが重なって、ランディとオジーの関係が悪化。ランディはレコード会社との契約終了後にバンドを脱退するつもりだったが、82年3月に墜落事故により25歳という若さで突然他界してしまった。 83年には3rdアルバム「月に吠える(Bark at the Moon)」をリリース。原題直訳ながらいい邦題だよね。bのボブが復帰し、dsにトミー・アルドリッジ(Tommy Aldridge)、gはジェイク・E・リー(Jake E. Lee)が今作から参加。よッ、待ってました!しかし、このアルバムは作詞作曲が全曲オジー単独になっているが、ジェイク曰く楽曲のかなりの部分は自分が作曲したものの、マネージャーのシャロンに作詞・作曲・出版の権利を奪われたとのこと。アルバムに関する作詞・作曲や出版の権利を一切主張しないという契約書を提示され、拒否した場合は解雇して別のギタリストに自分のパートを録音させ直すと脅されたため契約書に署名したのだとか。うーん、あのババァならそんな悪辣なことも平気で言いそうな気がする。
そして86年にリリースされたのが4thアルバム「罪と罰」。gのジェイクは前作からの続投だが、bはフィル・スーザン(Phil Soussan)、dsはランディ・カスティロ(Randy Castillo)。前作で痛い目を見たジェイク、今回は作詞・作曲権と出版権を保証する契約書を目の前にするまで、楽曲提供を拒否したという。いいぞ、やったれジェイク! このアルバムで特筆すべきは、ラストを飾るにふさわしい邦題 “暗闇にドッキリ!(Shot in the Dark)”。まさかオジーの曲にこんな可愛い邦題が付いていようとは。 だがしかーし翌87年、アルバムのツアー終了後にジェイクはババァシャロンから突然解雇されてしまった。理由は不明。 オノ・ヨーコさんが苦手過ぎてジョン・レノン(John Lennon)までも苦手になったのと同じく、シャロンが苦手なのでオジーもどうかと思っていたのだが、昨年10月にジェイクが何者かに銃撃を受けた際、「ジェイク・E・リーと離れてから37年になるが、今日彼に起きたことを聞いた衝撃は今も消えていない。また銃による無意味な犯罪が起きた。彼と彼の可愛い娘のジェイドに思いを送りたい。彼が大丈夫であることをただただ願っている」とTMZ(ニュースサイト)に語ったとの記事を見て、ちょっと嬉しかったりして。ごめんよオジー、やっぱりオジーはいいおじさんだったよ。
日本が大災難の話題でもちきりだった7月5日、ブラック・サバス(97年にオリジナルメンバーで再結成していた)は英国バーミンガム・アストンでお別れチャリティコンサート「Back to the Beginning」を開催した。元々パーキンソン病を公表していたオジーは歩行不能となっているため玉座に座って歌い、メタリカ(Metallica)やスレイヤー(Slayer)、ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N' Roses)などのバンドに加えてジェイクやルディ・サーゾ(Rudy Sarzo)等の元オジーバンドメンバーも参加して大成功の大盛況だったらしい。そのラストコンサートから僅か17日後、オジーは自宅で家族に囲まれながら静かに人生の幕を閉じた。R.I.P. Ozzy