文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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泉ユキヲの観た・読んだメモ 46

令和7年8月23日から       の実況です。項目ごとに、日付を遡る形で記載しています。
ひとつ前の 令和7年2月4日~8月22日 の実況はこちら。


観 た:

令071124  安元亮祐 新作展「猫の中の街」| 呉亜沙+箕輪千絵子 "Drawing"
@ 不忍画廊

令071124  Augustine Paredes, 小林エリカ、ミヤギフトシ: Traces @ Yutaka Kikutake Gallery

令071124  舘鼻則孝 "Obsession" @ Kosaku Kanechika

令071124  Camille Blatrix + Sanya Kantarovsky: "Dressing" @ Taka Ishii Gallery

令071124  漂着 ジャム・セッション 山城知佳子×志賀理江子 | 石橋財団コレクション選 特集・安井曾太郎 @ Artizon Museum

令071124  昭和100年記念展示 Kitahara Collection 昭和のおもちゃは輸出の花形だった ~細部までこだわった日本の職人芸~ @ 京橋エドグランB1 タウンミュージアム

令071124  夏目麻麦 "moview"| 内林武史 午後の実験室 @ Gallery Tsubaki

令071124  山内幾郎 展 ーFossilsー @ Gallery Q

令071124  中島レナ 個展: "deep deep down"(チョーク画) @ Gallery Mumon

令071124  Broadway HD|"Indecent" @ 東劇

令071124  MET Opera|Vincenzo Bellini: "La sonnambula"[Nadine Sierra et al.] @ 東劇

令071121  柚木沙弥郎 永遠のいま Yunoki Samiro: The Eternal Now | 収蔵品展085 寺田コレクション ハイライト 前期 | project N 100 富田正宣] @ 東京オペラシティ アートギャラリー

令071121  The Nosebleed 鼻血 [観客参加型の海外招聘公演] @ 新国立劇場 小劇場

令071119  藤井 蓮 個展 @ Gallery Hana Shimokitazawa

令071119  ミュージカル「バグダッド・カフェ」 @ シアタークリエ

令071115  瀧澤美希 個展 ”Superstar” @ 銀座蔦屋書店 Art Wall

令071115  大和美緒 初作品集『いのちのじかん』刊行記念展 @ Foam Contemporary

令071115  枝史織 個展「未来に還る」 @ 銀座蔦屋書店 Atrium

令071115  ― 新版画の美 ― 川瀬巴水 木版画展 @ Artglorieux Gallery of Tokyo

令071115  星山耕太郎 展 Group Show @ roidworksgallery

令071112  ヴォイツェック [ストレートプレイ] @ 東京藝術劇場 プレイハウス

令071110  多田さやか個展 Saturn @ 亀戸アートセンター

令071110  井上修策 展 大賛辞勢塊堆線層 @ Gallery Q

令071110  唐仁原 希「星の影をさがして」 @ Mitsukoshi Contemporary Gallery

令071110  傘寿記念 中島千波展 @ 日本橋三越本店 美術特選画廊

令071110  旅と日々(河合優実、堤真一、佐野史郎ほか) @ TOHO シネマズ日本橋

令071108  鹿島幸恵・樽井英樹 2人展 "Inspiration" @ hiromart gallery

令071108  Cho Sung Ho 講演会 "Bunsun kaj Aiko" @ JEI 4階

令071105  松竹ブロードウェイシネマ Anything Goes (Sutton Foster ほか) @ 東劇

令071102  川口起美雄 Thousands Are Sailing @ 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

令071102  上田義彦 いつも世界は遠く、 Yoshihiko Ueda: From the Hip @ 神奈川県立近代美術館 葉山

令071031  落合翔平 Aesthetics @ Diesel Art Gallery

令071031  第2回コレクション展 創造的な出会いのためのテーマ別展示(宇宙と重力|都市とポップ|ゲルハルト・リヒターとジェームズ・タレル|幾何と内省のコンポジション-常温の抽象|ナラティヴと色彩のアウラ|物質と感情のエンタングルメント) @ Ueshima Museum

令071026  オスジェメオス+バリー・マッギー One More 展 Osgemeos + Barry McGee: One More @ ワタリウム美術館

令071026  生誕75周年 湊谷夢吉トリビュート展 コンターク! @ ビリケンギャラリー

令071026  南青山骨董通り開廊記念「はじまり展」 @ galerie tamenaga

令071024  幕末土佐の天才絵師 絵金 Ekin: A Genius Painter From Tosa at the End of the Edo Period @ サントリー美術館

令071024  盛田亜耶「聖女?/悪女?」 Aya MORITA: Recent Paper Cutouts "Madonna?/ Sinner?" @ gallery Art Unlimited

令071024  遠い山なみの光 A Pale View of Hills(広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊ほか) @ TOHO シネマズ日比谷

令071017  Grand Tour グランドツアー @ TOHO シネマズシャンテ

令071013  Awata(粟田貴也)Collection: 婁 正 綱 @ 三井住友銀行東館1階アース・ガーデン

令071013  第34回奨学生美術展 @ 佐藤美術館

令071013  羊町3丁目2番地(脚本・堤泰之ほか、演出・堤泰之) @ ジグスタ

令071012  オープンサイト10 | Carlos Vielma: "A mechanical wilderness" | 丸山翔哉: Virtual Field Recording ー万物の声を聴くー @ Tokyo Arts and Space Hongo

令071012  狂人なおもて往生をとぐ ~昔、僕達は愛した~(清水邦夫・作、岡本玲ほか) @ IMM Theater

令071011  時代のプリズム 日本で生まれた美術表現 1989-2010 Prism of the real: Making Art in Japan @ 国立新美術館 企画展示室1E

令071011  第92回版画展 ー版画の現場からⅢー The 92nd Exhibition of Japan Print Association @ 東京都美術館ロビー階 第1・2・3展示室

令071006  The Phoenician Scheme ザ・ザ・コルダのフェニキア計画 @ TOHO シネマズシャンテ

令071003  狗陣 Black Dog ブラックドッグ @ 新宿シネマカリテ

令070929  KAAT Exhibition 2025 大小島真木展|あなたの胞衣はどこに埋まっていますか? Where Lies Your Afterbirth?(大小島真木+辻陽介、音響・Curtis Tamm) @ KAAT 神奈川芸術劇場 中スタジオ

令070929  最後のドン・キホーテ The Last Remake of Don Quixote(大倉孝二、山西 惇、咲妃みゆ ほか) @ KAAT 神奈川芸術劇場 ホール

令070927  ウメキミロ個展 Don't dream it, Be it! @ Gallery Hana Shimokitazawa

令070927  You’re Beautiful(松山賢ほか) @ Otho Gallery

令070927  少女たちの領域 ephemeral 2025(外田千賀ほか)|然有らぬ艶めき、芳醇たる艶めき 艶×艶展2(前田彩華ほか) @ みうらじろうギャラリー

令070923  羊町3丁目1番地(脚本・堤泰之ほか、演出・堤泰之) @ ジグスタ

令070922  常設展 @ 大原美術館(本館|工芸・東洋館|児島虎次郎記念館)

令070921  瀬戸芸美術館連携プロジェクト 平子雄一展:Origin | 長尾紀壽展 ―祭り・自然・暮らし 岡山、京都から沖縄へ― @ 岡山県立美術館

令070920  ひかりをおくる ―雨と晴れのあいだに、海と私たちのあいだで― (OKURU:大倉なな・田邊恵利子) @ space 櫛形(西亀有一丁目)

令070920  Theatre Moments「遺すモノ ~楢山節考より~」【若葉(若手組)】上演10周年記念公演 [第37回池袋演劇祭参加作品](アフタートーク:稲葉俊郎) @ シアターグリーン Box in Box Theater

令070919  Theatre Moments「遺すモノ ~楢山節考より~」【紅葉(ベテラン組)】上演10周年記念公演 [第37回池袋演劇祭参加作品] @ シアターグリーン Box in Box Theater

令070917  後藤友香 Transition @ hiromart gallery

令070917  Limonov: The Ballad リモノフ @ 新宿ピカデリー

令070913  長野順子 銅版画展「物語の生まれるとき」When A Story Is Born @ Gallery Hana Shimokitazawa

令070913  東京現代 2025 @ パシフィコ横浜展示場C・D

令070908  横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方) Sato Masahiko Exhibition: new x (way of making + way of understanding)| アーティストとひらく 戸田沙也加展 沈黙と花 Opening Dialogues - Toda Sayaka: Blooms in Silence| コレクション展 戦後80年特集展示「平和であることへの、控えめななにごとかを」・奈良原一高 "Blue Yokohama" @ 横浜美術館

令070907  Römell Solo Exhibition: TSUMUGI(紡ぎ) @ Gallery Face to Face

令070903  開館30周年記念展 日常のコレオ Choreographies of the Everyday(FAMEME, 青山悟ほか)| ラボラトリー笹本晃 Aki Sasamoto's Life Laboratory | MOTコレクション 9つのプロフィール 1935 → 2025 @ 東京都現代美術館

令070831  堤泰之 脚本・演出 舞台「ゲゲゲの鬼太郎2025」舞台挨拶つき上映会 @ Theater H(大井町競馬場前)

令070828  ART 365 | Polaris from Asia | Trespassers ~ Singapore x Japan: A Boundaryless Urban Canvas ~ @ 大丸東京店

令070827  Saki Otsuka Solo Exhibition "Water"(大塚咲 水彩画展) @ Gallery Hana Shimokitazawa

令070827  戦後80年 ≪明日の神話≫ 次世代につなぐ原爆×芸術 80 Years After the War "The Myth of Tomorrow" Atomic Bomb × Art: Connecting the Next Generation(広島市立基町高等学校・創造表現コース制作 次世代と描く原爆の絵|米谷健+ジュリア、笠木絵津子、安藤榮作、後藤靖香、冨安由真、小林エリカ、蔦谷楽、李晶玉、安喜万佐子) @ 川崎市 岡本太郎美術館

令070824  未来/追想 千葉市美術館と現代美術 Recorded Futures Relived: CCMA and Contemporary Art(草間彌生「最後の晩餐」など) | コレクション選 林美一コレクション「死絵と追善のかたち」| つくりかけラボ18 池田光宏「きっとこれも誰かの仕業」 @ 千葉市美術館

令070824  没後50年 髙島 野十郎 展 | 千葉に生きた写実の画家・椿貞雄 @ 千葉県立美術館

令070823  金保洋展 Emerge/Unfold | いしばし めぐみ展 Every Other Tales @ 日本橋高島屋 美術画廊

令070823  井上藍展「日々と願いと動物と」| 櫻井結祈子展「聲なき竜の川」| 山根一葉展「繭の中で」 @ 不忍画廊

令070823  中西宏彰・タンノハジメ 二人展「-META-」 @ Gallery Mumon

令070823  Jock Sturges 写真展 2004-2010 | 夏は日向を行け 2025(佐々木茜、長谷川友美ほか)| 形而上的、な。 @ みうらじろうギャラリー


読 ん だ:

令0711xx  濹東奇譚 (だん)       (ワイド版 岩波文庫、20xx年刊)    永井荷風 著
(いまごろようやくだが、読みこなす感興がようやく整ったとも言える。昭和ひと桁の時代の銀座の裏通りがずいぶんと野蛮で、荷風が韜晦の扮装で向島に出没したくなるわけである。当時の夏はすでにコーヒーは冷やして飲むのが通り相場だった由で、せっかくの香りが味わえぬと荷風は嘆く。どぶと蚊とラジオの騒音と、そういう普通の文章では捨象される生活の断面をちゃんと書いているから生きた文学なのである。)

令071129  知的戦闘力を高める独学の技法      (日経ビジネス人文庫、2024年刊、原著 2017年刊)    山口 周 著
(再読。大学時代にせよ商社勤時代にせよ、本書のようなガイドに出会って推薦書を読み込んでいたならと、今回つくづく。とくに、商社勤時代に経営学の古典的名著を読み込む時間を作るべきだった。けっきょくポケーッと生きてたんだなぁ、自分も!|≪情報の密度の確保には、「情報の選択的な遮断」が重要≫ ≪「問い」=「仮説」が、インプットの感度を高める。「質問」は、わかっているからこそ出てくる≫ ≪成功するひとは、さまざまな出会いや偶然を前向きに楽しめる≫ ≪diversity を高めるには、単に女性や外国人を増やせばいいわけではなく、「他人と違う考え方を奨励する文化の浸透」「異なる意見や見解を奨励してどんどん出させるようなリーダーのスキル開発」が必要≫ ≪出世するとは、ある意味、どんどん「非専門家」になっていくこと≫)

令071124  ゲーテはすべてを言った       (朝日新聞出版、2025年刊)    鈴木結生 著
(主人公・博把統一 (ひろば・とういち) は、ぼくより1歳下の昭和35年生れの設定だ。『吾輩は猫である』のような知識人親交話だが、しっかり山場をつくり、小説ならではのワクワクも味わえる。芥川賞受賞納得だ。だれのオリジナルか不明だが、登場人物・然 (しかり) 教授の ≪人はその思想全体ではなく、断片によって理解される≫ こそ名言だな。|ひさびさに、なぜか現代詩にもう一度踏み出したくなった、その思いを搔き立てられた。あれこれ読み込んだ果ての「ことばとイメージのネットワーク」こそ現代詩だ。)

令071124  苦しかったときの話をしようか  ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」     (ダイヤモンド社、2019年刊)    森岡 毅 著
(自分を衝き動かす最大の「欲」は、知的好奇心を満たすこと。強みは必ず「好きなこと」の中にある。self-awareness が原点であり、自分が T(hinking) 型か C(ommunication) 型か L(eadership) かを見極めよ。仕事を選ぶには「需要の持続性」「競争優位を維持する構造」があるか見極めよ。|「苦しかったとき」のことが語られるのは第5章。≪ひとが最も苦しいのは、自分自身で自分の存在価値を疑う状況に追い込まれたとき≫ ≪失敗しない人生そのものが、最悪の大失敗ではないのか?≫ ≪やりたいことを考えないことや我慢することがデフォルトになっている社会を、それぞれの”欲”に対して素直に旗を立てて進ことが当たり前になる社会に変える。それが、社会をポジティブに活性化させる原動力になる≫|泉思うに結局「ひとの力を活用することで問題を解決する術」を身につけられてないのが自分の最大の失敗かな?)

令071116  あなたがブラックホールについて知っていることはほぼすべて間違っている  オックスフォードの研究者が教えるブラックホールと宇宙のはなし    (山と渓谷社、2025年刊)    Dr. Becky Smethurst 著、梶山あゆみ 訳
(原著 A Brief History of Black Holes and Why Nearly Everything You Know About Them Is Wrong  著者は35歳、研究者にして YouTuber だから書けた。科学史じたてで、理論と研究がどういう経緯で形成されたかを追うことで、そこに至るロジックが語られ、理解しやすくなっている。恒星はなぜ輝くかという説明からスタートだ。天の川銀河イコール全宇宙でないと突き止められたのが1920年。天の川銀河の中心にブラックホールが存在するという仮説がおずおずと提起されたのが1970年代前半で、裏付けられたのが2002年。でもこれに吸い込まれることはないよ……ホッとする。重力とは空間自体のゆがみにほかならないとか。ブラックホール周囲の降着円盤は強烈な光を放っていて、ゆえにブラックどころか明るい天体なのだとか。ビッグバンから、10のマイナス36乗秒後の宇宙は、既知の物理法則が破綻するので描写不能とか。宇宙の最後は Big Rip か Big Crunch かの何れかというが、Big Crunch は特異点に戻ることなので、Big Bang と Big Crunch が呼吸のように繰り返されている Big Bounce という宇宙観のほうにぼくはひかれるなぁ。)

令071115  中高生の悩みを「理系センス」で解決する40のヒント       (PHP研究所、2020年刊)    竹内 薫 著
(文理・国内外をまたぐ教養人の竹内薫さんだが、読むのは初めて。≪勉強量が積み重なってくると、それらが結びついて急に理解が進み、成果が表れるポイントが必ずどこかにあるものです≫ と学習の臨界点について述べる。≪ひとにきちんと説明できないことは、じつはよく分かっていない≫ そのとおり。大企業に入るよりヴェンチャービジネスの起業をという勧めは、いかがなものか。理系も文系も、専門家はけっきょく自分の研究で遊んでいるというのは、なるほど。楽しくなければ続かない。)

令071109  酒を主食とする人々  エチオピアの科学的秘境を旅する    (本の雑誌社、2025年刊)    高野秀行 著
(取材する側も相手側もみんな人間が濃い。澱粉質のみでは栄養が足りないところ、発酵させて酒にすると必須アミノ酸などが生じて、人間が生きるための栄養をまかなえるのが原点だが、貴重な水の保存法でもある酒、さんざん飲んでいる現地の人々に酒ゆえの疾患がないとはオドロキ。)

令071106  河野裕子歌集 蟬声 (せんせい)      (青磁社、2011年刊)    河野裕子 著
(21世紀の『赤光』とも言うべき遺歌集、歌人さいごの歌集だ。永田和宏さんが、あとがきで無念の思いを記している。2010年8月12日の逝去の前の3首がとりわけ心をうつ|さみしくてあかかたかりきこの世にて会ひ得しことを幸せと思ふ|八月に私は死ぬのか朝夕のわかちもわかぬ蟬の声降る|手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が||死なむとせし若き日のかなしみが清らにも思はる齢とり病めば|癌転移、生身 (なまみ) が生身を喰ひあへるこの身の内に其 (そ) が起こりゐる|この猫と過しし歳月われらには色々ありきおまへだけ能天気|ぼんやりのアホな猫なれど機嫌よし注射打たれてもムーと返事す|何でかう蟬はしづかに遠く鳴くものかされど夕蟬ふいに近づく|わがままな患者でしばらく押し通せそのしばらくが元気な証拠|生涯にもはや行くことかなはざる正福寺の土手のすみれの花よ|ゆふぐれか朝なのかと君に問ふ曇れる空に風が吹きゐる)

令071105  パワー      (河出書房新社、2018年刊)    Naomi Alderman 著、安原和見 訳
(ジェンダー間の力=パワーの不均衡が現実に政治や宗教や民衆にどんなディストピアを生むのかを、男女逆転世界で以て逆説的に、より如実に示す。契機が、女性たちが新たに得た放電=パワーの能力。訳文も清新。)

令071031  こんなに変わった! 小中高・教科書の新常識       (青春出版社、2018年刊)    現代教育調査班 編
(7年前の、おまとめサイト的な本だが、いろんな用語が死語になったというのに驚いた。士農工商は儒学用語であって江戸時代を反映していないので、いまは「武士と町人・百姓」。天領は明治時代にできた用語なので、いまは「幕領」。休火山・死火山の呼称は2003年に廃止になっている。)

令071029  歌集 命の部首      (本阿弥書店、2024年刊)    久永草太 著
(コミュニケートしようとする意思と、それを包み込むユーモアと呼ばれる人間力を感じる歌集。ひとりよがりを誇示する多くの現代 "短歌" の対極にある。賀状でも使わせていただこう。|そりそりと剝かれて長き柿の皮一年まあそりゃ色々あった|身離れのよさ褒められているカレイどんな気持ちで煮汁に沈む|直属の上司の左遷を祈りいるOL三人連名の絵馬|気を付けて刑法上は器物でもそいつ吠えたり愛したりする|採算と命の値段のくらき溝 鶏の治療はついぞ習わず|暴れウシ柵を飛び越え逃げ出せば突如スペインと化す牧場|米炊けば米の匂いす魚炊けばまして腹減るいいな炊事は|そりゃそうさ口が命の部首だから食べてゆく他ないんだ今日も)

令071027  心(ドストエフスキー『正直な泥棒』、芥川龍之介『秋』、プレヴォー『田舎』)       (ポプラ社 百年文庫6 2010年刊)    Fyodor Dostoyevsky/小沼文彦 Marcel Prevost/森鷗外
(龍之介のエスプリにつながる翻訳2篇に挟まれた『秋』は、映画のような佳品。)

令071025  読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全      (新潮社、2025年刊)    堀元 見 著
(じょうずな企画だ。いちばんぼくにウケたのは、潮 吹きの出元を解明した日本人医師5名の2022年の論文 "Enhanced visualization of female squirting" で、膀胱に青い液を入れて潮 吹きしてもらう実験。)

令071025  畳(林芙美子『馬乃文章』、獅子文六『ある結婚式』、山川方夫『軍国歌謡集』)       (ポプラ社 百年文庫3 2010年刊)
(洒脱三篇。感覚は全然古びていない。山川方夫が作中で恋愛論を語らせる。≪愛とは、自分が相手の中に位置をしめているという幻影です。≫ ≪私は、あなたを気にして、ほったらかしにできないというただそれだけの気持ちで、あなたという不毛でダメな人間に一生を捧げるのだ、と思いました。≫)

令071021  すごい科学論文      (新潮新書、2025年刊)    池谷裕二 著
(週刊誌連載をトリビア本に仕立ててあり読みやすい。おりおり著者の趣味の披瀝もあって、アルカンの難曲のことを知りさっそく CD 注文。世界最大の生物はオレゴン州のオニナラタケで、地下の菌糸体の直径 3 km 以上。面倒くささへの耐性が強いかどうかは個人差が大きく、自己制御力・認知欲求が高いと困難に立ち向かいやすいが、なんと!「報酬に対して鈍感」「頑張っている自分が好き」「タスクの難易度には敏感」で「簡単なタスクは努力せずに済ませ、難しいタスクに大きな努力を投じて全体として高いパフォーマンス」。いっぽうモノグサの御仁は、このような努力の配分がヘタで、作業全般を面倒に感じる。)

令071017  異(江戸川乱歩『人でなしの恋』、ビアス『人間と蛇 The Man and the Snake』、ポー『ウィリアム・ウィルスン』)       (ポプラ社 百年文庫17 2010年刊)    Ambrose Bierce/西川正身 Edgar Allan Poe/江戸川乱歩
(佳品三篇。乱歩の人形との恋は、ステージに掛けたくなる。歌舞伎にしても面白い。ポーの短篇はダークな映画にしたいなと思ったら、じっさいオムニバス映画「世にも奇怪な物語」で Alain Delon が演じている。)

令071013  灯(夏目漱石『琴のそら音』、ラフカディオ・ハーン『きみ子』、正岡子規「飯待つ間」「病」ほか)       (ポプラ社 百年文庫31 2010年刊)    Lafcadio Hearn/平井呈一
(平井呈一の訳文は、きみ子のことばを流麗な京都語で紡ぐ名品。漱石の小編は、ちょっとした判断・反応の記述に作家のよき人柄がしのばれる。)

令071005  若人よ蘇れ 黒蜥蜴 喜びの琴      (岩波文庫、2018年刊)    三島由紀夫 著
(それぞれ特徴的で、このテーマ性と猟奇性は三島ならでは。)

令071005  夢(ボルガー『すみれの君』、三島由紀夫『雨のなかの噴水』、ヘミングウェイ『フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯』)       (ポプラ社 百年文庫42 2010年刊)    Alfred Polgar/池内 紀 Ernest Hemingway/高見 浩
(ヘミングウェイは、さすが、にじり寄るような踏み込み方が作家ならでは。三島の短篇のひとを食ったところも彼らしい。)

令071002  未来に残したいウクライナの木造教会      (X-Knowledge 2025年刊)    Galyna Shevtsova 著
(露人が暴虐する今日、本書標題はとみに切実。木造教会の多くの屋根や壁面が檜皮葺のような風合いで、日本の寺院建築に通ずる美意識を感じる。著者は1973年生れで、2003年から今日まで近畿大・京大・東大でも研究生・研究員として過ごした。本書は著者自らが20年以上にわたり探訪・撮影した労作。)

令071001  人間には12の感覚がある  動物たちに学ぶセンス・オブ・ワンダー     (文藝春秋、2025年刊)    Jackie Higgins 著、夏目 大 訳
(原著 Sentient: What Animals Reveal About Our Sense, 2021. 「五感じゃなくて十二感?」というオドロキで手に取らせる邦題は困りもので、書中に二十二感や三十三感の説に言及はあっても十二感の概念は無い。地球の磁場を感じて方向を知る、感覚器官不明の感覚が人間にあるという第11章に最も驚く。人間が個々人の匂いと皮膚の滓をまき散らして生きているというフェロモンの章。自分の身体を自分のものと感じる感覚(proprioception)が欠けると幽体離脱が現出するという第12章は、古来の怪奇現象を解き明かしているのかも。)

令070925  新・古代史  グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権     (NHK出版新書、2025年刊)    NHKスペシャル取材班|夫馬直美・田邊宏騎 著
(いちばんの驚きは、古代中国・朝鮮における地理観では日本列島は九州から奥州が北→南の連なりとして認識されていたこと。1402年に李氏朝鮮で作られた地図にも表れている。とすれば「魏志倭人伝」のひたすら南に行った先の邪馬台国とは、じつはひたすら東へ行ったものであることが納得できる。卑弥呼の墳墓を奈良県の箸墓古墳とする説を本書は推していて、説得力あり。)

令070915  反応しない練習  あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」     (Kadokawa 2015年刊)    草薙龍瞬 著
(ブッダの教えそのものなのだが如来も観音も菩薩もない。一利なき脳内妄想をシャットダウンすれば幸せになれるという合理性が貫くのがブッダの教えであり、神秘主義(前世や死後の世界のような確かめようのないこと)の対極にある。その本性として「心」は、求め続け、渇き続ける。「反応してもしようがない(空回りするだけで意味がない)」いわば「これで~いいのだァ~」の境地へとスイッチを切り換える。そのためには自己分析から始める。心の状態をことばで描写する(ラベリング):妄想をリセットする基本は「いま妄想している」と客観的にことばで確認すること。悩みは心の内側に生じるから、悩みを抜けるには心の外側にある「からだ」の感覚に意識を向けるのがベスト。)

令070913  不被大風吹倒  巻也好,tang3也好,不被大風吹倒就好!    (北京日報出版社、2024年刊)    莫 言 著
(久々に中国語の本を完読。著者が小学生の頃の、夜道を歩きに歩いて隣村に映画を観に行った話など、昔話がおもしろい。村じゅうで数十冊しかない本をぜんぶ読みおえ、あとは祖父母らの語る物語や村芝居が長じてのち文学の花が咲く肥やしになった。)

令070909  カフネ      (講談社、2024年刊)    阿部暁子 著
(そもそもこれまでストーリーというものに紡がれたことが無かったのではないかと思えるような、やるせなさの極みのいろいろな形が、ごくふつうの街に息づく。準主人公・小野寺せつなが繰り出す食のわざがアクセントになっている。)

令070906  現代秀歌      (岩波新書、2014年刊)    永田和宏 著
(本書は著者の絶唱でもある。巻末近く、死を前にした河野裕子さんの作の数々と、著者の乱れ思い。涙した。|| 生きてゆくとことんまでを生き抜いてそれから先は君に任せる さみしくてあたたかかりきこの世にて会ひ得しことを幸せと思ふ 手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が(河野裕子)|長崎の被爆者・竹山広:人に語ることならねども混葬の火中にひらきゆきしてのひら|東日本大震災に遭遇した佐藤通雅:死ぬ側に選ばれざりし身は立ちてボトルの水を喉に流し込む || 湧き上がりあるいは沈みオーロラの赤光緑光闇に音なし 秋葉四郎|この世より滅びてゆかむ蜩 (かなかな) が最後の<かな>を鳴くときあらむ 柏崎驍二|産み終えて仁王のごとき妻の顔うちのめされて吾はありたり 大島史洋|かの時に我がとらざりし分去 (わかさ) れの片への道はいづこ行きけむ 皇后美智子|大根を探しにゆけば大根は夜の電柱に立てかけてあり プリクラのシールになつて落ちてゐるむすめを見たり風吹く畳に 花山多佳子)

令070904  超新訳 ティッピング・ポイント  世の中を動かす「裏の三原則」     (飛鳥新社、2025年刊)    Malcolm Gladwell 著、土方奈美 訳、橘 玲 解説
(原著 Revenge of the Tipping Point: Overstories, Superspreaders, and the Rise of Social Engineering. 最初のくだりが唐突で読みにくいが、読み進むと項ごとに統計的事実の裏付けがある名著だった。overstory(林冠層)は「空気感」と訳されている。第7章「ホロコーストという言葉が使われるようになるまで」が圧巻。第5章:ハーヴァード大がアジア系の学生を激増させぬために ALDC という制度で大々的にスポーツ採用・縁故採用を行い、入試が平等な学力競合でないとは驚きだ。この手の制度がユダヤ系学生の激増を防ぐために1900年代から始められたというから、なおオドロキだ。)

令070826  ロシアに週末トリップ! 海辺の街ウラジオストクへ      (イカロス出版 旅のヒントBOOK、2022年刊)    タムル絵美 著
(藤田泉さんのポーランド本と異なり、ハイブラウでおしゃれなロシアだ。見る写真すべて素朴さはなくピシッ。皮肉なことにロシア開戦の4日後が本書の刊行日。|ロシア人は紅茶を飲むときハチミツやジャムを紅茶に入れるのではなくスプーンですくって直接食するのだと。「抹茶と和菓子」に相当するらしい。)

令070826  レトロな街で食べ歩き! 古都台南へ&ちょっと高雄へ 最新版      (イカロス出版 旅のヒントBOOK、2020年刊)    岩田優子 著
(昼はありきたりのものしかない日本の地方都市とちがい、朝からのんびりと食を楽しめるのが台湾の地方都市の魅力だ。1週間くらいフラーッと滞在して探訪すればサイコーのようでもあり、たちまち飽きそうな気もする。けっきょくやはり都市人向けに整えられたもののほうに惹かれてしまう わが余裕のなさ…。)

令070825  中華料理と日本人  帝国主義から懐かしの味への100年史     (中公新書、2025年刊)    岩間一弘 著
(町中華の、忘れられた多面性。全7章のうち5章は、著者の英語による論文・講演がもとなので、本書全体として見ると記述の繰り返し部分がありすぎるのが惜しまれる。20世紀前半、米欧でウーロン茶が紅茶よりも高級品であったこと。戦前にはウーロン茶といえば台湾産で、戦後いったん途絶えたあと日中国交回復でがぜん福建省のお茶と看板を掛けなおした…など、さまざまな事情がおもしろい。ギョーザの語源について本書は朝鮮語にも1行言及するものの、文献資料の裏付けがあるのは山東省出身の労務者らの中国語のほうだと。遺憾なり!)

令070825  中世の街と小さな村めぐり ポーランドへ 最新版      (イカロス出版 旅のヒントBOOK、2019年刊)    藤田 泉 著
(カラフルでかわいいデザインの品の数々、どこまでも素朴質実だが素材のおいしさが楽しめそうな料理。やはりポーランドは、じっくり滞在するに限るかな。)

令070823  平成史【完全版】      (河出書房新社、2019年刊、原著 1963年刊)    小熊英二 編著
(国民の9割が「中流」と答えた1973年、収入格差意識も底を打った1975年。いったんはうまくいったように見えた日本の運営のほころびをパッチワークでつくろい、あげくにひきつれまみれの国にしてしまった、先延ばしの国の記録。「失われた10年」とは、1960~80年代こそ「正常」なのだという歴史観。それに基づく政策対応は、自ずと後手に回るか逆効果。農業は専業の制度保証でなく公共事業・誘致工場からの副収入で兼業化させた。大店法で大型店を街中から追い出して商店街は空洞化。炭鉱閉鎖後の夕張のめちゃくちゃぶりは、ソフトウェアにも人材にもカネを投じず巨額を在京土建会社に払うのみ。ハン・トンヒョン氏が指摘する「移民いないフリ」の歴史が読ませる。)



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