令020320
英語の歴史から考える英文法の「なぜ」 (大修館書店、平成31年刊) 朝尾幸次郎 著
(8世紀末にデーン人がブリテン島の北半分を奪い、古英語に似た古ノルド語が入り込み、おなじゲルマン系の両言語が混じってピジン化し、語尾の屈折が急速に消滅した。人称代名詞のなかで、なんと they だけは古ノルド語から採り入れられたと。1066年に英国を征服したノルマン人ももとはデーン人だったが、こちらはノルマンディーの地を与えられてのちフランス化し、英国へは支配者としてフランス語を持ち込んだのだと。|英国の言語変化を周辺言語の変化と共時的に眺める記述になっていれば最高だが、咀嚼できる読者があまりに少数か…。|62頁に半ページにわたりエスペラントの動詞変化形に言及あり。)
令020317
エネルギーの愉快な発明史 (河出書房新社、令和元年刊) Cedric Carles, Thomas Ortiz, Eric Dussert et al. 著、岩澤雅利 訳
(エネルギー界のイグノーベル賞シリーズ、みたいなことかと思ったら、至極真摯に歴史の別の可能性を考えさせる作だった。まさに原題のとおり Retrofutur: Une contre-histoire des innovations energetiques. 日本語版のために Thomas Ortiz 氏が書いてくれた1887年の屋井先蔵の世界初の乾電池の発明、に驚く。もっとも、特許は翌1888年にドイツ人のカール・ガスナーが取ってしまった。日清戦争で日本軍が極寒の満洲で戦えたのは屋井先蔵の乾電池のおかげだったというから、すごい。)
令020314
訴訟王エジソンの標的 (ハヤカワ文庫、令和元年刊) Graham Moore 著、唐木田みゆき訳
(原題 The Last Days of Night をみごとにすり替えた日本語版タイトル。エディソン、ウェスティングハウス、テスラ、J.P. モルガンと、歴史の著名人らがうごめく。稀代の悪玉エディソンが中和されていく筋立ては、やや拍子抜けだが納得感あり。電力関係者、みな読むべし。)
令元1208
英会話 その単語じゃ人は動いてくれません (青春新書、平成27年刊) David Thayne 著
(現代英語のきらきらした単語にフォーカス。|A: "Let me pay for dinner tonight." B: "No, please. Let me have the honor." このBが「お気持ちだけいただきます」だって。|change を嫌がるネイティブは大勢いるが、revamp にはさほど抵抗を感じない。|It was a dazzling performane. うん、ゴージャスな感じだ。|I respect you more than you know. | It's one of my passions. わたしの生き甲斐のひとつ。|George has a can-do attitute. やる気がある。)
令元1203
英語 足を引っ張る9つの習慣 (青春新書、平成24年刊) David Thayne 著
(pass on が「天国ゆき」だというから辞書をひいたら「次代に託する→死ぬの婉曲語」。put up「泊まらせる」は「宅に上げる」ということだろう。be broke で be poor. チャレンジするは I challenged myself to get up early every day. みたいなのも使える。|Do you mean what you say? 本気ですか。|何かを断るときには、ぶっきらぼうなことを言わずに、含みを持たせよというのも、いいアドバイス。Maybe it's best to look ahead to the next opportunity. とか Let's not say yes if we can't find a win-win situation.)
令元1106
超高速PDCA英語術 (日本経済新聞出版社、平成31年刊) 三木雄信 (たけのぶ)
著 (著者自身が経営する英会話学校の宣伝本になってしまっているのが残念。「発音矯正と作文は捨てる」という、ぼくの教授法の対極のようなことをミスリーディング発言しているが、実際はシャドウイングと英語基本文暗記に重点を置く(=素人でも教えられるように!)ことにより、しっかり発音・作文能力にも目配りしている。まぁ、あたりまえだ。発音がヘタで作文ができなかったら、英語力はボロボロなのだから。|言語学者マイケル・H・ロング氏の「インタラクション仮説」を紹介している。「第2言語は対象言語を用いた face to face の相互交流によって促進される」というもの。≪第2言語を使って誰かと会話していると、自分が言ったことが相手に伝わらなかったり、理解されなかったりすることがあります。すると、お互いが他の表現に言い換えたり、もっとゆっくり話したりして、会話の意味を理解しようと努力します。これが「意味の交渉」であり、こうしたやりとりをしなければいけない環境に置かれることでコミュニケーションスキルが大きく伸びるというのが「インタラクション仮説」の主張です。双方向で会話しながら、相手の反応や態度に合わせて自分が持っている単語や表現を使いながら意思の疎通を図ろうとする。これはまさに「英語運用力」です。≫ (118頁)。≪「伝わらないときや、わからないときはどうするか」という戦略を持っておけば、手持ちのインプットだけで勝負できるということです。そのためには、誰かとコミュニケーションして、「自分の言ったことが伝わらない」という経験をすることが欠かせません。ですから学習計画には「双方向のアウトプット」を必ず組み込んでください。≫(119頁)。このあたりは、対面個人レッスン重視のわたしのポリシーにも沿うものだ。)
令元0724
英語の処方箋 「日本人英語」を変える100のコツ (ちくま新書、令和元年刊) James M. Vardaman 著、安藤文人 訳
(多様なポイントをコンパクトに網羅。「類義語」には「単語の繰り返しは避ける」と題して2ページ充てている。board the train, get on the train あるいは repetitiously と repeatedly のようなペア。| TOEIC に出てくる server が waiter/waitress の PC 代替語であること、はじめて知ってなるほど。)
310111
フランス語語彙をひろげる7つのテクニック (白水社、平成24年刊) 田中幸子・Isabelle Folte^te 共著
(語形成の解説書かと思ったら、総合的学習書だった。口語のフランス語では否定文で まま ne を省き pas だけで済ませるようだ。主語の tu を je なみに主動詞とアンシェヌマンさせ tu as を t'as のように言うのもビックリ。)
310107
フランス語の進化と構造 (白水社、昭和51年刊) Walther von Wartburg 著、田島宏ほか共訳
(≪フランス語の文形成の基礎になっている単位は語ではなくリズム段落 groupe rythmique である。たとえば la premie`re offre のようなひとつづきの語のなかには1つの強さアクセントしかない。≫ そして母音は長音化せず、そのぶん母音の音色が極めて多様で16もある。≪母音体系の異常な多様性≫ とまで言い切る。ドイツ語のようにフレーズを波動的に強調することができない平坦きわまりない言語なので、文のいずれかの部分を強めるには強調構文に頼らざるをえない。… この辺がなるほどフランス語の特徴だ。)
310105
ペンギンの島 (白水 u ブックス、平成30年刊、原著1908年、和訳 昭和45年刊を復刊) Anatole France 著、近藤矩子 (のりこ)
訳 (フランスの歴史書や中世の読み物の風格をパロッたさまを楽しめるネイティブにとっては、痛快にちがいない。ストーリーではなく、個々の描写のさまを愉快がるべき作品。『カンディード』に列なるものだ。)
令020325
The Catcher in the Rye (Little, Brown and Company, Boston) J.D. Salinger 著
(英語上達のおかげで、読み進むのにつれキャラがビビッドに動いた。やたら粋がり、みょうにキメたがる、アンバランスな年代の内面をみごとに切り取っている。)
令020303
The Seven Good Years (Granta Publications, London 平成27年刊) Etgar Keret 著、Sondra Silverston ほか 英訳
(Memoir のジャンルにして、ここまで hilarious. 彼の世界の住人になれば、少々の奇異や偏屈にはヘコたれなくなるね。)
令元1119
New Penguin Parallel Text Short Stories in Chinese 中国短篇小説集 (Penguin Books 平成25年刊) John Balcom 編・英訳
(全8篇はそれぞれにダークで、ふしぎなユーモアもあり、読む価値あり。日本語や英語でこの内容の文藝作品は想像しにくい。中国文に “一件” を “意見” と書くようなワープロ誤変換が多数残っているのが残念。)
令元1014
Walking Through Time (Windswept House Publishers, ME, U.S.A. 平成10年刊) Lauren Walden Rabb 著
(英語でさらりと読み通したはじめての小説だ。てっきり『君の名は。』のような時空ワープの SF 作品かと思ったら、19世紀末の画家の妻の過去をたどる女性作家の再生の日々をごくまっとうに描いた、美術専門家によるセミ・フィクションだった。)
令元1008
The Story of England (Phaiton Press, London 平成4年刊) Christopher Hibbert 著
(超長期の積ん読本にようやく手がついた。描かれるのはサッチャー首相がメイジャー首相に代わるまで。血と暴力の歳月から近現代への飛翔が、王権と国民の関係性の変化によるものであることが如実に示される。個々の人物の人となりが、豊富な形容詞の積み重ねで絵画化される。第2次世界大戦についてはほとんど書かれていない。めりはりがみごと。)
令元0925
Seven Days in the Art World (Granta Publications, London 平成21年刊) Sarah Thornton 著
(てっきり小説と思ったまま積ん読だったが、執筆当時の美術界最先端のルポだった。言及されている現代アートの士たちを丹念にネットで追ってみたいが。)
令元0908
The Art of Understanding Art: a New Perspective (Profile Books, London 平成27年刊) Hugh Moss 著、Peter Stuart 挿画
(アートは consciousness を別次元にまで transcend させてくれるものなのであり、西洋では intelect が暴君然として介在してきたが、中国の書画は西洋のはるか以前にアートのあるべき高みに達していたと。論の筋立てに中国という座標軸を入れたところが新鮮。じっさいにアート作品を買い始める前に、自ら空想上のコレクションを綿密に組み立てて練習するのがよいと説くが、まさか著者本人はそれを実践してはいないだろう。)
令元0810
Skin in the Game Hidden Asymmetries in Daily Life (Penguin Random House, New York 平成31年刊) Nassim Nicholas Taleb 著
(当事者意識の欠如した評論家知識人がいかに世を誤り導くか。鮮烈な諷説と遊び心は、英語原文でないと味わえまい。もう1ラウンド読むつもり。)
令元0627
The Culture Map: Decoding how people think, lead, and get things done across cultures (PublicAffairs 平成26年刊) Erin Meyer 著
(いまにして思えば、タイ人に対して誤りをあれこれせっかちに指摘したぼくのやり方は間違いだったなぁと、本書を読んで反省することしきり。同じ白人でも文化はこうまで違うのかと、驚かされた。こんな流儀で日中韓台泰を比べる本があると面白いね。)
令元0617
Fluent in 3 Months: Tips and techniques to help you learn any language (HarperCollins Publishers 平成26年刊) Benny Lewis 著
(どの言語であれ、自分が発言することになりそうな話題10題をネイティブチェック済の文章ですらすら言えるように準備しておく、というのは fluent を示すためのいいコツだ。フランス語やポーランド語でぜひ実践したいと思いつつ、次の1歩が難しいけれど。|いろいろ有用なリンクの紹介もあるので、今後も利用するつもり。)
310227
Expert Secrets: The Underground Playbook to Find Your Message, Build a Tribe, and Change the World (Morgan James Publishing, New York 平成29年刊) Russel Brunson 著
(効果的なウェビナーを作って集客し、高価な研修教材を売りつけて百万ドル単位で稼ぎましょうと。想定収益のケタ数が3つ、いや4つ多いんだよね。米国って、どんな国なの?)