文春新書『英語学習の極意』著者サイト

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美術館・画廊メモ 1

(心にビビッと来なかった展覧会は必ずしも記録していません。)
各項冒頭の6桁の数字は日付です (例: 220108 = 平成22年1月8日) 。 展覧会名にリンクが張ってあるものは、ぼくのブログ本篇の関連記事へ飛びます。 平成21年12月までの美術日誌 は、 観劇・読書メモ 3 末尾の美術館コーナーに。

220108  DOMANI・明日展 2009 ― 未来を担う美術家たち <文化庁藝術家在外研修の成果> @ 国立新美術館
(高橋龍太郎コレクションの世界を想像していたが、それは呉亜沙 (ご・あさ) さんの少女と兎の世界や、礒崎真理子さんの巨大な野菜の赤いオブジェに感じられる。高野浩子さんの作品が好き: 道具箱の集積のような書庫の一角の再現を間近に見れば、1冊1冊の本は木の彫刻; 傍に居たくなるテラコッタの穏やかな女性像。)

220110 杉浦非水の眼と手 ― 写生 のイマジネーション @ 宇都宮美術館
(片道2時間半以上もかけて行ってみただけのことはあった。)

220120  山本冬彦コレクション展 ― サラリーマン コレクター30年の軌跡 @ 佐藤美術館 (新宿区大京町)
(日経 「文化往来」 欄を見て行った。山本さんは、すばらしい目利きでいらっしゃる。展示された 161点のひとつひとつ、なぜ欲しくなったかが明確に理解できる。)

220121  有馬和彦展 ― 旅の手帖から @ ギャラリー日比谷
(ヨーロッパの街の明るい風景画。ひとつひとつの作に動き、きらめきがある。足立区在住のかた。展覧会後、葉書をいただいた。)

220128 No Man's Land: 創造と破壊 @ フランス大使館 @ 在日フランス大使館旧庁舎本館+別館
(時が経つのを忘れる3時間。行ってよかった! ブログに写真つきで紹介を書きました。)

220202  麗しのうつわ ― 日本やきもの名品選 @ 出光美術館
(野々村仁清にはじまり、志野、唐津、鍋島、古九谷などなど、各様式の名品を見せていただき、さながら実物で習う最高の授業。板谷波山の保光彩磁 (「保」 は草かんむりつき) の淡い色遣いは、いかにも現代の若い女性好みではないか。)

220204  ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた…… (William Kentridge: What We See & What We Know; Thinking About History While Walking, and THus the Drawings Began to Move) @ 東京国立近代美術館
(コンテ画のアニメーション。現代への疲れが生む幻覚。木曜日を休んで行ったら、ちょうどいい人の入り。週末の人出を処理しきれるとは思えぬ。)

220204  常設展 + 早川良雄回顧展 (Hayakawa Yoshio: "The Face" and "The Form") @ 東京国立近代美術館
(早川良雄さんは大正6年、大阪市生まれ。明るい色彩感覚と軽やかな線が、アンリ・マチスを思わせる。女性の顔を描きつづけ、晩年は簡素な幾何学的フォルムの世界へ向かった。)

220204  木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン ― 東洋と西洋のまなざし (Ihee Kimura & Henri Cartier=Bresson: Eastern Eye & Western Eye) @ 東京都写真美術館3階展示室
(木村さんが昭和10年代に撮った那覇の芸妓が、広末涼子さんのようにきれいだった。)

220204 日本の新進作家展 Vol. 8  出発 ― 6人のアーティストによる旅 @ 東京都写真美術館2階展示室
(尾仲浩二、百瀬俊哉、石川直樹、百々 武 (どど・たけし) 、さわ ひらき、内藤さゆり の個性ある作品群。ムンバイやコルカタの猥雑な路地裏を淡々と撮った百瀬さんの作; マンションの室内をゆっくりと天使のように旅客機が飛ぶ、さわ さんの "music video for small metal gods" に惹かれた。)

220204 映像をめぐる冒険 Vol. 2  躍動するイメージ。 ― 石田尚志とアブストラクト アニメーションの源流 @ 東京都写真美術館B1展示室
(カンディンスキーの抽象画をアニメにしたようなアブストラクトの世界。キャラとストーリーのある普通のアニメの対極。石田尚志 (たかし) さんの 「海の映画」 は絶品。現代アートを一気に千枚見たような満足感。)

220205  角偉三郎 (かど・いさぶろう) 美術館 + Le Musee de H @ 和倉温泉
(角さんの漆器作品と辻口博哲 (ひろのぶ) さんの菓子造形のギャラリー。加賀屋プロジェクトの一環だ。)

220206  コレクション展 「shift ― 揺らぎの場」 + オラファー・エリアソン Olafur Eliasson あなたが出会うとき @ 金沢21世紀美術館
(脳にさわやかな揺らぎをくれる環境体験型の作品群。)

220208  いのうえ れい シルクスクリーン展 @ ギャラリー La Mer (銀座一丁目)
(白の使い方がうまい、ほのぼの作品。可憐な作者と少しお話ができた。)

220208  306プロジェクト 加藤恵美子展 @ 奥野ビル306号室 (銀座一丁目)
(ワンルームの廃墟がそのまま展示と化している驚き。)

220208  大山隆三 やきもの展 @ Gallery 銀座一丁目
(竹の節目のところの芽吹きの形を生かしたユーモラスなぐい呑みなど。)

220208  高橋カナ子個展 @ Gallery 銀座 フォレスト (銀座一丁目)
「水槽 Inner World」 というペン画作品を3万円で購入した。蠱惑の世界にはまった。ぼくも小さな美術コレクションを始めることになりそうだ。ギャラリーのご主人とも、これから親しくなりたい。)

220208  森麻美 展 @ Gallery 銀座 フォレスト・ミニ (銀座一丁目)
(描くまえの表面処理のおかげで、水彩なのに岩絵具の絵のような質感。)

220212   現代絵画の展望 12人の地平線 @ 鉄道歴史展示室 (旧新橋停車場)
(1人1作の小展示だが、レベルが高い。廃墟化した現代建造物を描く山田純嗣 (じゅんじ) さんの "Indication -- National Stadium 3 (Bird's Nest)" は、北京のオリンピックスタジアムの廃墟に蓮の群れる水たまりを配した。うまい。夏目麻麦 (あさぎ) さんの "Room 1108" から浮かび上がる女性像にもゾクッとさせられた。)

220212  コレクション展 @ ギャラリーせいほう (銀座八丁目)
(いきなり一流の版画と彫像。裸婦ブロンズ像の小品がよかった。)

220212  コレクション展 @ Live & Moris (銀座八丁目)
(今宵開催のイベント準備中だった。宮本京子さんの歌とトモさんのギター伴奏のリハーサルをちょっぴり聞かせていただいた。ギャラリー入り口のオブジェが気に入った。若々しい作品群。)

220212  コレクション展 @ 高輪画廊 (銀座八丁目)
(関係者が机でお打合せ中のところ、お邪魔してよろしいでしょうかと言って入った。出るとき、ちょっと待ってと言われ、4月に高島屋で開催の 「没後10年記念 三岸節子展 心の旅路~満開の桜のもとに」 の招待券を2枚くださった。ちょうどその展覧会の準備打合せをしておられたのである。)

220212  小清水 漸 (こしみず・すすむ) 個展 「雪のひま」 @ 東京画廊 BTAP (銀座八丁目)
(昭和19年、愛媛県宇和島市生まれのオブジェ作家。家具のようで家具でない作品に最初はなじめなかったが、ちょうど取材に来ていた 『月刊ギャラリー』 の記者へ画廊の主が説明するのを傍で聞くうち、おもしろくなった。)

220212  木谷とも子 遺作展 …どこまでも暖かく… @ Gallery ART POINT (銀座八丁目)
(感動をいただいた。50歳で油絵を習い始めたとはとても思えぬ、中間色の配合の巧みさ。とも子さんは、おととし70歳で亡くなられ、今回 ご夫君が遺作展を開き、20ページの小画集もお作りになった。「桜の木のある街」 は、朱葉会展で船岡賞受賞の作だが、時間の折り重なりを感じる。青い裸婦画の 「まどろむ」 も好きだ。帰宅後、遺作の 「満開」 を眺めているうち、目が潤み、やがて涙となった。)

220212  神谷 晶 個展 @ 十一月画廊 (銀座七丁目)
(紫が生きる小品の 「川岸にて」 が絵として最もまとまっていた。姜尚中さんがおられるのかと思ったら、作家の神谷さんだった。煎茶をご馳走になった。丁寧なかたで、2月末には手書きの礼状までくださった。)

220212  加納 明日香 展 ― わすれたいわすれたくない ― @ シロタ画廊 (銀座七丁目)
(昭和59年、千葉県生まれの作家に 「動きをコマ撮り的に油絵で連作する手法が斬新。ゴーグル状の黒眼鏡をかけた楕円の顔というスタイルを確立しているのも、いい。楽しみながら彩色しているのが伝わってくる。目指せ、高橋龍太郎コレクション入りですね」 と言ったら、喜んでくれた。画廊の女性が 「類似の作風をもった作家が容易に思い起こせる作家がとかく多いが、加納さんは類似の作風の作家に思い当たらない。オリジナリティが高い」 と評していた。きっと、この人は伸びる。)

220212 DNPグラフィックデザイン・アーカイブ収蔵品展 II  田中一光ポスター 1953-1979 @ ギンザ・グラフィック・ギャラリー (銀座七丁目)
(つけ入る隙を微塵も感じさせないプロ魂に打ちのめされた。)

220212  Naoko Haginoya Exhibition 昨日みた夢 @ 日比谷パティオ (旧三信ビルディング跡地)
(発色のいい色鉛筆で丁寧な仕事をなさっている。作家の萩野谷直子さんは、かしこそうで、きれいな人だった。かわいいイラストに心酔した若い女性たちが取り囲んでいる。気後れして、話しかけられなかった。メッセージカードに褒め言葉を書いて失礼した。この人も、きっと伸びる。)

220213  拡がる LOVE ∞ @ Gallery 銀座一丁目
(15人展。岩清水さやか さんの作は、ぱっちり目の無表情少女がひとり草原に、あるいは少年がひとり宇宙に。昭和50年、函館生まれ、慶応大哲学科卒というひとだ。)

220213  高橋カナ子個展 @ Gallery 銀座フォレスト (銀座一丁目)
(ぼくが買った 「水槽」 の作家、高橋カナ子さんにお会いした。拙著2冊と、Slinkachu の写真集をプレゼントした。)

220213  梅谷 脩のしごと @ 巷房・2 (銀座一丁目)
(山葡萄の汁を絵の具にした和紙作品。作家にお会いした。)

220213  冷暗所 @ 巷房・階段下 (奥野ビルB1)
(白取玲菜さんの内臓接写図的作品。階段下の倉庫スペースが展示場に。作家にお会いした。)

220213  銀座が最も優しい日 @ Gallery G2 [Space A] (銀座二丁目)
(7人展。稚内出身の 33STRIKE さんの油絵が強烈。渋谷あたりのパブに掛けたい。阿部誠司さんの粘土作品は、黒地に小さな白い泡を満たした丁寧な作業。)

220213  quality of love/1: your song 2: your vision @ ミレージャギャラリー (銀座二丁目)
(39人展。スターウォーズのヨーダのような、浅原裕子さんのオブジェがおもしろい。スポットライトの交錯がおもしろい 「見えない何か」 の作者、藤沼京子さんとお話しした。近く、表参道の 「ピンポイントギャラリー」 で開催の絵本公募展にも出品するそうだ。ほかに、さとうゆし さんのフラクタルアートも小品ながら斬新に見えた。)

220213  愛する情景を集める(風景、心象風景) @ ギャラリーツープラス (銀座一丁目)
(14人展。船に乗った心象の旅の小品の作者、河野佳代子さんとお話しした。ネオンアートのような、宮島幸次さんの作品もおもしろかった。)

220220  池坊 東京竹支部創立90周年記念花展  藤原幽竹師没後33年 @ 東京国際フォーラム ガラス館 ロビーギャラリー
(本格的な いけばな展を初めて見た。生ける花や枝の構成もさることながら、最高の状態で花器をたのしみ、花器と花・枝の配合を楽しむ藝術だと思った。)

220220  平野綾子展 ― もりのいのち ― @ Oギャラリー (銀座一丁目)
(ゲルマンの森の妖精界の版画は木の葉の型押しも。カラフルなモービルやオブジェ。にぎやかな個展。版画に添えた詩は、絵が先ずありきでそれに触発されて書いたと、作家が言う。)

220220  みずにもたれて 長尾 圭 (けい) @ Oギャラリー (銀座一丁目)
(花瓣や電気配線のデフォルメのような曲線。淡い青と緑。はにかみがちな作家とお話できた。Oギャラリーは、オーナーの方が作家を紹介してくださるのが、ありがたい。)

220220  からりてん @ 柴田悦子画廊 (銀座一丁目)
(多摩美の日本画科を卒業した同期4人展。ぼくの長女も多摩美の1年生なので、ひときわ親しみを感じつつ鑑賞した。
川村綾子さんは、ヴィヴィッドな色彩感覚が宝だが、描線をどこまで抽象化させるか模索中のように思えた; ファイルの中の初期作品で既にひとつのスタイルは達成しており、そこに独創をどう盛り込むか闘いの最中だ。
寺元有加里さんは、テクスチャーの処理がうまい。箔に硫黄を塗り焼いて写真を浮かび上がらせる手法は新鮮。
佐藤はる香さんは、ファイルを見るとふつうの絵を描くほうも基礎がしっかりしている; 目下の模索は、絵具の層を削った描線でイラストにしあげた笑い顔、など。作品 「うしし」 がおもしろい。
藤林麻美さんの 「なにかをしってる」。癒しの羊の振り向き加減がいい。
柴田悦子さんが作家各々をご紹介くださった。)


220220  春の Allumage 展 @ K's Gallery (銀座一丁目)
(9人展。うち、鎌田りん さんがおられ、お茶をご馳走になった。剽軽な方で、酩酊から生れた作品 「ヒ日イ」 は 「旨い」 を文字分解したのだとか。どういうグループなのですかと聞いたら、ギャラリーから声がかかって出品しました、と。)

220220  浜田 涼 展 @ 藍画廊 (銀座一丁目)
(思い切りよくボカし曇らせた写真。はじめは単なるアイディア賞かと思ったが、何度か廻って慣れてくると、その色彩感覚が誰にでもできる業でないことを知らされた。作家がおられ、思い立って案内葉書にサインしていただいた。これから作家のサインを集めることにしよう!)

220226  医学と藝術展 生命と藍の未来を探る――ダ・ヴィンチ、応挙、デミアン・ハースト @ 森美術館
(松井冬子さんの蠱惑の日本画 「無傷の標本」 (平成21年作品) がよかった。Gilles Barbier の “L'Hospice (老人ホーム)” は、スーパーマンやキャプテン・アメリカらの老年の姿を蝋人形に。単眼鏡で見ると、睫毛までリアルだった。)

220305  森木沙織展 @ Gallery 銀座 フォレスト・ミニ (銀座一丁目)
(ポップアートを手がけてきたひとだが、今回一転して、モノクロで線描の蠱惑を追究。大都市空襲の空撮を思わせる作品。資生堂の広告の背景につかえそうなデザイン、など。才能のあるひと。きっと伸びる。作家は愛くるしいひとで、彼女が1枚1枚ニスを塗って仕上げた案内はがきにサインしてもらった。)

220305  Emi Yokoyama Exhibition “The Quilt” @ Gallery 銀座 フォレスト (銀座一丁目)
(作家は、美しすぎるイラストレーター。東京工藝大学の卒業展で、フォレストのオーナーである森さんが見初めて個展開催を勧めた由。英文雑誌 “Metropolis” でイラストの仕事をもらって活躍している。作家自身に作品の含意を解説してもらった。ぼくがパブを経営していたら、彼女の作品で店の一角を飾ったろう。)

220307  安本秀を展 @ ギャラリー日比谷
(浮世絵の ぼかし の技法をつかった遠近表現は この作家ならでは、とギャラリーのオーナー。お茶をいただきながら、しばしお話しした。親しみやすく、飽きない木版風景画。)

220307  荒木経惟・舟越 桂 「至上ノ愛像」 @ 高橋コレクション日比谷
(熊本市現代美術館の企画作品、荒木さんの撮った母子のヌードが、たしかな生きるちからとよろこびに満たされていて、絶品。舟越作品が2点だけだったのが、ちょっとさびしい。)

220307 第5回多摩美術大学情報デザインコース作品展  できごとのかたち 2010 ― informa desegno @ AXIS ギャラリー (六本木五丁目)
(わが長女のCG作品 「サモトラケのニケ」 も出品。そのまま商品化できそうな 「TEA BOOK」 の作者・伊東友子さん、磁石あそびの 「かっこちゃん」 の作者・石山星亜良 (せあら) さんとお話しできた。)

220307  浜坂直子展 @ Savoir Vivre (AXIS ビル4F)
(まるでフェルトペンで無邪気に描いたような、透明感のある絵の陶器。作家がおられたので、このデザインのビアマグがあればフルーティなベルギービールを飲んでみたいと伝えた。Savoir Vivre は、すてきな陶器のお店。ときどき行ってみたい。)

220308  マスだ!展 @ K's Gallery (銀座一丁目)
(70人の作家が300個の一合枡を塗り、貼り描き、飾った作品群。初日の夜は30人あまりの作家とお客さんで酒盛りし、狭いギャラリーがごった返したのだとか。
辻美水さん (黒一色の枡に小物を吊るすなどし、小さなバーの内装のよう)、藤澤紀子さん (青と緑を基調に赤を散らした花模様)、横山近子さん (張子のような表面に黒と茶の諧謔みある線描)、菊池政子さん (紫と白の石膏壁面のイメージ)。)


220308  押元一敏 (おしもと・かずとし) 展 @ 柴田悦子画廊 (銀座一丁目)
(具象日本画で十二分に活躍し、『俳句研究』 誌の表紙絵も3年間担当された実力あるひとが、あえて自らをそぎ落とし抽象の 「天使のトルソ」 に挑んだ。展示中、首元から脚根の横長の黒いトルソ画2作にひかれた。
柴田悦子さんが、押元さんをはじめ、藤井美加子さん、松村響子さん、木村浩之さんらをご紹介くださった。あたたかいサロンだ。柴田さんは、わたしが 「からりてん」 の感想を送ったのを覚えていてくださり、美術日誌をほめてくださった。ブログ上に 「画廊・美術館めぐりのメモ」 を独立させたのは、そのため。)


220310  味戸ケイコ  安房直子 十七の物語 『夢の果て』 原画展 @ Span Art Gallery (銀座二丁目)
(安房さんの物語に、味戸さんが鉛筆・水彩・アクリルで淡い挿画を丹精こめて描いた。3月13日には、原作者ではなく挿画作家の味戸さんが朗読会をする由。)

220310  第五回『小説を描く』日本画作品展 @ 銀座松坂屋 別館4階 美術画廊 (銀座六丁目)
(10名の作家が2作ずつ出品。きょうは初日で、作家のうち6人とお話しできた。
森 燐 (つよし) さん (いちごをモチーフに。ピンクを基調に。女性の作かと思ったら、いかつい (失礼!) 男性でびっくり。絵中央の おへそ が、いい)、
丸山友紀さん (渋みのある作で、男性の作と思ったら、作家はお若い女性でした。落款をほめた。絵に合う落款を特注している由。サインを求めたら、名前の脇にカタツムリのイラストも描いてくれた)、
高崎昇平さん (雪原の木々が、有島武郎 『小さき者へ』 作中の家族を象徴。解説を聞き、絵の見方がにわかに深まった)、
越畑喜代美さん (俳画ふうに)、
磯部光太郎さん (漆黒の背景に雲母をちらし、手前には草葉に青蛙。宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』 作中の溺死の悲劇を象徴した絵。漆黒には、よく見ると川の流れが線で表現されている。雲母のような金は、川に映る銀河なのだと。もう1作の蒲公英の綿毛もじつに丁寧な仕事。人形の顔に線を引く極細の筆を使って黒地に胡粉で線をひいた)、
阪本トクロウさん (最も気に入った。白い壁と樹木や児童公園の遊具など、日常風景のごく一部を切り取って写実するが、大胆に白い空間を残し、彩色に陰影をつけぬことで、夏の日のふしぎな非現実が生れた)。)


220311  本館1階常設展 @ 東京国立博物館
(長谷川等伯展をと思ったら、入場は80分待ち! 本館1階のテーマ展示を楽しむことにした。特別陳列 「おひなさまと人形」 の御所人形。特別陳列 「博物図譜/桜を中心に」 では阿部櫟斎 編の 『獣譜草藁』 が興味深い。キリンやオランウータンの絵を洋書から切り抜いて貼り、説明文の和訳を添えてある。特別陳列 「黒田清輝/バルビゾン派に寄せる思い 農村 (田園) への まなざし」 のブースでは、平櫛田中 (ひらくし・でんちゅう、1872~1974) の木像 「森の仙人」 と 石川光明 (こうめい、1852~1913) の木像 「野猪 (やちょ) 」 が心を打つ。)

220311  田中美和展 @ Oギャラリー (銀座一丁目)
(森と湿原、人と風を、大らかなタッチでとらえた油絵。作家とお話しできた。ぼくと同年齢。一気呵成に描いたのかと思ったら、一作に3ヶ月くらいかけて形にしてゆくのだと。)

220311  岩澤飛鳥展 @ Oギャラリー (銀座一丁目)
(水滴のあそびのようなリトグラフ。よく見ていると、だんだん人が浮かび上がってくる。28歳の、女学生のような作家とお話しできた。)

220311  fille 角田尚美 × 原田里矢子 二人展 @ Gallery 銀座 フォレスト (銀座一丁目)
(つのだ・なおみ さんは黒ペンの点描で、はらだ・りやこ さんはコケティッシュでニギやかな線描で、ちょっとアブナい作品を。ふたり向かい合わせて会場の小さな机に坐っていた。1枚ずつ絵葉書を買って、サインしてもらった。)

220311  岩井菜津美 展 @ Gallery 銀座 フォレスト・ミニ (銀座一丁目)
(平成元年、倉敷市生まれで、桑沢デザイン研究所に在籍の作家。小さくても個展を21歳で開くとは、積極的。ファイルを見ると、器用さは瞭然。目下、自分のスタイルを模索中のようす。)

220312  没後400年特別展  長谷川等伯 @ 東京国立博物館 平成館
(至福の展覧会。閉館時間に国宝 「楓図壁貼付」 を見ていたら、皇后陛下がいらっしゃった。)

220313 多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報デザインコース卒業制作展  2010 「in +」 @ MODAPOLITICA (南青山六丁目 骨董通り)
(ひとと人との多様な接点のかたちを生み出そうとする若い人たちの心意気を感じた。松澤 洋さんのユーモラスなピクトグラム集 「あるあるピクト50景」 がおもしろい。)

220313  フレッチャー・シブソープ (Fletcher Sibthorp) 展 @ Bunkamura Gallery (道玄坂二丁目)
(昭和42年、英国生まれの画家。フラメンコ・ダンサーの動きの際立つ瞬間を活写する腕はみごと。)

220313  マーク・デンステッダー (Mark Demsteader) 展 @ Bunkamura Gallery+ (道玄坂二丁目)
(昭和38年、英国生まれの画家。女性の複雑な哀感を木炭とガッシュでとらえた。)

220315  藤井美加子 日本画展 @ Gallery Milieu (銀座六丁目)
(八丈島のひそやかな滝を取り巻く木々の千変万化の色を描いた 「山水」。もみじを映す昏い水面 (みなも) の透明感・奥行き感が絶品。3月8日に柴田悦子画廊でお会いした作家と再会。)

220315  青柳明日香 日本画展 -瞬刻華- @ Galerie SOL (銀座六丁目)
(小鳥と樹花を縦長のキャンバスに岩絵具で描く。画名は 「春嘉目白桜」 のように古美術調。「掛け軸感覚で楽しんでもらえたら…」 と、にこやかに話す作家。)

220316  糸井千恵美 銅版画展 -音楽の夕べ- ITOI Chiemi Exhibition: musical evening @ T-BOX (八重洲二丁目)
(味わい深い黒・紺・茶の3色刷り銅版画や、かわいい 「椿姫」 の単色版画に惹かれた。T-BOXのオーナーは、心優しい学校の先生のような方。お茶をごちそうになった。)

220316  佛淵静子 (ほとけぶち・しずこ) 日本画展 @ 柴田悦子画廊 (銀座一丁目)
(「モデルさんのポーズが太極拳の動きだ」と言ったら、作家は 「ダンスの見せどころの2瞬間くらい前の不安定なポーズに興味があって」 と言う。柴田悦子さんに拙著2冊をお渡しした。おいしい緑茶をいただくひととき。)

220317  内木場映子 (うちこば・えいこ) 展 @ Oギャラリー (銀座一丁目)
(多摩美出身の30代の作家。兎の銅版画で、すぐれたデッサン力がうかがえる。案内葉書のアクアチント作品 “Lighthouse” の夜空の複雑な色合いが、わずか3つの版を重ねたものと聞いてびっくり。完成まで試行錯誤を重ねたそうだ。)

220319  吉村はるな展 @ Gallery 銀座 フォレスト・ミニ (銀座一丁目)
(案内葉書は、紫や青、緑の薄氷片の万華鏡の世界。実物はアクリルジェルの光沢を帯びていて、見とれた。作家の はるなさんのスペイン・イタリアの旅日記は、彼女が勉強中のイタリア語で書き、現地で出会った人たちにも書き込んでもらった、すてきな思い出の缶詰。)

220319  外田千賀展2 (Tica Sotoda Exhibition 2) @ Gallery 銀座 フォレスト (銀座一丁目)
(一作一作あらたなことに挑戦する意気込みを、たぐいまれな才能が支えている。心酔してしまった。東京藝術大学の2年生。澄んだ写実力、夢幻力、そして彼女自身が美しい。「黒のためのエチュード」 は、数名が購入を希望し、山本冬彦さんがお買い上げになったという。どうしても外田千賀さんの作品が欲しくなり、新作を特注させていただいた。)

220321 生誕120年  小野竹喬展 @ 東京国立近代美術館
(二十歳前の作品も古典として完成の域にあるが、幾度かの変転を経て、70代、80代の円熟の画業がまた、みごと。茜色の風景画家。「奥入瀬の渓流」 の水流の淡い茜色の支配に驚く。「宿雪」 は、樹木の装飾性に加え、雪そのものの陰影が丹念。「日本の四季」 4連作は、ほのぼのした木版画のよう。「奥の細道句抄絵」 10連作の贅沢よ。)

220321  武田直美展 @ ギャラリー日比谷
(油絵でありながら、まるで銅版画のエッチングのような櫛状のかすれ線が作品に聖家族の静謐を与えている。見飽きない色彩配合。にこやかな作家にお会いした。)

220322  多摩美術大学 美術学部卒業制作展 @ 多摩美術大学八王子キャンパス
(見たのは3時間半ほど。油画、日本画と情報デザイン科の作品は丹念に見た。油画は優秀と駄作の両極端。グラフィックデザインと生産デザインの展示は、粒ぞろい。工藝・彫刻を見る時間がなかったのが残念。)

220323 亀倉雄策賞受賞記念  デザイン維新だ。浅葉克己展。 @ クリエイションギャラリーG8 (銀座八丁目)
(昭和15年生まれの浅葉さんは、お仕事の出発点がレタリング。トンパ文字への興味とバウハウス関連ポスターによる受賞をつなぐものは、構造への関心にちがいない。)

220323 第4回 shiseido art egg  村山悟郎展 「絵画的主体の再魔術化」 @ 資生堂ギャラリー (銀座八丁目)
(麻紐を編み、翼を広げた鳥のように壁面に展開させて、そこに白い下地を塗り固めて、模様を描いた作品がいくつか。迫力があった。村山さんは昭和58年生まれ、東京藝大大学院在学中。)

220323  黒崎彰新作展 @ シロタ画廊 (銀座七丁目)
(木版画の 「禁じられたゾーン」 シリーズは、バルタン星人の変奏曲だろうか。)

220326  A Vision of Philippine Art - Selections from the Purita Kalaw-Ladesma Collection @ Ayala Museum, Makati City, Metro Manila
(マニラ出張の最後の30分、わが勤務先の事務所近辺のアヤラ博物館へ。3階の企画は Purita K.-L.(大正3~平成7)のコレクション展。フィリピンの美術振興に尽くしたひとだ。Fabian dela Rosa が昭和7年に描いた彼女の肖像画の気品に見とれた。
廊下では、Claude Tayag さんの“Stations of the Cross”(イエス・キリストの抽象造形)。Fernando Zobel (大正13~昭和59)の晩年の抽象画の、ボカしとカスれの速度感は若々しい。
2階の個展スペースでは26日夕方オープンの Carlos Filart 展“Faith at the Crossroads”の準備ができていて、いくつかの作品を外から眺めた。)


220327 美大生のアニメーション2 @ アップルストア銀座3階
(16篇の短篇アニメーション作品を2時間にわたり上映。玉石混淆だけど、いちように素ッとぼけた雰囲気が覆っているのは、世代の特徴か、商業ベースでない証なのか。)

220328  加山哲也作陶展 @ 日本橋高島屋6階美術画廊
(鉄赤絵金彩や手杖金銀彩の装飾的大柄。日常づかいの皿もあり、何となく加山又造展で見た陶作を思い出していた。帰宅して案内の刷り物を見ると、なんと哲也氏は加山又造氏のご長男 (昭和29生) であった。それならお皿を買えばよかったかと、ちょっと心残りが尾を引いた。)

220328 国立西洋美術館開館50周年記念事業  フランク・ブラングィン (Frank Brangwyn) 展 @ 国立西洋美術館
(松方幸次郎と紡いだ共楽美術館の夢がせつない。代表作を松形が購入し、日本の輸入関税の高さゆえロンドンの倉庫に保管中、火災焼失した悲劇もあったと。装飾デザインと写実的描線の両方に秀でたひとだ。ポスターにも使われている 「海賊バカニーア」 は英国で発表時は評価されず、フランスで展示したらヴィヴィッドな色彩が賞賛されたと。「りんご搾り」「真鍮雑貨店」 の労働の写実のこころよさ。「白鳥」 は大胆な色使いの木漏れ日が美しい。ロイヤル・ドルトンの陶器デザインもいい。銅版エッチングの 「英国軍艦ブリタニア号の最期」 が気に入った。)

220329  武藤正悟 (しょうご) 展 @ Oギャラリー (銀座一丁目)
(昭和41年、秋田県出身の版画家。木版と銅版のコンビネーション。国外の展覧会への出品にも積極的なひとだ。)

220329  坂井淳二展 Pale Moon @ Oギャラリー (銀座一丁目)
(オイルパステルを塗り重ね、アクリルの薄塗りで陰影の深み。純朴そうな作家にお会いできた。)

220329  清水彩香展 @ Gallery 銀座 フォレスト (銀座一丁目)
(多摩美のグラフィックデザイン科の学生さん。4月から大学3年生の作家と話ができた。端切れ布などでつくった立体イラストが愛くるしい。“Queen”が気にいったけど、販売は考えてなかったそうで、絵葉書写真を買った。)

220329  白昼夢の逸脱 馬場恵以実 Amy Baba 個展第二章 @ Gallery 銀座 フォレスト・ミニ (銀座一丁目)
(多摩美絵画学科油画専攻の学生さん。トレーシングペーパーに鏡文字を書き連ね、幽界絵とともにウラから見せる、おもしろい手法。作家にお会いした。最近、恐山に行ってきたんだって。)

220331 第42回昭和会展受賞記念  山本 誠 展 @ 日動画廊 本店 (銀座五丁目)
(地中海に面したリッチな窓辺の絵。健康的すぎる! この実力派に怖い絵を描いてもらったら、きっとすごいことになるんだけどな。名門の日動画廊は、はじめて来ました。オーナーの長谷川徳七さんが 「山本さんは当画廊が応援している画家で…」 と声をかけてくださいました。)

この続きは 美術館・画廊メモ 2 をご覧ください。メモ 2 からは、記録を日付の新しい順に切り替えました。


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