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5月14日の配信「またまた合意破りの韓国政府」に関連して、読者からメールをいただきました。≪私ごとで恐縮ですが、2年前に95歳で他界した小生の叔父は、戦時中、徴兵を受けるとシナ大陸では徐州作戦、ビルマではインパール作戦に参加しています。そんな叔父の戦友会の会合があったので、その場に加わった小生は、朝鮮人慰安婦について出席者に尋ねました。彼らから返ってきた答えは、1. 下級兵士は朝鮮人慰安婦を「ピーさん」と呼んでいたそうです。2. すると「ピーさん、ピーさんとパカにするな、わたしらも、白い米くって、黄色いウンコし、お前ら兵隊と同じ、陛下の赤子や」と抗議されたそうです。3. シナ大陸では、どういう訳か分かりませんが、日本軍が進出する地域を朝鮮人の女衒(ぜげん)は既に察知していて、日本軍が現れる前に慰安所を設置していたそうです。4. そして、参列者の一人に尋ねました。すなわち「慰安婦におねがいしたことがありましたか」と。すると、出撃する前夜なんかは、まず飲んで、それから慰安所に行って、また飲んで、帰営するのが遅れると「明日出撃でありますが、冥途の思い出として、朝鮮銀行に貯金しました」と言えば上官も理解して、堪忍してもらえたそうです。5. 軍は慰安婦に色々な便宜を図り、結果的に一般兵士よりも生活状態はよかったそうです。という訳で、日本軍が朝鮮人婦女子を拉致し奴隷のごとく扱ったというのは、100%虚構であると信じています。それにしても、条約とか賠償協定において finally and irreversibly といった文言が挿入された場合の意味が韓国人は理解出来ないのでしょうか? もしそうなら、かの国との外交交渉は不可能です。≫【泉ユキヲより】 慰安婦は、その大半は朝鮮人や中国人ではなく日本本土(内地)から来た日本人女性だったので、まずその点は補足しておきたいです。 いただいたメールの「軍は慰安婦に色々な便宜を図り」というくだりだけとらえて「そォら見ろ、慰安婦は軍に属していたのだ!」と嬉々として言いつのる勢力がありますね。 朝日新聞が巻き起こした慰安婦騒動も、軍が慰安所に関与していた! と、さも大発見のように1面トップで大報道したのが、ひとつの出発点でした。 軍が動けば食べ物が必要で、米と缶詰くらいは持って行けても、野菜や肉を日本から運べるわけはなく、当然ながら現地調達です。 どうやって調達したか。その辺の畑や豚小屋から盗んだのか。 嘘八百でおとしめられる日本軍ですが「日本軍は畑や豚小屋から菜っ葉や豚を奪ってばかりいた」と語られることがまずないように、基本は現地の農民にカネを払うか物々交換で菜っ葉や豚を調達したわけですね。(残念な例外も若干はあったでしょうが。) こういう現地調達物資を安定供給してくれる現地の人々には「お出入り業者」として軍が「色々な便宜を図る」わけです。 まさかこういう現地農民までが「日本軍に属した」とは、反日諸氏も言いつのれますまい。 慰安所を経営した朝鮮人の女衒(ぜげん)のことも、軍は「現地業者」扱いして「色々な便宜を図る」。戦地なのだから、慰安所という prostitution の場所に軍の関知があったのは当然です。 軍が関知しない場所に、だいじな兵隊がふらふら行くのを軍が許すはずがありません。 なお「ピーさん」の「ピー」は現代中国語(北京語)で「女性器」を意味する俗語です。漢字では “尸” の下に “穴” の字を書きます。 “尸” の下に “水” を書けば “尿” ですね。会意文字なわけですが、その流儀でできた漢字です。 たしか明(みん)の時代にできた漢字だったかな。孔子・孟子や杜甫・李白の時代には なかった漢字なので、ふつうの漢和辞典には出ていません。 それにしても、朝鮮人の女衒が軍の進軍に先回りして慰安所を設置していたとは。なんという情報力! 現代の北朝鮮の工作員に脈々と受け継がれる、生き残りの知恵でしょうか。 「冥途の思い出として、朝鮮銀行に貯金しました」という兵隊さんのひと言に、慰安婦とのひとときに大枚(たいまい)をはたいていたことが推し量られます。
May 16, 2017
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あの国の人たちのことは、とっくにあきらめているけれど、5月13日土曜日の産経1面の見出しにはクラッときた。≪慰安婦合意 見直し勧告 国連委報告書 日韓両政府に≫ ジュネーブ発の共同通信報道に産経がつけた見出し。脳内は瞬時にふたつの赤ランプだ。「いまごろ築地は祭りだな」「やれやれ。月曜にはまた村田蓮舫議員が口をぐんにゃり歪(ゆが)め近隣国の代理人を務める姿を Facebook で見せられるのかね」 あの国の人たちは、どうでもいい。いちばん不愉快なのは、日本人のフリをする人たちだ。■ サンフランシスコ平和条約も見直しか ■ 共同通信の報道文を読んでみると、そもそもこれは韓国と連合国組織(いわゆる「国連」)専門家グループの間の話であって、日本政府は当事者になっておらず、いわばトバッチリを食っている状態にすぎないことが分った。 以下、共同通信の報道。≪国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会は5月12日、韓国に対する審査報告書を発表し、慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意について「被害者への補償や名誉回復、再発防止策が十分とはいえない」と指摘、両国政府に合意見直しを勧告した。報告書は、両国政府は被害者への補償と名誉回復が行われるようにすべきだと強調した。≫ 「最終的かつ不可逆的に解決され」たはずの日韓合意にもかかわらず、韓国政府は早々に合意を破って連合国組織に審査を申請したわけである。 たとえて言えば、日本政府が「広島・長崎の被爆者への補償と再発防止策が不十分だから」と、サンフランシスコ平和条約の見直しを国連に審査申請し、これをうけて国連が平和条約の見直しを勧告するようなものだ。■ 韓国政府は提出資料全文を開示せよ ■ この「審査報告書」の原文を見たいと思い、いろいろ検索をかけてみたが、わたしの腕前ではムリだった。 いずれにせよ、国連に審査申請したのは韓国政府だから、審査資料は韓国政府の筋書きに沿って編んだものに違いない。 5月15日、月曜朝から日本政府が韓国にすべきことは・ 日韓合意は「最終的かつ不可逆的」ではないのかを問い詰めつづける・ 韓国政府が国連に提出した審査申請の全文の開示要求・ その内容の不備に対する容赦のない不備指摘 状況を整理してみたら、なぁんだ、むしろ日本側の見解を都大路(みやこおおじ)で堂々と主張する好(い)い機会を韓国からもらったようなものだ。韓国はまたまた墓穴を掘ったな。 すやすや眠って翌朝の日曜、5月14日の産経を見たら、案の定(じょう)である。■ 韓国の筋書に沿って国連の一グループが審査した ■ 5月14日の産経の1面トップの見出しは≪韓国 10億円拠出触れず≫ やっぱりね。≪韓国が国連拷問禁止委員会に提出した文書で日本政府の10億円拠出に触れず、日本側の履行が十分でないため慰安婦問題が解決されていないとの見解を示していたことが、5月13日に分かった。≫≪誤った情報に基づく勧告に日本政府は強い不快感を示している。≫ 予想どおりだが、あらためて、あの国の政府には あきれるね。 国連の Committee against Torture が出した審査報告書のさわりの箇所が、5月13日の共同通信英文報道に引用されている。U.N. panel calls for revising ‘comfort women’ accord to add compensation, reassurances for Koreans≪The agreement should be modified to“ensure that the surviving victims of sexual slavery during World War II are provided with redress, including the right to compensation and rehabilitation and the right to truth, reparation and assurances of non-repetitions,” the committee said in a report.≫ ■性奴隷か売春かハッキリせよ■ あいかわらず sexual slavery である。 日本政府は、「性奴隷」ではなく「売春 prostitution」であると、はっきりさせるべきだ。sexual slavery なり sex slave というキーワードが独り歩きするうちは、堂々巡りが続く。この議論から、日本政府は逃げてきた。もう逃げないでほしい。 sexual slavery と prostitution の違いは、何か。・拉致されたのか・本人(ないし家族)への対価を伴ったか この2点である。 慰安婦は、拉致されたものではなく(じつは拉致した朝鮮人業者もいて、それは総督府が取り締りの対象にしていた!)、本人への対価を伴っていたから、明確に prostitution なのである。この辺の議論をこれまで日本政府は対外的に ちゃんとしてきたのだろうか。 さて、共同通信報道の上掲箇所を和訳すると≪委員会は報告書のなかで、日韓合意は修正されるべきであり、それにより「第二次世界大戦中の性奴隷制の被害を被った生存者らに対する補償を確保せねばならない。確保されるべき補償には、賠償金および名誉回復への権利、真実が明らかにされる権利、償い、そして再び繰り返されないことの保証が含まれる」。≫ 上掲の 「 」 内の部分が原文である。 共同通信報道の和文にある「再発防止策」は、この英文を読む限り、第二次世界大戦中に慰安婦だった女性たちが再び慰安婦として動員されることがないようにする、ということだ。 世の中にいろいろな嗜好があるのは確かだが、さすがに老齢の彼女たちが性産業に再び動員されることはないと、これはもう100%保証できるのではなかろうか。 国連に言うとすれば、まずは日本国民に the right to truth を保証してほしい。真実が明らかにされる権利を日本国民こそ望んでいる。真実から逃げ回っているのは韓国であり、踊る国連のほうだ。
May 15, 2017
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北方領土は、白か黒かの議論でまとめようとすると、妥結は不可能だろう。ロシアが択捉(えとろふ)島までまるごと日本へ引き渡す気配は まったくないし、日本が これを軍事力で強要するという選択肢もありえない。 わたしの長年の主張を、具体的に書いてみた。(1) 歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島に対する日本の主権は譲らない。(2) これらの地域は、旧地権者に対して日本政府が最低限の補償金(昭和22~25年の「農地改革」時の低額の補償金に物価変動率を掛けたもの)を支払い、すべてを日本国の国有地・政府直轄地とする。(3) これらの地域を ロシアの租借地とすることを 1945年に遡って認める。(これによってロシアによる不法占拠は遡って合法と位置付けられ、日本に対する侵略国家は竹島を不法占拠する韓国のみとなる。)(4) 租借地とする期間は 歯舞群島・色丹島は 2018年まで、国後島は 2020年まで、択捉島は 暫定的に2045年まで(昭和20年から数えて100年目)とする。(5) 択捉島の租借期間に関する最終交渉は2043年までは行わず、2044年から開始することとする。 ロシアとの交渉対象を「租借期間」という延長伸縮自在のモノサシにすれば、「白か黒か」とは別のいろいろな選択肢が出てくる。 ロシアが択捉島を引き渡す気がまったく無いとすれば、租借期間をたとえば西暦2100年までとする手もある。 それでもダメなら「西暦2200年までロシアが租借」とすれば、ロシア人はゲラゲラ笑いながら署名するだろう。■ なぜ霞が関官僚らはホンキでないのか ■ 日本政府もロシア政府も、千島列島に地下資源がありそうか、さんざん調査はしたはずだが、今日に至るまで何も出てこない。石炭もガスも石油もその他の鉱物資源も無いようだ。 北方領土問題をわざと日露間に残したのは、当然ながら米国の巧妙な策略だ。ロシアが冷戦に敗れたあとも、米国は北方領土問題に手をつけさせなかった。 米国を刺激しすぎると、北方領土問題で米国が日本側についてしまう。そうなると不利だから、ロシアもこれまで慎重で、国後島にミサイル基地を作ったりはしなかった。 米国という重しがあったがゆえに、北方領土返還交渉は今日に至るまで防衛上の課題とはされてこなかった。 漁業権は、領土問題と切り離して日露間で交渉を行うことも可能だから、これまでそうやって乗り切ってきた。 領土交渉が、産業上も防衛上も直接には大きな意味を持たないとすると、残るは「国家としてのメンツ」と「かつての島民の望郷の念」という情緒的なところに収斂してしまう。 これでは霞が関の官僚たちがホンキで取り組まないわけである。■ 色丹島はデカい ■ 北方領土返還運動の原動力が「かつての島民の望郷の念」にありとすれば、旧島民らから土地を買い上げるなど論外、ということになる。 しかし、それでよいのか。 色丹島はひょっとしたら安倍政権のうちに戻ってくるかもしれない。 「色丹島が戻ってきたぞ、バンザーイ」と叫んだ翌日から、旧島民を地上げ屋が訪れて土地を買い占め、産業ゴミを野積みで廃棄する場所として利用する、なんてことにならないか。 色丹島は納沙布(のさっぷ)岬から70キロ以上も離れている。面積は225平方キロ。東京の山手線の内側の総面積の約3.6倍である。 国後島・択捉島に比べると小さいから、どうでもいい島のように考えている向きもあるかもしれないが、それなりにデカい島なのである。色丹島と国後島 (NASAによる衛星写真) 意外にデカいこの島の人口は? Wikipedia ロシア語版によれば、2010年に わずか2,820人である。(ほかの言語版には、もっと少ない人口が記載されている。) こんな好条件の場所がまるごと日本の国有地だったとしたら、まさか「観光地として整備しましょう」みたいなことは言わないよね。 砂漠もなく、シベリアのように広大な未開の地もない日本に、色丹島のような場所が国有地・政府直轄地としてあったなら、用途は一点だ。 原発が生み出す高レベル廃棄物の地層処分の場所として使いたい。■ あらゆる問題が回避できる ■ 高レベル放射性廃棄物は、どのように保管するのか。水に溶け出てはいけないし、空中に飛散してもいけないから、ガラスと混ぜて固める。このガラス固化体を金属容器に入れ、粘土で覆って、地下300メートルよりさらに深い安定した地層に保管する。 保管期間は10万年だ。SF小説じみるが、要すれば「人類文明が続く限り」である。 人類が滅んだら、バルタン星人かメフィラス星人にでも面倒をみてもらうということだ。 こんな場所を、北海道から沖縄まで、既存の地方自治体で探すのは至難の業である。 住民への補償金だけで兆円単位になるだろう。あらゆる反日団体が全国の痴呆老人を総動員してウンコにたかる蠅のように集結し、トンデモない知事や市長・町長が登場して延々と裁判沙汰が続く。 疲れるね。 色丹島を国有地とし、根室市にも北海道にも属さない政府直轄地にして入島をきびしく制限すれば、あらゆる問題が回避できる。■ もはや他人事と言えない経産省 ■ 色丹島の地質調査を行って、適地が見つからなければ、残る候補地は国後島である。 国後島の面積は1,490平方キロ。東京都の面積の0.68倍である。沖縄本島の1.24倍の面積だ。 ここに適地がなければ、次は米国にウン兆円払ってネヴァダ州にでも適地を求めるほかあるまい。 北方領土返還交渉に、高レベル廃棄物の地層処分がからむと何がいいか。 これまで他人事(ひとごと)と考えていた経産省をはじめ国土交通省や総務省など、あらゆる中央官庁が俄然、交渉推進役に回るだろう。 逆に最悪のシナリオは、巨額の経済支援と見返りに色丹島(や国後島)を取り戻したあと、旧地権者らが のさばりはじめて、国策による土地利用に対して巨額の賠償金を要求するというケースだ。 そういうとんでもない状況を回避するためにも、歯舞群島・色丹島はさっそくにも国有化・政府直轄地化が望ましい。 中国がモンスターとなったいま、外交戦略としてロシアを日米側につけることは当然必要だ。傲慢中国のおかげで、日露間の領土交渉を急進展させるべき状況は十分に整った。
Sep 26, 2016
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新内閣の布陣を見ると、閣僚に“民主党議員”が紛れ込んでますね。 河野太郎さん、初入閣。 「心は社民党」の自民党議員です。さすがに、不出来な父親よりは賢いように思えますが。 わたしがマスゴミ人なら、首相見解と異なる内容を河野太郎氏からなんとか引き出し、これを取り上げては「閣内不一致だ」とあおりたてようと、手ぐすねを引くところです。 安保法案審議で中国の代辯(だいべん)をしそうな人なのに今年の河野太郎氏は静かでしたね。 さすがに周囲から「あんたも52歳、当選7回。隠忍自重すれば閣僚も夢ではない」くらいのことは言われていたのでしょう。 河野太郎大臣におかれては、マスゴミに翻弄されることなく、ひきつづき本務を全うしていただきたいものです。 とにかく、安倍首相のさらなる活躍に大いに期待しています。
Oct 9, 2015
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終戦70年を迎えるにあたっての「内閣総理大臣談話」は、注目すべき新たな視点が盛り込まれている。 第1は、現在の中国をいさめていること。いままさに「国際秩序への挑戦者」として領土・領海の拡張(=侵略)をはかり、株式市場にまで露骨に国家介入する中国をいさめていることだ。≪私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて……≫ 「自由」「民主主義」「人権」は、いずれも中国共産党政権が正面切って否定する価値観である。その価値を共有しない中国とは手を携えることができないと、終戦70年のいま改めて宣言したものだ。 第2に、「深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たち」を広い概念でとらえなおす契機となるであろうこと。 日本人が多数を占めた戦時娼婦(=婉曲語法でいう「慰安婦」)もさることながら、談話中の2ヶ所に言及された「女性たち」には、停戦・敗戦後に豹変した旧日本人やロシア兵や占領軍兵らの欲望の犠牲になった女性たちのことをも読み込むべきである。 第3に、中華人民共和国が1秒も支配したことのない台湾を、はっきりと中国とは区別して別出ししたこと。≪インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など隣人であるアジアの人々……≫ 北朝鮮は、「……など」に一括されてしまった。 英訳では、those in Southeast Asian countries such as Indonesia and the Philippines, and Taiwan, the Republic of Korea and China, among others となっている。 これには驚いた。安倍総理と事務方諸氏に御礼申し上げたい。
Aug 15, 2015
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日本国憲法の誤った解釈を正すための安保法案が、ようやく今の国会で成立する見通しが立ち、まことに慶(よろこ)ばしい。 日本国憲法の前文とは、憲法解釈の最も大切なよりどころであるが、そこにはこう記されている:≪われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。≫■ 普遍的な政治道徳の法則 ■ 「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」とハッキリ書いてある。 同盟国が日本にも関わり得る紛争で攻撃されるとき、それを「無視してはならない」というのが日本国憲法の精神だ。 「政治道徳の法則は、普遍的なものであり」ともハッキリ書いてある。 連合国組織(いわゆる国連)も、ヨーロッパ共同体(EU)も、集団的自衛権を認めている。EU加盟国は皆、集団的自衛権を持つことにより互いにつながっている。 集団的自衛権こそは、日本国憲法にいう「普遍的な」「政治道徳の法則」のひとつなのである。 そして「この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務である」。 こんなにスッキリと日本国憲法に書いてある。■ 中国をひるませる ■ 集団的自衛権の議論が分りにくい理由は、簡単だ。極めて日本的な「オトナの配慮」から、国会の議論で「中国」という仮想敵国名を名指しできないからだ。 中国が自国の軍事力を過信して、無謀な武力行使をしたらタイヘンだ。できるだけそれを先延ばしするにはどうすればよいか。 中国を「ひるませる」には、どうすればよいか。 日本が集団的自衛権を行使できることを明確化して、日米の軍事同盟を強めるしかない。さらには、オーストラリアやインドとの連携を強めるしかない。 だから、安保法案はまぎれもなく、中国の軍事的な冒険を先送りさせるための平和法案なのである。その成立の見通しが立ったことを慶ぶ。 安保法案は平和のためにある。
Jul 16, 2015
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トマ・ピケティ教授よりも以前から経済格差問題を論じてきた橘木俊詔(たちばなき・としあき)京大名誉教授に、日経の広野彩子記者がインタビューした記事がある。「日本の経済はもう成長しない。唯一、成長率を上げる方策があるとすれば、それは教育に投資をして勤労者の能力を上げること。日本の成長戦略は、それしかない」というのが、橘木さんの結論だ。日本社会が、高等教育をホンキで改革し、実業に直結した大学に変えていこうと志向するなら、外国語+ビジネス経験+アルファで学生たちをリードできるぼくなど、引っ張りだこのはずなのだが……。いちおう、そういう自負があるので、このインタビューにはビビッとくるものがあった。言っては何だが、いまの大学の先生たちのかなりの人々、そしていまの大学のカリキュラムのかなりの部分は、日本社会のニーズからも国際水準からもズレまくっているのではないか。わたしは勤務先でも業務研修の講師をいろいろ務めてきたので、「自分なら!」という思いはある。“日本のピケティ”が見た日本の格差拡大(日経ビジネスオンライン 平270302)≪……前略……広野: 格差を解消するためには、やはり経済成長が必要ということで、ピケティ教授は「人口を増やす政策が最優先だ」と指摘していました。橘木: そこはね、私はまるで意見が違います。超少数意見かと思います。日本はもう、成長しませんよ。 g (経済成長率)を日本で高めるのは無理です。広野: しませんか?橘木: しません。だって、労働力が減少するところで成長は無理です。何年も前から、少子化になるよという指摘を、数多くの専門家がしてきたのに政府はそのままにしてきた。つまりは少子化、負の成長率を選択した、と世界に宣言したわけでしょう。人口ガタ減りのところで成長率が落ちる、家計需要も減る。それなら成長しないのは当たり前です。そこに成長率2%なんて無理だと言うのです。すると g (経済成長率)を上げるのは無理だから、r (資本成長率)を下げるしかない。もし成長を望むのなら、将来のために子供をどんどん増やすしかありませんが、影響が見えてくるのは今から20年後以降です。移民について楽観的に言う人もいますが、欧州をはじめどこでも移民問題で悩んでいます。日本政府と日本人が、それを克服できる自信と覚悟があるなら移民を入れてもいいでしょう。覚悟がなければ、難しいです。あえて成長論の側に立つと、最後の望みを託すとすれば、教育です。1人当たりの教育をしっかりやって、有能な労働者をたくさん生み出して1人当たりの生産性を高めて成長率を高めるのです。日本にも、生産性の高い労働者をたくさん育成して成長率を高くする施策は残されています。広野: 教育問題は、常に重要ですね。橘木: 日本の成長戦略はもうそれしかないでしょう。子供もできればたくさん産んでほしいですけれどもね。とにかく公教育支出のGDP(国内総生産)比が、日本は最低レベルです。お金を出していない。親の所得で子供の教育水準や将来の職業などが決まってしまうのが、不幸にして今の日本です。ここを何とかするのが、格差解消に向けた課題でしょうね。≫なお、文中の「1人当たりの教育をしっかりやって」というのが意味不明。「1人当たりの教育投資額をしっかり増やして」という意味かな。
Mar 3, 2015
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安倍晋三長期政権が確定して、まずはひと安心だ。これからの4年間、中国も韓国も経済破綻でますますネチッこくカネをせびりに来る時期だ。日本史的に見ても、勝負どころの4年間。日本に対する中国政権のあざけりもますます高まる。人間の性(さが)の悲しさ、ウケをねらう軍の末端が沖縄の海で暴走するとき、日・米が弱体と見れば北京は軍の暴走を本気では止めないだろう。中国政権がそういう誤った判断をしないようにするには、どうすればいいだろう。北京にへつらうことではない。それだけは確かだ。■ 次世代の党の議席減が残念だが ■民主党が62→73と票を伸ばし、共産党が8→21と大きく票を伸ばした。この辺が、前回の衆院選からの揺り戻し。喰われたのが次世代の党で19→2と激減してしまった。残念だ。(次世代の党の選挙前議席数は、産経は19、日経は20と書いている。)今回の衆院選で起きた変化は、つまるところこれだけ。中国語でいうなら、これがたぶん日本の“新常態”なのかもしれない。ぼくが票を入れた次世代の党は、中山成彬さん、西村眞悟さんらまっとうな戦士が落選してしまった。このひとたちに本当は自民党の中核を担ってもらいたいというのがぼくの思いなのだけど。自民党の別働隊として保守議席の積み増しに貢献してもらえればよろしいが、今回はそうならなかった。各党の主張を比べれば、次世代の党が正論ど真ん中。しかし、まっとうな安倍政権の下でなら自民党と別の党派を形成する必然性はない。安倍晋三首相の志は、次世代の党とまったく重なるはずだ。「次世代の党」はとてもいいネーミングだが、その「次世代」を象徴する次世代スターがいなかったから、支持者のわたしでさえ違和感を感じた。ごめんなさい。小泉進次郎さん級はムリとしても、30代~40代のスターがいたらメディアの扱いはまったく違ったはずだ。もともとメディアは次世代の党のような正論が大嫌いだから、選挙前19議席の政治集団だというのに、扱いは選挙前2議席の社民党並みだった。■ 日本企業の収益増を社会にどう還元させるか ■1ドル120円の円安はいつまで続くだろうか。マクロで見れば、1円の価値を下げることにより、日本政府が営々と積み上げた巨額の債務を目減りさせていく必要がある。一気にやると死人が出るから、10年、20年単位で取り組まなければならない。そういうメッセージを日本の政治はきちんと発信しているか。していない。為替が円高に揺り戻しそうになったら、そういうメッセージを発信して円安基調を維持しなければならない。当然、輸入品は値上がりし、給料の伸びはすぐには追いつかないから、メディアが政権批判をするネタにはなるけれど。いまの円安が来年3月末まで続けば、輸出や海外投資を収益源にしている日本企業の当期純利益は大きく上ブレる。これを下請企業への発注価格アップや設備投資増、さらに従業員給与のベースアップないし一時金の形で給与所得増に反映させるよう強いメッセージを発信する。さっそく始まっているが、これがアベノミクス第2幕の基本路線だ。日本は社会主義国ではないのだから、政府が企業活動をしているわけではない。第3の矢「富国政策」は、農業や医療をテーマの中心に据えてはいけない。衆院選の結果によって得た政治エネルギーを最大限につかって、日本経済を牽引する日本企業に対する強いメッセージを発し続けるのが基本である。
Dec 16, 2014
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安倍晋三長期政権が確定して、まずはひと安心だ。これからの4年間、中国も韓国も経済破綻でますますネチッこくカネをせびりに来る時期だ。日本史的に見ても、勝負どころの4年間。民主党が62→73と票を伸ばし、共産党が8→21と大きく票を伸ばした。この辺が、前回の衆院選からの揺り戻し。喰われたのが次世代の党で20→2と激減してしまった。残念だ。今回の衆院選で起きた変化は、つまるところこれだけ。これがいまの日本の、中国語でいう“新常態”なのかもしれない。ぼくが票を入れた次世代の党は、中山成彬さん、西村眞悟さんらまっとうな戦士が落選してしまった。このひとたちに本当は自民党の中核を担ってもらいたいというのがぼくの思いなのだけど。自民党の別働隊として議席増に貢献してもらえればとは思うが実は、まっとうな安倍政権の下でなら自民党とは別の党派を形成する必然性がない。「次世代の党」はとてもいいネーミングだが、その「次世代」を象徴するスターがいなかったなぁ。ありえないけど、小泉進次郎さんのようなスターがいたらメディアの扱いはまったく違った。
Dec 15, 2014
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ケネディ駐日アメリカ大使が12月10日に長崎を訪問し、原爆資料館を見学し、浦上天主堂や平和公園も訪れた。平和公園で平和祈念像前で献花するときは、長崎市長の田上富久さんがにこやかにエスコートしていた。これが貧すれば鈍する韓国だったら、そもそも米大使が広島や長崎にあたる町を訪問すること自体、大きなリスクを伴い、行く先々が喧噪に満ちていることだろう。慰安婦拉致の作り話に、あれだけ興奮してやまない韓国人だったらと思うとね。米大使の長崎訪問は5人目だそうで、いつの日か米大統領にも訪問してもらいたい。日本人の感情としては、いまさら謝罪めいた演出をしてもらう必要もなく、訪問すること自体が広島・長崎への関心を示すものであって、それで十分である。韓国や朝鮮の在日運動家やスパイ連中と、それに連なるメディアが、韓国流の騒ぎ立てをいたしましょうと世間をあおることだけが心配だ。
Dec 26, 2013
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今後あくまで日本語では、東支那海のことを 「西沖縄海 (にしおきなわかい) 」 と呼ぶことにしてはどうか。百歩譲っても、せめて日本の領海は。韓国みたいに見苦しく他国言語も the East Sea ふうに言えと暴れることはしない。他国言語で 「東中国海」 と言う分には、ご自由に。他国言語にまで干渉するのはバカである。台風の名称だって、他国言語で Typhoon Haiyan と呼ばれているものを日本語でだけ「台風30号」と呼んでいる。もし 「西沖縄海」 がダメなのなら、同じ流儀で 「台風30号」 も止めて、「海燕 (ハイイェン) 台風」 と呼ぶべし。*尖閣諸島にまで中国が防空識別圏を設定したのは、宣戦布告と同じだ。日本の行政権が及んでいる日本の領空で日本の航空機に中国機が戦闘機の緊急出動 (スクランブル) をかけるぞと言っている。「日本の航空機が日本の領空にいるものとして振る舞ったら、中国機はこれを撃ち落すことがあります」 という、じつに危険な宣言だ。こういうとき日本の政治はガガァーンと怒ってみせなければいけない。京劇を演じる気分で日々を演じる中国の政治に対しては 「オレは怒ってるんだぞ」 ということを即、示さないといけない。中国の外交省のあの毎度ふてぶてしい報道官の流儀で言い返さないと、中国には伝わらないし、国際的にもインパクトで負ける。日本も紳士よろしき官房長官コメントではなく、演劇訓練を積んだ報道官にメッセージを劇的に演じさせることが必要だ。怒っていることをちゃんと示しておくこと。そうしないと、中国人の感覚では「そんなに怒っているなら怒ってくれればいいのに。あきらめてくれたのかと思ってたよ」ということになる。
Nov 26, 2013
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メールマガジンで8月19日に配信したコラムです。無料メールマガジンの登録は http://archive.mag2.com/0000063858/index.html でどうぞ! 人間だれしもラクをしたい。 きのう8月18日の産経1面に、新日鉄住金が 3,500万円のみかじめ料を払うつもりらしいとの記事が載った。「みかじめ料」 とは、わたしが端的に表現した用語だが。 戦時徴用された朝鮮人 (=当時は日本人) 4名が、韓国人として旧日本製鉄 (=いまの新日鉄住金) を相手取り、個人補償を求めて韓国の裁判所に訴えた。ソウル高裁の判決では新日鉄住金が負けた。 いま最高裁で争っているわけだが、最高裁でも負けたら新日鉄住金は賠償に応じる意向であることが分かったと、産経は書いている。 新日鉄住金なりの観測気球だろうか。 ■ 請求権は相互に放棄したのだが ■ 日米戦争の敗戦で領土としての朝鮮を放棄させられた日本だが、日本国民が朝鮮に有した膨大な私有財産を即座に放棄する必要はなかった。 略奪や 強 姦 (=ほんらい明確に賠償請求権あり!) に遭いながらも、いさぎよく半島を一斉に後にした日本人だが、法的には韓国に対して巨額の請求権が残っていた。 この巨額の請求権を、日本国民を代表して日本政府が放棄したのが、昭和40年の日韓請求権協定である。 請求権の放棄は、相互の取り決めだ。 日本統治下で戦時徴用を受けた韓国国民も同様に日本国と日本国民への請求権を放棄したわけで、個人補償を求めることはできない。 それを条件に日本は、昭和40年のおカネで無償3億ドル (=1,080億円) 、有償2億ドル (=720億円の低利借款) を供与し、日韓国交正常化が成った。 韓国の行政府は、さすがに今でもこの立場である。 ところが韓国の最高裁判所が平成24年5月に 「韓国人は依然として日本に対して個人請求権を有する」 という卓袱台(ちゃぶだい)返しをやってしまった。 司法の暴走である。■ 出張者の身柄拘束? ■ 三権分立とはいえ、大統領府が調整して正道に戻すべきところだ。ところが大統領府は傍観を決め込んでしまった。 ラクをしたいわけだ。 新日鉄住金が今後、韓国の最高裁で敗訴したとしても、韓国の裁判所が日本に来て新日鉄住金の財産を没収することはできない。 韓国の裁判所が手を出せるのは、新日鉄住金が韓国内にもっている資産だ。 新日鉄住金は韓国には駐在事務所を持っていないから、事務所の財産が差し押さえられることはない。 社員が韓国に出張したら身柄拘束になるのだろうか。身代金は約3,500万円という寸法か。 あるいは新日鉄住金が韓国の取引先に対して持っている売掛債権が狙われる。 韓国の会社に突然、韓国の司法当局が来て、「新日鉄住金に払う予定のカネは、我々に払え。韓国人4人への賠償金に充てるから」と宣告するわけである。 ■ ラクになりたくて出した 「河野談話」 だが ■ そういう混乱が起きたら面倒だから、3,500万円くらいのハシタ金なら払ってしまおうという、至極合理的な思考が、冒頭の新日鉄住金のコメントだろう。 まさに、韓国司法部という組織暴力団を黙らせるためのみかじめ料ではないか。 これを支払うのは、重大なコンプライアンス違反だと思うが。 はっきり言って一部上場企業にとって、3,500万円などゴミみたいな小額である。 従業員ひとりを雇用するのにかかるコスト (給与+福利厚生+オフィス費用等々) に等しい。 おそらく新日鉄住金はこの訴訟対応だけで年にウン億円のコストがかかっているはずだ (弁護士費用や法務部社員のコストをはじめ、社内の数多くの部署の社員のコストを合算するとそうなる)。 3,500万円払って、ラクになれるものならラクになりたい! いまや悪名高い、平成5年の 「河野談話」 だって、そのときの官僚たちが「この談話ひとつでラクになれるものなら、ラクになりたい!」と思って準備したのだ。 ところが、ラクになれると思ったら後々とんでもないことになったのが河野談話だ。 新日鉄住金の3,500万円だってそうだ。韓国や中国で怒濤のような理不尽訴訟のラッシュとなるだろう。いまや、だれでも想像がつく話だ。■ 個人請求権を解禁するとどうなるか ■ 新日鉄住金や三菱重工などが孤軍奮闘するのに任せるのではなく、業界団体の経団連が正道をつらぬく大方針を打ち出すべきだ。 訴訟のための外部費用 (外部弁護士起用の費用など) は、日本政府が経団連を通じて企業に対して補助してもよいのではないか。 日本政府も、韓国人と日本の私企業の争いという整理で傍観者を決め込んでラクをしているところがないだろうか。 新日鉄住金も、かつて日本製鉄や八幡製鉄などの社員が朝鮮にもっていた私有財産をリストアップしてみてはどうか。昭和20年の帰国時に理不尽な仕打ちをうけた社員やその家族がいなかったかどうか。 韓国の最高裁が新日鉄住金に対する韓国人4人の個人請求権を認めるとすれば、理屈の上では新日鉄住金も自社の昔の社員らの個人請求権を盾にとって韓国側と争える道理だ。 そういう泥沼の闘いになりますよと、非常識な韓国人裁判官らを教育することも必要だ。
Aug 19, 2013
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参院選の開票結果は番狂わせもなく、事前予測のデータ処理技術の進歩をうかがわせました。本当は、自民党70議席、民主党12議席あたりで着地してほしかったですが。日本の国力をそぐために長年暗躍してきたスパイが、民主党にかわって今度は誰に照準をあわせるかというと、見渡したところ山本太郎議員 (東京地方区、無所属) でしょうねぇ。これから思いがけない珍発言がメディアをますます “にぎわわせる” 存在。もちろん、わたしにとっては不快な存在です。誰かが吹き込んだわけですが、福島県の一部の農産物に対して疑義を呈しているのがこのひとですね。とにかく原子力のイメージダウンを図り、東電と国庫から補償金を出させようという勢力にうまく食いつかれてしまったわけですね、このひとは。これからも、朝日新聞をはじめ日本の主流 (=三流) メディアで、しばらくは ひっぱりだこでしょう。自民圧勝後、与党の外にいる数少ない “元気な” ひと。いろんなひとが暗躍して山本太郎議員に群がり、こんな発言、あんな発言をさせようとするでしょうね。政党組織のチェックが入らず、しかももともと知名度が高いという、反日スパイにとってこんなにおいしい標的は他にありません。おそらく近日中に軽率発言で福島県の農民から風評被害を理由に訴訟を起こされ、しぼむと思いますが、さて何ヶ月もつでしょう。*きのう遅ればせながら、この映像をみて元気が出ました。http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2013/0619speech.html平成25年6月19日に安倍首相がロンドンでおこなった演説のようすです。演説内容もすばらしく、といってもこれは側近たちとの共同制作ですが、さらにみごとだと思ったのは質疑応答で5つの質問にさわやかな辯舌でこたえていたことです。ぜひご覧ください。
Jul 22, 2013
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メールマガジンで配信したコラムです。無料メールマガジンの登録は http://archive.mag2.com/0000063858/index.html でどうぞ! 近ごろの環境省は妙に調子に乗って、ほんらいの領分外のところまで縄張りを拡げすぎている。石炭火力発電所の建設や原子力再稼働の問題で、つくづく感じる。 それを言うとしっぺ返しが恐ろしいから、実業界の面々は口をつぐんでいる。 3・11の後遺症で経産省も文科省も下を向いている。 統治機構のバランスがおかしい。■ 環境省が反対すると石炭が燃やせない ■ 東京電力が予定している、新しい火力発電所の入札がある。 燃料コストを考えれば石炭火力にしたいところだが、環境省はそもそも 「石炭を燃やす」 ことに頑固なまでに反対した。石炭は天然ガスなどに比べて、単位あたりのCO2排出量が多いからという理由で。 煤塵や窒素酸化物の規制をいくらクリアしても、とにかく石炭を燃やすというだけでバツ。世界最高の技術を結集した石炭火力発電プラントも、日本での新設はまかりならんと環境省はゴネる。 「本件の癌は、環境省のナントカさんとカントカさんだ」 と、関係者には名前まで知れているに違いない。本人たちは奥の院に引っ込んでオモテに出てこない。 オモテに出てこない人たちが執念をかけてゴネただけで、成文化された環境規制にすべて合格の石炭火力発電所も建設できない。 日本で石炭火力が建設できないと、それだけ電気代が高くなる。国民経済にとってはマイナスだ。 ここまで大きな権限を、我々国民はいつ環境省の官僚に与えたのだろうか。■ 環境省と経産省の確執 ■ 環境省の縄張りはほんらい、発電所や工場の敷地の外だろう。敷地の外に出てくる排気・排水・廃棄物が基準内に収まっていれば良しとするのが環境省の領分だ。 敷地のなかで、合理的な範囲で最高技術を使うよう指導するのが経産省。国民経済全体を考えてエネルギー政策を策定するのも、経産省のはずだ。 この経産省の領分に、環境省が上がり込んで確執を深めるものだから、まことに迷惑なのである。 3月17日の日本経済新聞が1面トップで報じたところでは、ようやく環境省も振り上げたこぶしの下ろしどころを探そうとしているらしい。 見出しにいわく≪発電、石炭火力を推進燃料費抑制 環境相も合意へ新増設へCO2新基準≫とある。 なにせ、環境省さまがお決めになるわけだ。行政の範疇なので、各政党も動かない。 今や環境省は経産省よりも怖い役所に成り上がっている。■ 専門知見に乏しい環境省が原子力規制委員会を所轄 ■ 「怖い」 の極め付けが原子力規制委員会。原子力発電所の再稼働も廃炉も、この委員会の 「サジ加減ひとつ」 というのが平成25年の風である。 今や国民経済へのインパクトは兆円レベルだ。 てっきり内閣府か総務省 (消防防災の所轄官庁) に属しているのだと思っていたら、さにあらず。 原子力規制委員会は、環境省に属している。 原子力設備の専門的知見は経産省の領分だし、科学技術全般は文科省の領分だ。 しかし今や、それらの官庁を差し置いて、やおら環境省が、原子力プラントの技術仕様や活断層について語るわけである。 統治機構のあり方として、ムリがある。 ムリがあるから、のろい。原発の新たな安全基準の策定も遅々としたものだ。■ 津波と活断層、どちらが深刻で緊急か ■ 南海トラフの巨大地震は頻度が 「百年」 単位である。おもに津波の被害によって避難者は950万人に達し、死者は最悪で30万人以上と推定されている。 想定される津波が高すぎて、とても堤防では防ぎきれないし、都市の高台移転も不可能だ。だから、本来なら血相変えて小型の避難艇 (箱舟) を大量生産し、街の駐車場ごとに1隻ずつ常備すべきところである。 カネがいくらあっても足りない。 その一方で、原発用地の下を通る活断層が再び大きくズレる頻度は 「1万年」 単位である。 そして、福島原発や女川(おながわ)原発も、大地震の揺れそのものには強靭(きょうじん)であった。 活断層という “前科者” が再びズレを起こす確率は、万年単位で考えて相対的には高いと推定されている。 しかし、かりに断層の “前科” がない場所で同様のズレが起きても対処できるように対策を立てるのが、これからの原子力プラントの基本でなければならない。 原子炉直下の活断層認定でシロとクロの議論をするのは、じつは事の本質から外れている。事の本質から外れた議論をした挙句に、まだ運転できる原発を廃炉にするのは、じつは本末顛倒なのである。■ 原子力規制委は内閣府か総務省の管轄下に移せ ■ 環境省は今や絶大なサジ加減の権限を有するに至った。 今年7月に導入される新たな安全基準を、現在運転中の大飯(おおい)原発3・4号機には今年9月まで適用しないことを決めた。 この決定じたいは妥当なものだ。感謝に値する。 恐ろしいのは、そういう極めて政策的、政治的、恣意的、経済的、総合的観点の決定プロセスに国会も総理大臣も経産省も文科省も関わることができず、環境省の専権事項になっているということだ。 死者が出る規模と確率を右目で見、経済効果や経済的得失を左目で見ながら、総合的な判断を下すべき問題なのに、今や全てが環境省の手のひらの上。 国家統治のありかたとして、異常だ。 民主党が残したこの異常が正され、エネルギー政策や機器設備の技術問題を再び経産省が所轄し、科学技術全般を再び文科省が所轄するとき、はじめて3・11は収束に近づいたと言えるのである。 緊急避難的には、原子力規制委員会は内閣府か総務省 (消防防災を所轄) の傘の下に移すべきではないか。 いまの環境省の姿勢には、なにかと経産省へのツラ当てのような確執が感じられる。 ほとんどサボタージュと言ってもよいほどに。
Mar 21, 2013
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環境省原子力規制委員会の委員長である田中俊一氏は、今から35年前、33歳のときに共産党系の労働組合の中央執行委員をつとめている。こちらのサイトで確かめることができた:原研労組 (日本原子力研究開発機構労働組合) のホームページ 「あなたの疑問に答える Q & A 」関係箇所を抜粋すると ――≪Q8: 原研の組合は共産党系だと聞きました。私は共産党が嫌いです。A8: 原研労組は、組合員の思想信条の自由、政党支持の自由を厳格に守っている組合です。あなたの思想や考え方は、組合に加入してもなんら束縛されることはありません。≫A8が 「原研労組は共産党系ではありません」 という回答になっていないことに注目だ。共産党系でないなら、端的に 「共産党系ではありません」 と否定するはずなのに、そういう表現になっていない。原研労組は、かりに組合員の個人レベルでの思想信条の自由や政党支持の自由まで “束縛” しないとしても、組織レベルでは共産党の方針に従うということだろう。そうでなければ、こんな持って回った表現はしない。≪Q7: 組合に入ると、研究所から差別されるのではないかと心配です。A7: 労働組合をつくり、加入し、組合活動を行う権利 (団結権) は、法律で定めています。「組合員だから」 という差別は、不当労働行為として禁止されており、私たちの職場では組合加入を理由とした不当差別は起こっていないし、その心配は全くありません。現在の役員や管理職も、若い時代にはほとんどの方が原研労組の一員で、組合役員を経験している方も大勢います。例えば、前原子力安全委員で元理事の佐藤一男氏は中執委員長 (14期)、人事・労務担当理事の今井栄一氏は東海支部副委員長 (22期)、飛岡利明理事は初代大洗支部書記長、浅井清理事 (20期) や田中俊一東海研究所副所長 (30期) も中執経験者です。万一、あなたが組合に加入したことを持って差別された場合は、組合が全力をあげてあなたを守り、必ず不当差別を撤回させます。≫端的に書かれている。環境省原子力規制委員会の田中俊一委員長は、共産党系の労働組合の中央執行委員をつとめたことがある。(「中執」 とは中央執行委員の略。)文中に 「30期」 とある。昭和53年 (1978年) である。(労組のホームページを見ると、第60期の挨拶が2008年7月10日付なので、30期はその30年前、つまり1978年だ。)田中俊一氏は昭和20年1月9日、福島市生まれの68歳。共産党系労組の中央執行委員をつとめたのは33歳のとき。今から35年前の話だ。*ところで、原子力規制委員会は環境省ではなく内閣府に属して行政上の中立性を確保すべきではないのか。現在は環境省に属している。不適切だと思う。環境省はエネルギー政策や経済政策を総合的に見る立場でないにもかかわらず、石炭焚火力発電所の新設にはムキになって反対するし、太陽光や風力発電にはちゃっかり所轄官庁の顔をする。経済産業省との敵対姿勢むき出しなのである。そういう情緒的な官庁のもとに原子力規制委員会を置くべきではない。国民経済と産業政策、そして科学技術を総合的に俯瞰できる立場の、内閣府に属させるべきである。
Mar 7, 2013
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メールマガジンで配信したコラムです。無料メールマガジンの登録は http://archive.mag2.com/0000063858/index.html でどうぞ! 大掃除の、第1弾がおわった。今回の選挙は、成人して以来はじめて、投票所でウルッと来た。 長かった3年あまり、沈黙してきたふつうのひとたちが、黙々と投票所で鉛筆を走らせることで、政治の掃除ができるとはと。■ 民衆は無知だがバカではない ■ 安倍政権には、「説得の政治」 「論理が一貫した政治」 を追求してほしい。 たとえば、原子力発電。民主党政権に欠けていたのは、説明と説得だった。 わたしは勤務先が電力関係の仕事だ。職場の同僚諸氏も、いちおう電力で飯を食っている。だから、風力発電や太陽光発電の限界について、いちおう分かっているだろうとタカをくくっていた。 ときどき職場で若手を集めて講師をつとめるのだが、先日は衝撃を受けた。「風力や太陽光発電がいかに頼りにならないか、彼らは知らない!」「天然ガスや石炭の輸入で日本の国富がいかに失われるか、彼らはなぜもっと意識しないんだ!」 電力関係の職場でさえ、この体たらくだ。ごく一般の日本人は、それこそなんとなく、「これからは風力や太陽光でなんとかなる」「原子力がなくても、停電しなければそれでいい」と思って、アンケートの 「原子力不要」 にマルをつけるのだろう。 それに従うだけなのなら、政治は要らない。 一般民衆は、無知だ。しかしバカではない。だから、事実と論理を知らせれば、正しい方向を向くひとはきっと増える。 無知ゆえに3年前に民主党政権を選んだ民衆。 しかしバカではなかったから、自民党政権に戻った民衆。■ 説明と説得から逃げない政治 ■ 民意の 「調査」 をする前に、まず必要なのは・ わかりやすい事実説明・ 情熱ある説得の2点だ。 民主党は、説明と説得から逃げた。低レベルのワイドショーに脳をかきまわされた 「騒々しい民意」 に従うことにした。そして、「従う」 だけでなく、その先へと爆走した。 安倍政権には、説明と説得の政治を行ってほしい。 消費税導入やインフレ目標設定の問題も、つまるところは 「世代間の損得をどのように調整するか」 ということだ。 なんとなく無難な現状維持を志向する一般民衆に対して、説明と説得をしてほしい。 そのための論理構成を提供するのが、わたしのような論者の役目なのだと肝に銘じつつ、そう思う。■ ようやく各論を語れる時代になった ■ 民主党政権の時代には、突っ込みどころがありすぎて、政経評論を書く気がなえた。 安倍政権の誕生でようやく、各論の建設的提案ができる。これからいろいろ書かせていただきます。
Dec 17, 2012
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自衛隊の英文名は Self-Defense Forces である。防衛が defense と米国式綴りになっている。英国式は defence である。わたしはいつも defence と綴ってきたので、改めて Self-Defense Forces の綴りを見て、昭和20年代の出発の哀感を感じた。「自衛隊」という名称は、「自衛隊法」で定められているから、国会の議決を経て法律を変えないと改名できない。しかし、Self-Defense Forces を National Defense Forces (ないし National Defence Forces) に変更するのは、おそらく省令でできるはずだ。自衛隊の英訳名は国会の議決を要する 「法律」 で定められてはいまい。自衛隊を国防軍に改名するのは、国会での (おそらくは途轍もなく不毛な) 議論と決議が必要となる。ところが、Self-Defense Forces を National Defense Forces に変えるのは、行政府の権限で、すなわち首相の意思でもって可能なはずである。安倍政権が成立したら、まずは自衛隊の英文名を変更してはどうか。中国と韓国が1週間くらい騒ぐだろうが、そして朝日新聞などが1ヶ月くらい騒ぐだろうが、そしてワイドショーのコメント人らが「名刺や看板の掛けかえの費用がもったいない」などと最後っ屁をひるだろうが、けっきょく改名によって何も悪影響はない (当然だが!) ということが事実でもって証明される。それからおもむろに、自衛隊法の改正にとりかかればよい。
Nov 28, 2012
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「TPP参加」 と 「TPP交渉への参加」 の違いがよく分かっていないひとがいる。「自分はTPP参加に賛成だ」 などと、ぼくはけっして言わない。TPP交渉への参加には、賛成である。交渉は、すればいいのである。交渉決裂で、まさか米国は東京大空襲を決行するつもりはあるまいよ。世の中には、「TPP参加に反対」 という論者と 「TPP交渉への参加に賛成」 という論者のふたつがあるわけだけど、選挙で票が取りやすいのは 「TPP参加に反対」 のほうだ。反対論は一見、現状維持だ。だから一刀両断の10秒で言える。賛成論は、あくまで長い目で見た現状維持だ。TPP交渉参加には得失があるから、それを説明するのには30秒かかる。目先の票を見て国を滅ぼす小沢一郎は 「TPP参加に反対」 という。選挙民はバカだ (と政治家は考える。じつは政治家の説明の仕方がヘタだ) から、30秒のメッセージに付き合わない。だから結局、政策論は脇に置いて、「ひと」 や 「前科」 で選んでください、ということになるんだけどね。政権を失うことが見えているから、捨て鉢になって票が取りやすい 「TPP参加反対」 を掲げてもいい民主党なのに、あえて 「TPP交渉への参加に賛成」 と掲げさせた野田佳彦総理は、偉かった。選挙の争点から外れることで、TPP交渉への参加はチーチーパッパの議論を脱して、実行へ向かう。消費税率引き上げと同様、TPP交渉への参加がようやく見えてきた。
Nov 18, 2012
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10月末に、ある一流ジャーナリスト宅にお邪魔して歓談した。 話が野田佳彦総理のことになり、わたしから「野田さんも、消費税率引上げを決めたところで潔く早期に解散しておれば、将来があったのに。選挙でどうせ民主党は崩壊状態になるが、野田さんなら、見識と年齢からいってもう一度、なんらかの形で国政の枢要なポジションにつけるひとだった。ところが輿石東の言いなりになるところを国民に見せつけ、仲間の落選を憂えて解散を先延ばしにし、挙句は田中慶秋に田中眞紀子でガタガタになり、これで将来をなくしましたね。次があるひとだったのに、この2ヶ月でフイにした」と論評したら、まったく同意見であると賛同を得て、これはうれしかった。■ みな感謝のタイミング ■ 「次につないだ野田佳彦氏」 と今回タイトルをつけたが、もちろん民主党政権を次につないだわけではない。 野田氏個人の政治生命を解散への決断で次につないだわけで、野田総理のこの判断は正しい。最後のチャンス。危ないところだった。 20年待った政界再編のガラガラポンのスイッチを押した、のかもしれない。 民主党が今後数ヶ月の間に立ち直れる材料はないから、じつは解散を遅らせれば遅らせるほど民主党議員の当選者数は、減る。 ブウ垂れている民主党議員らこそ、じつは感謝すべき年内解散だろう。 橋下徹氏の、化けの皮とまでは言わないが、金メッキが剥げたタイミング、というのもいい。■ 不作で名は残らない ■ 嘘つき総理のまま野垂れ死にすることなく、まずは消費税率引上げの実現で日本史に名を残し、自らの将来もつなぐことができた。 鳩山由紀夫、菅直人のふたりも強烈な不作だったが、まぁ、不作のひとというのは10年経てば歴史から消えて、せいぜいが「こんなトンデモ男がいた」とコラムのネタとして残るくらいである。 野田佳彦さんは危ないところで日本史にぶじに名を残すことができた。
Nov 15, 2012
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自民党の総裁選。 知能指数が図抜けて高いのは、石破 茂さんだろう。 ところがこのひと、歴史問題や靖国神社になると、賢いというより、小賢(こざか)しく立ち回ってしまうのが難である。 やはり防衛大臣の器だ。 その器量を大いに発揮して、わが国に貢献していただきたいという激励のつもりで言っている。 安倍晋三さんは、前回の安倍内閣の働きが素晴らしかった。 短い期間だったがリーダーシップがあり、安倍内閣は3年分くらいの仕事をした。 しかし、消費税引き上げについての否定的見解や、教養の低い橋下 徹 氏へのすり寄りなど、最近の 「媚び」 の姿勢はいただけない。 論旨でも 「本流」 に戻り、政界の本流として復帰いただくことを願っている。
Sep 18, 2012
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7月2日の日経夕刊1面に、政治を混ぜっ返して護送される小沢一郎 “容疑者” をとらえた、いい写真があった:http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0200M_S2A700C1000001/↑ クリックしてご覧ください≪自宅を出る民主党の小沢元代表 (2日午前、東京都世田谷区)≫なのだそうで。今さら反消費税・反原発で票が取れると考える、選挙民を見下げた視線がけがらわしい。ホントに反消費税・反原発なら、共産党や社民党に票を入れればよいのだが。混ぜっ返し人生だった小沢一郎の最後の奉公は、共産党や社民党へ流れる浮動票の一部を奪うことなのか。救いようのない人たちが団子になっていく感じ。つくづく、消えてほしい、目障りなだけの存在だ。
Jul 3, 2012
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民主党批判の舌鋒するどい産経も、さすがに森本 敏教授の防衛大臣就任は批判しなかった。「民間人」 が防衛相になることをあげつらう与野党コメントも、控えめな報じ方だった。これまで2人のあまりに不出来な防衛相に比べれば、座標軸のしっかりした森本さんにその任にあたってもらうのは大いに歓迎だ。首相はもちろんだが、財務相、厚生労働相、農水相、経産相、国土交通相のように選挙公約に直結した政策を担う大臣は議員出身である必要があるだろう。しかし、現実に選挙で争点になるテーマが少ない文部科学相や法務相のようなポストは、議員ならざる専門家がその任にあたってもよいと思う。もちろん、首相の任命責任はひときわ重い。その流儀でいけば、日本のように (悲しいことだが) 防衛や外交が選挙の争点にならない国では、国会に議席をもたぬ防衛相や外相がいてもよいかもしれない。「国会に議席をもたぬ外相」 というとドキリとさせられるが、たとえばインド大使の齋木昭隆さんを外相に抜擢する人事であれば大いに歓迎したい。そもそも防衛や外交が選挙の争点にならない国だから、民主党のような定見のない党が政権をとったのである。人材の乏しさを自民党から補うことはできない以上、議席なき賢者を抜擢する人事はやむをえない。どこで聞いたか忘れたが「民間人がミサイルのボタンを押す人になってもよいのか」という詭弁を言うコメント人がいたが、日本の政治システムではミサイル発射は防衛相の専決事項ではない。かりに防衛相がミサイルを発射できるのなら、田中直紀議員の防衛省居座りこそ危険の極みだった。首相をはじめ関係閣僚の合意なしにはやれないことを、あたかも防衛相の専決事項であるかのように言うコメント人のことばの軽さよ。
Jun 6, 2012
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きょうの日経1面に≪大飯原発 再稼働へ 首相、来週に決断 福井知事、了承の意向 広域連合容認≫とある。その通りであれば、よいことだ。「常識」 とは何かを能動的に示すのが政治でなければならない。それができないなら、刻々の世論調査でふらふら動くしかない。もちろん、そんな調子で世論のままに政治をやったら、昭和20年に戦争はやめられず、日本はほんとに廃墟になっていた。*“菅直人リスク” をグーグル検索すると、今朝の段階で61,700件がひっかかる。5月30日の衆院本会議でも、自民党の塩崎恭久(やすひさ)議員が “菅直人リスク” を使っている。自民・公明の両党が提出した原子力規制委員会設置法案の趣旨説明で、塩崎さんは≪「素人の総理が知人の外部有識者を頼りに、生半可な知識で専門家のつもりになり、収束現場に介入して大混乱を起こしたのは明らか。このような菅直人リスクは排除されなければならない」と強調し、オンサイト対策における政治側の介入を取り除く必要性を説明した。≫ (電気新聞、平成24年5月30日 2面)「菅直人リスク」を定義しなおせば、「傲慢なリーダーが外部知見に頼り、実際は素人であるのに生半可な知識で専門家のつもりになり、現場の最前線に強引に介入するリスク」ということになるだろうか。どこの組織にもありそうな気がする。わたしの勤務先にも……。
May 31, 2012
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フランス領のアルザス地方は、アルザス語がドイツ語の一系統だということは一目見ればわかるし、建物もドイツのスタイルで、どう見てもドイツ固有の領土だ。フランスが勝ち、フランス領になっている。コルシカ島も同じで、コルシカ語がイタリア語の一系統だということも明白だし、ほんらいイタリア固有の領土だ。フランスが勝ち、フランス領になっている。さんざん血を流した末、蒸し返すのをやめたのが欧州諸国だ。表面は静かだけれどそれは、蒸し返さたら本気で怒るぞという強い決意を、諸国が共有しているからだ。*尖閣諸島については、日本と中国の外交当局のあいだに、公然の密約があるはずだ。(1) 日本人は尖閣諸島に立ち入らず、自衛隊も駐留させない。(2) 中国人は尖閣諸島に立ち入らず、中国共産党軍も駐留させない。(3) 領土の帰属は、本気で議論することは避ける。(4) 以上の代償として中国はxxxxxxxすること (ないしxxxxxxxしないこと)。日本の外交当局がラクをしたいがために、日本側が百歩しりぞいた密約が結ばれているにちがいない。そう考えないと、尖閣諸島についての日本政府の異常な弱気さが説明できない。自国領なのに、自国人が上陸することを取り締まる日本政府。密約なしにはありえないことだ。密約の相手方は中国政府当局だが、中国はいまや公然の二重権力の軍国主義国家で、政府のコントロールがきかない共産党軍が経済利権にまで踏み込んで勝手に行動する。共産党軍が密約を破るたびに、中国外交当局はああだこうだと言い訳をしてきたろうが、日本側がものわかりのよすぎるお人よしなものだから、中国外交当局すらいまや密約を守る必要がないと考えるに至ったというのが、今日の状況だ。密約を洗い落して、常識あるパワーポリティクスの世界に引き戻すことが、国家間の関係を成熟させることになる。密約は、日米間にだけ存在するのではない。
Apr 19, 2012
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インフレがない社会。物価が上がらない社会。いいに決まっている……? 日本の官僚は優秀だから、昭和60年ごろから物価が上がらない社会を維持してきた。 インフレがない社会でいちばんトクをするのは、官舎や社宅が充実していて、住宅ローンを組まずに過ごせて、退職金が多い職種である。 え、それって、公務員や銀行員じゃないか。 財務省や日本銀行で勤務する人々が、自分たちのご都合でインフレ退治をしすぎておかしくなったのが日本の財政ではないかと、まぁ、これがわたしの偏見なのである。 住宅ローンをかかえる一般の勤労者は、じつは多少のインフレがあったほうがいい。 給料の表面金額が増えるため、借金が相対的に目減りしてくれるからだ。■ 物価も収入も1.8倍になったら ■ たとえば年3%のインフレが20年間続いたなら、どういうことになるか。 物価は、1.03の30乗で1.8倍になる。 単純計算すれば、葉書は90円、手紙を出すのに145円切手が必要な社会になっている。為替レートも1ドル145円あたりのはずだ。 給料の上がり方は物価上昇に少なくとも1年遅れるから、インフレは常に評判が悪い。 しかし見方を変えれば、35歳で住宅ローンを組んだひとが55歳になってみると、返済原資となる給料の表面金額がほぼ1.8倍になっているわけだ。 55歳で年収700万円のひとが、収入の2割の140万円をローン返済に充てているとしよう。年収の表面金額が1.8倍の1,260万円になったとしたら、ローン返済に充てられる額も250万円になる。 ローンの元本の金額は変わらないから、ローンの返済はしやすくなっている。■ インフレなら税収の表面金額も自然増 ■ じつは国家の借金である国債も同じことが言える。 インフレが続いていれば、税収の表面金額も自然と上増しされる。 まるで税率を上げたかのように。 税収金額が増えれば国債の返済もラクだ。国債残高が相対的に目減りしてくれるから。適度にインフレが続く社会なら、いまの日本のように公的債務をGDPのほぼ2倍の900兆円弱にまで膨らますことはなかったろう。 日本の財政を健全化させるためには、いまや増税だけではとても間に合わない。増税分は、社会保障に関係するカネ回りのために使い切ってしまうだろう。 消費税や所得税の増税分というフロー (カネの流れ) を国債返済という “砂地” に撒いてしまっては、経済のフローが減って景気が悪くなる。■ 将来の資産を先食い ■ 国家財政が破綻寸前なのは、20年あまりインフレを極端に排除してきたことが原因なのだから、これからインフレ社会へと舵を切るしかない。 高齢化社会になればなるほど、インフレ社会へ舵を切るのは政治的に難しくなる。 ほんとはせめて10年前に調整インフレを発動しておくべきだったのだが、それをどんどん後回しにして 「いまの逸楽」 をむさぼり続けてきたのが日本社会である。≪民主主義の問題点は、今の生活を良くしようとして負担をきらい、将来の資産を先食いすることにある。≫≪民主主義、資本主義にかわる新たな理念は、今のところ見つからない。だとすると、民主主義、資本主義のあり方を改良しながら使っていくしかない。新年を、資本主義を進化させる年にしたい。≫≪遅まきながら世代格差を是正しようという考え方が共有されるようになった。≫ (日本経済新聞元旦社説) その具体的方法は、いま調整インフレを発動することしかないとわたしは考える。 しかし、調整インフレについて言及している元旦社説はなかった。 「デフレのいま、調整インフレを語ってどうする」ということだろうか。消費税引上げだけで足れりとする日本のメディアの感覚は、危機感がなさすぎる。■ 国債は日本人が買っているから大丈夫? ■≪これまで、日本には1,500兆円近くの個人金融資産があり、日本の国債は9割以上が国内の機関投資家や個人投資家に保有されているため、国債の消化を海外に頼る欧米諸国と比べて危険度が比較的小さい、とされてきた。≫≪しかし、個人金融資産は、住宅ローンなどの債務を差し引いた実体では1,100兆円になる。公的債務との差は200兆円程度だ。今後、国債発行がこれまでのペースで増える一方、高齢化による貯蓄の取り崩しによって金融資産が目減りすれば、国民の資産だけでは国債を吸収できなくなる。≫(読売新聞元旦社説) 昔からある議論に、「日本の国債は日本人が買っているから、右手が左手から借金するようなもので、いくら国債残高が増えても問題ない」というのがある。 いまのような地球規模社会 (グローバル社会) で、「日本人に買ってもらってれば安心だ」などとカネの貸し手の国籍を論ずること自体が無意味だと思っているのだが、いずれにせよこの昔からある議論がもはや成り立たなくなりつつある。■ 消費税は何の財源として使うか ■≪財政状況が深刻化し、大震災に見舞われながらも、円に対する国際的信認はなお厚い。日本には欧州並みに消費税率を15~25%に引き上げる 「余地」 があると思われているからだろう。≫(読売新聞元旦社説) 一般にそう言われているが、わたしは繰り返し念を押したい。 消費税の増税によって、積もり積もった国債を解消するという考え方は、間違っている。 消費というフローから消費税分を切り取って国債返済という砂地に撒いて吸収させてしまうと、フローがガタ減りになって景気が落ち込むだけである。 消費税は、あくまで社会保障などの目的でカネのフローを生むための原資として使わなければならない。 消費というフローを社会福祉などのカネのフローに転換し、それがそのまま新たな消費につながるように、カネの循環を促しつづける限り、景気の落ち込みは少ない。■ 「何十年も先の世代が返済する」? ■≪財政支出や金融拡大に頼った 「成長の粉飾」 はもうしない。いま増やした国の借金は何十年も先の世代が返済するが、彼らはまだ生まれてもいない。決定権のないまま負担だけを背負わされる。民主主義の欠陥である。この愚をこれ以上繰り返してはならない。≫≪増税や政府支出のカットはつらい。成長率の押し下げ要因になるが、将来世代のことを考え甘受しなくてはいけない。≫(朝日新聞元旦社説) 文章がやや支離滅裂なのは朝日新聞の特徴として甘受しなくてはいけない。 社説は題して 「すべて将来世代のために」 と言い切っているが、その割には≪いま増やした国の借金は何十年も先の世代が返済するが、彼らはまだ生まれてもいない≫と、なんとも悠長な時間感覚である。 いま増やした国の借金は、いまの今から調整インフレによって目減りさせるしかない。 その痛みを現世代が分かち合うことで、将来世代へ住みやすい国を引き継ぐのである。 すべて将来世代のために。*以上、1月2日発行の わたしのメールマガジン配信を転載しました。メールマガジン無料講読のお申込みページはこちらです:http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/mailmag.htm
Jan 3, 2012
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尖閣諸島に明日から自衛隊を常駐させることは、技術的には可能なはずだ。中国の偽装漁民あるいは中国軍に侵入されたら、すぐに奪い返して自衛隊員が尖閣諸島にとどまるだろうから。実際問題としては、尖閣諸島どころか宮古島や石垣島にも自衛隊は駐屯していないなか、いきなり尖閣諸島に自衛隊常駐となると「中国を刺激するから得策でない」と反対論が与野党から出る。こどものような平和がいい、という人々を黙らせるには「尖閣諸島に漁船の避難港を整備する」というのは格好の論点だ。避難港整備となれば、丸腰で建設業者だけ送り込むわけには到底いかないわけで、中国軍の妨害に対処できる自衛隊が行うしかない。12月12日に、訪米中の石原伸晃自民党幹事長が米国ワシントン市内のシンクタンクで講演し、現在は中央政府が賃借している沖縄・尖閣諸島を国有化したうえで、漁船の避難港の整備や自衛隊の常駐などを検討すべきだとの考えを表明した (日経12月13日夕刊3面ベタ記事)。自民党が与党になったら、ぜひ進めてほしい。マニフェストにも加えてもらいたい。
Dec 15, 2011
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「大阪 “都” 」 は、言いたいことをフツーの人にワンフレーズで伝えるための方便だ。もちろん 「大阪府」 の改名は不要で、大阪市と堺市を解体して両市の既存の区は残し、広域行政を大阪府に一本化すれば目標は達成できる。既存の区の規模が小さいものは、合併を進めればいい。これら全て、おそらく国レベルの法改正をわずらわすことなくできるはずだ。課題はひとえに人の処遇の問題である。大阪市・堺市の幹部職員に大阪府という組織へ移ってもらうわけだが、外様(とざま)になるわけだから 「昇進ポストで損をする」 と本人たちは考える。そしてたぶん予想どおり損をするのである。だから橋下徹元知事・新市長の課題は、大阪市役所の幹部職員が大阪府庁に移って納得のいく処遇をされる実例をどんどん作って、大阪市役所・堺市役所の職員の抵抗感を拭い去ることにある。市長が会社の社長とすれば、市職員は社員である。外様の社長が幹部社員とツノ突き合せたらうまくいかないのは当然で、幹部社員ひとりひとりの人生を考えてやることが新社長のねらいを実現する出発点になる。その包容力と 「ひとを見る目」 が橋下徹元知事・新市長にあるのか、ぼくは知らない。
Nov 30, 2011
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ぼくが商社に入ったころ、会社のビルが面する四つ辻に靴磨きのおじいちゃんとおばあちゃんがいましてね。 車の煤塵の多い四つ辻に日がな坐っての商売。 役所としては路上の靴磨きは止めさせたいのだけど、戦後のいつぞやに四つ辻で営業する権利を得た老夫婦に「商売をやめろ」とは言わない。ただ、新規参入を禁止する。 いつしか路上の靴磨きは消えた。老夫婦の引退とともに。 東京駅前に屋台を出して新聞・雑誌を売ってたおばちゃんも、似たようなものだった。 これまた役所としては歩道上の屋台を止めさせたい。かといって、大昔に営業の権利を得たおばちゃんの権利を奪うところには踏み込まない。 新規参入を禁じて、おばちゃんの引退を待った。おばちゃんは、ある日おしまれつつ引退した。■ 平均年齢70歳の産業って、あり? ■ 日本で農業に従事する人たちの平均年齢を知っていますか。 65歳だそうです。 会社勤めなら第2、第3のキャリアを終えてホントの定年を迎える歳。年金をもらいはじめようかという歳が、勤労の平均年齢だというのですから、産業として成り立っていることが不思議なくらいです。 役所は、どう考えているのでしょう。四つ辻の靴磨きの老夫婦や、新聞売りの屋台のおばちゃんと同列に考えているとしか思えない。 腫れ物を扱うように既得権には触らず、かといって若い人にそのまま後継させることはせず、既得権者が老齢で引退すると、あっさり新しい風景が展開するのを待つ、というような。 TPP交渉入りして、10年かけて農産物の関税を撤廃したころには、農業に従事する人たちの平均年齢は確実に70歳を超えているだろう。 そしてある時あっさりと老齢者が一斉引退して、あっさりと大規模機械化農業が日本の農業の主流になるのではないかと、わたしは考えているのですね。 ならば、低めの地代と引き換えの農地の集約化、農作業の大規模化、会社経営化を促進する政策立案を急いでほしい。■ 大規模農場と里山の並存という未来像 ■ 日本の農地のなかには、平地でもないのに相当ムリをして米をつくってきたところもある。(愛媛県の山間部の水田などを思い出しているわけですが。) そういう機械化に向かない農地は里山に戻す、すなわち雑木林に戻すのが、長期的に望ましい姿だと思うわけです。 雑木林の維持を、農業予算ではなく環境保護や治水の予算で公共事業として行う必要はあると思っています。 大規模機械化農業推進の一方で、環境保護の観点からの公費による雇用創出もしてゆく。 大規模農業は、自然がはぐくむ豊かな多様性を踏みにじらざるをえない。それを補う里山の創出・維持を公費で行うことで、美しいふるさとを創り育てていきたい。■ 消費者価格を考える ■ TPP入りして仮にすべての農産物の関税が撤廃されたとしても、実際に消費者価格がどれだけ下がるものか、わたしは疑問に思っているのです だって、もともと消費者が支払う農産物価格のうち農家の手取り分はせいぜい2割か3割ていどです。 平成22年11月25日の国会・農林水産委員会の議事録 を見ると、筒井信隆副大臣がこんな答辯をしています:≪消費者が支払っている食品についての価格を100とすれば、今までは20とかせいぜい30しか 農家の、一次産業者の手取りに入っていなかったわけでございます。≫ TPPがらみで農産物価格下落の議論がありますが、100円支払ううちの20~30円の部分が、関税撤廃でどのくらい安くなるかなと、実はまぁそういう議論なわけですね。 残りの70~80円の部分は輸送費だったり、流通マージンだったり、売れ残り処分のリスク部分だったりするわけで、これは関税を撤廃しても変わらないわけです。 よしんば日本の農家の取り分価格が、輸入品の通関後の価格の2倍だとしましょうか。それでも、消費者価格を100円とすれば、日本品と輸入品の価格差は、せいぜい10~15円ということなわけです。 消費者にとって10~15%の高値は、安心・新鮮・味のよさといった付加価値があれば許容範囲ではないだろうか。■ 輸入農作物への平均関税率は21% ■ ちなみに日本が輸入農作物に対して課している関税率の平均は21%だ:「就農LOG: 日本の農業は関税に守られている? 農産物の平均課税率について」 消費者物価における農家の取り分が30%とすると、関税撤廃に伴う農産物の消費者物価下落は 30% × 21% = 6.3% 消費者物価における農家の取り分が20%とすると、関税撤廃に伴う農産物の消費者物価下落は 20% × 21% = 4.2% ならしていえば、そのていどのことなのである。 米の関税率は778%とある。バターは360%で、小麦は252%の関税率。 関税撤廃となれば、こういう産品は大規模機械化を図るか、特殊な品種で付加価値を狙うか何れかしか生きる道はないだろう。 しかし、全体をならして21%の関税率ということであれば、これがゼロになったとしても消費者価格への影響は4~6%なのである。(流通マージン等が消費者価格の70~80%を占めるから。) その程度であれば、日本産品というブランド力で克服できないだろうか。関税撤廃で日本の農業が “崩壊” するという物言いは、多分におふざけが過ぎる。 このように数値を並べてみれば、将来に向けた建設的な議論ができるはずだ。 目下平均年齢65歳の産業を単純にそのままにしていたら、TPPがなくても崩壊するのは当然だ。崩壊したとき 「TPPのせいだ」 と ほざく代議士だけは、許したくない。*11月14日の、わたしのメールマガジン配信を転載しました。メールマガジン無料講読のお申込みページはこちらです:http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/mailmag.htm
Nov 15, 2011
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「あなたは TPP に賛成なの?」と、わたしの女がきく。「TPP の中身はこれから交渉するんだから、中身が決まってないものに賛成・反対は言えないね」「え……」世の中で 「賛成だ」 「反対だ」 と言っているのは、TPP の中身についてではなく 「TPP 交渉入りするかどうか」 であるはずなのだけど。将来の交渉の内容次第では、ぼくだって交渉決裂を支持するかもしれない。でも、交渉入りは賛成だ、ということだね。「交渉を決裂させることは許されないらしいから反対だ」という変な反対論をぶつ人がいるけど、交渉入りしないのと交渉した末に決裂するのと、どちらが健全かといえば言うまでもなく「交渉した末に決裂」だ。いや、だって、いったん交渉に入ったら抜けられないんでしょ?バカだね。交渉を決裂させたら、東京を米軍が空爆するとでもいうのかね。交渉ごとは何でもありなんだよ。米国がのっけから目を三角にして脅してくることは織込み済でなきゃいけない。なかなか難しいことだけど、あえて交渉チームには 「のびのびとやってくれ」と言いたい。交渉過程はリークしちゃいけない、ということになっているけれど、リークしたから東京が空爆されるわけはないんだから、交渉内容はできるかぎりオープンにしてほしい。ブラフとリークの応酬だね。ぼくはモノの輸出入の自由化のことは懸念していない。農産物の関税撤廃は、周辺的な問題だと思っている。新潟県でカリフォルニア米を食うようになるとすれば、耕作方法と流通に問題があるわけである。裏の畑のキャベツより米国のキャベツのほうが安いか?TPP で農産物の関税が撤廃されても、その分だけ流通業者がマージンを乗せるから、小売価格はそれほど下がらないだろう。流通業者が儲けるはず。だからね、一言も発言してないでしょ、流通業者の団体は。農業補助金は、大規模農場経営者を主な対象とすることだ。小規模な農家や兼業農家への補助金は段階的に減額されるような制度設計をして、農地の利用を大規模農場経営者へ集約させるべきである。むしろぼくが懸念するのはヒトの移動の自由化のほうだ。日本語を話せず日本の生活常識もなく、これといって取り柄があるわけでもない人たちが、国境を越えて長期流入できるような制度改悪だけは絶対に避けなければならない。端的にいえば、かりに中国や韓国が豹変して TPP に参加を表明しても日本があたふたと慌てずにすむような線で、合意することが肝心だ。
Nov 8, 2011
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宇宙・航空機関連産業のようなグローバル (地球規模) 産業は、ピンポイントで法人税を引き下げて投資を促進し、雇用増による個人所得税・住民税の増加をねらうのが、政府・地方自治体の政策として正しい。事実上の 「投資減税」 だ。わたしは法人税減税を支持しているがそれは、国際競争にさらされる業種において日本企業による投資を促進するために減税が有効だからだ。地球規模でみれば、法人税減税の競争が起きているから。法人税が減税されると当期純利益が増える。新規プロジェクトへの投資計画をつくるとき、期待できる投資リターンの予測値が高まるから、社内稟議を通しやすくなる。投資計画には数々の選択肢があるから、地球規模の競争がある特定業種については、法人税減税が有効だ。逆に、国際競争と関係の薄い企業活動に対する法人税を下げる分には、「単に企業の内部留保を増やすだけだ」 という批判は正しかろう。減税にもメリハリをつけなければいけない。その意味で、以下の報道にある特区減税の方針は正しい。日本経済新聞 地方経済面 中部 平成23年9月22日≪愛知県推進の航空宇宙特区 法人税、アジア並み25% 規制緩和も求める愛知県や企業などで構成する 「アジア No.1 航空宇宙産業クラスター形成特区推進協議会」 は、航空宇宙産業で国際戦略総合特区の指定を目指し、国に提出する申請書の原案をまとめた。9月22日にも内容を機関決定する。岐阜県なども新たに協議会に参加。特区内で航空機の開発・製造・販売に関連した規制緩和や優遇税制、財政支援の実施を求める。申請書では、企業が設備投資しやすい環境を整えるため、工場の緑地規制や施設拡張に関わる建築規制の緩和を求める。航空機や部品の輸送に関連した道路交通法の緩和もあわせて提案する。税制の優遇策として、法人税をアジア諸国並みの25%前後に引き下げることを要請。価格競争力向上のため輸入部品の関税や消費税を特区内では減免する制度の創設も求める。航空宇宙産業は膨大な先行投資が必要なため、投資負担の軽減で企業誘致につなげる。財政面では、専門知識を持つ人材の育成や雇用に対する補助金支給や、中小企業が部品の受注システムを構築するために必要な費用の補助といった支援策を盛り込む。協議会には愛知県と県内の8市町村、岐阜県と同県各務原(かかみがはら)市に加え、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業、東レのほか、大学や団体など22の組織が参加している。特区の指定を通じて、愛知県と岐阜県を中心にアジアにおける航空宇宙産業の集積地に育成する狙い。特区となった場合は愛知・三重・岐阜・石川・富山の5県を合計した航空機・部品生産額を、2010年実績の4,020億円から、2020年に7割増の7,000億円以上とする目標を掲げている。≫
Sep 23, 2011
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わたしはそもそも民主党政権に期待したことは1秒もない。過去に書いてきたことを読めばわかる。 自民党は次世代のスターをつくるのを怠ったのが たたって、下野した。 しかし、わたしの持論は変わらない。国民の常識にもとづいた自民党の政治に新時代を上塗りしてゆくしか、道はない。 かつてこれは、迂遠(うえん)な道のように聞こえたろう。しかし、小沢・鳩山・菅という 「戦後の滞貨」 がつくりだした日本の政治の空白の年月をふりかえれば、どうだ。 民主党ごときに投票した無責任な人々の選んだ道こそ、おおいに遠回りだったことがわかる。 海江田万里氏は、野末陳平氏の 「付き人(つきびと)」 として生きるのが政治の原点だった。あの “へいこら” した物腰が語る。 かりに海江田首相となれば、半病人・小沢一郎氏の付き人として矢よけとなり小沢一郎復権に道をつけて、息絶えるのではないか。 付き人首相。とうてい年は越せまい。■ 国民が投げやりな気持ちにならないようにする ■ 明治元年3月14日に明治天皇が誓った 「五箇条の誓文(せいもん)」。≪広く会議を興(おこ)し、万機公論に決すべし≫の一節に覚えがあるかたも多いだろう。 その第3条の後半に、こんなくだりがある。≪……人心をして倦(う)まざらしめん事を要す。≫ 訳せば、こうなる。「国民が投げやりな気持ちにならないようにしなければならない」「何を言ったところでどうしようもない、などと人々が考える世の中であってはならない」 わずか5ヶ条のきわめて短い政治宣言に、明治元年の日本人はなぜこんなくだりを入れたのか、前から不思議に思っていた。 混迷のなか再読してつくづく、「人心をして倦まざらしめん」 ことこそ、政治のキモだと思う。 由利公正(ゆり・きみまさ)のつくった もともとの原案では、じつはこの項は第1条にあり、こうあった:≪庶民 志を遂げ、人心をして倦まざらしむるを欲す。≫(注:引用原文のカタカナはひらがな書きに改め、濁点を補った。)■ スジガネで拾う火中の栗 ■ 人心が倦まない、国民に投げやりな思いを抱かせない政治の復活には、総選挙の実施しかない。 それが大前提だが、きょうの民主代表選の5名のなかで、わたしが誰を推すかを問われれば、野田佳彦氏である。 野田氏は 「言いたいことがあれば、首相になってから言えばよい」 とでもアドバイスを受けているのか、せっかく財務相になっても発言を控えている。 一般に財務相の発言はメディアで取り上げられることが多いものだが、それに比べて、野田財務相の存在感は薄かった。これにわたしは大いに不満だ。 しかし、闘うべきところは譲らないというスジガネは通っている。 民主党代表選でも、消費税率引上げという火中の栗を拾おうとする姿勢を変えないところは評価したい。■ 小泉純一郎首相の答弁を引き出した ■ 野田佳彦氏をもっとも高く評価できるのは、平成17年に内閣へ提出した質問主意書である。 質問主意書では、いわゆるA級戦犯について 「戦争犯罪人ではない」 という考えを示し、 ときの小泉純一郎首相から 「その刑は、我が国の国内法に基づいて言い渡された刑ではない」 という答辯書を引き出している。「質問主意書の全文」「答辯書の全文」 その後が続かなかったのには落胆させられたが、野田氏のスジガネは評価できる。 きのう8月28日に記者に問われて野田氏は 「政府の一員なので、その答辯書を尊重することが基本的な立場だ」 と述べている (日経8月29日2面ベタ記事)。 この辺の展開もしたたかだ。そもそもこの問題は一言で語れるものではない、複雑な内容なのだから、「政府の答辯書を読んでくれ」 というのは上手な対応だ。(なお、政府の答辯書の内容にわたしは不満な箇所もあるが、それは別のところで論じる。)■ さて、海江田万里氏だが ■ 中国に心酔したジャーナリストの父親に、万里の長城にあやかって名前をつけられた海江田万里氏。 さる7月29日の経済産業委員会の答辯で、経産相をいつ辞めるかとしつこく問われて取り乱した海江田万里氏の姿を 「号泣」 と形容するのはさすがに不正確だ。 しかし、↓ この程度の追及で理性を失って自嘲に走る “正直者” に、国益をかけて闘う任務はとうてい務まるまい。スジガネが入っとらん。海江田経産相の答辯の模様、ダイジェスト(ちなみに、海江田氏が答弁の冒頭で自ら魯迅の詩を引用しようとして詰まってしまう様子もお粗末。) かりに海江田氏が首相になっても、小沢一郎氏のほうを向いた政治運営だ。“へいこら” とした自己否定が出発点となる。 首相答辯のたびに小沢一郎氏との関係を問われては取り乱し、本務が務まらない。 国を代表して自嘲の辯をふりまく首相が誕生すれば、「あの菅直人氏より劣る首相が、存在しうるとはオドロキだ」と言われるのも時間の問題だろう。
Aug 29, 2011
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滝田(たきた)洋一 著 『世界経済のオセロゲーム』 (日経プレミアシリーズ)読みながら付箋をつけたところを再読してみた。◆ 働く人への配分を増やす必要 ◆≪今から振り返って問題があったとすれば、銀行の不良債権処理が峠を越え、企業業績が順調に拡大しだした2006年から07年のあたりで、企業経営者が働く人への報酬の還元をもっと積極化すべきだったのではないか。≫ (61頁)≪働く人の取り分が抑制された結果、消費を中心とした内需の増加は抑えられ、2007年から08年にかけて顕著となった資源・食糧価格の高騰とリーマン・ショック後の世界同時不況に、景気が予想外の脆(もろ)さを示したように見える。≫ (62頁)◆冷めつつある中国市場への幻想◆≪オバマ政権が2010年9月16日に発表した「国家輸出戦略」の報告書から感じ取れるのは、どことなく中国に冷淡な雰囲気だ。…… 米国輸出入銀行が挙げる成長率の高い9カ国のなかに、ブラジルとインドは入っているが、中国の名は見えない。中国ビジネスのリスクを認識しだしたからこそ、米国は中国一辺倒の姿勢を避けようとしている。中国ビジネスのリスクとは、例えば中国進出を狙う外国企業同士を競わせ、許認可が欲しいなら先端技術を提供しろと迫る手法だ。政府が弱腰な日本の企業は、この手法で随分煮え湯を飲まされたが、米国は我慢の限界を超えていると考えた。≫ (129頁)◆オランダの農業にヒントあり◆オランダの農産物の貿易収支は2007年に279億ドルの黒字で、黒字額は米国の180億ドルを大きく上回っている。≪オランダは近隣のフランスやドイツから飼料用の小麦を輸入して家畜を育て、畜産物を製造し、それを輸出している。だが、牛乳の輸出額は2億1000万ドルとそれほど多くない。一方で、チーズの輸出額は29億ドルにもなっている。…… 付加価値を高めたチーズの輸出によって利益を得ている。また、トマトが15億ドル、トウガラシが11億ドルなど、野菜の輸出も盛んだ。≫ (210頁)≪オランダ型の農業を目指す場合、カロリー (熱量) ベースでみた食料自給率は低下してしまう。現にオランダの穀物自給率は2007年時点で14%にすぎない。日本では食料自給率の維持・向上が農業問題を論じる際に金科玉条となっているが、ここでもそろそろホンネの議論をすべきときだ。≫ (211頁)◆高齢の農家に「退職金」を◆普段、農業に従事している 「基幹農業従事者」 は2009年の平均年齢が65.7歳。65歳以上のひとの占める割合は09年に60.4%だ。≪農業従事者が高齢化し、しかも農地が狭いというのであるが、名誉ある引退という道も考えられないだろうか。韓国に例がある。65~70歳の農民で、水田を売却するか貸し付けて農業から引退する人には、1ヘクタール当たり25万ウォン (約1万8000円) を支給する。売却の場合は最長8年間支給し、貸し付けの場合は1年間支給する。稲作から引退する農民への 「退職金」 のようなものである。≫ (213頁)≪EUも離農奨励策を用意している。55歳以上で通常の退職年齢前に離農した農民に対し、離農奨励金を支払う。……日本でも、強い農業を作るためにはこうした離農政策を採り入れるべき時期に来ているのではないか。オランダのような輸出に強い農業を目指すには …… 農業の担い手の抜本的な組み換えが欠かせない。そろそろホンネの議論をするときではあるまいか。≫ (214~215頁)う~ん、65歳を過ぎても田畑を耕すホントの理由は、農地が突然ショッピングモールや道路にされることで大儲けする千載一遇のチャンスを逃したら悔しいから、じゃないか。「お宅の農地、今後20年間はどうせ高くは売れませんよ」 と説得するのが一番かもしれません。*伊藤元重 著 『ゼミナール現代経済入門』 (日本経済新聞出版社) を読みおえた。前半は斜め読みだったが、最後の3分の1は丁寧に読んだ。最後は、日本の農業政策のことで締めくくられていた。やはり、農政の沈滞が日本の癌なのにちがいない。≪市場開放という視点で日本の食料・農業政策を考えていくとしたら、あるべき政策は明らかである。(1)農業保護政策を関税などの輸入制限政策から、農家に直接支援を提供する補助金型に変えていく。(2)その農業支援は農業を専業に近い形で行う専業農家 (プロ農家) に集中すべきで、兼業農家への補助は縮小していく。(3)日本の農産品を海外に積極的に輸出していくような支援策を展開すると同時に、海外から輸入したほうが安くすむ産品については国内での生産を縮小する。≫ (422頁)つくづく日本の特権階級とは、宅地の必要を優に超える面積の土地を所有し、ダブル・インカムで、且つ選挙運動をする時間的余裕のある兼業農家諸氏だと思う。特権階級を打破せよ!何のことはない。2世代前の農地改革で生まれた階級じゃないか。
Jul 17, 2011
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週末のニュース映像で、ソフトバンクの孫正義氏が最敬礼していた。壇上でね。菅直人首相を相手に。孫正義氏がさいきん突出しているのが、地方自治体と組んでの大規模太陽光発電だが、これを支える法的枠組みが日本にはまだない。太陽光パネルから出る電力を、高い値段で買い取る義務を電力会社が負う社会にならないと、大規模太陽光発電所は日本にはつくれない。(いまの法的枠組みでやれるものなら、わが勤務先だってとっくにやっている。)菅首相が 「再生エネルギー特別措置法」 に突如として熱をあげだした。そして、ものすごくあかるい表情だ。人間は、おカネが入ってくるメドが立っただけでも、あかるくなるものなんです。奇(く)しくも、政治ジャーナリストの渡部亮次郎さんが、「頂門の一針」6月17日の配信でつぶやいている。≪菅とソン、ウラに何かある。それが整うまで菅は辞めないだろう。多分、利権だ。≫わたしもそう思う。孫正義氏は墓穴を掘りつつあるね。政権末期にドタバタ審議の法律なんて、抜け道だらけ。次期政権は意地でも店(たな)ざらしにするんだよ。菅直人氏の信望は地に堕ちているが、孫正義氏はこのひとに賭ける気か。早まったね。次期政権にも孫正義氏はコウモリよろしく媚びを売るのだろうが、そういうことを続けていると別のところで刺されるものなんだよ。陰惨な日本の政治を甘く見すぎていないか。
Jun 22, 2011
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【3月18日朝の配信コラム】 日本銀行に引き取らせる形で、10兆円を超す 「震災復興国債」 を緊急発行する方針を政府が固めた、と産経新聞が1面の第2ニュースとして報じている。 (日本経済新聞は報じていない。) 日銀引き受けの復興国債。その形で国債を発行するのであれば、わたしは強く支持する。 思い切り平たく言えば、日銀が木の葉のお札を刷りまくり政府にぽんと渡し、政府が震災復興のために札束を配りまくって人々に働いてもらうということ。 じつはこれに相当することを長らくやってきたのが中国である。 共産党の指示で政府系銀行から政府推進事業に巨額の融資をさせ、焦げつきは政府が面倒を見るという形で、社会インフラを急速に整備した。■ 安全弁を外して、緊急の実需に対応 ■ これを平時に行うと、実体経済以上に通貨を注入することになるから、遅かれ早かれインフレになる。現在の中国をご覧になれば、わかる。 だから平時の日本ではこのやり方は原則として禁止されている。 通常の新たな国債を、日銀は引き受けない。あくまで、広く市場に買い取ってもらう。 この規律が歯止めをもたらす。市場の判断という安全弁で、政府事業への無規律な資金注入に歯止めをかけている。 しかし今回の震災復興は、年度末に予算消化で道路を掘り返すのとは全くわけが違う。 絶対的に必要な緊急の実需だから、日銀引き受けの復興国債という通常の禁じ手を使うことを強く支持したい。■ 通常の国債の増発には反対だが ■ 3月12日のブログ に、こう書いた。≪あるいは、日銀券とは別の政府紙幣を発行することで乗り切るのも1つの考え方だ。総額・使用目的をはっきりさせれば、納得性はあるはずだ。政府紙幣発行によって通貨量が増えて、最終的には若干のインフレによって吸収される、はずである。≫ 政府紙幣の発行は、日銀引き受けの国債発行と効果はほぼ同じである。≪とにかく、国債の増発には反対だ。未来がうるおう投資なら、国債で資金をまかなって将来世代に負担ねがうのが正解だ。しかし、きょうの傷を治す作業と資金は、きょうの人々が負担しなければならない。≫ ここで反対したのは、通常の国債を新たに市場へ大量流通させることを指す。■ 政府はどう検討したか ■ 通常の国債の大量発行は、政府も今回一応検討したが行わないことにした。 産経3月18日の記事によれば、≪新規国債発行も検討されたが、国債を市場に大量流通させれば財政事情が悪化する上、国債の格付けが下がり長期金利の上昇をもたらす危険性がある。このため、震災復興国債を日銀に引き受けさせる案が急浮上。日銀による国債引き受けは財政法5条で禁止されているが、同条のただし書きに「特別の事由がある場合において国会の議決を経た金額の範囲内ではこの限りではない」と規定されており、今回の震災は 「特別な事由」 にあたると判断した。≫* * *【3月18日の夜、記す】 その後、ミスター寝返りが記者会見して、日銀引き受けの復興国債発行を否定した。 「俺は聞いてないぞ!」 って人が、何人もいたってことだね。≪与謝野経財相、「復興国債」の日銀引き受けに否定的見解 2011/3/18 10:20 与謝野馨経済財政相は18日の閣議後記者会見で、日銀の直接引き受けにより震災復興国債が発行されるとの一部報道について「そもそも日銀は既発債を市場から拾うことはできるが、国債の直接引き受けは法的にできない」と指摘した。そのうえで「家計も企業も手元流動性は潤沢。言われているような数字の調達に何ら困難もなく、日銀が特別なことをやることはないと断言しても良い」と語った。〔日経 QUICK ニュース〕≫ 実際に日銀引き受けの復興国債を発行するまでには時間がかかるから、まずは否定してかわすのが基本動作。 「復興資金として手持ちのドルを日本円に換える需要があるに違いない」と為替ディーラーらが読んだために円高に振れてしまい、その対策の手を打っているのが与謝野氏の立場だから「家計も企業も手元流動性は潤沢」という発言になるわけだけど、ということは通常の国債を大増発する気かね。 復興国債は数十兆円必要のはずだが。 「国債が売れなくなったときはじめて、日銀引き受けを始めればいいでしょ」というのも ひとつの考え方ではあるが、国家財政の傷が深まり “臨界” に達するまで通常国債を発行しつづける気か。
Mar 18, 2011
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きのう夕方5時に丸の内から歩き出し、ほとんど車が動かない昭和通りを北上した。上野でラーメンを食い、7時半に千住大橋を渡り終えかけたところで、信じられないことに隅田川から高いしぶきが上がった。歩道のわたしの目から見ても高さ3メートル近くあるしぶきで、頭から水を浴びて全身がずぶ濡れになった。水面から計れば、とんでもない高さのしぶきだ。あれは、何だったのだろう。ひょっとして津波が隅田川を遡上して、ちょうど千住大橋の橋脚に当たってしぶきとなったのだろうか。橋の下を見る勇気はなかった。髪をハンカチで拭いたら、ドブの臭いがした。皮鞄の水滴が乾くと、点々と泥跡になった。■ 「この辺りも水びたしになるのだな」 ■たかが一度のしぶきで足がすくみ、たかが隅田川の水も臭う。津波に襲われた地域の人々の苦しみはいかばかりか。北千住駅に行けばバスが出ているだろうと想像したのが甘かった。バス停は絶望的な長蛇の列で、駅ビルはシャッターが下ろされていた。気を取り直して引き返し、こんどは日光街道を北上して千住新橋を渡る。隣を歩く初老の夫婦が話している。「宮城県のような具合に東京湾に津波が来たら、荒川をさかのぼる水でこの辺も水浸しだよ」「そうなれば、こんなところ歩いていられないわ。帰りようがないのね」途中、道を間違えて行き戻りして、自宅に着いたら10時になっていた。「遅かったわね」 と冷たくあしらわれるかと思ったら、拍手で迎えられた。■ 財政負担は 「現在」 で完結させよ ■3・11大震災は、全面的に壊滅した都市や集落の数と規模が、過去の災害のレベルを大きく超えている。災害後の社会基盤の整備のために、政府の予算はもちろん、税制の一時的な変更にまで踏み込んで対処する必要があると思う。「インフラ整備は未来の世代に残すものなのだから、費用負担も未来の世代に残せばよい」とばかりに赤字国債で費用をまかなってはいけない。将来世代に新たな果実を生む投資は、国債でまかなって費用負担も将来世代に託してよい。しかし、大きなマイナスを 「単にもとに戻す」 作業、「単にもとに戻す」 ための財源は、現在の世代による負担で完結させるべきだ。電力不足。それを乗り切るための節電が 「現在」 のなかで完結するごとく。未来から電力を借りられぬごとく。■ 阪神・淡路大震災の復興資金は16兆3千億円 ■災害復興のための目的税としての消費税率引上げを3年間の時限立法で実施してはどうか。たとえば3%引き上げて、消費税率を8%とする。あるいは自助の精神で、東北地方と関東地方だけ消費税率を10%とする。復興土建工事の発注が、東北・関東地方の業者へ集中して、資金還流してゆくのは確実だから。平成20年度の消費税は、国税分・地方税分を合わせて約12兆5千億円だった。税率1%が2兆5千億円に相当する。「国税・地方税の税収内訳(平成20年度決算額)」阪神・淡路大震災の復興事業費の総額は16兆3千億円だった。うち9割が公的負担で、1割が民間資金だった。「阪神・淡路大震災復興資金」3・11大震災の復興のためにどれだけの資金が必要か。阪神・淡路大震災を大きく上回ることは確実だろう。仮に総額を30兆円とし3年間で支出するなら、1年あたり10兆円。消費税率にして4%である。■ 時限立法であることを政・官が徹底合意すれば ■災害を口実に消費税を恒久的に引き上げるのではないか、という議論は当然行われるだろう。ここは与野党・財務省も一致して時限立法であることを確認して乗り切ろう。あるいは、日銀券とは別の政府紙幣を発行することで乗り切るのも1つの考え方だ。総額・使用目的をはっきりさせれば、納得性はあるはずだ。政府紙幣発行によって通貨量が増えて、最終的には若干のインフレによって吸収される、はずである。とにかく、国債の増発には反対だ。未来がうるおう投資なら、国債で資金をまかなって将来世代に負担ねがうのが正解だ。しかし、きょうの傷を治す作業と資金は、きょうの人々が負担しなければならない。
Mar 12, 2011
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今朝 「Kevin K. Maher 氏のレクチャーは、ほぼ正論」 というコラムを配信したので、後半に転載する。 昼になって、ケヴィン・メア氏の更迭が伝えられた。やはり米国政府も、メア氏のレクチャー内容の最後の、憲法第9条関連のくだりを問題視したという。 それにしても、今回の事態進展は不可解だった。 きれいに整えられた講義メモが流出したのには、陰謀を疑いたくなる。 日本のことを熟知しているメア氏の更迭は、長期的には日本にとってマイナスなわけで、日本に敵対する勢力の仕業かなぁと。 manipulation を 「ごまかし」 と、あえて踏み込んで訳して流布させたのは共同通信である。ここにも悪意を感じる。===3月10日朝の配信コラム=== 米国国務省の日本部長 (Director of the Office of Japan Affairs) のケヴィン・メア (Kevin K. Maher) 氏のレクチャー内容とされるメモが物議をかもしている。 しかし、メモの全文を読む限り、ほとんどは正論を言っている。■ ごまかし? ゆすり? ■ 報道に「沖縄の人々はごまかしとゆすりの名人だ」といった引用がなされる。 まるで、沖縄では日常的に誤魔化しとゆすりが横行している、と言っているかのように思える。 しかしこれは、いかにもレベルの低い日本のメディアらしい省略・歪曲引用ではないか。 メモの原文とされるものには、こうある:Okinawans are masters of "manipulation" and "extortion" of Tokyo.「沖縄人たちは、東京を操縦し強要する達人だ」 別の訳し方をすれば「沖縄の人々は、政府を手玉にとり、脅しては奪う名人だ」といったところ。■ 悪意ある訳語 ■ Extortion は 「ゆすり」 「たかり」 も訳語として適当だが、manipulation を 「ごまかし」 とまで意訳するのには、メディアの悪意を感じる。 全体の文脈も見る必要がある。- Japanese culture is a culture of "Wa" (harmony) that is based on consensus. Consensus building is important in Japanese culture. While the Japanese would call this "consensus," they mean "extortion" and use this culture of consensus as a means of "extortion." By pretending to seek consensus, people try to get as much money as possible. Okinawans are masters of "manipulation" and "extortion" of Tokyo.「日本文化は、広範な合意 (コンセンサス) に基づく <和> の文化である。広範な合意の形成が、日本文化においては重要だ。日本人はこれを <広範な合意> と呼ぶであろうが、じつのところは <強要> なのであり、広範な合意形成が必要となる文化を逆手にとって強要の手段としているのだ。沖縄人は政府を操縦し強要する達人だ。」 本質をよく理解している発言だ。 人は、本当のことを言われると激怒する。沖縄県議会が怒るのも、当然だろう。■ 全文を読もう ■ メモの原文とされるものは、こちらで読める:『琉球新報』「メア氏講義メモ全文(English)」 和訳は、こちらで読める。(わたしなら別の訳し方をするなぁと思うところもあるので、あくまで参考ていどに活用いただきたい。)『琉球新報』「メア氏講義メモ全文(日本語訳)」 これらが消えてしまったときは、こちらをご覧ください:iza! ブログから 「拗ね者のコメント帳」 メア氏の失言はむしろ、以下の2点:・ ゴーヤーの栽培量が本土に抜かれたことにも示されるように、沖縄県人は怠惰。・ 憲法第9条を改めると、米軍の日本駐留が難しくなって米国の国益に反する可能性がある。 憲法第9条のくだりは、メモの最後にある。ブラックユーモアの域を超えていて、この論点こそ大いに問題にすべきである。 メア氏は、日本の民主党のことも辛辣に批判している。このあたりは、総じて正論を述べている。
Mar 10, 2011
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大阪府や愛知県の地方首長が、親衛隊を組織する。いわゆる地方政党。あるいは、意気高い地方首長が「連合」してみせる。そういう動きをもてはやすのが最近の風潮だ。地方政党や首長連合が、既存政党に取って代わる存在であるかのような風説を流す向きがある。ウンコに蠅がたかるように、はやくも小沢一郎氏が地方政党の名で子飼いの面々を出馬させようとする動きもある。地方政党側が、小沢一郎氏のもたらすウン億円の手ガネに目がくらんでこれに乗ったら、短命は請け合いだ。地方税の減税や地方公務員・議員の給与削減などを掲げる能しかない地方政党に、わたしは全く期待していない。いやしくも「政党」というからには、以下の4つのポイントについて自らの座標軸を持ち、専門性のあるスタッフがいなければならない。(1) 外交・防衛(2) 社会保障(3) 教育(4) 経済財政・税制。いまの地方政党も首長連合も、論じているのは (2) と (4) の限られた一面、財布に直結する部分でしかない。(1) はまったく論じられないし、驚いたことに (3) の 「教育」 も論じられていない。地方政党・首長連合には、全体像がない。座標軸がない。ビジョンがない。民主党政権の迷走を見ればよく分かるように、つまるところ外交・防衛論に代表される確固とした国家観がすべての政策の原点となる。国家観が確立されていなければ、政策はポピュリズムでぐらぐら揺れて、もたない。国家観を明らかにしないことで命脈を保つしかない地方政党・首長連合に、わたしは全く期待しない。逆にいえば、(1) から (4) までの論点についてきちんとビジョンを示せるようになれば、運転免許証を与えてもいい。いまの地方政党・首長連合は、国を論じる政党としてはまったく機能していない。機能しようという意思すらない。「仮免(かりめん)以下」 である。その程度の存在をもてはやす論者も、仮免以下だ。
Mar 3, 2011
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愛知県知事に当選した大村秀章氏。じつは、ぼくが東大にいたころ同じクラスだった。文科I類のロシア語クラスだった。なぜ彼がロシア語クラスに来たか、ぼくは知らない。たしかに大学生のころから政治家志望を口にしていた。彼の志望動機を、ぼくは知らない。あのデリカシーのかけらもないような風貌は当然、若いころからそうだ。知性のかけらが彼にあったかは、知らない。そもそも一見して趣味が合わないから、ぼくは大村君とは付き合いがなかった。その人となりに、いいところもいっぱいあったのだろうけど、ぼくは知らない。卒業後、接点が2度あった。1度目は、たしかぼくが大学の6年目のころで、大村秀章氏は農水省で勤務していた。大村 「じつは質問があってなぁ。フランス語を勉強しよ思うんやが、いちばんええ方法、教えてくれんかな。語学のことなら泉に聞けと言われてな」(この方言表記は、いい加減です。すみません。)泉 「え? フランス語? また、どうして?」大村 「こんなとこで くすぶってたら、どうしようもないで。役所にフランスへでも留学派遣してもらおう思てね」泉 「いいねぇぇ。……語学をやるなら、いちおうまずNHKの語学講座を薦めてるんだけど。ラジオを聴く必要はないよ。テキストとカセットテープのバックナンバーをまとめて買っちゃえばいいと思うよ」大村 「え? NHKの講座? ……」そのあと彼が何と言ったか、忘れてしまった。「フランス留学、できたらいいね」 と殊勝なことを言ってぼくは電話を切った。*2度目の接点は、大学のクラス同窓の飲み会だった。大村氏はすでに自民党橋本派所属の議員になっていた。飲み会には、大学でほとんど見たことのない男もいて、聞けば共同通信の政治部にいるという。大村議員は少し離れたところで会計検査院勤務の某君と話し込んでいた。ぼくは共同通信記者君ら数名と政界再編話の雑談をした。「自民党の橋本派みたいな中国奴隷は、野党の中国奴隷とくっつけばいいんだよ。それに属さない、気概のある議員が自民党・野党を問わずまとまれば、政治はずっとすっきりして分かりやすくなる」と、まぁ、そんな話をした。もちろん、橋本派に属する大村議員のことを意識してのことだ。そのうち、大村秀章氏が「何の話してんだ?」と寄ってきたから、橋本派の中国奴隷ぶりをこき下ろしつつ政権再編話を要約し、大村議員の反応を見た。大村秀章氏の顔に戸惑いの表情が浮んだ。それはまるで、街中で突然見知らぬ人に「おお、もう30年も経つかな、おじさんのこと覚えてるかい?」と話しかけられ、必死になって記憶をたどるひとのような表情だった。そして、ついに一言も発しないまま彼は会計検査院の某君との話に戻った。*それが、大村秀章氏との最後の接点である。まだ橋本龍太郎氏が健在のころだ。毎年1~2度、大村議員の政経報告会パーティーへの招待券を送ってくれるが、1度も出たことがない。たぶん、今後も出ないと思う。ぼくは彼に関心がない。その後、大村秀章氏は橋本派を離脱した。
Feb 22, 2011
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英語に訳しづらい政治用語は、屈折した情念がまぶされていてイヤらしい。 その代表例が 「思いやり予算」。 用語の上でだけ、在日米軍を上から見下ろす気分の「思いやり」。 いかにも惨めな、いじましい情緒を感じる。 前原誠司外相が1月21日の記者会見で、今後は 「ホスト・ネーション・サポート」 という用語を使うと表明して、報道側にも協力を呼びかけた。 訳せば 「接受国側支援」 。「ホスト・ネーション・サポート」では長いので、HNS と略語にされそうな気がする。TPPの流儀で。 わたしなら「基地経費分担」と言うだろう。 「思いやり予算」 は 「基地経費分担予算」、略して 「基地分担予算」 と言えばいいと思うが。 あえて私案にこだわらない。とにかく 「思いやり予算」 という語は、替えてほしいものだ。 以下の産経記事によると、「思いやり予算」 という用語は、わたしが嫌いな金丸 信 氏の発言が語源らしい。産経新聞 平成23年1月22日5面≪前原氏 「思いやり予算と呼ばぬ」 新協定に日米署名前原誠司外相と米国のルース駐日大使は1月21日、平成23年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担 (思いやり予算) について、現行水準 (平成22年度約1,881億円) を5年間維持する新特別協定に署名した。前原外相は同日の記者会見で「戦略的な特別協定だ。もはや 『思いやり予算』 という言葉は適当でない」と述べ、今後は 「接受国支援」 を意味する英語の 「ホスト・ネーション・サポート」 を使うと表明。報道陣にも協力を呼びかけた。「思いやり予算」 は昭和53年に当時の金丸信防衛庁長官が「思いやりを持って対処する」と述べ、在日米軍基地従業員の福利費を負担したのがきっかけに使われるようになった。≫
Jan 24, 2011
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最近の政府人事で注目しているのが、アジア大洋州局長の斎木昭隆さんのインド大使就任。1月11日に発令された。朝鮮国に関連する6カ国協議など重要な交渉ごとで、メディアに顔が出る数少ない外交官。こういう気骨あり智あり華ある人が、ほんらい首相候補と目されるべきなのだが、いまの日本の政治風土では58歳の斎木さんがたとえ今年国会議員に当選しても 「チルドレン」 呼ばわりされるだけで、政治家として大成できない仕組みになっている。斎木さんのような人を前にすると、日本のいまの国のシステムの限界が見えてしまう。「インド大使」 として、日米印連携強化に向けてぜひご活躍を。朝鮮国問題をふくめ、中国と対する外交が正念場を迎えるころには、外務次官として外交をリードしていただきたいと念願している。
Jan 21, 2011
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平成13年以来、毎年1月はじめには元旦社説読み比べを書いてきました。 (参考: 平成13年の元旦社説読み比べ) 10年前の社説がそのまま通用する国ですね、日本は。 改憲も消費税引上げも政界再編もまったく進まないから、10年前のオピニオン誌を読んでもほとんど古びていない。■ 老いがひきいる民主党政権 ■≪民主党が歴史的な政権後退を成し遂げてから、わずか1年4カ月。政治がこんな混迷に陥るとは、いったいだれが想像しただろうか。≫ (朝日新聞、元旦社説) 「政権交代」 と打とうとしたら 「政権後退」 と変換された。ワープロソフトは正直だ。 わたしは民主党政権成立で、もっとメチャクチャなことになると想像してました。過去の配信コラムにしっかり書いてあります。 「誰が想像しただろうか」と言われたからには、朝日新聞社に行って「俺だよ!」と名乗ってやりたいが。 幸いなことに、民主党政権にはメチャクチャを貫く実行力もなかったよ。 民主党政権は、鳩山ピエロから菅カカシに代わってまだ、ましになった。 (そこで花のピエロ役を引き受けたのが仙谷由人氏だったな。) 「ましになった」という意味は、菅政権になって、官僚組織が提示する最低線にだけは素直に従うようになったから。 なにかと ひとくせあった鳩山政権より、まだ、まし。 菅直人首相は、要すれば老いているのよね。世の中の動きに反応できないあの鈍(にぶ)さは、老いの典型。 老いには個人差があって、高齢の 「残念」 がくっきり見える政治家に、宮澤喜一氏や村山富一氏がいた。 菅直人氏もその仲間だ。 もっとも、菅首相がもし若々しかったら、外国人参政権実現とかアジア謝罪旅行とか、とんでもないことで頑張っただろうね。 ……鈍な首相で救われる、悲しさよ。■ バカのひとつ覚えの大連立 ■ 元旦社説でいわゆる大連立の勧めを説いたのが、読売と朝日。≪次善の策として、懸案処理のための政治休戦と、暫定的な連立政権の構築を模索すべきではないか。1年ないしは2年の期限を切った、非常時の 「救国連立政権」 とし、懸案処理後に衆院解散・総選挙で国民の審判を問えばいいのだ。≫ (読売)≪自民党は早期解散へ追い込むという。だが、自民党への支持はさっぱり戻っていない。このまま総選挙になれば、投票先を失った選挙難民が路頭に迷うであろう。菅首相が野党との協議を求めるならば、たとえば公約を白紙に戻し、予算案も大幅に組み替えるといった大胆な妥協へ踏み出すことが必要だ。≫ (朝日) “選挙難民”とは恐れ入る新語だが、グーグル検索したら 1,420件がヒットした。 大連立の内容が 「ポピュリズムなき自民党政治」 なら賛成だが、そういうまともな大連立など朝日は全く想定していないだろう。 読売と朝日がそろって大連立のススメを書くのなら、ためしに両社の論説委員らが合宿をして可能なかぎり具体的な連立マニフェスト案をつくってみるがいい。■ 党議拘束こそ日本政治の癌 ■ わたしの意見は、前から書いているが 「党議拘束はずし」 である。 米国の議会では、日本のように厳しい党議拘束がないから、野党議員が自分の脳で考えて与党案に賛成することも多いし、その逆もある。 日本でなぜそうなっていないかというと、理由はふたつあって、(1) 国会議員が能力不足で、自分の脳で考えられない。(2) 党議拘束に従わせることが、党執行部の権力の証し。 党議拘束が外されても、今度は派閥や党内グループごとに投票の拘束が起きるだろう。 党の執行部の威光はなくなり、派閥の領袖や党内グループリーダーの割拠が鮮明になる。 だから与党も野党も党議拘束をする。 だから政界再編がいつまで経っても起きない。 日本の政治の癌は、党議拘束だ。 究極の密室政治を生むだけの大連立には反対である。むしろ、個々の議員の能力と見解をさらしものにする究極の公開政治である 「党議拘束はずし」 をして国の仕組みを変える懸案に挑むべきだ。 新聞は、個々の議員が何に賛成し、何に反対したかを逐一報じて、次の選挙での判断材料を提供すればいい。それこそが、“選挙難民” (?) を無くす道であろう。■ 「元気と底力を引き出す仕掛け人」 ■ 毎日と産経の元旦社説のキーワードは 「底力」。 『日本の本領(そこぢから)』 を書いたわたしとしては、まんざらでもありません。 毎日は社説の前半、18世紀後半の出版起業家・蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)のことを書き綴る。 蔦屋重三郎が賭けた写楽・歌麿をはじめとする美術出版。昨年サントリー美術館の展覧会は、わたしも行って感動しました。 こういう切り口が、元旦社説にはぴったり。社説タイトルは「日本の底力示す挑戦を」。≪斎藤佑樹投手の言にならえば、私たちは何かを持っている。それは長い時間をかけて蓄積された潜在的な力といっていい。明治の急速な近代化も、戦後の奇跡的な復興も、広く世界に目を向けて底力を発揮したことによる。私たちはもっと自信を持っていい。蔦重(つた・じゅう)の挑戦も江戸の人々の教養の高さや社会の成熟があってこそできたものだ。≫≪重要なのは蔦重のように人々の元気と底力を引き出す仕掛け人を生み育てていくことだ。≫ ……と、ここまではとてもいいのだが、ここで息切れ。「ミニ朝日」の悲しさ。■ 中だるみが残念な産経 ■≪日本の芯は、皇室に代表される伝統や、勤勉・礼節といった国民精神などに形容される。変化に対応して、芯といえる底力を作ってきたのは全国で2万を超える創業100年以上の企業だ。≫ 毎日が書けるわけありませんね、こういう文章を。はい、こちらは産経の社説です。 鎌倉・鶴岡八幡宮の大銀杏(おおいちょう)の根元からの新芽 (=ひこばえ) から説き起こしたのも元旦社説にふさわしいし、創業1907年の日本製鋼所が受け継ぐ日本刀づくりの伝統で締めたのもよかったが、 産経社説は、中だるみが残念。 1911年、1931年、1941年、1991年、2001年にそれぞれ、辛亥革命や満洲事変などが起きたことを書き連ねて、 ≪歴史を振り返ると、今年は大激変が起きた節目の年にあたる≫ と述べたのは、安易なこじつけと言わざるをえない。■ 今を切る冴えのある日経社説 ■ 日経社説が唯一、今ならではの切り口の冴えを見せた。無用な楽観に走らず、危機を説いてシニカルにならず。≪来年は 「団塊の世代」 の一番上が65歳を迎え、社会保障支出が急増し始める。働く人が年に0.7%程度減り、経済成長を抑える。本格的な高齢化を2~3年後に控えて、これから1~2年は日本再生への最後の機会となるだろう。≫≪ところが政治家や経営者の間では「日本は大国で、簡単には負けない。改革、改革と叫ぶのは大げさ」という向きが多い。時代錯誤である。≫≪貿易自由化で外の成長力を取り込む。伸びない産業よりも成長産業を後押しする。世界で通用する人材をはぐくむ。それはまさに明治期の人が挑み、なし遂げたものだ。≫≪外科手術が必要なのに、痛み止めを与える。そんな政策を民主党政権は自民党政権と同様、続けている。八方美人の政策は有害でしかない。嫌われても嫌われても、必要な政策を断行するキャメロン英首相 (44) の勇気に倣うべきだ。≫■ 英国政権の政策を勉強してみます ■ 恥ずかしながら、わたしは英国キャメロン政権の政策のことを全く知らない。これは勉強しなければならない。1月の課題を元旦早々にいただいた。 今年の元旦社説読み比べは、日経に軍配を上げる。 なお、東京新聞 (中日新聞東京版) の社説は、今年も読むに堪えないものだった。
Jan 4, 2011
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きのうのブログ 「廃棄する前に競売にかけてはどうか <40万冊の特許情報、効率優先で廃棄>」 の続報である。日経記事によれば、大阪府立特許情報センターがたかが文書保管経費削減のために貴重な 「満洲国公報」 まで廃棄してしまうように読める。そういう非常識を平気でやってしまうのが近頃の行政組織だ、という基本認識がぼくにはある。これは、抗議をしてもしようがないから、文書の有償引取りを大阪府立特許情報センターに申し出た。もちろん、42万冊を引き取るつもりはない。日本の文書は必ず東京に同じものがあるのだからこれは除外し、中国(満洲国含む)や台湾・朝鮮・東南アジアの文書に限って引き取りたいので、整理・梱包・発送の実費を教えてほしいと伝えた。日本各地の図書館や文庫と連絡をとって寄贈先を探そうと考えた。費用持ち出しの 「文化財の商社マン」 をやろうとしたわけだ。*大阪府立特許情報センターから返答があった。結果はあっさりしていた。まず、注目の 「満洲国公報」 だが、これは以下のように移管先が決まっていた:◆ 特許・意匠関連 ・昭和11~15年分は、大阪府公文書館へ ・昭和16~19年分は、工業所有権情報・研修館 (INPIT) へ◆ 商標関連 ・昭和9~15年分は、大阪府公文書館へ ・昭和16~18年分は、工業所有権情報・研修館(INPIT)へ日本の海外統治地域の文書としては、朝鮮の特許文書も若干ながら所蔵あり、これも移管先が決まったとのこと。台湾の文書は、・専利公報 (特許、実用新案、意匠): 昭和55年12月からのもの、約6,900冊・商標公報 (商標): 昭和55年12月からのもの、約1,200冊のみだという。中国・韓国の特許文書は基本的に電子媒体のものしか所蔵しておらず、その他のアジア諸国の特許文書は蒐集していないという。*台湾の昭和55年以降の文書なら、台北でもきちんと保管されているであろうことは容易に想像がつく。わたしが出る幕ではない。文書引取りの申し入れは鄭重に取り下げさせていただいた。あらためて日経の記事を読むと、ちょいと煽っているところがある。過去の文書も容易に電子検索できる時代には、原本が地球上のどこかでしっかり保管されておれば、重複文書の廃棄は許容されると思う。きのうのブログで、文書コレクションは競売にかければよいのにそれをしないのは怠慢行政の暴挙であると書いた。一般論としては、これは依然として正しいと思っているが、今回の大阪府立特許情報センターの措置は妥当性を欠くものではないと理解できた。懇切に答えてくださった大阪府立特許情報センターのかたに、あらためて御礼申し上げます。
Dec 15, 2010
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幕末・明治維新期の浮世絵に似て、国内人には価値が見えないということだろうか。焼き捨てられるのは重複資料がほとんどなのだろうと推測はするが、≪70年余にわたって収集してきた国内外の特許情報が大量に廃棄される。その数は40万冊に及ぶ。≫という報道があった。(日経、平22・12・14、文化面 「文化往来」)≪大阪府の橋下徹知事の見直し方針で、大阪府立特許情報センターの閲覧室が廃止されるのに伴っての措置。≫≪日本の特許以外に30年代から収集してきた米国特許公報、明細書のほか欧州諸国の特許など、さらには戦前の満洲国公報に至るまで、歴史的価値があり、ネットでは探しにくい特許を収蔵。独自の索引を作って情報を探しやすくしていたため、根強い利用者も少なくなかった。≫≪全体で約42万冊のうち1万6000冊は大阪府公文書館、九州大学などが引き取る見込みだが、大半は焼却の運命にある。処分するには惜しいが、効率がすべてに優先する今を反映する話である。≫*満洲国の公報など、かならず有償で引き取りたいという人がいる。置き場を維持する経費ほどのカネに困って焼却するというなら、競売にかけてカネに替えることを考えてはどうか。まとまったコレクションなわけだから、ネット上で公募すれば買取人は必ず現れる。子供でも考え付くであろうそういう努力もしない。怠慢行政の暴挙である。⇒ 続報はこちら
Dec 14, 2010
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この逆説に、しびれた。≪「ひきこもり」 は国民の多くが豊かさを共有できる社会でないと起こりえない。中国は、これからです。ひきこもりは、未成熟のあらわれ。一般に、社会が未成熟だと個人は成熟しますが、社会が成熟すると個人は未成熟になる。インフラが整っているから未成熟な個人でも生きていけるのです。≫日本経済新聞 平成22年12月4日夕刊に、斎藤 環(たまき)さんのインタビューが出ていた。題して 「ひきこもりの高齢化」。社会が成熟すると個人は未成熟になる。「社会」をひっくり返して、「会社」としても通用しそうに思える。会社が成熟すると、社員は未成熟になる。あるいは、こうも言える。経済が成熟すると、未成熟な政党がのさばる。わたしはいまだかつて民主党が政権党たるべく期待したことは1秒もない。しかし、それを期待する愚かな国民が跋扈した。経済が爛熟したためだ。バブル後20年の停滞という爛熟。こどもに政権を渡してみようという、罪な遊び心。「いや、自分は、切羽詰って民主党に投票したのだ」 というひとがいたら、精神分析をしてさしあげたい。*斎藤 環さんの著に『博士の奇妙な思春期』『戦闘美少女の精神分析』『ひきこもりから見た未来』。絶妙なタイトル。こんど、読んでみたい。
Dec 5, 2010
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朝鮮軍からの砲撃をうけた韓国・仁川(じんせん)広域市甕津郡(おうしんぐん)の延坪島(えんぺいとう)。 ニュースを見ながら娘が質問してきた。 「なんであんな危ない島に人が住んでいるの?」 「国境最前線の島だからこそ、いっしょうけんめいに人を住まわせているんだよ。 朝鮮国のスパイが上陸して活動するにも、島に韓国の一般住民が千数百人も住んでいたら、怪しいことがしにくいだろ。 一般住民がいると、朝鮮軍だって攻撃しにくいんだ。砲撃しただけで世界を驚かせる大ニュースだ。もしかりに一般住民がゼロで、韓国軍兵士しかいなければ、朝鮮軍が砲撃してきてもニュースとしての扱いは格段に小さかったろう」■ 延坪高等学校の雄姿 ■ ちょうど 11月22日のブログ 「3月に人口減の与那国島、4月に人口増の石垣島」 で沖縄県の与那国島のことを取り上げた。 与那国島の人口は1,600名。高校がないことが、人口減の一要因になっていることを紹介した。 韓国の延坪島には高校はあるのだろうか。 延坪島のいまの人口は、1,780名だ。韓国語のいくつかのサイトで見た。 ウィキペディア日本語版には、平成20年12月末現在で1,689名とある。平成11年には1,264名だったと、韓国語の 「NAVER百科事典」 サイトに出ていた。 与那国島とは逆に、延坪島の人口は着実に増えているようだ。 その延坪島には、高校が、ある。立派な校舎だ。 小さな写真ですが、「延坪高等学校」の雄姿をご覧ください:http://place.daum.net/place/ConnectView.do?confirmid=8000179↑ このページに、学校のホームページのアドレスがあるが、残念ながらサイトは閉鎖されています。■ 事実上は小・中・高の一貫校 ■ 学校の住所をコピー&ペーストしてグーグル検索してみたところ、仁川広域市のすべての小・中・高等学校の一覧表に行き当たった。 「2009年仁川市教育庁教育統計資料」 という Excel 表。各学年の児童・生徒数や教職員数まで出ていた。 延坪高校の校長が、小・中学校の校長も兼ねている。教頭がいるのは高校と小学校だけ。たぶん、高校の教頭が中学校の教頭も兼ねているのだろう。 5名の事務職員が、小・中・高校の共通スタッフとして働いている。 さて、各学校の規模はどうなっているだろう。◆ 延坪初等学校 (小学校) ◆創立: 1935 (=昭和10) 年5月1日 (← 日本統治時代!)児童数:小1: 13名小2: 13名小3: 14名小4: 9名小5: 13名小6: 7名教員: 教頭 1名、教師 7名◆ 延坪中学校 ◆創立: 1966 (=昭和41) 年9月1日生徒数:中1: 7名中2: 6名中3: 8名教員: 教師 6名◆ 延坪高等学校 ◆創立: 1978 (=昭和53) 年9月1日生徒数:高1: 4名高2: 7名高3: 5名教員: 校長 1名、教頭 1名、教師 10名 高校には入試があるが、「募集人員30名」 とある。よほどの不良でなければ、希望すれば入学可ということだろう。■ まっとうな国家意思の反映 ■ 延坪高等学校は生徒数16名に対して教師が10名だ。経済合理性とは別の、まっとうな国家としての意思を感じるではないか。 仁川港から延坪島までは145キロ。通常の船だと4時間、高速艇なら2時間で着くという。 かつては 「イシモチの島 (チョギ・エ・ソム) 」 とも呼ばれたほどで、いまでも高級魚の水揚げが多い漁業の島である。 韓国の延坪島に高校があって、日本の与那国島に高校が作れぬはずがない。 基本の一歩一歩が、国のかたちをつくるのである。
Nov 25, 2010
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「日本の西端、国境最前線の与那国島(よなぐにじま)の人口は 1,600名ほど。平成15年には 1,800名あまりの住民がいましたが、平成18年に 1,700名になりました。そしていまや 1,600名ほど。 なぜこんなに急速に人口が減るのか、知っていますか?」 11月1920日、ある国際研究所のひとの話を聞いた。実名を出しても問題ないとは思うが、かりに渡辺さんとしておこう。 最近、実態調査のために与那国島に行ってきた渡辺さんから答えを聞いて、「あぁぁァ」 と うめいてしまった。 読者の皆さんにヒントを差し上げよう。町役場のホームページに出ている 与那国町(よなぐにちょう)の人口動態表 だ:■ なぜ3月に島外転出が集中するか ■ 人口が減っているのは、高齢化が進んでお年寄りがどんどん亡くなっているからだろうか。 そうではない。人口動態表から分かるとおり、八重山郡与那国町の毎年の出生数と死亡数は、ほぼ釣り合っている。 毎月の転出数に注目していただきたい。3月に転出が集中している。年々60~80名が3月に転出している。 この数が他の月なみになれば、人口はむしろ微増する。 3月の転出が多いのは、新年度からの就職のために新卒の若い人たちが出ていくからだろうか。 いや、そうではなさそうだ。毎年3月の転出者は60~80名。一学年がそれほど多ければ、与那国島には600名ほどの小・中学生がいることになる。 人口1,600名の過疎の島で、それはありえないだろう。 渡辺さんが正解を教えてくれた。■ 3月に人口減の島、4月に人口増の島 ■ 「3月に転出が多いのは、与那国島に高校がないからです。かつて高校の誘致に失敗したことを、今でも島の人々は嘆いています」 え? それって、どういうこと? 「子供が島外の高校に進学するとき、下宿生活・寮生活をさせて仕送りをしてやれるほど、与那国島の住民は豊かではないのです。 仕方がないから、子供の高校進学を機に一家まるごと島を出て、石垣島などに引っ越してしまうわけです」 あぁぁァ、そうか、3月の転出者の数は、高校進学を迎えた子供のいる家族の父母や兄弟らを含めた数なのだ。 念のため、与那国島の東方120キロのところにある 石垣島の人口動向 を見ると、石垣市の人口は毎年4月に顕著なかたちで増えている。■“南クリル地区”の高校対抗競技大会の写真 ■ 渡辺さんは言う。「国境最前線の町や村に住民が“ちゃんとそこにいる”というのは、とても大事なことなのです。国境防衛の基本です。 ドイツなど、国境最前線の町や村の人口が減らないように、手厚い住民支援の政策を行っています。そういう戦略的な国境政策が日本には欠けています。 与那国島も対馬も、重要な国境離島です。国家戦略の観点から住民支援を行う必要があります」* わが国の北方四島を不法占拠するロシアは、島に高校を設けているのだろうか。 調べたところ、小・中・高校一貫の11年制の学校が、択捉(えとろふ)島・国後(くなしり)島・色丹(しこたん)島に設けられていることが分かった。(日本の学制は 6・3・3 だが、ロシアの学制は 3・6・2。歯舞群島には国境警備隊員がいるだけで、一般住民はいない。) こんなところでロシア語の知識が役立つとは思わなかったが、最新の写真をお目にかけよう。ロシア語で「色丹 学校」でグーグル検索してみた結果だ。http://www.skr.su/?div=skr&id=89108 ロシアのいう 「南クリル地区」 の高校対抗競技大会のようす。平成22年11月11日にアップされた記事である。 ロシア語の記事を読むと 「色丹と国後の5つの高校が参加した」 と書いてある。■ 正しい国境政策の見本 ■ 独立行政法人 「北方領土問題対策協会」 のパンフレットによると、≪択捉島、国後島、色丹島には、約16,555人のロシア人(択捉島6,387人、国後島7,044人、色丹島3,124人)が住んでおり、歯舞群島には国境警備隊員が駐留するだけです。〔3島の人口は、サハリン州国家統計局編 「クリル3地区の社会経済状況」 (2008年) による。〕≫≪北方四島の教育制度は、小・中・高校を一貫した11年です。四島には大学がないのでサハリンや大陸の大学に進学する人も少なくないようです。≫≪ロシア政府は 2007年から 2015年までに約 179億4,000万ルーブル (2009年12月現在の為替レートで 592億円) を四島等の社会・経済開発に投入する計画であると言われ、道路修理、港湾整備、ヘリポートの建設などの社会基盤整備が行われています。≫ 不法占拠は絶対に許せないが、一国家として “ロシアからみれば正しい国境政策” を推進中であることは確かだ。■ 与那国島支援の具体案 ■ では、与那国島の教育支援は、さしあたりどうすればいいのだろう。 端的にいえば、県立の中高一貫の6年制の学校を与那国島に作るべきである。 また、島外の高校・大学に子供を通わせる家庭には、家族が島に残ることを条件に潤沢な奨学金を出して、子供とともに家族がそっくり島外に転出するケースを減らす。 県がカネを出さぬというなら、それこそ中央政府が予算付きで支援政策実施を沖縄県に求めることだ。 国立の中高一貫校を作ってもいい。そこに子供を入れるために与那国島への移住が増えたら、しめたものだ。 与那国島の過疎化が進み、スキが生じて中国につけ入られたときの代償を考えれば、安いものである。 高校の授業料を一律無償にすることはバカでもできるが、選挙で票がほしい政党は、こういうメリハリのある政策を真剣に検討されよ。【平成22年11月22日の配信コラムを転載】
Nov 22, 2010
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自民党が、海上自衛隊によるインド洋での給油活動やソマリア沖での海賊行為の対処活動などに関する特別措置法の法案を、いまの国会に提出予定だという。たいへん良いことだ。雑音男の小沢一郎氏が雲隠れしたことでもあり、ここは民主党もひと芝居打てばよい。民主党推進の何か別の法案に自民党の賛成を得ることにしたからという整理で、民主党も自民党提出の特措法案に賛成して、社民・共産のみ反対というパターンでもって特措法を成立させるべきだ。いま日本が置かれている国際状況を直視すれば、当然の政治展開だ。ここで抵抗野党ならぬ抵抗与党を演じたら歴史の笑いものである。「歴史を直視する」 とは、中・韓のクセ球に屈することではなく、歴史展望のなかに自分の身を置くことを言う。日本経済新聞 平成22年10月13日夕刊2面ベタ記事≪インド洋給油法案を了承自民党は13日午前の内閣・外交・国防・国土交通合同部会で、海上自衛隊のインド洋での給油活動やソマリア沖での海賊行為の対処活動などに関する特措法案を了承した。活動の実施地域は 「いわゆる非戦闘地域であるインド洋の公海等」 と幅広く設定。法律の期限は当初2年、延長は2年以内と定めた。週内に党内手続きを終え、今国会に提出する。≫
Oct 13, 2010
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国会議員をひとり北方領土担当大臣と名づけ、何か起こるたびに 「遺憾」 と言っているだけで済ませる分には、書類の紙代と電話代くらいしかコストがかからない。いちばん安くつくから、それで済ませてきた。これが一方の極端。もう一方の極端は、自衛隊派遣による北方領土の奪還。これは、「国際紛争を解決する手段」 としての 「武力による威嚇 又は武力の行使」 にあたるから憲法で禁じられている。この両極端のあいだに、我々ができることは山ほどある。すべて茶番めくけれど、「北方領土を来年から領有したいと思えば、基本動作として何をしているか」 という発想で考えないといけない。■ 北方領土の日本国による国有化を法で定める ■まず、北方領土は歯舞群島から択捉島まで、一切の補償支払いなしに国有化することを定めた法律を制定する。陸地だけで福岡県ほどの面積のある北方領土は、日本の法律上、日本国の国有地もあるだろうが、私有地 (=日本人が法的所有権をもっている土地) も多い。(国有地と私有地の比率が知りたいものだが……。)「私有地」といっても、ロシアが実効支配しているから日本の法律上の所有権の行使のしようはないが、それでも私有地だ。日本国政府がさまざまなギヴ・アンド・テイクの末に北方領土を返還させたとしても、次の日にはこれら私有権者が「おれの土地だ」 「わたしの土地よ」と言い出すだけで、日本国政府がその土地に道路一本ひくのにも、私有権者に補償金を払わねばならない。じつにバカらしいことが起きる。そういうことが起きないように、今の段階で (つまり私有権の行使のメドがまったく立たない段階で) 北方領土の 「補償なしの国有化」 を法律で決めておくべきだ。考えてもみよ。領土交渉の過程で北方領土の一部を日本政府が放棄することを決めたとしようか。すると、現状の法体系でいけば、日本国民の私有地を日本国政府がかってに放棄させるわけだから、私有権者に補償金を払わねばならなくなる。踏んだり蹴ったりである。■ 千島特区長を定め、千島特区行政事務所を東京と根室に置く ■北方領土のうち、根室市に属するのは歯舞群島のみ。日本の法律上、色丹島・国後島・択捉島には根室市とは別の郡があり、町があり、村がある。国有化後は、これら3島は 「千島特区」 とする。行政区域には、その長がいなければならない。千島特区長を国会承認によって定め、千島特区行政事務所を東京と根室に設ける。行政事務所といっても実効支配していないから、きょう明日の仕事はない。実効支配したとしたら、どういう道路をつくり、どういう施設をつくるかを、まじめに計画して次々に発表するのである。北方領土が返還されたあとの、在留ロシア人への政策も決めておかねばならない。■ 政治には、演劇的要素がある ■こういうことをひとつずつ行わないから、「北方領土を返還せよ」といってもロシア側はまったく本気にしないのである。なめられる構図は、尖閣諸島にそのまま通じる。返還を望むなら、まずそれを演じることから始めなければならない。実効支配の維持を望むなら、まずそれを演じることから始めなければならない。
Sep 30, 2010
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9月2日、手嶋龍一さんの講演会で恥ずかしながら初めて知ったのだが、米軍の海兵隊がなぜ重要かといえば、議会の承認なしで大統領権限だけで動かせる危機即応の部隊だからだ。「たかが尖閣列島ごときのために核戦争のリスクを犯すのか」という米議会の議論とか「日本人はまだひとりも死んでいないのに、自衛隊が出動して先に中国兵を死なせたらどう責任をとるのか」という列島愚者の議論を脇において、自衛隊とともに危機即応してくれる可能性の高い部隊だ。海兵隊の軍服には赤い線が入っている。危機即応部隊を象徴する尊い血の色なのだと、手嶋さんは語ってくれた。軍国主義国中国の軍の冒険主義が年々高まるなか、「海兵隊は不要」 と唱えるには代替する自衛隊駐屯の大幅な強化を打ち出すべきだが、それを言わないから小沢一郎発言は実に不まじめだ。小沢一郎が首相になったら、そんな首相のいる日本のために米軍は血を流さない。有事には本気で、米国人だけ救済して帰る、と割り切るだろう。「あとは北京で交渉だ。東京に用なし」。本来、沖縄には隅々まで自衛隊が日本軍としてきっぱりと駐屯し、米軍駐屯の漸減を目指すべきだが、自衛隊駐屯拡大を伴わない米軍撤退を唱えるのは不誠実・不真面目の極みである。永田町では、「どうせ党内左派対策さ」とか「政権奪還後に備えた社民党への秋波だ」と、けらけら笑って済ませる向きがあるようだが、笑って済ませる内にインド洋での自衛隊の給油協力は中止された。笑って笑って笑って済ませ、不作為のままに、日米のプレゼンスが希薄化するのは、未来の歴史に泥を塗る不始末だ。北國新聞 社説 平成22年9月4日≪「海兵隊不要」 発言 普天間問題の迷走に拍車 小沢一郎前幹事長が沖縄駐留の海兵隊を不要とする認識を示し、党内外に波紋が広がっている。日米両政府は、普天間代替施設を名護市辺野古沿岸部に建設するとした専門家協議の報告書を先月末にまとめたばかりであり、普天間移設問題の迷走に拍車が掛かる懸念も出てきた。 小沢発言は、日米合意の見直しを示唆する内容であり、米国側に改めて不信感を持たれるのは間違いない。非現実的な 「県外移設」 をあおって迷走を重ねた鳩山前政権の二の舞になりはしないか。 小沢氏は、菅直人首相との公開討論で、在沖縄海兵隊8千人のグアム移転を引き合いにして、「米軍は前線に大規模な兵力をとどめておく必要がなくなった」と述べ、「米海軍第7艦隊だけで、米国の極東でのプレゼンス (存在) は十分」とした過去の発言についても否定しなかった。 とはいえ、辺野古移設に代わる 「腹案」 があるわけではなく、日米合意についても「白紙に戻すと言っているわけではない」と弁明するなど、言葉を濁す場面もあった。小沢氏の発言は、日米同盟の根幹を揺るがす重大な内容を含んでいるにもかかわらず、熟慮を重ねたものとは思えない。日米と沖縄の三者が歩み寄れる妙案があるならまだしも、日米両政府がようやく積み上げた合意内容をぶち壊しにしかねない乱暴な発言は避けるべきでなかったか。 政府が発表した報告書は、滑走路2本をV字形に配置する案 (現行計画) と滑走路が1本のI字形案を併記し、最終決着を11月末の沖縄県知事選以降に先送りする内容である。本来なら11月の日米首脳会談で正式決定する予定だったが、菅首相は面倒を嫌がって先送りしてしまった。ただでさえ、沖縄の同意を得るのが難しい状況下で、火に油を注ぐようなことを言うのは理解に苦しむ。 永田町では、小沢氏は党内の左派勢力の支持を得るために、あえて言ったという見方がある。県外移設を主張し、連立を離脱した社民党対策との声も聞かれる。代表選を有利に戦うために普天間問題を利用してほしくない。≫
Sep 4, 2010
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小沢一郎の 「日米安保解体+国連至上」 主義は、どういうコンプレックスによるものなのか。きっと、「あるとき米国人にコケにされて、何くそ今に見ておれ、ほえヅラかくなと思った」とか「中国人の若者にちょっとよくしてやったら、えらく可愛げがあった」とか、そういう低次元の体験から来ていると思う。国連 (正確には「連合国組織」) を至上とする安保体制がなぜ絵空事か。端的に、ふたつ挙げておこう。(1) 中国・ロシアに対して抑止力にならない:日本の2大脅威国が、安保理常任理事国で拒否権をもっている。中国が尖閣列島を軍事占領しても、国連はまったく動けない。(2) 自衛隊が国連安保理決議に基づき日本を攻撃することも可能:小沢一郎の論法。いまの日本国憲法のもとでも国連至上主義にもとづけば、自衛隊は 「日本の国家主権から離脱した存在」 になるから、海外での武力行使ができるのだというもの。各国が結託して、連合国組織の名のもとに日本を軍事占領することを決めたとしたら、どうなる。言っておくが、日本には拒否権がないから、これはじゅうぶん可能性がある。「日本の国家主権から離脱した存在」 である自衛隊は、連合国組織の名のもとに日本攻撃に参加しなければならなくなる!そもそも、国軍を 「国家主権から離脱した存在」 として想定するなどというクレージーな(狂気にみちた)ことをするから、こういう変なことになる。*9月2日に千代田区平河町で 「えひめ産業立地フェア」 が開かれ、手嶋龍一さんの特別講演もあった。手嶋さん曰く、平成7年 (だったと思いますが…) にワシントン特別市で民主党・共和党の超党派で小沢一郎を分析する会議が開かれ、ジョセフ・ナイ氏などをはじめ著名人士も参加した議論があったという。そこでの結論は、「小沢一郎氏はしずかに日米同盟から離脱して東アジアへ軸足を移そうとしている」 というもの。これを報道したところ、当時の小沢一郎は激怒したそうだ。手嶋さん曰く「政治家が激怒するのは、隠したいことをズバリと言われたときです」。まったくそのとおりだ。「15年前には指摘されて激怒していた同じことを、小沢氏はいま平然と述べてみせる。15年前には、悟られると危険だと警戒していたが、いまは警戒する必要がなくなったということだと思われる。」と手嶋さんは言う。「インド洋での自衛隊の給油活動は、国連決議が伴っていないから、ダメ。いっぽう、アフガニスタンでの自衛隊による武力行使は、国連決議が伴っているからOK、というのが小沢氏の論法。いろんな政治家と話しても、小沢氏ほどの国連至上主義を唱えるひとは誰もいません。小沢氏ひとりが、じつに特異な存在なのです」という手嶋さんの言うことが正しければ、個々の政治家に常識と気概が備わる限り日本は安泰なのだが、民主党代表選で小沢に蠅のようにたかる人の群れを見るとそれを期待するのは難しい。暗澹たる思いがする。けっきょく、常識を守る存在としての官僚集団が頼り、ということになってしまうではないか。だからこそ、小沢一郎は掲げるのだ。「政治主導」 を。小沢の 「政治主導」 とは、「コンプレックス男による常識外れの独裁」 の別名である。
Sep 3, 2010
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