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Jul 17, 2011
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カテゴリ: 日本の政治

滝田 (たきた) 洋一 著 『世界経済のオセロゲーム』 (日経プレミアシリーズ)

読みながら付箋をつけたところを再読してみた。

◆ 働く人への配分を増やす必要 ◆

≪今から振り返って問題があったとすれば、銀行の不良債権処理が峠を越え、企業業績が順調に拡大しだした2006年から07年のあたりで、企業経営者が働く人への報酬の還元をもっと積極化すべきだったのではないか。≫  (61頁)

≪働く人の取り分が抑制された結果、消費を中心とした内需の増加は抑えられ、2007年から08年にかけて顕著となった資源・食糧価格の高騰とリーマン・ショック後の世界同時不況に、景気が予想外の脆 (もろ) さを示したように見える。≫  (62頁)

◆冷めつつある中国市場への幻想◆

≪オバマ政権が2010年9月16日に発表した「国家輸出戦略」の報告書から感じ取れるのは、どことなく中国に冷淡な雰囲気だ。…… 
米国輸出入銀行が挙げる成長率の高い9カ国のなかに、ブラジルとインドは入っているが、中国の名は見えない。

中国ビジネスのリスクを認識しだしたからこそ、米国は中国一辺倒の姿勢を避けようとしている。
中国ビジネスのリスクとは、例えば中国進出を狙う外国企業同士を競わせ、許認可が欲しいなら先端技術を提供しろと迫る手法だ。
政府が弱腰な日本の企業は、この手法で随分煮え湯を飲まされたが、米国は我慢の限界を超えていると考えた。≫
 (129頁)

◆オランダの農業にヒントあり◆



≪オランダは近隣のフランスやドイツから飼料用の小麦を輸入して家畜を育て、畜産物を製造し、それを輸出している。
だが、牛乳の輸出額は2億1000万ドルとそれほど多くない。
一方で、チーズの輸出額は29億ドルにもなっている。…… 付加価値を高めたチーズの輸出によって利益を得ている。
また、トマトが15億ドル、トウガラシが11億ドルなど、野菜の輸出も盛んだ。≫
 (210頁)

≪オランダ型の農業を目指す場合、カロリー (熱量) ベースでみた食料自給率は低下してしまう。現にオランダの穀物自給率は2007年時点で14%にすぎない。

日本では食料自給率の維持・向上が農業問題を論じる際に金科玉条となっているが、ここでもそろそろホンネの議論をすべきときだ。≫
 (211頁)

◆高齢の農家に「退職金」を◆

普段、農業に従事している 「基幹農業従事者」 は2009年の平均年齢が65.7歳。65歳以上のひとの占める割合は09年に60.4%だ。

≪農業従事者が高齢化し、しかも農地が狭いというのであるが、名誉ある引退という道も考えられないだろうか。

韓国に例がある。65~70歳の農民で、水田を売却するか貸し付けて農業から引退する人には、1ヘクタール当たり25万ウォン (約1万8000円) を支給する。
売却の場合は最長8年間支給し、貸し付けの場合は1年間支給する。
稲作から引退する農民への 「退職金」 のようなものである。≫
 (213頁)

≪EUも離農奨励策を用意している。55歳以上で通常の退職年齢前に離農した農民に対し、離農奨励金を支払う。
……
日本でも、強い農業を作るためにはこうした離農政策を採り入れるべき時期に来ているのではないか。
オランダのような輸出に強い農業を目指すには …… 農業の担い手の抜本的な組み換えが欠かせない。そろそろホンネの議論をするときではあるまいか。≫
 (214~215頁)

う~ん、65歳を過ぎても田畑を耕すホントの理由は、農地が突然ショッピングモールや道路にされることで大儲けする千載一遇のチャンスを逃したら悔しいから、じゃないか。
「お宅の農地、今後20年間はどうせ高くは売れませんよ」 と説得するのが一番かもしれません。



伊藤元重 著 『ゼミナール現代経済入門』 (日本経済新聞出版社) を読みおえた。前半は斜め読みだったが、最後の3分の1は丁寧に読んだ。

最後は、日本の農業政策のことで締めくくられていた。やはり、農政の沈滞が日本の癌なのにちがいない。

≪市場開放という視点で日本の食料・農業政策を考えていくとしたら、あるべき政策は明らかである。

(1)農業保護政策を関税などの輸入制限政策から、農家に直接支援を提供する補助金型に変えていく。

(2)その農業支援は農業を専業に近い形で行う専業農家 (プロ農家) に集中すべきで、兼業農家への補助は縮小していく。

(3)日本の農産品を海外に積極的に輸出していくような支援策を展開すると同時に、海外から輸入したほうが安くすむ産品については国内での生産を縮小する。≫


つくづく日本の特権階級とは、宅地の必要を優に超える面積の土地を所有し、ダブル・インカムで、且つ選挙運動をする時間的余裕のある兼業農家諸氏だと思う。
特権階級を打破せよ!

何のことはない。2世代前の農地改革で生まれた階級じゃないか。





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最終更新日  Jul 17, 2011 08:13:28 PM
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珍しいことに泉様のご意見と異なります  
secretary-of-japan さん
日頃より本ブログを楽しませていただいております。
また、再生エネルギーについても全く同感で、5年ほどは技術を集積させて、各社の部品がある程度共用できるようにしてからでなければ、国益に寄与するインフラではなく、国の重荷になると思っておりました。

さて、本論では、滝田洋一氏の著作を取り上げられ、概ねご賛同されておられますように見受けます。カロリーベースを基にした農政の虚構に基づいた施策など仰られるとおりですが、日経が描く「農業者は不動産管理業だ」とする絵は、農業者の一部を摘み上げただけのもので全体から見れば全く異なります。

現在の9割がたの農業者の営農を続ける理由を申し上げれば、それはご先祖様に対する義務感であり、子孫に対する愛情です。実際に農地を維持することは容易なことではなく、数百年間に渡り手を入れてきた結果としての農地があります。(この点は伊勢氏のメールマガジンの方にも記載がありました。)

農地を大規模化することは大切ですが、農業従事者の数を減らして、充分な手入れができなくなった農地は、除草剤をかけられ、水路の則面が崩れ農道はセメントなどで固められます。

これでは付加価値の高い農産物はできませんし、農地が産み出す付加的な価値(様々な小動物を育むなど)もなくなります。

政策として、農地・水・環境保全向上対策事業というのが行われていて、農業者だけではなく地域全体で農業関係施設を保持していくという事業がなされていますが、なかなか地域の協力は得られておらず、実質的には農業者だけで整備をしている状況です。

このような中で65歳以上の営農者を農業から追い出すような施策は日本の農業の更なる衰退に繋がりかねません。ご再考いただければ幸いです。 (Jul 18, 2011 09:49:00 AM)

「追い出す」 と要約してしまうところが、読み違い  
Izumi Yukio  さん
読み違いというのは恐ろしい。
今回の書き込み者も、わたしが賛同した政策について曰く:
「65歳以上の営農者を農業から追い出すような施策」
と。
「追い出せ」などとは一言も言っていない。より適格な人々によりよい形で譲っていただきたいわけである。それを促す政策には、十分に意味がある。

会社にも、ポストオフの制度があり、準定年や定年の制度がある。それによって企業体としての活力を保っている。
ポストオフや準定年・定年後の人々をどう活かしつづけるかは永遠の課題だし、ぼくも会社で自分の時間の壁を意識しはじめている。
確実にいえるのは、社会が繁栄を永続させるには、世代交代を促進する仕組みが不可欠だということだ。

「離農」したからといって、家で ぽけ~~っとする必要はない。やはり田を耕したいという人が、あらためて、世代交代後の農業事業体のなかで働きなりの賃金を得ながら汗をかくことができればすばらしい。
それは、制度設計のなかで採り入れられるべきアイディアだ。「老人も汗をかきたい」という情緒を、けっして世代交代に反対するための理由にしてはならない。 (Jul 18, 2011 10:10:52 AM)

Re:「追い出す」 と要約してしまうところが、読み違い(07/17)  
secretary-of-japan さん
農業事業体のなかで働くのは構わないとのご意見で安心しました。

ただ、滝田氏のご意見は引退させるとの趣旨が強く感じられます。

実際、現在の集団営農を推進する施策(民主党により捻じ曲がってはいますが。)の中で、多く(圃場整備実施地区では8割方)の営農者は集団営農に移行し、60代前半の若手(苦笑)を中心とした集団営農団体で高齢農業者を手助けしながら農業を営んでおります。

民主党政権下で集団営農を行うメリットは半減させられ農業者は混乱していますが、再び政権交代する中で、元の施策に戻ればほぼ100%、集団営農に移行していくでしょう。

そういう状況下でわざわざ農業退職金を持ち出された滝田氏の意図が全く理解できず、賛同しかねるものでしたので、コメントを入れさせていただきました。

今後とも泉様のブログを楽しみにさせて頂きます。
わざわざのご返信ありがとうございました。 (Jul 18, 2011 10:49:39 AM)

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