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これは、Asahi.Com「どらく」に載っている、松任谷正隆の連載もののうち、昨年12月に書いた原稿ですが。これが、なかなかな表現のです。 マイケル・ジャクソンの「This is it」をDVDで見ました。実は、松任谷と同じような感慨を持ったのです。マイケル・ジャクソン、偉大であったが悲しい存在だったのです。
結論から言いましょう。僕は非常に痛々しい気持ちになりました。そうか、彼はアメリカンショービジネスに飲み込まれた被害者だったんだ、とあらためて思った。考えてみたら、クインシープロデュースの「オフ・ザ・ウォール」あたりからみるみる今のマイケルが出来上がっていく訳だけれど、同時に常人では考えられない方向にシフトしていった。マイケルの心の中に闇が出来上がったのもこの頃からなんでしょう。大きなショービジネスに魂を売る代わりに成功をもらった、と言えるかもしれない。それも根こそぎ売ったように思います。久しぶりのツアー、それも想像を絶するほどのお金のかかったショーです。
それを前に死んでいったマイケルの無念……とは実は思わなかった。マイケル自殺説、なんていうのもあるらしいですが、たしかに彼が華々しく散っていくとしたら、このタイミングしかなかったように思います。ツアーの途中でも、あとでもないと思う。汚れてない今、なんですよね。
映画の中では、彼はキングです。誰も逆らわない。でも逆に、そこにはお金の匂(にお)いがぷんぷんします。マイケルの周りには常に、純粋ではない人たちがいました。もちろん純粋な人たちもいたけれど、それは出演者くらいでしょう。キングに仕立てられて、そうすることで流されて……マイケルが自分の意思で出来た最後の抵抗は、注射で命を絶ってもらうことだったんじゃないか、なんて思う。こんな邪推は熱烈なマイケルのファンには申し訳ないですけれどね。
でも、アメリカのショービジネスは怖いですよ。日本のそれも怖いけれど、その比じゃない。マドンナくらい強くないとだめです。マイケルは繊細ですよね。僕は彼のレコーディングスタッフと20年近く仕事をしてきたので、いろいろなことを聞いています。ついたてを立てて、誰にも見せないように歌入れをしていたそうです。ものすごい音量でプレーバックするので、エンジニアもみんなスタジオの外に出て、マイケル一人でプレーバックを聞いていたそうです。アーティスト、というよりも一人の人間の孤独を感じます。
亡くなって、こんな映画が公開されることまで、彼は分かっていたんでしょうか……。最後の血の一滴まで、アメリカのショービジネスに吸い取られた、やっぱり被害者にしか思えませんでした。
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