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独PORSCHE911のアップデートされたGT3。レポートは清水和夫、記事はCar Viewからです。
世界中のスポーツカーファンが注目する今年の目玉はポルシェ911 GT3だ。新型カレラが大ヒットしているが、911シリーズの最終秘密兵器がGT3であることは間違いない。9月に発表される911ターボも同じような速さを誇るはずだが、ターボはむしろラグジュアリーな高級クーペというコンセプトを踏襲するはずなので、GT3こそリアルなスポーツカーとして注目されている。 他のポルシェモデルと比べるとさらに明確にGT3の速さが分かる。数千万円もするスーパーカーのカレラGTは7分30秒、ターボエンジンを積む究極のリアルスポーツである997型GT2でも7分32秒だから、新型GT3の速さが光っているわけだ。この速さの秘密を明らかにすることが今回のレポートの一つの目的だ。そのカギとなる技術から見てみよう。 その前にどんな場所を走ってきたのか報告する。試乗会はポルシェの故郷であるバイザッハ近郊の丘陵地帯で行われた。アウトバーンをオーバー250km/hで走るよりも、ハンドルを切るのが楽しくなるワインディングで走ったほうが、GT3の本質が理解できる。このコース設定は大歓迎だ。 目の前に現れた新型GT3はターボやカレラ4と同じワイドボデイが与えられているので、997型よりも全長が長くなったように見える。 低い車高とチタンカラーに塗られた20インチの軽量ホイールは精悍に見えるし、ホイールの内側に収まるPCCBの黄色いキャリパーは定位置という感じだ。その完成されたパッケージに「480psという強烈なパワーユニットがいったいどこに格納されているのか」と改めて疑いたくなる。やはりリヤエンジンのスポーツカーは孤高な存在だ。 エンジンの詳しいスペックから見てみよう。新型GT3には新しく設計された3.8リッターのボクサーエンジンが搭載される。今までのGT3では、通称「GT1クランクケース」を使うという習わしがあったが、新型GT3は使っていない。 「GT1クランクケース」は剛性に定評のある縦に2分割された特別なクランクケースを持つ、レース用空冷エンジンだ。一方、新型GT3のエンジンはカレラSの3.8リッターをベースにしている。GT3のエンジンは9000rpmという高回転を実用化するため、新開発のロッカーアームを採用してカムシャフトやバルブなど動弁系の慣性重量を低減している。さらにコンロッドとピストンピンはチタン製で、秒速25メートルを超えるピストンスピードに耐えるように設計している。 燃料噴射は直噴式だがその圧力はなんとノーマルの2倍の250バールだ。 インジェクターは6個のホール(穴)があり、短時間にガソリンと空気を均質に混ぜるために、スプレーのように噴射される。 また、高い横G下でも潤滑油が途切れないドライサンプ方式を踏襲するが、クランクケース内は6つの部屋に隔離されている。こうした技術で最高出力475hp(350kW)を8250rpm、最大トルク440Nmを6250rpmで絞り出す。許容最高回転数は9000rpmと量産型では最強の自然吸気エンジンとなった。 実際の加速はとても鋭い。「気持ちいい」を通り越して「アドレナリンが出すぎて、溺れそう」というのが正直な感想だ。エンジンフィールは5500rpm前後を超えるとさらにパワーが盛り上がる感じだ。 「いわゆるカムに乗る」という感覚だ。この気持ち良さは決してターボでは味わえない。レブリミットは9000rpmだが、8800rpmくらいで自動的にシフトアップ。トラクションコントロールをカットするときっちりと9000rpmまでまわる。 試乗会でも各国のジャーナリストから質問攻めとなっていたのは「なぜMTを廃止したのか」という疑問であった。ポルシェは「ピュアリズムかパフォーマンスか」という選択を迫られたと正直に告白している。しかも、GT3専用に開発されたPDKはシフトアップ&ダウンの所要時間が0.1秒と素早く、プロドライバーも敵わない。また、GT3はレーシングカーと同じように前方に押すとシフトダウン、手前に引くとシフトアップなので、シフトミスからも開放された。 その結果ドライビングに集中できるので、走行ラインを正確にトレースできる。GT3オーナーのこんなライフスタイルが目に浮かぶ…「サーキットでビジネススーツからレーシングスーツに着替え、ゆっくりとピットロードを後にする。タイヤが温まるのを待って、GT3のパフォーマンスをサーキットで楽しむ。PDKによって集中力が増したおかげで、一周も走らないうちに体内にはアドレナリンが充満した。 走行後は汗をシャワーで流してビジネススーツに着替え、午後からの会議に出席するために都心に戻っていく。GT3は何事もなかったようにいつもの従順なスポーツクーペに戻ってくれた。」 これがGT3オーナーの理想的なライフスタイルではないだろうか。MTでは速さに限界があるし、200km/h以上のコーナーではドライバーにシビアな操作を強いることになる。PDKはミスがない。その分、安全にハイスピード走行が可能なのだ。これがポルシェがMTを廃止した理由である。さらにPDKなら油圧を使った電子制御LSDを使うことができるが、MTでは同機能が使えない。いまさらメカニカルLSDでもないだろう。 ユニークな機能はPSMをカットした時だけ有効な「パドルニュートラル」だ。両方のパドルを引くとギアはニュートラルに入る。濡れた路面を走っているときエンジンとタイヤを切り離して、タイヤのコーナーリングフォースを向上させることができるのだ。
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