エジプト生活 25



ついに帰国の日が目前にせまってきた。
頭の中は日本に帰ったらやりたい事でいっぱいであった。

吉野家の牛丼 が食べたい。
ストリート・スライダーズ の新しいCDが聴きたい。
友達と 寿司 を食いに行きたい。
テレビ が見たい。
そば を、鼻から出てくるまで食いたい。
女の子 と飲みに行きたい。
うまい スコッチウィスキー が飲みたい。
バイク に乗りたい。

一年間、ガマンするしかなかった事が、やっとできる!
そのヨロコビは大きかった。

その反面、さみしさもあった。
エジプトでいつもおいらを暖かく見守ってくれた友人たち。
はたして今度はいつ会えるのか。
もしかすると、もう一生会えないかもしれない。
そう考えるとさみしかった。
日本に帰ったら、またあの慌しい毎日が待っている。
エジプトでの、新鮮で刺激的な、驚きの連続!な生活が
終ってしまう。
そう考えるとせつなかった。

アレキサンドリアを去る日、友人たちが送迎会を開いてくれた。
ケーキやおいらの好きだったエジプト料理がテーブル一杯に並ぶ。
残念ながら酒はNGなので、ジュースで乾杯。
そして、彼らはおいらにプレゼントをくれた。
それは、一着の「ガラベーヤ」であった。
ガラベーヤとは、エジプトの民族衣装である。
オーダーメイドで作られたそいつは、おいらの体にぴったりであった。

数日前、見知らぬ男が現れて、体のサイズを測らせろ、と言ってきた
のはコレだったのか!
goodbye

そうして、彼らはこう言ってくれたのである。
「ろっくん、君は俺たちのブラザーだ。エジプトはいつでも君を
待っている。必ずまた来てくれ。
その時はホテルなんかに泊まるんじゃないぞ!
俺たちの家に泊まるんだ。
必ずまた会おう! と。

                       後編へつづく。


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