中国出張記 3






酔っ払い二人に連れられて、なんとかやって来ました中国。
場所は広東省広州。香港の対岸にあるところだ。

この広州は、中国の中でも経済成長が著しいところだそうで、
市中は高層ビルが立ち並んでいた。

さて、ホテルで一泊したのち、仕事場へ向かう。
そこは広東省の郵政局で、広東省内の各主要都市にわしが勤めていたメーカー
のメインフレームを導入したらしいのだ。
で、エンジニアが必要になるので、中国人2人を日本に呼んで、研修センター
で数ヶ月みっちり教え込んで返したそうだ。
そしたら帰国後あっさり 辞めちゃった んだと・・・。
で、急遽、代わりのエンジニアを用意したから、彼らに教えてくれ、というのだ。

そのような経緯であるからして、当然おいらが教える相手も二人だと
思っていた。
が、案内された部屋に入ってびっくりだ。
総勢12名が拍手でお出迎え。
わーお!?何?え、全員わしが教える相手?

部屋は一番前に黒板が用意され、12名分の机と椅子がきれいに並べられている。
そう。学校の教室状態。
「ろっくん先生です!」と紹介される。せ、先生!?むひー!
いかん。いかん。彼らは本気だ。

さて、その12名を相手に研修を始めたのであるが、なにしろ急に決まった出張。
何も資料など用意していない。
研修スケジュールさえ無い。
いきなりしどろもどろなのである。
海外部のすちゃらか課長の顔が浮かぶ。
「いいよいいよ 適当で。 」だと?
皆、やる気に満ちたギラギラした目でわしを見つめているぢゃないか。
又だまされた!
そう、そのすちゃらか課長、 エジプト生活 4 で紹介した、「君の住むところにはプールが付いてるよ」「ごめん、それサウジアラビアだった」と同一人物。
あのヤロウ、また騙しやがったな。帰国したらただじゃおかねぇ。
が、そんな事を考えていてもどうにもならない。
アドリブ全開の研修を、しどろもどろで続けたのである。

研修は朝9時から夕方6時まで。昼休みを除いて8時間びっちりである。
これを資料もスケジュールもない状態で、アドリブでこなすのはかなりしんどい。
早急に研修資料を作らねばならない。
が、夕方6時に研修を終えたら、今度は壊れているコンピューター達の修理で
ある。あへー・・・・。
夜10時までを修理の時間に充て、ホテルに帰り食事。
再度合流した例の二人は、再びご機嫌に酔っ払うべく酒を飲みまくっているが、
わしはそれどころじゃない。
早々に部屋に引き上げ、研修資料を作る。
やっと翌日分の資料を作り上げた頃には、外は明るくなってきていた・・・・。

そう、この中国出張2週間は、わしにとって「仕事オンリーの地獄の旅」と
なっていくのである。


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