独断と偏見のロ～～マンス

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2008/10/04

悪の華にくちづけを・・・ロレッタ・チェイス

(8)

テーマ：ロマンス小説　読書日記(461)

カテゴリ：読後感想

あらすじ

両親に早く先立たれ、弟や従兄弟たちに囲まれて育ったジェシカは
男勝りの性格で、２７歳という年齢とその美貎にもかかわらず、
まるで結婚に興味がなかった。
そんなおり、パリで暮らす弟のバーティが、
悪名高い資産家、デイン侯爵のもとで
酒と賭博に溺れているとの知らせがはいる。
弟を連れ戻すためパリに乗りこむジェシカ。
しかし、目の前に現われたデインは、

魅力あふれる男だった…ロマンス史上に燦然と輝く金字塔！
１９９６年のＲＩＴＡ賞（ショート・ヒストリカル部門）を受賞。

独断と偏見
こ、こ、これは・・・新しい分野
ヒス・コメ（コミカルなヒストリカル）でございましょうか？
いやぁ、もう、まずヒロイン！ツボです、ツボ！！
ファムファタルと呼ばれるほどの美貌を持ちながら、
ファムファタルと呼ばれるほどの奔放さを持ちながら、
さらにファムファタルの名に恥じないほどパリの男達に愁派を送りながら、
処女よ、処女・・・しかもヒーローにメロメロ
なんと言っても自他共に認める野獣のようなヒーロー
ヒーロー本人が自分の姿かたちを忌み嫌い

イタリア系独特の大きな鼻や、イギリス人にあるまじきビッグな体躯・・・
これをヒロインの色眼鏡では
「メディチ家の御曹司の再来のような顔」「ローマの神のような肉体」に変換されて見えるらしい
で、ただ単にメロメロなオバカなヒロインかというとさにあらず
頭の回転は速い、そこいらの男供より腕っ節が強い、男独特のジョークもわかる

そこいらを作者は男兄弟、従兄弟に囲まれて育ったからとちゃんと説明をつけてるし
ヒーロー側の背景もちゃんと織り込まれていて
どうしてああいう性格が形成されたかをちゃんとさりげなく説明つけてあるのです。
要するに違和感なく全てがすんなり頭に入ってくるというか
あの分厚さをするすると読み進めていけるのでございます。

片やヒーローは
ボクちゃんみたいな醜い男はお金を払わなきゃ女の子に相手してもらえない！
醜い姿で世間の波（学生時代）に対抗するには腕っ節が強くなくちゃ！
と、必死に自分の弱い心を隠して放蕩物の名を高める
とんでもなくオトメなヒーローなんでございます。
自分の身体が大きすぎで新婚初夜にヒロインを引き裂くのじゃないか？と心配したり
余りの仕打ちにヒロインが逃げるのじゃないか？と心配したり
ともかくモノローグが面白い！

そしてこの二人を取り巻くサブキャラたちの頓珍漢なこと
ヒロイン弟のオバカ加減は・・・笑えます。
愛すべきオバカです。（いつぞやの弟キャラとは大違い！）
競馬場のヒソヒソ話のような声で秘密をしゃべるし
（想像してください笑えます）
あれやこれやと勘違い甚だしい行動をとってヒロインを心配させるし・・・
ああ、悪者もいましたね～～
たとえばヒーローの婚外子を産んだ娼婦・・・色々画策するんですが
コレがまた憎めない愛すべき悪女です。
で、ヒーロー友人でお金に困ったお坊ちゃま
そそのかされてヒーローのお屋敷に放火したり（実際は小屋）
泥棒に入ったり・・・挙句にヒロインにめった打ちされてちゃんとしゃべれない
（ここはもう、はらはらじゃなくてゲラゲラでした）
愛すべきヒールです。

H&Hは初めから火花が散ってアチチ状態で
きわどいところを目撃されて
どちらも相手が仕組んだことだと思い
ヒーローはかなり傲慢鬼畜な行動をとるのでございますが
対するヒロインはアニキです・・・
みんなの目の前で「バン！」（平手打ちじゃぁございませんのよ！）
その後すたすたと自首するし
ともかく全篇通して
コミカルで、スカッとして、ホロリと来る
これまた大変読んでいただきたい1冊でございます。
とりあえず裏表紙のあらすじは信用せず
機会がありましたら是非是非お読みください！
と、思わずだれかれかまわず紹介したくなる内容でございました。

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