灰色猫のはいねの生活

灰色猫のはいねの生活

その4


女の子特有の自転車で由記が追いかけて来る。
明に何かで勝つことが出来るやつがいるとしたら、それは由記くらいだと思う。
勉強はいつもこの2人がトップを争っている。
由記は女ながら話せるやつで、今年は白組。
チームメートだ。
優しくて面倒見が良くて、何度となく作文の賞をとっている。
去年までずっとおかっぱ頭だったけれど、6年生になる春休みにすっきりと髪の毛を切ってショートカットにした。
本人は失敗した、なんて言っていたが、思いの外それは由記に似合っている。
運動はイマイチだったけれど、今年になってぐんと背がのびてソフトボールも6年の女子ではただ1人、根性でAチームにレギュラー入りした。
ポジションはファースト。
もちろん俺と明は4年生の時からAチームで、明はピッチャー、俺はショートだ。
由記がAチームにレギュラー入りして俺達と肩を並べた時、明は「これで3人そろったな」って素直に喜んだけれど、俺は正直、複雑な気持ちだった。この2人には勝てないんだろうかと思って。


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