がんばにゃん!!!

老猫性腎不全



老化により腎臓の組織がだんだん壊れて進行していく腎臓の病気です。
腎臓の組織が他の臓器と決定的に違う事、それは一度壊れてしまった細胞は再生する事が不可能という点にあります。

これも老猫性口内炎と同じく老化、また食生活で自然に壊れていく病気です。やはり平均10才前後から、次第に腎臓組織は壊れていきます。個体差がありますので、かなりの年齢になっても症状が出てこない子もいます。が、老猫の死因で多いのが、この慢性腎不全です。
腎臓はかなりの組織が壊れるまでは症状が現れません。ですから、気づいた時にはかなり進行していたり、後半~末期に入っていて尿毒症が出てから気がつく事もあります。血液検査でもよほど進行していかない限りは検査数値に表れない事も多いので、検査では正常な数値でも獣医さんは触診を診断のひとつとして行います。

血液検査ではCre(クレアチニン)&BUN(尿素窒素)の数値で、腎臓が悪くなっているかどうかをみます。血液検査で数値が判る頃は、既に腎臓の75%がほとんど機能しなくなっていると考えられます。ここまで腎不全が進行しないと、検査数値には表れてこないために、獣医さんは腎臓の触診を行なって固さや形などを触診するのです。

■腎不全の症状

1・多飲多尿
 腎臓の約60%が壊れた頃から出てくる症状です。頻繁に水を飲んでは、トイレに何回も行ってシッコをします。それ以外の腎臓からの症状はほとんどありません。頻尿のために、尿の色は薄くなり、猫特有の尿のニオイも薄くなっていきますが、これら自体には問題はありません。
多飲多尿の理由は腎臓組織が壊れてしまっているので、正常な頃に比べると体内の老廃物・毒素・不純物などを濾過して排出する機能が追いつかないのです。そのために、たくさん水を飲んで、たくさん排尿する事でようやく、正常に老廃物等を全て排出しているのです。

1日に水を300~600cc以上飲むようになります。糖尿病も多飲多尿が出てくるので、病院で検査して病名を確定してもらいましょう。

2.尿毒症(吐き気・嘔吐)、高血圧、貧血、むくみなど
 腎臓では、肝臓で解毒・分解されて血液に含まれている老廃物を、全て余分な水分と一緒に尿として排出しています。しかし腎臓の細胞が壊れていくにつれて、次第に血液をきれいにしていく働きが低下していき、血液は濁ってだんだんドロドロになっていきます。
血液がドロドロになると、血液を送り出す心臓にも負担がかかり血圧が上がっていって高血圧になります。また毛細血管の塞栓から、血管の破裂を起して眼底出血を起すこともありますし、心不全の原因にもなります。
腎不全性の高血圧・眼底出血・心臓病はこういったドロドロの老廃物のたまった血液が原因で起こってくるのです。
また血中に毒素がたまるので、だるくて動けなくなり寝てばかりいるようになります。

また、腎臓では造血ホルモンも生産しています。このホルモンをエリスロポエチン
(またはエポジン)と呼びます。腎臓が壊れてくると造血ホルモンの生産も低下する
ために、貧血も起こってきます。
病院での治療法としては、ステロイドや増血剤(エリスロポエチン)ホルモン注射をします。ステロイドは腎臓の造血ホルモン分泌を増やすためですが、同時に骨髄の造血を抑制してしまいます。エリスロポエチンは1回目の使用で貧血改善される場合もありますが、2回目以降は、免疫細胞が異物と認識して無効にしてしまうので、貧血改善が出来なくなってしまうケースが多いようです。

3.嘔吐に血が混じる。
末期症状で出ることがあります。吐しゃ物に血の塊があったり、全体に薄く血が混じっているような事もあります。貧血進行などで胃腸粘膜からの出血が起きるためです。血を吐いた場合は、もって1~2日というケースもあるのでお別れの覚悟も必要です。

腎臓が悪い場合に点滴や様々な薬を使用していると、これらを腎臓で濾過しなければならないので、ますます腎細胞が壊れていき腎不全が進行していきます。肝臓も薬の分解・解毒をしなければならないので負担になっていきます。次第にグッタリして体調も悪くなっていく事が多いのです。
腎不全は病気というよりは老化現象で、薬で治せる病気ではないので、できるだけ食生活に気を使ってあげて、利尿作用や血管拡張作用のある漢方で自然な排尿を助けてあげる方が本猫にとっては負担のない毎日が送れるはずです。

(文責:Erie)



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