漫望のなんでもかんでも

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まろ0301

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2023.06.19
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 朝ドラの「らんまん」を楽しく見ている。長田育恵作、神木隆之介、浜辺美波、志尊淳他の出演。

 先週、ちょっと面白い部分があったので、紹介とコメントをしてみたい。

 高藤なる人物が、浜辺美波演じる西村 寿恵子を見初め、来年開館する鹿鳴館のためのダンス指導者 ( ついでに妾 ) としようとする。レッスンは順調に進み、エリートたちが夫人を伴って会した場所で、お披露目が行われる。

 高藤曰く。

 「鹿鳴館は外国人に我が国が文明国であることを認めさせることが第一義、そのためにはダンスが必ずや必要となるものです。」

 そして寿恵子と踊り終えた後で、

 「どうです。鹿鳴館は目的ではなくただの手段です。我が国を認めさせ、屈辱の不平等条約を撤廃し、今度は我が国が他国へ出ていく。西洋諸国がそうしたように。」

 「ダンスはただの手段だ」と始まった鹿鳴館でのダンスパーティーは、ほどなくして「目的」となる。要するに、明治のエリートたちは、ダンスの楽しさに目覚めてしまったわけだ。ダンスというのは、女を抱いて踊るという事だが、西洋人も中々粋なことをやってくれる、というセリフが少し前の回でささやかれていたと記憶している。

 ジョルジュ・ビゴーの風刺画に、ドレスと燕尾服に身をかためた男女が鏡の前に立っている、という作品がある。鏡の中にはドレスと燕尾服を着たサルが写っている・・、というオチがつく。

 形から入る。ダンスを楽しみ、パーティーには必ず夫人同伴・・というのが文明国と彼らは認識していたようで、まさに「猿真似」。

 高藤曰く。

 「この場にいる我らこそ民草を導いていくのです。日本は一等国となるのです。」

 「民草」。このような言葉が発せられる以前の幕末の事。吉田松陰は、「草莽崛起 ( そうもうくっき ) 」という言葉を使っている。「草莽崛起」とは、在野の志ある人々が大義のために一斉に立ち上がることを意味する言葉である (wiki)

 松陰は、「民草」などという言葉を使ってはいない。万太郎のモデルとなった牧野富太郎は、「名もなき花、雑草などというものはありません。すべての草花は名を持ち、立派に生きています」と述べているが、その言葉と正反対なのが「民草」という言葉のようだ。

 高藤が、寿恵子に、「あなたは変わらねばならない」と言い、「あなたと私は対等のパートナーだ」と言ったのに対して、「なぜ私は変わらねばならないのですか。私は菓子屋の娘ですが、両親のことを恥じたことはありません」と告げる。そしてダンスを教わったクララに対して、「心のままに生きることの大切さを教えていただきました。私には好きな人がいるんです」と語り、会場を後にする。

 寿恵子を追おうとする高藤に対して彼の妻は「みっともない ! 」と言い、「男と女が対等だとあなたはおっしゃいましたが、あなたはすぐそばにいる女が目に入っていない」「この国の行く末を描くのに女の考えは聞こうともしない」と告げ、会場を去る。

 鹿鳴館は、 1883( 明治 16) 年、外務卿井上馨によって「欧化政策」の一環として建設されている。今から 140 年前。

 「この国の行く末を描くのに女の考えは聞こうともしない」という高藤の妻の言葉は、果たして明治初期を象徴する言葉なのか ?

 国会を牛耳る面々。政党内部でのセクハラ、パワハラの多発。立派に今でも残念なことに通用する言葉ではないか。

 様々な面で日本が「一等国」から滑り落ちた現状を見るに、ただ単に「男である」という点にのみしがみついてその「特権」を手放さない男たちの責任の大きさに思いが及ぶのは私だけだろうか。






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Last updated  2023.06.19 14:49:14
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Re:らんまん より 「目的ではない。手段なのだ」。(06/19)  
maki5417  さん
鹿鳴館を通して現代日本を批判しているのはわかりますが、史実の牧野富太郎も高藤と似たり寄ったりでしょう。
資力がないだけよけい始末が悪いとも言えます。

大河の渋沢栄一もそうですが、模範的な部分のみを美化して描くというのはどうでしょう。
ドラマですからそのまま真に受ける人はいないでしょうが、影響される人はいるかもしれませんね。
明らかに創作、漫画化とわかる、今の大河の家康の方が良心的といえるでしょう。
(2023.06.19 18:27:18)

Re[1]:らんまん より 「目的ではない。手段なのだ」。(06/19)  
まろ0301 さん
maki5417さんへ


「史実の牧野富太郎も高藤と似たり寄ったりでしょう。
資力がないだけよけい始末が悪いとも言えます」とおっしゃっていますが、高藤と牧野とどこが「似たり寄ったり」なのでしょうか? 
 高藤が言っていることは、1885(明治18)年に「時事新報」紙上で福沢が述べた「脱亜論」の原型のようなものです。欧米同様外国へ進出して領土を拡大するという。
 一方の牧野は、壮大なる「植物オタク」です。

 当たり前ですが、大河も、朝ドラも史実そのままではありません。歌舞伎のように。何よりも、視聴者を意識しなければならない。
 「らんまん」の場合、散歩の途中、私が道端の花に目をやるようになったことは功徳と言えるでしょう。
 家康には私はもう飽きました。来年度の「源氏物語」にはドラマとして期待はしていますが。 (2023.06.19 22:05:45)

Re[2]:らんまん より 「目的ではない。手段なのだ」。(06/19)  
maki5417  さん
まろ0301さんへ

高藤と牧野とどこが「似たり寄ったり」なのでしょうか? 


帰郷した1884年(明治17年)、富太郎は2歳年下の従妹でかねてから許嫁の猶(旧姓=山本)と祝言を挙げ、牧野猶は本家岸屋の若女将となる[8] [9]。

1887年(明治20年)12月、一目惚れした小澤壽衛(14歳)と下谷区根岸の御隠殿(輪王寺宮の別邸)跡の離れ家で一緒に暮らしはじめ、翌年(明治21年)10月、第一子園子(1888年 - 1893年)が生まれる[10]。

1893年(明治24年)、実家の岸屋がついに破綻し、家財を精算するために帰郷する。このとき当主の富太郎は、猶と番頭の井上和之助を結婚させて店の後始末を託す[11]。

子供は13人生まれ、その内7人(3男4女)が成長した[18][19]。

牧野の生涯に詳しくはないですが、ウィキからの抜粋です。

実際の牧野は14歳の少女を妾としたようです。
ドラマの高藤は、失敗?
子どもを産ませても育てられないというのは、ひどいですね。
経済状態も大きく影響していたのではないでしょうか。
この点、渋沢とは違うところですね。

当時の実情を斟酌して、リアルな物語を期待したかったです。 (2023.06.21 22:29:27)

Re[3]:らんまん より 「目的ではない。手段なのだ」。(06/19)  
まろ0301 さん
maki5417さんへ

私も一応牧野の評伝は読んでおりますので、彼の破天荒な生き方は知っております。
 「らんまん」は、フィクションです。
 南座に最初に歌舞伎を見に行った時、副音声の解説で、「歌舞伎を史実であるとは思わないでください」という言葉が印象に残っています。
 大河も、朝ドラもそういう意味では、史実そのままではありません。
 ただ、鹿鳴館についての描き方(手段と目的)、さらに「女性の声を聞くべきである」という部分は、史実をもとにしています。前半に出てきました「民権ばあさん」も実在した人間です。
 ですから、私はその部分を取り上げて記しています。万太郎の言行については一言も触れておりません。
 実在の人間の実際の生き方を知るのは良し悪しです。石川啄木の評伝を読んで愕然としました。しかし彼の短歌、文章についての評価が変わるわけではありません。
 これからも私はフィクションとしての「らんまん」を楽しみたいと思っております。 (2023.06.22 01:20:12)

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