リカの健康おたく日記♪(多発性硬化症です)

リカの健康おたく日記♪(多発性硬化症です)

4.白い巨塔2





4.~白い巨塔2~



平成8年9月

眼科で一応両眼とも検査することになり、時間をとってもらった。外来の眼科は大勢の人達でとても混雑していた。
私は入院してるので時間の頃合いをみて部屋から呼ばれていったが、それでも1時間以上待たされてしまった。
それで呼ばれる直前に体調が悪くなり、診察出来なかったという事態になってしまった。それで次の時には体調を考慮してもらいほんとに順番のぎりぎりの時間前に呼んでもらった。

診察では、左眼の視野欠損は視神経の炎症なので戻ることは難しいと言われた。
(片目でこれから生きていかねばならないのか・・。眼球自体は悪くないのに、視神経の炎症で見えないなんて。視神経だから手術も出来ないし・・。)
かなり落ち込んだが、いつかきっと見えるようになるんじゃないか?
寝てて起きればまたいつの間にか戻ってるんじゃないか?
と淡い期待をどこかに抱いてしまう。
何度も左眼が元に戻ってる夢も見た。
しかし現実は・・右眼を隠してみると左眼は薄暗いままだった。

Dr:「今日から右手のリハビリを始めます。少しずつ動かしていかないと固まっていってしまうからね・・?」

右腕が痛くて緊張しっぱなしだったので硬直してしまっていた。それを軽いマッサージからほぐしてもらった。
これもよく考えればおかしな事である。
腕や手の平自体は全く正常で動くはずなのに、頚椎の神経が炎症した為に指先までしびれて痛くて動かないのである。
末梢神経は大丈夫でも中枢神経という大元がやられるとこんな事になるんだ・・。脳梗塞とかも同じ原理でそうなるんだろう。

しかし片手とはこんなに不自由なものとは思わなかった。
利き腕が右手なので食事は左手でスプーンで食べるし、着替え、髪の毛をゴムで縛るという事が片手だと難しい。
字を書く事が出来ないので左手での練習もした。

そんなある日・・。私の個室部屋に3人のインターンが入ってきた。
自分達の練習の為にいろいろ検査したいという。
ゴムハンマーや筆や先の尖ったもの等で足や手の感覚検査をする。毎回主治医に同じ検査を受けてるので、本当は私には必要の無い検査だったが、そこはやはり大学病院に入院している以上は避けられない事なのだと思った。
だが3人がかりであちこち叩かれていると何だか自分がモルモットになってるような感覚になる・・。

そしてまた別のある日、部屋にまた大勢の医者達がぞろぞろと入ってきた。今度は部長回診の時よりも多い。20人以上はいるだろうか・・。

Dr:「すいませんね、学生達の研究(練習)の為にちょっといいですか・・?」
初めて見る年配の医者が代表でそう言った。
他の医者だと思ってた大勢の白衣の学生(インターン?)達に囲まれ、まずまっすぐ歩けるかどうか確認された。
足の方はしびれがマシになっていたので何とか歩けたが、
20人以上もの白衣に囲まれて歩くのは何か見世物になった様な気がした。

Dr:「はい、じゃあ次は握力を測って・・」
私「すいません、右手はタオルも握れないんです・・。」
Dr:「はい、じゃあ右は握力0ね。じゃあ左手・・。」

ギュッと握力計を握ると16だった。
Dr:「はい16ね、ほら、これは日常生活する最低の値しかない・・。」
と私ではなく、後ろにいる学生達に向かってそう説明した。
そしてまたぞろぞろと部屋を出て行った。
入れ違いに会社の京子先輩が見舞いに部屋に入ってきた。

京子先輩:「今、「白い巨塔」たちが出て行きましたね・・?」

私:「は?「し・ろ・い・巨塔」って何ですか?」

京子先輩:「昔、そういう映画(テレビ)があったのよ・・!(笑)」




リカの難病入院日記5へ続く




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