絵本があるくらし+++ママ、これ読んで。+++

June 2, 2005
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カテゴリ: LOVE絵本
















インドの昔話を描いた、迫力の版画絵本!
あおいやまいぬ 』(佑学社・絶版/瑞雲舎・復刻版)
作・絵:マーシャ・ブラウン
訳:瀬田 貞二
定価:1262円

★★-サクランボ王女のお気に召し度

佑学社の絶版本を読んでいますが、
調べると、↑復刻版が、『 ちびくろ・さんぼ
瑞雲舎のサイトは、 こちら から。

この絵本は、
アメリカの人気絵本作家、マーシャ・ブラウンのものです。
かた、こと、かた、こと
がた、ごと、がた、ごと
がたん、ごとん、がたん、ごとん のリズムが楽しい
北欧民話『三びきのやぎのがらがらどん』も、
マーシャ・ブラウン&瀬田貞二のこのお2人によるものです。
三びきのやぎのがらがらどん

マーシャ・ブラウンの絵本は、
どこか潔さと諦めがあり、個人的に大好きです。

絵のうまさが抜群で、特に『あおいやまいぬ』は版画で表現されていますが、
荒々しく太い線に、生命力と躍動感がみなぎっています。
1ページめくったところの、水しぶきをあげる姿などは、
もう天才!としかいいようがないくらい、一瞬をとらえています。
版画でこんなに動きがでるなんて!


中国の故事成語「虎の威を借る狐」のその後・・・っといった内容です。
虎に食べれそうになった狐が、
「わたしは、天帝から百獣の王に任命された。食べると罰(ばち)があたる。
嘘だと思ったら、わたしの後について来い。」と言い、
動物たちは、狐の後について来る虎が怖くて、みな逃げ出します。
まぬけな虎は、狐のいう事を信じてしまう・・・。っという寓話です。
(虎が楚国王で、狐が重臣で、狐をつぶすことで国は滅びます。)

そして、このお話では、
狐にあたる、ただのやまいぬが、
ひょんなことから青いやまいぬになり、
森の獣たちから恐れられ、調子にのって、王さまになります。
あろうことか、仲間のやまいぬの一族は追い払ってしまいます。
青いやまいぬは、怠惰に豪勢に暮らします。
ライオンや虎・ひょう・象といった百獣の王たちを召使いにして。
ある日、山から仲間の遠吠えが聞こえてきて、
冠は転げ落ち、目にはうれし涙があふれ、ついに遠吠えをしてしまいます。
ただのやまいぬだということが、バレ、痛い目にあい、
なんだったのか?あのくらしは?あのつきあいは?
いったい、わたしはなんだろう?・・・っと述懐します。
そして、
「このことは かたときも わすれずに
むねにてをおいて かんがえるが かんじん」が結びです。
この「かんじん」という言葉に、
やまいぬの愚かさが凝縮されているように思え、
読み手の私にも、
「偽りの自分、偽りの暮らしをしていないか?」と、
同じ問いが突きつけられます。

やまいぬはやまいぬであり、私は私なのです。
偽りには、偽りの関係しか築くことができず、
涙できるのは本物ということでしょうか?
インドの昔話が原話なので、教訓じみていますが、
「かんじん」「かんじん」と、
常日頃つぶやけば、
最後に腹をなめている、
やまいぬの轍を踏むことはないでしょう。

子どもに見せてあげたい、版画が素晴らしい一冊です。








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Last updated  June 3, 2005 01:29:20 AM
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