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“Ode to Sleep”
“ 眠りに寄せる歌
”
I wake up fine and dandy but then by the time I find it handy,
To rip my heart apart and start planning my crash landing,
I go up, up, up, up, up to the ceiling,
Then I feel my soul start leaving, like an old man's hair receding,
I'm pleading please, oh please on my knees repeatedly asking,
Why it's got to be like this. Is this living free?
I don't want to be the one, be the one who has the son's blood on my hands,
I'll tell the moon, take this weapon forged in darkness,
Some see a pen, I see a harpoon.
朝良い気分で目が覚めても、
夜には心の中に溜め込んだ暗い考えが溢れ出てきて、
ベッドに横になっても天井を見つめるだけで寝れやしない。
おっさんの髪がどんどん後退していくみたいに、
自分の魂が少しづつ身体から抜けていくのが分かるよ。
僕は膝をついて嘆願し始める。何度もあなたに聞くんだ。
「なんでこんな人生なんだよ。これが自由に生きるという事なのか?」
あなたの息子の血を浴びるような人間にはなりたくないよ。
月に言ってやる、「この暗闇の中造った武器が見えるか」
ただのペンだと言う人もいるだろう、でも僕にとってこいつは銛だ。
I'll stay awake,
'Cause the dark's not taking prisoners tonight.
僕は寝ないぞ。
今夜の闇は囚人を受け入れてないみたいだしさ。
Why am I not scared in the morning?
I don't hear those voices calling,
I must have kicked them out, I must have kicked them out,
I swear I heard demons yelling,
Those crazy words they were spelling,
They told me I was gone, they told me I was gone.
なんで朝は怖くないんだろう。
あいつらの声も聞こえない。
きっと追い出してやったんだ。きっと追い出してやったんだ。
本当だよ、悪魔が叫んでいたんだ。
耳をふさぎたくなるよう言葉を紡ぎだしていたんだ。
僕なんていないも同然だってさ。いないも同然だってさ。
But I'll tell them,
Why won't you let me go?
Do I threaten all your plans?
I'm insignificant.
Please tell them you have no plans for me.
I will set my soul on fire, what have I become?
I'll tell them.
僕は悪魔に聞いたんだ。
「なんでそっとしておいてくれないんだよ?」
「お前らの計画の邪魔になるのか?」
「僕なんて取るに足らないのに。」
頼むからあいつらに言ってくれ、あなたは僕を使うつもりはないんだって。
もう自分の魂に火をつけてやるよ。一体どうしちまったんだ僕は。
全て悪魔に言ってやる。
On the eve of a day that's forgotten and fake,
And the trees they await and clouds anticipate,
The start of a day when we put on our face,
A mask that portrays that we don't need grace,
On the eve of a day that is bigger than us,
But we open our eyes 'cause we're told that we must,
And the trees wave their arms and the clouds try to plead,
Desperately yelling there's something we need,
I'm not free, I asked forgiveness three times,
Same amount that I denied, I three-time MVP'd this crime,
I'm afraid to tell you who I adore, won't tell you who I'm singing towards,
Metaphorically I'm a whore, and that's denial number four.
偽りと忘却の日の前日は木々も雲も静かに事を傍観していた。
朝には皆仮面を被った。あなたの慈悲なんていらないという仮面を。
僕らなんかより遥かに偉大なその日の前日に。
でも仮面は被っても目は開けるんだ。そうしろと言われたから。
木々は枝をふり、雲は嘆願する。
僕らには必要なものがあると叫んでるよ。
僕は自由じゃない。3回許しを請うたんだ。
拒絶したのと同じ回数だ。否定も否認ももう慣れっこだ。
誰を愛しているかはっきりさせるのが怖いんだ。
誰に向けて歌っているのかも言えない。
まるで娼婦だし、これでもう4回目の否認だ。
I'll stay awake,
'Cause the dark's not taking prisoners tonight.
僕は寝ないぞ。
今夜の闇は囚人を受け入れてないみたいだしさ。
Why am I not scared in the morning?
I don't hear those voices calling,
I must have kicked them out, I must have kicked them out,
I swear I heard demons yelling,
Those crazy words they were spelling,
They told me I was gone, they told me I was gone.
なんで朝は怖くないんだろう。
あいつらの声も聞こえない。
きっと追い出してやったんだ。きっと追い出してやったんだ。
本当だよ、悪魔が叫んでいたんだ。
耳をふさぎたくなるよう言葉を紡ぎだしていたんだ。
僕なんていないも同然だってさ。いないも同然だってさ。
But I'll tell them,
Why won't you let me go?
Do I threaten all your plans?
I'm insignificant,
Please tell them, you have no plans for me,
I will set my soul on fire, what have I become?
I'll tell them, you have no plans for me,
I will set my soul on fire,
What have I become?
I'll tell them,
I'll tell them,
I'll tell them,
I'll tell them,
僕は悪魔に聞いたんだ。
「なんでそっとしておいてくれないんだよ?」
「お前らの計画の邪魔になるのか?」
「僕なんて取るに足らないのに。」
頼むからあいつらに言ってくれ、あなたは僕を使うつもりはないんだって。
もう自分の魂に火をつけてやるよ。一体どうしちまったんだ僕は。
全て悪魔に言ってやる、
全て悪魔に言ってやる、
全て悪魔に言ってやる、
全て悪魔に言ってやる。
Please tell them, you have no plans for me,
I will set my soul on fire, what have I become?
I'm sorry.
頼むからあいつらに言ってくれ、あなたは僕を使うつもりはないんだって。
もう自分の魂に火をつけてやるよ。一体どうしちまったんだ僕は。
ごめんなさい。
解説
比喩が多く直接的にものを言わない曲の多い Twenty One Pilots の曲の中でも、これはかなり読み取るのが難しい曲です。和訳を見てもなんのこっちゃという人も多いんじゃないでしょうか。けれどこれは Tyler も インタビュー で答えた通り、 Twenty One Pilots というバンドを理解する上でとても重要な曲です。テンポも曲の雰囲気も途中でいきなり変えるという音楽的な部分もそうですが、朝と夜、悪魔、そしてキリスト教というテーマは他の曲にも繰り返し出てきます。 Twenty One Pilot 自体は無宗教のバンドですが、メインシンガーであり作詞家である Tyler はクリスチャンであり、その信仰心と信仰の中での葛藤は彼の音楽の中で大きなテーマとなっています。もちろん、宗教的な部分や複雑なテーマを理解しなくても、聞き手として好きなように解釈し楽しむのもアリですが、作者が何を考えながらこの曲を書いたのか理解したいのなら作者の背景、特にこの曲ではキリスト教の基本的な知識が必要です。
まず簡単なところから解説していくと、精神疾患を抱える Tyler にとって朝は平穏でも夜という時間帯はどうしてもネガティブな事や自殺などについて考えてしまう時間であり、転じて彼の曲の中では朝は平穏さや気分が良い状態、夜は不安や自己嫌悪など鬱々とした考えに飲み込まれそうな状態を表しています。精神疾患によって引き出されるこういった暗い考え、そして精神疾患そのものを英語圏では内なる悪魔、あるいはただ単に悪魔と呼ぶことがあります。なので曲中で悪魔が「お前なんていないも同然だ」と叫ぶのは、自分の中の病気の部分に自殺をそそのかされている状態、という風に読み取ることもできます。「僕は寝ないぞ。今夜の闇は囚人を受け入れてないみたいだしさ。」というのは、実際に夜寝付けないという症状を、じゃあつまり囚われの身にならないということだなとポジティブな意味合いを持たせようとしているのかもしれないですし、あるいは夜、つまり精神疾患に囚われてやるもんかという意思の表れかもしれません。「暗闇の中造った武器」というのは曲を書くためのペンであり、精神疾患と戦うための武器であると Tyler は言っていますが、自分の鬱々とした考えを正直に歌にすることが彼自身の病気と向き合うのに役立っているということは他の曲にも繰り返し出てくるテーマであり、 ” Guns for Hands” ではファンにも自分の音楽を武器として使ってくれとはっきり歌っています。
次にキリスト教的な部分を読み解いていきます。まず大前提として理解しておきたいのは、キリスト教の教えによるとこの世界の全ては神が造ったものであり、神は人間も含めその創造物を使い慈悲を示すのだという事です。そして悪魔の存在ですが、上記の通り英語圏では精神疾患の隠喩である事も多いですが、キリスト教の教えでは人間を堕落させる事によって神に謀反を起こす存在でもあります。それを踏まえて悪魔との対話を読むと、どうやら Tyler はこの悪魔たち(精神疾患や暗い考え)は自分を試す試練である事は理解しつつも、その悪魔の囁きに耐えられず、思わず自分が神の創造物である事を否定(そうすれば悪魔は自分を堕落させる必要もない)してくれと懇願せずにはいられない状態と、神に忠実な良きクリスチャンでありたいという葛藤が読み取れます。最後にごめんなさいと謝るのもきっと神に対してでしょう。次に理解しておきたいのは、聖書によると神が一番最初に造った人間達であるアダムとイブは神に逆らったため、全ての人間はアダムとイブの罪を背負ってこの世に生まれることになり、赦しを得て天国に行くには神を信仰し善行をつむしかないとされていることです。神の子イエスキリストというのは人間達に自分の存在を知らしめるために神が人の形で降臨した姿ですが、当時の人々はイエスを信じず十字架にはりつけ殺そうとしたためイエスは全ての人間達の罪(アダムとイブの罪、そして神を信じなかった罪)を背負って死に、それによって全ての人間を自由にした事からイエスはキリスト教における救い主とされています。キリスト教徒ではない人、特に私のように無宗教の人間からすればこういった考え方は不思議に映るかもしれません。けれどこの複雑な世界や人生の目的などを理解するのに科学や哲学を指針にする人がいるように、こうやって全知全能の存在がいるという事を信じ何千年と語り継がれてきた物語を指針にする人もいます。自分とは全然違う世界に生きていると思える人間も、相手の信じる事を理解しようとすれば、実際はそんなに違わない事に気付きます。
では、ある程度キリスト教の教えを理解したところで最初から歌詞を読んでみましょう。まず「あなたの息子の血を浴びるような人間にはなりたくないよ」とありますが、ここで Tyler はイエスを否定し殺した人間達に自分を重ね合わせています。曲の一番最初にこの文を持ってくることで、この曲は神の否定とそれに対する罪悪感が大きなテーマになっていると教えてくれます。「偽りと忘却の日」、そして「僕らなんかより遥かに偉大なその日」は正にイエスが十字架にはりつけられた日であり、「朝には皆仮面を被った。あなたの慈悲なんていらないという仮面を。」ではイエスを信じず神とその加護なんて必要ないと思い込んでる人々の様子が描写されています。ちなみに3回の否認というのはペテロというイエスの弟子がイエスの危機に自分が弟子であることを3回否定し 神を裏切ったことについて言及していて、 Tyler は自分がこうやって神を否定することが4回目の否認につながるんじゃないかと歌っています。
「誰に向けて歌っているのかも言えない」とありますが、 Tyler はこの曲に限らず宗教色の強い曲をたくさん書いてますが実際に神とかイエスとかはっきりと固有名詞を出すことはほとんどなく、 Twenty One Pilots の音楽を結構聞きこんでる私も Tyler がキリスト教徒だという事は言われるまで気付かなかったぐらいです。キリスト教がテーマの曲はどうしてもキリスト教徒じゃない層には受けにくく、もしかしたら「誰を愛しているかはっきりさせるのが怖いんだ」ともある通り Tyler は自分が神に向けて歌っているのだとはっきりさせてしまったら自分の音楽が受け入れられづらくなるのではないかと悩んでいるのかもしれません。ちなみに発音が全く一緒のため「息子の血」と訳した部分を son (息子)ではなく sun (太陽)だと思いこの曲のキリスト教的な意味を見逃す人も多いです。実際にこれはその直後に月に武器を見せつける部分ともかけてあるため、キリスト教的な意味もある事を知らなくてもある程度筋が通ります。そしてこのまるで神に向けて歌っている事を隠すかのようなややこしい言い回しこそ「誰を愛しているかはっきりさせるのが怖いんだ。誰に向けて歌っているのかも言えない。」と歌う Tyler そのものであり、このたった数行の表現力の高さに驚かされます。キリスト教は布教を重要視する宗教なので神や信仰心を否定する事は禁忌とされており、多くの人にメッセージを届けられる『音楽』で Tyler が神を称えるどころか信仰心を隠している事に対する Tyler の罪悪感はすごいものでしょう。それを踏まえると最後の「ごめんなさい。」は更に重く響きます。
ちなみにこの曲の ミュージックビデオ
は2011年に初めて地元の外でたった12人の前で演奏するところから始まり、少しづつ人が増えていき、2014年にはなんとその千倍の12000人の前で演奏するところで終わります。すごい勢いで人気になっていくこのバンドの成長が見てとれるビデオです。
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