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3-19 あなたのことを
晴れた日は、あなたのことを思い出す。
あなたと別れ一人一歩を踏み出したあの日、外は光が煌いていて緑が輝き、私を絶望させた。
だから怖かった。晴れの日なんて来なければいいと思ってた。
朝の光を受け、畳に敷いた布団の上に一人の女性が身を起こした。もうずいぶん前から目を覚ましていたその女性は、ため息と共にゆっくりと髪をかきあげようとして、苦笑した。彼女の髪は短く、かきあげる必要は全くない。
カーテンを開けると彼女は簡単に髪を梳き、時計をチラリと見てから庭に視線を移し、微笑んだ。
一階にある彼女の部屋からは、強い陽光を優しく受け止めている古風な広い庭が見える。土に半分埋まっている石臼や笹竹の葉が反射する光が、彼女にはとても優しく感じられた。
目を閉じて両手をそっと腹部に当てると、彼女は思った。
でも、もう何も怖くない。子宮の中で静かに静かに、命を刻む音が続く限り―――。
廊下をぱたぱたと誰かが駆けてくる音がして、彼女ははっと我に返った。ほどなく、部屋の引き戸を開け、中年の女性が彼女を呼んだ。
「優美ちゃんー? ああ、起きてるのね、おはよう」
「おはよう、恒(つね)さん」
優美と呼ばれた女性はにこにこと笑って挨拶した。
「私たち、動物の世話に行ってくるから。ご飯が済んだら後片付けと、とりあえず夕飯の支度を頼むわね」
「わかりました」
恒は土間に向かうと大きな熊手を抱え、慌しく裏戸から出て行った。
「さて、優美も始動といきますか」
優美が居間に座り箸を取ると、しばらくして恒の次男である健二郎が食卓についた。
「おはよう、優美ちゃん」
「おはよう健二郎さん」
優美は視線を朝食に落としたまま挨拶し、すぐさま好物の卵焼きを頬張った。健二郎はその後一切言葉を発しなかった。彼女は筋肉隆々の体つきで無愛想な健二郎が苦手なのだ。
「ごちそうさま!」
優美は朝食を素早く食べ終えると食器を流しに片付け、全員の洗濯を済ませにかかった。その間に、三男の光博が起き出した。なぜかべそをかいている彼に、優美は優しく話し掛ける。
「光博おはよう。……どうしたの、おしっこ?」
「うん……」
優美はしばらく考えたが、ため息混じりに微笑むと彼の頭を撫でた。「わかった、じゃお姉ちゃんと一緒にトイレ行こう」
優美の言葉を聞いて、光博はやっと頬にくっついている涙をペンギン柄のパジャマの裾で拭いた。「うん」
健二郎と光博の朝食が済むと、優美は食器を全て片付け、おかずの煮物を煮ながらかぼちゃのケーキを焼いた。
「優美ちゃん、外で一緒に遊ぼう~」
光博の声に、優美は苦笑した。「ごめんね、もうちょっとしたら手があくから」
光博はふくれた。「ちぇーっ、つまんない。学校休みなのにみんな仕事してる!」
優美は笑ってお玉を光博に向けた。「こらこら、そんな顔しないの!! “ふぐになったら”?!」
「“針刺すぞ”!!」
キャーーと逃げ回る光博を一通り追いかけ回してから、優美は仕事を思い出した。
「あ、ケーキと煮物!! 光博~! みんな呼んで。ケーキが焼ける!」
ふっくらとした色よい焼き上がりに満足し、優美は全員に日本茶をいれた。
「おばあちゃーん!」
優美が外に向かって声を張り上げると、すぐ近くから恒の姑であるマチの声がした。
「いい匂いがしたから、じき優美ちゃんが呼びに来ると思ってねぇ」マチは両手にざると手ぬぐいを持ち、すでに一仕事終えているようだ。
マチの姿を見て、優美は満面の笑みを浮かべた。「えへへへっ。ね、お茶冷めないうちにいただこう」
「はーいはい」
優美の作ったケーキを居間で囲んで、農作業を終えた一家はくつろいでいた。
光博は素朴なかぼちゃケーキが気に入ったようで、一人で半分近くも頬張りながら言った。
「優美ちゃん、流浪人なのにお料理上手だよねぇ~」
「これっ! 優美ちゃんは流浪人じゃないよ! 全くどこでそんな言葉覚えるんだか……」
光博をたしなめると恒は緑茶を一口飲み言った。
「優美ちゃん、光博は放っておいたっていいんだよ? こら光博!! もう小学2年になるんだから! 朝のトイレくらい一人で行けないと駄目でしょう」
マチがのんびり言った。
「まあまあ、優美ちゃんが光博をかわいがってくれてばぁちゃんはうれしいがな」
「もう、ばぁちゃんはいっつもそうやって光や優美ちゃんを甘やかすんだから!」
そうぼやくと、恒はキッチンに消えていった。
優美が皿や湯のみを片付けに行くと、恒は優美に笑顔を見せた。
「あんたが来てから、ご飯の集まりがいいわ。……楽しくて私は嬉しいよ」
優美は微笑んだが、その笑顔には翳りがあった。「そう言っていただけると、私も嬉しいです」
「健二郎も、あんたが来たことすごく喜んでるみたいだし」
「そうなん……ですか?」優美は首をかしげた。
「そうよ。これからも頼むわ」
「……はい」
優美は自室に飛び込むと、ここに来た時に持っていた鞄を開き、中から小箱を取り出した。
そこには明るく笑う子供の写真と、何人もの高校生が集まって撮られた写真が入っている。
あなたのことも、何もかも……もう振り返らないと決めたのに、私はまたこの箱を開けてしまう。
頬に伝う涙を払うと、彼女は唇で言葉を紡いだ。
「ごめんねいちひと。………有芯」
呟くと、優美―――――朝子は写真をきつく抱き締めていた。
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