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列伝26 スティーブ・ストローター
Steve.L.Stroughter (1983)
生年月日: 1952 年 3 月 15 日
背番号39 右投左打・外野手
出身地:アメリカ合衆国カリフォルニア州ビサノア
球 団:阪神 (83)
表彰等:なし
阪神在籍:1年 28 試合 87 打数 24 安打 12 打点 5 本塁打 0 盗塁 打率 .276
(1)バースと同季1983年入団の黒人選手
1982 ( 昭和57 ) 年のシーズン終了後、阪神はキム・アレンを残しグレゴリー・ジョンストンとスティーブン・ラムを解雇する。そして外国人3人枠を活用するために、2名の外国人野手の選考に乗り出す。
安藤統男は自ら渡米し、MLBのウィンターミーティングに参加しているが、最初に目を付けたのはここで紹介するスティーブ・ストローターだった。そしてほかにもう一人いないかと物色しているなかで見つけたのがランディ・バース。獲得の段階ではストローターの評価が高く、バースは保険のような意味合いだったようだ。
1978年 SF
ジャイアンツ傘下時代
ストローターは185㎝・85㎏の体格で、見るからに精悍な感じのする黒人選手。シアトル・マリナーズ時代に、一度だけメジャーに昇格したことがあったが、26試合しか出場していない。打率も1割7分でホームランはたった1本だった。
1982年 シアトル・マリナーズ時代
アレンを残留させているのを見ても、安藤監督が足を生かした機動力野球を目指していたのは明らかだろう。ただし長打力に見るべきところがあるバースはいつでもアレンとストローターに代えて使うことができる。結局は様子を見ながらコンディションのいい選手を臨機応変に使う柔軟性を持たせたということだろう。
(2)開幕一軍も実戦では疑問符、4月中旬に登録抹消
ストローターは、キャンプからオープン戦の序盤にかけて、すこぶる評判が良かった。3月14日の阪急戦で2ランを含む3安打5打点を挙げたときは、「中距離打者だがミートがうまく、ジョンストンよりはずっといい数字を残すのではないか」と言われている。
確かにここまでは良かったのだが、誉められた途端に悪くなった。18日のロッテ戦から始まってオープン戦終了まで11試合連続ノーヒット。結局オープン戦の打率は1割7分9厘に終わり、どん底状態で開幕を迎えなければならなかった。
ただし18日のロッテ戦でバースが死球を受けて骨折し戦列を離れていたので、二軍行きだけは免れている。
4月9日の開幕戦では、当然スタメンには入れず、代打の1打席のみで凡退。首脳陣はここで一旦見切りをつけ、翌日からはベンチを暖めることになる。そして4月15日に負傷の癒えたバースを一軍へ上げると、入れ替えでストローターの登録を抹消した。
(3)アレンの怪我で一軍へ復帰
仕方なく二軍で調整しながら悶々として出番を待っていたところ、1ヵ月後に「朗報」が届く。一軍で活躍していたアレンが、自打球を左足に当てて骨折しリタイアしたため、ストローターにお呼びがかかったのである。
数2安打2打点の活躍で見事に代役を果たす。試合後、「アレンには悪いと思うが、このチャンスを絶対に生かすつもりだ」と、レギュラー獲りに対する意欲を語っている。
5月は後半の13試合に出て打率2割7分3厘、ホームランも3本打って有言実行し、本当にこのまま定位置を確保するのではないかと思わせた。
6月に入っても18日までの14試合で好い状態を維持している。この14試合で打率2割8分6厘、ホームラン2本を記録して数字も悪くなかった。ところが19日、突然アレンと入れ替わりで登録を抹消されてしまう。いったい何が起こったのだろうか。
(4)オルセン獲得のため、3名枠からはじき出される
チーム事情に目を向けてみると、阪神は5月まではかろうじて3位につけていた。しかし6月9日から17日にかけて6連敗し、一気に最下位へと転落している。この低迷の原因は手薄な先発投手陣にあった。
2年前に江本が問題発言によって退団したあとは、小林がエース格として頑張っていたが、10勝を計算できる江本の穴は相変わらずポッカリと空いたままだ。
若い工藤一彦や移籍の野村収を加えても先発投手が足りない。山本和行は先発と抑えの両方をこなしており、大変な負担がかかっている。いまや首脳陣にとっての悩みの種は、攻撃陣ではなく投手陣の方に変わってきていた。
そこで俄然浮上してきたのが、マウイ島での春季キャンプのテストで合格し、外国人枠が邪魔をして入団が保留になっていたリチャード・オルセンだ。彼を入団させるためには、アレン、ストローター、バースの中から1人を解雇しなければならない。

バースは骨折から復帰後、5月にはホームランを連発するなど長打力の才能を見せ始めており、一方で首脳陣はアレンの「足」も重視していた。
つまり調子がよくないわけでもないのに「アレンと入れ替えで二軍落ちした」という時点でストローターの運命は決まっていたということだ。
(5)シーズン途中での不本意な解雇
6月29日、オルセンの入団準備が整ったためストローターは解雇される。当初はかなり期待されていたにもかかわらず、外国人枠という壁のため満足に働く機会が与えられず不完全燃焼に終わった。
ストローターは28試合で打率2割7分6厘、5本塁打、12打点を記録している。もし一年間フルに出場したとすれば、打率2割8分、25本塁打、60打点程度を期待することができるが、たった28試合の成績からの単純計算では参考にならないだろう。結局本当の実力が分からないまま退団させられた選手なのである。
1年目のバース 後年に比べまだ全体に細い
シーズン開幕時は骨折のバースが不在のため一軍スタート、その後抹消されてもアレンが骨折してまた一軍昇格と好機はあった。そのチャンスを生かして5月~6月に3割・10本・25打点くらいの成績を挙げていたら、前半戦で9本塁打しか打てなかったバースの方が解雇された可能性はある。
ただし、ストローターは左投手を極端に苦手とする欠点があり、そのあたりも解雇の材料として影響したかもしれない。
スティーブ・ストローター[完]
ストローターの年度別打撃成績

猛虎異人伝32 セシル・フィルダー 2025年11月07日
猛虎異人伝31 ルパート・ジョーンズ 2025年11月04日
猛虎異人伝30 マット・キーオ② 2025年11月02日