積  乱  雲

積  乱  雲

てばなす











自分のものを

自分だけのものと思っているうちは

誰にも触れさせるまいと執着するのに

自分のものというものは

自分のものであるようでいて

自分のものともいえない





散水の後の葉の上で

自分自身の中へ中へと進もうとする水滴に

支える葉の美しい葉脈が映っている





一粒の水滴を支えるように

世界とのつながりが私にも広がっている

自分のものと思っていた私のいのちさえ

自分だけのものではないと思うとき

静かに蒸発する水滴のように

自分自身の形を

てばなすことができるのだろう






2012・8・26


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