◆02-01◆
[secret]
◆02-01◆
放送：「これから名を挙げられた者は至急『会議室』に来なさい」
昼休み。《ムルタ》と呼ばれる《情報捕獲》部隊は授業を終えて、昼食を取っていた。
放送：「…佐伯、上江、中枝、林藤…。以上」
吉海：「あれぇ。幸のヤツ何かしでかしたか。惷君までお呼び出しかよ」
朝山：「最近多いよね、こういう放送。何でかな」
吉海：「さぁな。まぁそろそろ俺達にもお呼び出しがくるって事だな……」
朝山：「どういう事さ」
吉海：「いや…そろそろ『アルデヴィル』に入るかなー…なんて……」
朝山：「あぁ…。確かに、それは言えてる。最近無駄な『情報』が増えているしね………」
小さな鐘の音が鳴り響いた。どこから聞こえてくるのか分からない、突然の響きだ。
朝山：「…これって「『アルデヴィルの鐘』？」
吉海：「あぁ。あいつ等が戻ってきたようだ。噂をすればってヤツだな」
鐘が鳴り止んだ。それと同時に地響きがする。まるで建物が移動しているように思われた。
吉海：「っておい！どこ行くんだ、朝山！」
朝山：「どこって、勿論『アルデヴィル』に会いに行くんだよ。だってまだ会った事ないんだもん。それに僕の憧れだしさ」
吉海：「おいおい、憧れって……。あのなぁ、あいつ等が何してっか知ってんのか？朝山」
朝山：「何って、『情報削除』でしょ？」
吉海：「んまぁ、そりゃそうなんだけどさぁ……」
朝山：「気にしない、気にしない。何を彼等がやってるなんか、全然気にしてないし、僕の憧れだって事には変わりないから…」
朝山は吉海に笑いかけるとさっさと走っていった。
吉海：「………俺は気になるさ、朝山。…もしお前に『削除』命令が出たら、憧れもクソもねぇんだよ」
吉海は小さく呟いた。
今日は気分が良い。なぜだろう…。
吉海は窓の外の偽の景色を見て思った。
ただでさえこんな世の中、何が楽しいって〈情報〉の掴み取りか？…いや、違う…。
吉海は廊下に出た。小さなため息をつくと、自分の部屋へと足を進めた。
吉海：「何考えてんだ、俺は……」
ふと吉海は自分の頬が緩むのを感じた。
吉海：「…俺が…するのか……面白いな……」
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