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自宅近くのフィットネスが閉店して以来、身体を動かすことが極端に少なくなった。
ここ3週間ほど、ひどい咳に悩まされ、さりとてインフルエンザだらけの病院には行きたくない~そう思っていると、どんどんひどくなり、気管支炎を通り越して肺炎寸前になってしまった。おかげで、インフルうようよの病院に点滴のために通う毎日である。
まあ、忙しくなるのは2月から。年末から何故か村上春樹に取り憑かれ、読みあさっている。身体を動かせない今だから、もっと深く入り込んでみよう。
「ナカタさん」とは、「海辺のカフカ」に出てくる、(自称)「頭の悪い」初老の男性である。9才の頃、疎開先で先生に引率され、キノコ狩りに行った時、突然児童みんなが記憶を失うという事件があった。ナカタさん(中田君)以外の児童は徐々に記憶を取り戻したが、彼のみ、3週間ほど意識を取り戻さず、目を開いた時には文字も書けなくなっていた。
ナカタさんは、障害者手帳を持ち、(彼の言う)「知事さんからホジョをいただいて」暮らしている。彼には猫と話すことができる能力があり、「猫探しの名人」としてお小遣い稼ぎもできた。そんな質素でほのぼのとした彼の人生は、この物語の中で大きな存在感があり、また、物語の鍵を握る一人である。
物語が終盤になると、ナカタさんは眠るように息を引き取ってしまった。それは全く予想をしていなかったので、凄く悲しかったのである。思わず本を置き、天井を見つめなたら呼吸をしてしまった。
~それと時を同じくして~である!長女の反抗的な態度に困り果てた。「どんなに言ってもアンタは分からないのね。どうしていいか私ももう分からないわ」と投げやりな言葉を発してしまった。
「ふん。産まなければよかったでしょ」
「生まれてこなければよかった」
えぇええええーっ?どこでそんな言葉覚えたんだっ?この私でさえ、母親にそんな言葉を浴びせたことなんてない!!
この言葉。ナカタさんが亡くなって意気消沈している時だったからこそ、余計に身にしみた。
単にナカタさんの死が 悲しいだけでないのだ。
ナカタさんは所謂「障害者」である。「ナカタは頭が悪いですので」といつも前置きをして喋り始めるのだが、彼の中には欲もなく、人を恨むこともない、純粋に与えられた毎日を生き抜いていく姿勢があったのだ。そんな人がこの夜から去り、反抗的な娘がより反抗的な態度をとった瞬間…私は言葉を失い、困り果てた。
村上春樹の時にはグロテスクな場面を含むファンタジーの世界。理解に苦しみながら、否、いちばん理解に苦しむのは~現実の世界なのだ!!と悟ったのである。
昨晩はなかなか寝付けなかった。