へっぽこのととほでくだらなな生活録

へっぽこのととほでくだらなな生活録

第九話



~第九話~

 日野氏は背が高く柔和な顔に顎鬚を蓄えた紳士であった。
 日野雄介。近代音楽家として日本で確立たる地位を持つ作曲家である。その楽曲は古来邦楽を元に西洋・東洋の音を混ぜ合わせ、今までの日本には無かった拍数で奏でるというもので、初めて耳にした者であっても思わず体が踊り出しているという不思議な音楽であった。現に次女のはっとりなどは生まれてすぐ、泣くより前に踊ったと言われている。
 日野家というのは元来、九州の豪族であり、その先祖は邪馬台国の女王卑弥呼の筋かとも言われている。その後武士となり、戦国時代には日野三千石の大名として城下を政り、江戸末期には早くから開国に賛同、明治維新に貢献した。大政奉還後、明治天皇より貴族の称号を賜った事をきっかけに本家を東京に家を構えたのが何代か前の日野我分ノ介であり、現在にいたる。代々中国、韓国、西班牙、葡萄牙など異国との繋がりも強かったとされ、中には異国の血と交わったとされる人物や長崎の出島の発案に携わった人物の記録も残されている。
 そんな日野家であるから歴史上なも価値のある芸術品が数多く残されているはずである。

 ~つづく~


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