(承前)
偐山頭火氏との「銀輪万葉・藤井寺界隈」の続編です。
野中寺を後にして辛国神社へ。
(辛国神社)

辛国神社は、その名が唐国、韓国とも表記されるように、渡来系氏族が大陸系の神を祀ったことから始まったのでしょう。この地が百済からの渡来系氏族の船氏・葛井氏の地であってみれば当然のことですな。この地は石川の西岸にあるが、前回輪行した東岸の地は藤原不比等を養育した氏族としても有名な田辺氏の地であり、田辺氏も百済系渡来人ですから、この辺り一帯は古くから百済系渡来人の支配する地であったということですな。
辛国神社のすぐ北にあるのが葛井寺。葛井氏の氏寺といわれている。この寺は西国三十三番札所の五番札所となっているように、千手観音坐像(国宝)が本尊である。何でも大手42本、小手1001本あり、我が国仏像では手の本数が最多であるというのが売りらしい。こんなに手が多くては、時に仏像をモチーフに絵をお描きになる、真澄さんもお手上げではないだろうか(笑)。
(葛井寺本堂)

(葛井寺山門)
この山門も神さびて堂々とした力強さのある美しい門である。門前の土産物店にご老人が一人つくねんと店番をして居られたので、「葛井餅」(くず餅)を家づとに買い求めることにしました。
葛井餅を買った訳でもなかろうが、空腹を覚える。12時20分になっていた。そばの商店街に進入し食事の出来る処は・・と探し、最初に出会った食堂に入る。昔懐かしい「町の大衆食堂」でした。二人とも早食いなのか、済ませて、さあ出発とお勘定をしたら、店のオバサンが「早いですね。」と笑って居られた。滞在時間10分~15分位だったでしょう(笑)。
店を出て、再びMTBの人に。雄略天皇陵を目指す。
途中に城山古墳というのに出会ったので立ち寄る。とにかくこの辺りは古市古墳群と言って、大小様々の古墳が至る処にあり、出鱈目に走っていても必ずなにがしかには出くわしてしまうのである。
(城山古墳)
古墳の濠にあたる部分が菖蒲園になっているほか、睡蓮の池にもなっていたり、市民が植樹(誰かさんの結婚5周年記念とか成人式記念などが目に入りました。)した梅林になっていたりしているが、古墳は現在発掘調査中にて、墳丘への立ち入りは禁止となっていました。上の写真の反対側の墳丘部分は津堂八幡神社の境内地となっていました。

(雄略天皇丹比高鷲原陵)
宮内庁指定のこの雄略天皇陵は円墳である。雄略は古代天皇の中でもひと際存在感のある天皇であるが、それにしては規模が小さい。1km程西方にある大塚山古墳が雄略陵だという説もあるようだが、定かではない。
雄略天皇は古事記、日本書紀でも話題の多い天皇であるが、万葉に引きつけて言えば、ご存じ、あの「こもよ みこもち ふくしもよ みぶくしもち・・」の万葉の巻頭を飾る歌の作者とされている天皇である。
この歌にちなんで、我が住む里に近い日下(草香)を雄略に無理にも関連づけてみると、こんなエピソードが古事記に出て来る。
或る時雄略天皇は、三輪川
(現、大和川の上流、三輪山麓を流れるあたりのこと)
の畔で洗濯をしている美少女に出会い、
「汝は誰が子ぞ。」(雄略)
「己が名は引田部赤猪子といふ。」(美少女)
とのやり取りをする。
そして「汝、嫁がずあれ。今に召してむ。」と約束をする。
ところが、雄略はそのことを忘れてしまう。
80年たって老女になってしまった赤猪子は、
「待ちわびた積年の思いを一言云わないと腹の虫が収まらないわ」
とて、雄略に会いに行く。
「お前は誰じゃ?」と雄略。
そこで彼女は経緯や自身の思いを述べる。これを聞いて雄略が詠った歌は、
引田
(ひけた)
の 若栗栖原
(わかくるすばら)
若くへに
ゐ寝てましもの 老いにけるかも
(引田の若い栗の木立よ。若いうちに一緒に寝ればよかったのに。老いたもんだ。)
そんな言い草はないだろうと思うが、これに対して、赤猪子は、
日下江の 入り江の蓮
(はちす)
花蓮
(はなはちす)
身の盛り人 羨
(とも)
しきろかも
(日下の入り江に咲いている蓮の花のように、今が一生の盛りの若い人が羨ましいことです。)
と、答える。
私の青春を返して、なんぞと言わないのが古事記の世界だ(笑)。
で、この日下は現在の東大阪市日下町なのである。我田引水は疲れる。河内の蓮根畑に水をやっと引くことが出来た、という次第(笑)。
<参考>
雄略天皇

(吉村家住宅・長屋門)
吉村家住宅(公開は春秋の特定日とあって、この日は固く門が閉ざされていました。)の広大な敷地の周りをひと巡りするうちに、雨がぽつり、ぽつり。帰途につくこととする。
大和川に出た処で偐山頭火氏とは西と東に別れ、小生は東に。大和川沿いの道を遡上し、出発点の柏原市役所前あたりに来た頃から雨がポツリポツリを過ぎて、パラパラになって来た。上衣は既に雨具に着換えていたが、雨具のズボンを上から穿き、帽子を被り、雨用フル装備にして、恩智川沿いをゆっくり走って自宅に帰りました。

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