秋から冬へ・2

長月


薄と月●決断を促すごとく野分来る

     ●稜線の尾根より落ちる秋気配

●毬栗の何処に向けし剣の先

     ●淋しさの群れて揺れ居て女郎花

●両の手に静けさ握る薄道

     ●小さき花ちいさきなりに九月かな

●花のごと一片浮かぶ水の月






神無月


<読書
●夕暮れて空近くする紅葉かな

     ●雨たたくしなやかに受け秋桜

●畦に立つ人の一服豊の秋

     ●大の字に宙を見つめて捨て案山子

●空青し点描と舞ふ群とんぼ

     ●幕末をめぐり会津の秋彼岸

●君と居る陽のあたる場所秋桜





霜月


晩秋のリス●山の道行く道のまま紅葉かな

     ●星月夜人待ち顔に見えぬよう

●つるりんと小芋の白き現るる

     ●冬立ちて薔薇の色の濃く強く

●冬帽子去年の匂ひまとひゐて

     ●海の色宿したままの秋刀魚焼く

●草紅葉陽を集めては手放しぬ








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