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ジャスも最高
ヴィーナス・ジャズ・シリーズに寄せて
このヴィーナス・レーベルの一連のジャズ・シリーズは、とりも直なず今日まで発売されて以来SJ誌を初め、新聞その他各誌に於て絶賛されてきたものばかりである。ジャズ好きを筆頭に音楽の解る人達に支持され愛聴されてい名演・名盤揃いである。
このシリーズに共通する言語は古き良き時代の香りを乗せて、こよなくスタンダードに良い雰囲気を醸し出しているのが一番の特徴だろう。どこにも無理がなく、それでいてパッションを持ちながらも煩くなく、小粋な歌い回しや吐息のようなフレーズ、そしてセンスの良いアレンジ。ベテランの円熟味が適度に加味されて、この上なくジャズをジャズしている。
どのアルバムからも「これがジャズだよ、ジャズっていいな」という感慨を聴くものに与えてくれる数少ない演奏ばかりである。
シリーズはピアノ・トリオ・シリーズとサックス・シリーズのパート別にそれぞれ15タイトルづつ、全部で30タイトルの発売になる。
音楽は常に生きている。だからこそ変化していくのは当然。でも心を打つのは変化ではないだろう。驚きや新しい表現への共感と戸惑い、その未知の出会いにも絶えずそこに流れる法みたいものがきっと有る。人間には、通する存在をどこかで求め共感しようとしている。その何かが伝わる時、それが人それぞれの感動に結び付く。
今最も必要なジャズの要素、聴かれるべきにして有るべきスタイルがこれらのアルバムには存在していると思う。だからこそ多くの人に聴き継がれるのだろう。
[アルバム・コメント]
魅せられし心/エディヒギンズ SJ誌GD
実に大人のジャズといった雰囲気が、全体にしっくりとエレガンスを帯びている。バラード風の曲など堪らない程にやるせなさを感じさせる。円熟の極み、旨みのある抜群の演奏である。
忍びよる恋/スティーブ・キューン・トリオ SJ誌GD
アルバム・タイトル以上にエネルギーのある演奏に仕上がっている。その分バラードにはこの人のセンスの良さがより鮮明に現れている。曲の運びやトリルの使い方など、どこを取ってもこう弾いてほしいという願いがまるで伝わったような演奏をしてくれている。
ニューヨークの秋/クロード・ウィリアムソン・トリオ
少し前の演奏スタイルで良き時代のジャズを最もジャズぽい感じで弾いている。ご機嫌な明るみとシックで洒落た小粋なピアノはベテランの風格を感じさせる烽フ。
アゲイン/エディ・ヒギンズ・トリオ SJ誌GD
よりセンシティブにパッションをもってこのアルバムは作られたのだろうと思われる。深みのあるティースト、そのフィーリングのなんと心地よいことか、一聴歴然である。ベテランにして成せる世界とはこういうものをさすのかも知れない。
ラバーマン/ジャッキー・テラソン・トリオ
現代を代表するジャズ・ピアノの演奏スタイルが聴くもののエネルギーをかきたてる。ハイテンポでパワフルな音楽がここにある。躍動するさまは目を見張る思いがする。
音楽のある限り/デニー・ザイトリン・トリオ SJ誌GD
緩急を自在に、独自のジャズ哲学をもってたっぷりと響かせるピアノの調べ。流れていく自然なメロディの創りなど、どこをとってもザイトリ唐フ天性の成せる業としか言いようがない。
クライミー・ア・リバー/ジョン・ヒックス・トリオ
このスタンダードな名曲を実に素直に、まるでリズムをピアノの中に収めたようなアレンジが、聴いていて気持ちがよい。
ブルースをそっと歌って/スティーブ・キューン・トリオ
味わい深いアルバムで、なんといってもキューンのピアノの旨さが一際光る演奏。魅力的なバラードは天下一品。
国境の南、太陽の西/クロード・ウイリアムソン・トリオ
ご機嫌な明るい曲とバラードに於ける陰影の対比、そのコントラストがこの人のジャズの旨さを物語っている名演である。
スピーク・ロウ/ウォルター・ビショップJr・トリオ
けして無理をせず自然なままに、それでいて溢れんばかりの感情を込めてピアノに向かっている。若々しさも覗かせる秀演である。
ラベンダー・ミストの女
リチャード・ワイズマン・トリオ
骨格のはっきりとした弾き方に特徴があり、一種独特の雰囲気をもつワイズマン。いい意味でのイージー・ジャズ的なメロディの歌わせ方はとても聴きやすい。
モーニン アート・ブレイキーの肖像Ⅱ
ジョン・ヒックス・トリオ
パワフルに情熱を注ぎ、この偉大なジャズマンへの畏敬の念をこのアルバムに集約したような真摯な音楽がここにある。激しくも美しくあるヒックスのピアノが心を打つ。
ソング・マイ・ファーザー
クロード・ウィリアムソン・トリオ
名曲が名手のピアノにqり、改めてこの曲の素晴しさを認識してしまうアルバム。それにしてもウィリアムソンのピアノは心憎いほど旨い。
ワルツ・フォー・デビー
デビット・ヘイゼルタイン・トリオ
誰もが知っているこの名曲中の名曲。この人のセンスの良さがにじみ出たアルバムで、どことなくエバンスを彷彿させる。タッチも美しく、しっとりとした音色は響きを大切した証し。優れた一枚だ。
ス・ワンダフル/ビル・チャーラップ・トリオ SJ誌GD
出色の出来、そして圧倒的な旨さの光ったアルバムである。生まれ持った天性みたいなもので、考えて出来る音楽を備えている。今後最も注目されるピアニストの一人である。
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