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最近の演奏家について

up年の初めに2002年の来日演奏家シリーズをNHKの教育番組で放映してくれた。時にポリーにエディションとしてこの大家の演奏が披露されたのは記憶に新しい。彼のデビューは随分前だがここ数年は大変演奏の質と内容に変化を来たしている。CDやレコードを聴く限りに於いてポリーにの演奏はあらゆる観点から判断して、どう見ても「これ以上はありえない」という演奏をしている。20年くらい前に来日した時に聴いたショパンのエチュードとドビュッシーのエチュードは私の35年以上のコンサート歴の中でも特筆したものであった。聴きながら「今日は拍手をしどうしで、ここから帰れなくてもよい」そう思えた演奏であった。生涯に何度聴くことが出来るだろうか?とそのとき思ったのを今でも覚えている。
ところがここ数年、たぶん5年くらい前からだろうか、彼はとても変わった。否苦労していると言ったほうが、正しいのかも知れない。自分の演奏する時に周りにに人を座らせ演奏に臨む。若くして完全な形とその分析の正確さ。至上稀に見る完璧なまでのテクニック。今にして思えば、古今の大家と呼ばれた演奏家、巨匠と呼ばれてきた人たちにはある種の共通した境地がある。
バックハウスも然り、ケンプ、ネイガウス、ソフロニッキーなど天下の巨匠たちにはある面で精神の高揚と質の高さを次元の枠をこえて何か右肩上がりの世界をもっていた。
このポリー二の演奏をずうっと聴いてきた自分としては、彼は余りにも早くに成熟していたと思えてならない。このような天下一品の演奏家は深遠を求めてそれこそ、深く音楽を探求、追求していくという世界は、今の状態からは察知できないと思えるからである。至るところに恐怖感との戦いが見られる。それは自分の演奏に何故か自信を持てないでいる姿を見ているようで、こちらがひやひやするのである。普通の演奏家であったらこんなことは思いもしないし、大凡考えることもないのである。ポリーにという稀有の天才だからこそ、思うことなのである。
ポリーニ



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