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「剃刀の刃」


モーム作の小説の映画化。随所に啓示させられるシーンが何気なく描かれ、初めからこの映画で何を言いたいのかが伺える1946年の作品。
青年ラリー(タイロン・パワー)は、第一次大戦中に自分の身代わりに仲間が死んだ。イザベル(ジーン・ティアニー)は裕福なラリーの婚約者。金持ちのグレイ・マチュリン(ジョン・ペイン)後にイザベルと結婚する。この3人を取り巻く物語である。
紙面の都合上、割愛を余儀なくされるが、先の見通しの立たない貧しい暮らしを送るラリーに失望し、イザベルとの婚約を解消。定職もなく、人生の意義を考えたいという男の気持ちを、彼女は愚かしく思う。その後、ラリーはインドの賢者から、「救いの道を渡るのは、『剃刀の刃』を渡るが如く難しい」と教えられる。物資を超越した精神生活の実践、その東洋の聖道に彼は傾倒していく。修行を積み、ついに神秘体験をして、自分と出会うことができたラリー。その反面、欲望を捨てきれないイザベル。利己的な愛のために犠牲となり、悲運な最期を遂げたソフィーらの姿を通して、人生を考えさせられる。表題の如く、凌駕した卓見の人生は「剃刀の刃」を渡るがごとく難しいのかもしれない。


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