第5話      魔球



前田  「よし。全員集まったな」

前田  「これから入部試験を始める」

前田  「まず第1の試験、人間競馬を始める」

川崎  「人間競馬・・・?」

ザワザワザワ・・・

前田  「じゃかぁしい!!」

内田  「・・・・・」

前田  「じゃあルールを説明するが・・・」

人A  「おい!お前は受けないのかよ!!」

前田  「ん?あたりまえだろ?」

人A  「そんなの不公平だ!!」

そうだ!そうだ!ザワザワザワ・・・・

前田  「はいはい!わかったよ!」

前田  「どうやらお前ら・・・実力の差に気づきたいようだな」

前田  「よし。んじゃ入部試験を変える!」

川崎  「変える?」

前田  「打者はバッターボックスに入れ!オレが投げてやる!」

人A  「上等だぜ!まずはオレからだ!」

人A  「お前の球なんか軽くホームランだぜ!」

川崎  「確かに・・・この高校に来るぐらいなんだから相当の実力者だよね」

人A  「どうした!はやく来いよ!!打たれるのが怖いのか!?」

前田  「打たれる?バカかお前は」

人A  「何!?」

前田  「この試験の合格条件は・・・」

前田  「1打席勝負でオレの球に1球でもカスることだ!」

人A  「な、何だと・・・!!」

前田  「もちろんファールでもいい。当たりさえすればな」

佐々海 「でたよ。裕平のなめっぷりときたら・・・」

坂本  「だが、それも実力が備わっていてこそだがな」

前田  「お前ら守備つけ!!」

なんで俺たちが・・・ゾロゾロ・・・

前田  「まぁもっとも守備なんていらないんだけどな」

人A  「なめやがって・・・」

佐々海 「私がキャッチャーやるよ」

前田  「じゃあ行くぜ」

前田  「1球目・・・と!!」

ゴオオオオォォォォ!!!! ズドーン!!!

人A  「なんだ!ボークか!?さっさと投げろ!!」

前田  「あっちゃ~。お前耳悪いのな」

佐々海 「ワンストライクね」

人A  「え!?今ボール通ったの!?」

内田  「す、スゴイ!!」

坂本  「なんだ・・・あいつ威勢のいいこと言っときながら
     結局球見えてさえいないんじゃないか」

人々  「な、なんだ・・・あいつ・・・おい!スピードガン持って来い!!」

前田  「さーて、次。2球目ね」

人A  「打てるわけねぇ!打てるわけねえんだ・・・!!」

前田  「いっくぜ~!!」

前田が大きく振りかぶった

前田  「よい・・・っしょっと!」

ゴオオオオオオ!!!

人A  「ヒィ!!!」

ズドーン!!

佐々海 「2ストライクね」

人A  「ボール・・・ホントに通ってんのか・・・?」

佐々海 「あったりまえじゃん」

佐々海 「ヒントあげよっか?」

人A  「ヒ・・・ヒント?」

佐々海 「なんでボールが見えないんだと思う??」

人A  「なんでって・・・」

佐々海 「ボールは絶対通ってるんだよ。だって私取ってるもん」

佐々海 「みんなもみえてるはずだよ」

佐々海 「じゃあなんで見えないのかな?」

佐々海 「みんなにあって・・・あなたに無いもの」

佐々海 「ま、わかってもこの球は打てないだろうけどねぇ」

人A  「クッ!」

ズバーン!!

佐々海 「はい。三振~」

前田  「手ごたえねぇー。お前、ちゃんと次の試験受けるんだぞ」

人A  「あ、ああ・・・」

人   「どうだった?」

人A  「お前ら・・・球見えたか?」

人   「ハァ?速いとはいえ球だぜ?見えないわけないだろ」

人A  「だが・・・見えなかった」

人   「ありえないって!」

前田  「おい!次次!」

人B  「お、おう」

人B  (球が見えない?どういうことだ!)

前田  「じゃあ行くぜ!!」




佐々海 「はい。2ストライクね」

人B  「クッ!ホントに見えない!!」

佐々海 「ホントにみえてないの?」

人B  「白い影みたいのがスッと見えるだけで・・・」

佐々海 「ふーん。みんなダメダメだなぁ・・・」

人   「おーい!スピードガン持ってきたぞ!!」

人   「よし。次の球はかるぞ!」

前田  「これで・・・2人目!!」

ズドーン!!

佐々海 「は~い。三振」

ピピッ!

人   「・・・えっ!!??」

人   「ど、どうだった!?」

人   「ひゃ・・・151キロ・・・」

人   「なんだと!!」

人   「そ、そんなのうてるわけないじゃないか!!」

人A  「オレは150のバッティングマシン打ったこと
     あるけどこんな見えないほどではなかったぞ!!」

人A  「何が違うんだ!!」

佐々海 「そりゃあ。常人に打てるわけないよ」

佐々海 「魔球‘白鯱(シロシャチ),」

佐々海 「あなたたちじゃあ絶対打てないわ」

佐々海 「じゃあ次!」

前田  「だから次用意しとけっつーの」

坂本  「じゃ、オレが行こう」

前田  「おお。ひでぼーか!!」

前田  「ひでぼーがバッターならかすったらってのはキツイな」

坂本  「1打席勝負。ヒットならオレの勝ち。アウトなら裕平の勝ち」

前田  「おっしゃ。行くぞ!」

前田  「1球目と!!」

ズドーン!!

佐々海 「1ストライク。見えた?」

坂本  「見えるわけ無いだろ?わかってるくせにさ。
     ま、このままだったらだけどな」

すると坂本は神主打法をとった

前田  「うっはー!さっすがひでぼー!」もう見抜かれたか」

坂本  「タネ明かしでもしようか?」

前田  「そうしてやってくれ。そうじゃないとあいつら打てないもんな」

坂本  「わかった。佐々海が言った‘私とみんなにあってあなたに無いもの,」

坂本  「すなわち‘観客にあってバッターにないもの」

人   「??」

坂本  「これはボールを見る角度のことだ」

坂本  「あいつは投げる動作の途中ボールを頭の後ろに隠す」

坂本  「だからバッターにとっての球を見る時間が極端に短くなる」

内田  「そうか!だから捕手や観客に見えてバッターに見えないんだ!!」

坂本  「そのとおり。ましてやこの剛速球だ。こんな短い時間じゃあ
     球を見続けることすら難しい」

坂本  「そしてボールを見失った目の行くところは球を捜すのに精一杯だ」

坂本  「それを探す際に視界があちこちに行く。内角・外角・高め・低め」

坂本  「そして剛速球はバッターの眼にとまることなく
     キャッチャーのミットに収まる」

坂本  「これがタネだ。ようするに打つためには眼の角度を変えればいい」

坂本  「だからより反り返る神主打法だ」

前田  「さっすがーぁん。完璧じゃなーい」

坂本  「来い」

前田  「行くぜぇ。2球目っと!!」

ゴォォォォ!!キーン!

審判  「ファール!」

前田  「よく追っ付けたな~」

坂本  「まあな」

佐々海 「1塁線強烈なファールか・・・こりゃ打たれるかも」

前田  「かもな」

前田  「いっくぞー!これでー・・・三振!!」

ゴォォォォ!!キーン!!

前田  「あっぶね!」

佐々海 「センタ・・・!!」

ショートには足立が守っていた

足立  「よいっしょ!!」

ショートが飛び込んで取ると寝た体勢でセカンドの内田にグラブトスし、
セカンドの内田がそれを素手で取りジャンピングスロー!!

審判  「セーフ!!」

前田  「ああ!おっしー!!」

前田  「ナイスプレー!ショー!セカン!」

足立  「どんなもんや」

内田  「へへ・・・」

前田  「んじゃさかもっち合格な!」

坂本  「あだな変わってるぞ」

前田  「あれ?そうだっけ?」

人   「な、なんか・・・オレ帝国だから周りがうまいのは覚悟してたけど・・・」

人   「次元がちがう・・・こんなやつらを敵にまわしたら・・・」

人   「あわわわわわ・・・!!絶対合格してやる!!」



現在     3/158人

合格者    1/3人


第6話に続く














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