『あかいふうせん』父子家庭日記

『あかいふうせん』父子家庭日記

『ママは?』



私が「ママはここでネンネしてるんだよ。」とお墓の遺骨が収められているあたりを指差すとDくんは突然
「ママ!Dくんだよ開けて!起きるの時間だよ!開けてよ!」
と叫びながら遺骨を塞いでいる墓の石扉を小さな手でトントンと叩いた。

そして何も応えてくれないママの墓石を前に
「ねぇパパァここ開けて!ママ開けて!」と私に訴えた。
私は3歳を目前にしたDくんに
「ママはまだ眠いからネンネさせてあげようね」と答えることしかできませんでした。

娘の誕生と引き換えに息子の前から突然ママは姿を消してしまったのに、これまで一言もママと言う言葉を口にしなかったのは回りの状況を息子なりに悟って我慢していたのかなぁと思うと、
「2歳の小さな身体で私より頑張っているんだなぁ。」と胸が熱くなる。

そして私は子供達の前でママの話をすると寂しがるからと、できるだけ話さないようにするのではなく
『保育園が休みの日には必ず子供達とお墓に来てママとお話ししよう。』
『毎日沢山ママとの思い出話しよう。』
と思った。その方が子供達の心の中でママは生き続けるし、なにより妻が喜んでくれると思ったから。


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