魂の叫び~響け、届け。~

君の隣で・・・・


もう…ありがとうっっっっ!!

私がいくちゃんにプレゼントした『キミに降る雨』の姉妹品、というか双子品ですよ!!

シンクロ率 20000% です(笑)

大切な頂き物なので、持ち帰りしないで下さいね!
しょっぴきますよ~。

そんないくちゃんのお話が、もっともっと読めるサイト 『えぶりでぃ はっぴぃ』 コチラ!




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君の隣で・・・・






カチコチカチ・・・・

レトロな掛け時計が規則的な音を立てる。

もうすぐ・・・今日が終わるんだ・・。

「早くしなくちゃ。」
僕は小さく呟いてペンを走らせる。

それにしても・・・・・眠い。
僕は夜遅くまで起きているのが苦手。
でも、今だけは頑張らなくちゃ。

「よし。出来た!あとは・・・と。」
眠っているアスランを起こさないように、小さなチェストの引き出しを開ける。
そこから目的の物を取り出し、静かに閉める。

いつも僕よりずっと後で寝るアスランが、今日は珍しく先に眠ってしまった。
疲れてるんだね?アスラン。
評議会での仕事は、僕の想像以上に大変みたいだ。



僕はアスランほど手先が器用なわけじゃない。
だから、今やっている作業にはちょっとてこずっている。
なかなかうまく行かなくて、思わず「わーーーっ!」っと叫びたくなる。
でも、ここは我慢。
だって今は夜中だし、アスランがぐっすり眠っているのに起こすわけにはいかないもの。


「出来た・・・。」

僕は出来上がったそれを手に、アスランの眠るベッドへ向かった。
あと2分で今日が終わる。
「良かった、間に合って。けどギリギリだ。」
自嘲気味な笑いを漏らしながら、僕はそっとアスランの隣に滑り込む。
起こさないように、そっと・・。
「アスランの寝顔なんて、久しぶりに見たな・・。」

ポーン、ポーン、ポーン

掛け時計が鳴り、『明日』が『今日』になったことを告げる。
僕はブランケットの外に出ているアスランの手に、悪戦苦闘しながらもついさっき出来上がった物をそっと握らせる。

それは、紫と緑のリボンで飾られたMD。

そのリボンと僕は格闘していたんだ。

MDを握らせアスランが目を覚ましていないことを確認すると、僕はいつもアスランがしてくれるように優しくその濃紺の髪を鋤いてみた。

「アスラン・・・。誕生日、おめでとう。」

薄く開いたアスランの唇。
アスランは眠っていても綺麗だな。

「大好きだよ。アスラン。ずっと一緒に居ようね。」

僕はそっとそっと、アスランの唇に口づけた。

いつもアスランがおやすみのキスをしてくれるからかな?
アスランにキスした途端、眠くなってきちゃった・・・。
「も・・・・げん・・・か・・い。」

おやすみ、アスラン。
大好き・・・・だ・・よ・・





「・・・ん・・・。」

慣れ親しんだわずかな重みに、少しずつ意識が覚醒していく。

「キ・・・ラ・・?」
仰向けの俺の肩に頭を乗せて、安らかな寝息を立てて眠っている。

その柔らかな髪を鋤こうと、右手を動かした時・・・・感じる違和感。
「なんだ・・?」

俺の手にはプラスチックのケースに入ったMDが一枚。
それは緑と紫のリボンで飾られ、小さなメッセージカードが添えられていた。

「これ・・・は・・・?キラが・・?」

俺はキラを起こさないように気をつけながら起き上がると、何度か結びなおしたであろう、悪戦苦闘のあとが見えるリボンをそっと解いた。
「だいぶ苦労したみたいだね、キラ。」
リボンに翻弄されているキラを想像してみると、自然と笑みがこぼれてしまう。

メッセージカードを先に開いてみる。

『アスラン、お誕生日おめでとう。
いつだって僕は君と一緒に居るよ。

大好きなアスランへ
キラより。』

「誕生日・・・・?・・俺の・・?」

時計を見ると、午前1時前。
日付が変わっていた。


「そっか・・・。ありがとう、キラ。」

キラは少々のことで起きたりはしないけど、それでも妙に神経質なところもあるから、なるべく物音を立てないようにMDをコンポにセットする。

【君は僕に似ている】
MDのレーベルにはそう書かれていた。

ヘッドホンを耳にあてスタートボタンを押す。

『君の姿は 僕に似ている 静かに泣いてるよに 胸に響く・・・』

ごく短いイントロの後に、優しく澄んだ女性の声。

俺はゆっくりとその歌を聴いた。

穏やかに流れるメロディーと、語りかけるように紡がれる詩。
それは、静かに俺の胸に浸み込んでいった。


時間にするとあまり長くはないその歌が終わり、ヘッドフォンを外そうとした時

『え・・・と・・・。コホン。・・』
聞きなれた声が聞こえてくる。

「キラ・・?」

俺はヘッドフォンを耳に当てなおし、その愛しい声に集中した。

『あの・・・、アスラン。誕生日おめでとう。面と向かって言うのも恥ずかしいけど、こうやって、1人で録音ってのも、結構恥ずかしいね・・。』

「キラ・・・。」
自分でも顔が緩んでいるのが分かる。
こんな顔はキラには見せられないな・・。

『僕、いつもアスランに頼ってばかりで、君には何にもしてあげられないから、この歌を贈ります。

これは、ラクスが口ずさんでいていい歌だなって思ってさ。
ラクスに誰のなんていう歌?って聞いたんだけど、ラクスもラジオで流れてたのを一度聞いただけだからって・・・。

だからね、ラクスが歌ってたフレーズを頼りに色々調べたんだ。
そしたら、何年か前にナチュラルの女性ユニットが歌ってた【君は僕に似ている】っていう曲だったんだ。
色々探してみるとネット配信されているのがあって、それをダウンロードしたんだ。

聴いてみるとね・・・・・。
僕の君への気持ちを歌ってるみたいだった。
だから、この曲をプレゼントしようと思ったんだ。
アスランが、気に入ってくれるといいな・・・・。
大好きなアスランへ。誕生日おめでとう。ずっとずっと一緒に生きて行こうね。
キラ・ヤマト』


「キラ・・・。」

愛しい人の名前を小さく呼んで、ヘッドフォンを外した。

ベッドへ視線を送ると、さっきの姿勢のまま気持ち良さそうに眠っている。

俺はもう一度ベッドへともぐりこんだ。
キラの柔らかな髪を鋤くと、くすぐったそうに身じろぎをする。
横を向いている顔を少し上に向かせて、桜色の唇に優しく口付けを落とす。

「・・ん・・・・・」
「キラ・・。」
覚醒しそうなキラにもう一度、今度は深く口付ける。
「ん・・・・?・・あ・・・ふぁ・・・・・んん~。」

キラが目を覚ましたのを確認して、俺はキラの唇を解放した。

「ア、アスランっ!?」
眠りから突然引き戻されたキラは、思いもかけない出来事に頬を染め、宝石のように綺麗な紫の瞳をパチパチと瞬かせた。
「お・・・起きてたの・・?」
俺は小さく微笑むと、キラを腕にそっと閉じ込めた。

「プレゼントありがとう、キラ。」
「えっ!?もう聴いたの?あれ・・・。」
びっくりした様子で俺の顔を見上げたキラは、更に顔を紅潮させ最後の方は聞き取れないほど小さな声で俺に尋ねた。
「あぁ。すごく嬉しかった。歌も素敵だったし、キラのメッセージもね。」

俺の言葉を聞いて、俺の腕の中で恥ずかしさからもぐりこむように小さくなるキラ。
可愛くてたまらない。

「ね、キラ。ワガママ言ってもいいかな?」
「ワガママ・・・?」
縮こまっていたキラが、巣穴から顔を出す小動物のように、ひょこっと顔を上げた。

「うん。もう一つプレゼントが欲しいな。」
「もうひとつ・・・って?」
キラは少し困惑したような、不安げな表情で俺を見上げる。

そんなキラの額に軽く口付けると、俺はキラの耳元でそっと囁いた。

「キラが、欲しいな。今すぐに。」

「え?で、でもっ!僕なんか・・・その・・・・・食べ飽きて・・無い・・?」

キラは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
そんな訳ないだろ?キラ。

「キラの誕生日には、キラが俺をお強請りしたでしょ?」
「う・・・うん。」
キラは恥ずかしそうに目を伏せる。
「だから、俺にもキラを頂戴。」

「僕・・・なんかでいいの?」
おずおずと顔を上げ、小さく尋ねる愛しい人。

「キラじゃなきゃ、ダメなんだよ?」
そう、他の誰でもない、お前。
ここに居るのがキラじゃなきゃ、意味がないんだ・・・。

「アスラン・・・。」
僕はずっとずっと、君と共に居るよ。
だから・・・・
「僕を・・・、もらってください。」

「キラっ。」
体勢を入れ替え、上からキラの大きな瞳を見下ろす。
少し潤んで、なんて綺麗な紫色。
俺のたった一つの宝石。
絶対に離したりしない。

「誕生日おめでとう。アスラン。」
僕を見下ろす深い翠の瞳。
綺麗だな。
もう絶対に、離れたりしないから・・・。
君の隣でずっと生きていくよ。


交わす口付け。
重なる吐息。
何もかもが、熱く、そして愛しい。

「キラ・・愛してるよ。」
「僕も・・愛してる。アスラン。」

これから先どんな辛いことがあっても、きっと超えていける。

俺はお前に・・・・
僕は君に・・・・

生かされているから・・・・。


Fin





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