若くして夫を亡くし子供もなく
白髪の目立ちはじめたロレッタは
真面目で平凡なジョニーとの
夢のない再婚を決めました
ジョニーは母の急病のため
ロレッタに弟のロニーを結婚式に招待するように頼んで
故郷へ旅立ちました
若いパン職人のロニーを
まだ新人のニコラス・ケイジが演じていますが
あの大きな目の妖しさにおどろいた私は
"これは掘り出しものに違いない!"と
将来の活躍を予言したものでした
ロレッタがロニーにはじめて逢った夜は
大きな満月が煌々と輝いてふたりを照らし
普通なら起こる筈のないことが起こってしまいました
相手は婚約者の弟です
これっきり忘れましょうと言うロレツタに
ロニーは、大好きなオペラを付き合ってくれたら
諦めると言いました
その夜、タキシードに身を包み
見違えるばかりのロニーと
髪を染め美しく盛装したロレッタは
すぐにはお互いを見分けることが出来ませんでした
ふたりは
プッチーニの『ラ・ボエーム』(多分そうだと思いました)に酔い
月の輝きに惑わされ
人生が変わってしまったのでした
この映画でシェールは
アカデミー主演女優賞を受けています
母を演じたオリンピア・デュカキスは
助演女優賞を受賞しました
この母がまたたいへん素晴しかったのです
夫が浮気をしているのを知り
『私は悪い妻でしたか?』と、問いかけ
真正面から夫に向かっていく姿がいじらしく
心に沁みました
時には星や月に惑わされてみるのも
素敵ではありませんか