詩と映画と日記

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「過去をもつ愛情」





「過去をもつ愛情」

監 督
アンリ・ベルヌイユ
音 楽
ミシェル・ルグラン
出演者
フランソワーズ・アルヌール
ダニエル・ジェラン
トレバー・ハワード
アマリア・ロドリゲス


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アマリア・ロドリゲスが歌う主題歌
ポルトガルの民謡を聞くだけでも
この映画を見た甲斐があると思います

フランスにはシャンソン
イタリアにはカンツォーネ

そしてポルトガルにはファドがあることを
世界に知らしめたこの曲は
原題 "Barco Negro"(黒い小舟)
詩人のモーラン=D.J.フェレイラの作詞

何かしら世を捨てたような雰囲気で
陰のある男ダニエル・ジェランと
ネコのようにしなやかな肢体とパリの香りの漂う
若く美しい富豪の未亡人アルヌールが
リスボンで出会って恋をしますが

ふたりが聴くファドは
恋人達の哀しい行く末を
予言しているようにも聞こえます

アルヌールの美しさとポルトガルの海とファド
映画を愛する方には
ご覧になる価値があると思います

ポルトガルの暗く冷たい海を眺めて
夕暮れになっても帰らぬ夫を
切々と恋い嘆く妻の歌です

歌詞を書き留めてみましたで
お時間がありましたら味わってみてくださいませ





「Barco Negro」
あなたの横で目覚めたとき
きょうもきれいだよと言うあなた
戸を開けると日の出だった

あなたの小舟が光に揺れた
舟は帆を揚げて沖のほうへ
あなたは雄々しく手を振った

あなたはもう帰らないと皆は言う
そんな筈はないわ
そうあなたは今も私の傍に居る

砂を巻き上げる風の中
音を立てるヤカン 誰も居ない椅子
かまどの陰やベッドのぬくもりの中

私の肩のくぼみ
そこにあなたは居る
いつまでも







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