プロローグ


    ここは   迷宮なのだろうか・・・・。


    おぉ  この子は天才だぞ
    なんて賢いんでしょう、 紘満ちゃんも頑張ってね
    桐生家は真澄ちゃんがいれば安泰ですな


「やめてっー・・・・」
そんな悲痛な声を漏らし、紘満は目覚めた。外の光の眩しさが紘美の視界を眩ませた。カーテンがうごいて、そこから風が入ってきている。どうやら昨日、窓を閉め忘れたようだ。
真冬だったら、間違いなく風邪を引いていただろう。今は冬の初めだが、紘未の体は若干冷えていた。
今思えば、今までの悪夢も、この零夜のせいなのかもしれない。妹への賛辞の言葉も、紘満にとっては冷たい嫌悪感でしかないのだから。

         ”真澄は天才”


そんな事 知ってる。
IQ130の天才だなんて知ってる。

私は「桐生 紘満」、「桐生 真澄」は私の妹。
私たちは血を分けた、たった二人の姉妹だ。
ウチは財閥で私はその長女、だけど、家を継ぐのは私じゃない。 真澄だ。
理由なんて言うまでもない。
誰もが3万人に一人の天才と言われる真澄に期待している。
真澄が生まれるまでのチヤホヤされた生活が好きだったわけじゃないけど、真澄が天才と分かった後の扱いは、私にとって残酷だった。
私のためにとつけた家庭教師、家政婦、ボディーガードはみんな真澄のものとなって、今まで向けられてきた一族中の笑顔も、すべて真澄へと向けられていった。
子供だった私は、何が起きたのかを理解できなかったのかもしれない。


少しでも真澄に近づこうと、勉強も何もかもがむしゃらに頑張ってみた。そうすれば父さんも母さんも自分に笑ってくれるような気がしたから。   
だけどそれは無意味だと、年を重ねるごとに知っていく事になる。
カメがどんなに本来の速さより速く走ったって、周りの目は前を走っている犬に向けられる。







  間接的に 突きつけられる感情。
  行き場のない 疎外感。









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