闡鐓魔界・ヴァルセムス

闡鐓魔界・ヴァルセムス

1章 過去



「早くしろよ」

ハーフエルフとクォーターエルフの二人・・・
似たような顔つきだが違いがある。髪と目だ

クォーターエルフの少年は空色の青、つまり水色、名はマキト
ハーフエルフの少年は濃い青、藍色と言ってよい、名はオルクス
長く走ってきたのか、両方とも息が荒い

「ハァハァ・・・ふぅー」
「いいか?開くぞ?」
「うん」

1冊の魔道書・・・開くとそこには魔方陣がある
ほかに詠唱の仕方、魔力の質量

この本はいずれ消える『争いの種』
その種が芽生えはじめていた

「・・・難しいね?」
「うーん・・・そうだな」

ハーフエルフの少年が言う

「オトーサンたちには秘密だよね?」

クォーターの少年は言う

「そうだね、絶対秘密だ」


幼きころは仲が良かったのだが
時は流れていくうちにお互いは違う道を歩んでいた

3年後
理系などの自然や薬品の学習に・・・

「ん?・・・ここ違く無い?」
「いいんだよ、効率よくしなくちゃ」
「ダメだよ、効率よくしても時間がかかる」
「効率が良くて時間がかかったほうが良いの!」



この時、ハーフエルフの少年はクォーターの少年に嫌気を感じていた
ハーフエルフの少年が15歳になり、メルトキオのとある貴族の館に使用人として来た
その貴族はアルトラル家、中貴族として知られていた

5ヵ月後
ハーフエルフの少年はよく働き、周りに知られるようになる
そしてアルトラル家の老執事から声をかけられる

「今日は休んでください。ずっと働いて、坊ちゃまが心配してます」
「え・・・あ、しかし」
「いいのですよ、たまには。」

坊ちゃまと言っても、年齢は12歳であり、ハーフエルフの少年とは3歳違いでよく遊んであげている子だ

執事の言葉に甘え部屋に戻ろうとしたが・・・

「納得いくか!!」
「!?」

扉がかすかに開かれており、中には主人とその妻、長男と次男と長女がいた

「あのオルクスとかいう者、田舎から来た者であろう」
「だけど、とってもいい人だよ」
「ふざけないで!あの人、ハーフエルフって言われてるのよ?」
「ホント?だからほかの貴族が私たちのこと嫌がってたのね・・・」
「どうするの・・・?」
「・・・とりあえず、寝なさい。」
「・・・はーい」

子供達はひどく不満そうに愚痴をたてながら奥の部屋に入っていく

「で、どうするのです?」

残っていた婦人は主人に質問をする

「子供達には他の所に行ったと言おう。あいつは来週までに殺させる」

「!!!」

足音を立てず、急いで部屋に戻り出て行く準備した


次の日

ハーフエルフの少年は戸惑いつつも執事の仕事を続ける
ふと主人が2階から食堂に向かおうとしていた

「お早う御座います」
「・・・・・」

ハーフエルフの少年は何もないように、笑顔で挨拶をするものの反応がない

そして更に次の日・・・ある決断をする

夜、部屋に揃ったアルトラル一家が何かを話している・・・

そのことに構いなく、戸を開く

「!?な、なんのようだ!」
「あなた達を・・・・殺しに」

悲鳴すらあげる間もなく一瞬にして3人を瞬殺・・・
だが、残った1人が叫び兵士達を呼び寄せた

「!なんということを」
「死にたくなければ、どけろ」

兵長は少年の言葉を無視し、命令をする

「あいつを捕まえろ!!」

ハーフエルフの少年の手にマナが集まる
そして、夥しい量の鮮血が散る
その部屋に来た者も全て殺した・・・・が

「どうして・・・僕だけ・・?」

アルトラル一家の長男は生きていた

「・・・いずれ、分かる。また会えたら・・・な」

顔に付いた血を気にせず、わずかに微笑んでその場を立ち去った


そしてアルトラル一家5人中4人。
護衛兵や外兵なども含め、合計50人以上を殺すという大事件が一晩に起きた
犯人の少年はメルトキオから脱走を行い、テセアラは数日の間、恐怖に満ちた




数ヵ月後・・・

「賞金首オルクス=リィルマクス・・・S級犯罪者、捕まえたら1000万ガルトか」

サイバックの手配書を見つけた少年・・・マキト=カザミは何も思いたくなかった

争いの種となる本・・・その本が二人を離していた




←紹介文 2章→




© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: