バル対策本部元帥の間

序章　堕ちた心と腐った信念　第一話

俺は・・・・・何をしている？

序章　堕ちた心と腐った信念　第一話

フィールドの高台に座り込む1人の男

男の真紅の眼は輝きもなく、どこか虚ろ

長い黒髪は風になびいている

男は何かを発見するとﾆﾔﾘと笑った

また、獲物が来た

しかしモンスターの事ではない

PC だ

なにも知らず

なんの恐怖も感じず

フィールドでチャットを楽しむ3人

PKに意味なんて無い

ただの自己満足にしかすぎない

けど、俺はやめられないだろう

なんの意味もないのにな

「・・・・ｶﾞﾊｯ！」

「ちょ、なんだよこいつ」

「クレｓ死んじゃった；；」

仲間の死を嘆くか？

どうせ、本当に死にはしないんだ

喚くなイライラしてくる

あっけない

やっぱりあっけない

でも

やめられないな

この染み付いた感覚

高ぶらせるのは獲物の悲鳴

「このDK・・・悪食？」

「悪食？誰か知らないけどなんで殺したの！？」

理由・・・殺した理由？

「何で？殺したの？聞きたいか？

そうだな・・・意味なんてないからなぁ

とりあえず死んでくれるかな？俺のためにねｗ」

二又の大槍、歯翼月牙を肩に乗せ

悪食と呼ばれた男はｹﾗｹﾗ笑っていた

二人の目付きが急に鋭くなった

シーフの男と

クロスボウマンの女

なんだ

つまらない

小者でもまぁ・・・楽しめるのかな？

「クレｓの為にも殺られる前に殺ってやる」

「援護するよぉシーｈ・・・・」

遅い、喋るな・・・

置かれた状況を理解できないのか

誰かの為にか？さっき殺されたクレリックのために？

本当にここには愚者しか居ないな

悪食の背中から巨大な黒い鋼の羽が2枚現れ

助走もなしに飛び、高速で二人の間をすり抜けた

「ぇ・・・・

シーフｓ・・・・

なんで・・・一瞬でなんて・・・」

シーフの首は地面に転がっていた

クロスボウマンの隣に居たシーフの体は

ゆっくりと地面に崩れ落ちた

足掻いてくれよ・・・

もっと足掻いて、必死の形相を見せてくれよ・・・

あとは・・・

クロスボウマンのすぐ後ろで

悪食はこう囁いた

「おまえで最後だな」

こんなことばかりしてきた

黙って帰還書で逃げればいいものを

仲間の為にPK仕返してくる者

やったらやり返されるか？

善意から来るものか？ともかく愚かだ

まぁ

退屈はしない

昔は

「PK？ただの人殺しと一緒じゃんか」

「PKなんて正当防衛でしかやらねぇよ」

こんな事を口走っていた自分

でもそれはもう過去の自分

綺麗事をぬかす愚かな自分

何故・・・こんな考えを持ってしまったのか

「PKが悪い事」それでもいい

PKをするのは・・・・己の寂しさを埋めるためか

許されたい・・・

あれから何年経ったのだろう・・・

思い出せないが

彼らと過ごした思い出は

今でも忘れる事は無い

全ての責任は俺にある・・・

いくら後悔しても戻って来ない者達

思い出していこうか

全てが新鮮だった

メイプルストーリー

そして

己が犯した事による

俺の無様な姿を

序章　堕ちた心と腐った信念　第一話　完

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