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この理不尽な世界の粛清のため神とかそこら辺の将軍様とかに刃向かい人生を棒に振るかもしれない馬鹿の半生
12月の黒猫 -the winter cat-
いつもの帰り道だった。その日、俺は川沿いの道を歩いていた。町の中心を東西に貫く、この町でいちばん大きな川。その川の上流、町の東の外れを、俺は歩いていた。
「んあー、ったく、何だって今日に限って…、んぐぅ」
当たりはすでに日が暮れて久しく、夜風は頬を切るように冷たい。ここで満天の星空が出迎えでもしてくれれば少しは気も安らぐのだが、どうも今日の世界は俺をとことんいじめたいらしい。パラパラと小雨が降りしきる中、俺は傘もささずに歩き続ける。
思えば今日は朝からツイていなかった。朝、気がつくと、体の節々が痛い。特に首が。「寝違えたか?」などと思いながら目を開けると、そこにあったのは枕元に置いている目覚まし時計…ではなくひしゃげたペンケース。ようやくそこで、俺は授業の予習をしていてそのまま眠ってしまったのだと悟る。顔を上げると、なにやらミミズがのたくっているノートが張り付いてきた。よだれもたらしていたらしい。おそらく、数時間の間ぺったり張り付いていた俺の顔にもミミズがしっかりプリントされていることだろう。恥ずかしい。今日は念入りに顔を洗わなくては。寝ぼけ眼でぼーっとしていると、胸元でケータイのバイブが鳴った。取り出して時間を見る。
「え… もう7時?! やべぇすぐんぃじゅんびゅすんきょあ!!!」
意味不明な擬音を発しながら急いで準備に取り掛かる。俺の通っている高校は、町の中心部を突っ切ってちょうど我が家と反対側、町の西の外れにある。家から学校まで約30分、毎日俺は自転車で通学している。ホームルームが始まるのが8時45分なので、本来はそれまでにたどり着けばいのだが、悲しいかな、成績がすこぶる芳しくない(具体的数値は個人情報保護法に乗っ取り非公開)俺は当然補習対象の身。毎朝7時30分には登校することを余儀なくされている。
7時に準備を始めて家を出たのは7時10分(と16秒)、学校に着いたのは7時31分57秒。遅刻した。担任には呼出しを食らい、説教。おまけに放課後の補習にまで参加するはめに。ちなみにこの21分41秒というのは新記録だったのだが、無論誰もほめてくれたりはしない。他にも予習課題の例の「ミミズノート」を忘れてたり、昼飯代を後輩にカツアゲされたり、眠気対策を怠ってとんだ醜態を晒してしまったりと今日一日だけでも数知れないのだがめんどくさくなったので考えるのをやめた。
結論から言うと、今俺は放課後の補習を終え数学の教師とみっちり個人面談した後に誰かのいたずらでタイヤの空気を抜かれた自転車を押しながらいつもの4倍の時間をかけて帰宅しているところである。
「うー、きついだるいかったるい… だいたい何で俺はこんなとこにいんだ… 別にここじゃなくたっていいじゃん」
再び意味不明なことをひとりごちていると、後ろから1台の車が俺を追い抜いて行った。黒い車だった。と、その車が橋に差し掛かったとき、急ブレーキをかけたような気がした。
「ん、どうしたんだ?」
一瞬の間をおいて、車は何事もなかったかのように走り去った。今俺がいる場所から橋までおよそ300メートル、辺りに人影はなく、街灯もまばらだ。当然遠目からは何があったかわかるはずもなかったので、とりあえず俺は現場まで行ってみることにした。
そこに着いてから、状況を飲み込むまで、数秒を要した。ほんのわずかな時間のはずなのに、とてつもなく長く感じた。
「………血?!」
そこにいたのは、おびただしい量の血の海に横たわる猫だった。
「……っ!!」
目を背けたくなるような光景に思わず身を引く。すると、猫の前足が微かに動いた。
「おい!! しっかりしろ!!」
力無く横たわる猫を両手で抱き上げる。そして、学ランに血が付くのもいとわずぎゅっと抱きしめる。きれいな毛並みであっただろう黒い毛も、今は血にまみれてしまっている。
――――前にも、こんなことがあったっけ。
今からちょうど2年前、小雨の降りしきる夜、妹は、死んだ。あまりにあっけなかった。
その日、妹はなんだか嬉しそうだった。それもそのはず、彼女は誕生日だったのだ。その日も俺は朝からツイてなかったが、最後に妹の笑顔が見れて何となく幸せだった。だが、終わりは唐突だった。
あの夜も俺達はこの川辺を歩いていた。市内で買い物をした帰りで、妹は俺が買ったプレゼントの包みを抱き抱えてはしゃいでいた。
「はやく帰ろうよ~」
うきうき気分の妹は俺のずっと前を行ってしきりに俺をせかす。
「バカこっちは寒いんだ付き合わされる身にもなってみろ」
口ではそんなことを言いつつも、俺も内心楽しかった。あのナポレオンを倒した冬将軍もバースデーハッピーの我が妹には勝てないらしい。なんだか誇らしい気分だ。
「ちょっとあんまり遅いとおいてくよー!! 鍵かけて入れなくしちゃうからね~!!」
「…っておいそれはねーだろ。鍵渡さなけりゃよかった…」
結局俺はツイてねーのかなどとため息をついていると、俺の右横を黒いセダンが追い抜いていった。その直後だった。ぬかるみでスリップしたその車は、そのままコントロールを失い…激突した。俺の目の前で。赤い飛沫が舞う。不思議と音は聞こえなかった。いや、全て聞こえていたのかもしれない。クラクションも、車と人がぶつかる音も、妹の叫び声も。ただ俺が聞くことを拒否しただけかもしれない。
目前で起こった事態が飲み込めず、しばし茫然とする。ユメか? なにかの間違いだよな? そう思おうとすればするほど、いっそう現実味をおびてくる。俺は、我を忘れて駆け出した。
赤い水たまりの中に、妹は倒れていた。暗がりでよく見えなかったはずなのに、何故か鮮明に見えた気がした。鮮やかな赤色。とても、きれいだった。
「…はっ、おい!! 大丈夫か!!」
どう見ても大丈夫なわけはないのに、俺は、そんなことを叫んでいた。どくどくと流れ出す血。わかっていた。まだ温かいこの体も、すぐに冷めきってしまうんだろうなと。
――――結局、冬将軍には勝てない、か…
俺は、妹を抱きしめた。すると、妹は微かに口を開いた。
「は、やく、かえっ、て、ぷれぜ、ん、と、み、たかった、な…」
妹は笑っていた。笑って、そのまま、逝った。俺の、腕の中で。
いつの間にか雨は土砂降りになっていた。川の流れる音と、雨の降る音だけがあたりに響いていた。
その後、俺はどうしたのかほとんど覚えていない。ただ淡々と月日が流れていった。そして、妹に関することがひととおり終わったころ、父も死んだ。ストレス性の心筋梗塞だった。母はそのショックで俺を残して出ていった。消息は未だ掴めない。幸いにも父が生命保険の受取人名義を俺の名前にしてくれていたため、俺はその金で食っていくことが出来た。親類もいろいろと世話を焼いてくれたが、俺が頼んだのは保護者氏名の欄を埋めることぐらいだった。あの時、俺は妹を守れなかった。頼りにならない人間が、頼ってばかりの生活を送るなんて、あまりに虫が良すぎるのではないか?
「いくらツイてないっつったって、これはあんまりだろ…」
そう呟いて、腕の中でうずくまる猫を見下ろす。かすかに、にゃあ、と鳴いた気がした。そのまま、動かなくなった。
俺は左腕に猫を抱いて立ち上がった。右手で自転車を押しながらゆっくりと家を目指す。すぐ目と鼻の先、そう時間はかからなかった。
「あとでチューブを換えないとな」
自転車を停める。そして、戸口ではなく物置へ行く。シャベルを取り出すと、家の裏の丘へ向かった。父と妹の墓のある場所だ。猫を足元に下ろし、妹が眠る場所の横に穴を掘る。ただ黙々と。その穴の中に木の葉を敷き詰め、猫を寝かせる。冷え切ったそのからだはもうぴくりとも動かない。上から再び木の葉をかぶせ、小枝を敷き詰め、たまたま持っていたライター(別に煙草を吸っているわけではない)で火を付ける。火が付いたのを確認すると、手頃な大きさの石を拾ってきて墓標を作る。燃える炎を見ていると、ほんとに魂が天に昇っていくような気がする。
「まぁ、こんなもんかな。許してくれ」
彫り終わるころには、火はすっかり小さくなっていた。まだ燻っている火にシャベルで土をかけると、ジュッと音を立てて明かりが見えなくなる。土をかぶせ終えて、墓標を置き、じっと手を合わせる。
「あーあ、ほんとに、一人になっちまったんだよな」
しばし見つめあったのち、シャベルを担いで立ち上がる。だいぶ夜も更け、東の空はうっすら白みはじめている。雨は、いつの間にか止んでいた。丘を下り、物置にシャベルをなおし、自転車のかごに放置していた荷物を手に取る。そして、玄関の戸を開ける。
「ただいま」
言ったところで返事を返すものはもういない。いや、いなくなったと言うべきか。
「さて、…って明日、いや今日か、英語小テストじゃん! ツイてねぇ~… もういいや、寝ちまお」
そのまま荷物を放りだし、自分の部屋――――わざわざ「自分の」などつける必要もないのかもしれないが――――のベッドに大の字になる。目覚ましをセットして、明かりを消す。
「おやすみ」
誰に向かってというわけでもなくささやいた。目が覚めたら、またツイてない日常が待ってるんだろうななどと思いつつ。
ふと、どこからか猫の鳴き声が聞こえた気がした。その声は、少女が「おやすみ」と言っているようにも聞こえた。
12月のその日、俺は、子猫を拾った。真っ黒なその猫は、どことなく、誰かに似ているような気がした。
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