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2011年03月08日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「熟議」とはその名の通り、「熟考し討議する」ことの略。
「熟議カケアイ」 というサイトを開いたのが始まりらしい。
今まで政策施策決定にあたり、識者による委員会など
の意見を参考にしてきたが、もっと現場の意見を!ということで
とりあえず教育の分野で実験的に試みられているという。

サイトを見てみたが、実際どのくらい声がどんな風に反映されているのか、
分かりづらく少々アヤシイのだが、
教育に関する幾つかのテーマで、既に議論がなされていた。

ただ、今回は「リアル熟議」ということで、実際に人々がどこかで集い、
話し合いをするというイベントを知った。
テーマは「子ども達がイキイキする学校、コミュニティとは」というもの。
開催場所が、以前から知っている小学校(といっても公立で無くフリースクール
のような所)で、対象者が教育関係者から学生、保護者など幅広かったので、
参加してみることにした。

普段から、子どもの学校に出入りしたり、ファシリテーターとして色んな人の話を
聞いたりしている中で、「学校」については色々と思うところがある。
あんなことも、こんなことも、それはどうよ、ということも。
色んな思いが自分の中でかなり溜まっていて、
アウトプットする場が欲しかったのも事実。


参加している人もいるほどだった。
あらかじめ、5名から7名ほどのグループ分けがされていて、
各グループにはファシリテーター(進行役)がつく。

いつもは自分がファシリなので、自分の意見は封印!で話を進めるが、
今回は参加者なので、思う存分話が出来る。

グループの話し合いが始まった。

私のグループのメンバーは、私と、フリーライターをしているお母さん、
公立中学の先生(なんとうちの近所の学校)、市会議員、
フリースクールを立ち上げようとしている元高校の先生、
と男女混合、年齢も幅広い面々。

簡単な自己紹介のあと、とりあえず各々が「学校」やそれをとりまく「コミュニティ」
について思うところと発表し合った。
いわゆる問題提起だが、もうそこから参加者の意見が様々。

私は「学級崩壊とそれに対する学校、保護者の対応」
他には「諸外国における学校選択の幅広さとそれに対する、国、社会の柔軟さ」
「多様性がみとめられず、思うような授業ができない現在の学校」
「子どもの『教育・学び』に関心が持てないくくらい、親自身が生活に
 困っている地域の現状」
など。

一通り意見をだして、ざっと風呂敷を広げたものの、本当に問題は多岐に渡っていて、
どこから手をつけようか・・と目の前に張られたポストイットに目を通した。

でも一見バラバラなようで、他人の書いたものを見ていると、
自分の思いと交差する点が見えてくる。
次第に、意見の糸はあちらからこちらへ、寄り道をしながらも
途切れることなく紡がれていく。
そうすると、最初意見を出した人とは別の人たちが、提起された問題を
深めていく、という「深め合い」のような形になってきた。
ファシリをしていると分かるが、特に誰かが話題を持っていってしまうという
形にならない、対等で理想的な話し合いの場。

与えられた時間はあっという間にすぎて、前半の話し合いが終了。

出てきたワードは、
「多様性」「既存の学校の限界」「子どもたちの自主性」
「社会、大人たちの閉塞感」「事なかれ主義」などなど。

後半は前半話し合ったワードについて、
「私たちが具体的に出来ること」を模索していく。

前半が終わったところで、ある程度くもの巣のように皆の意見は
繋がれたのだけれど、まだまだ幅広く、散らかったまま。
でも、会の最初にも説明されたとおり、何か結論を導きだすための
「熟議」ではないとのこと。
たしかに数時間でこのテーマを収束するのは不可能だろう。
だから、発散とそれをどこまで深めるかというところまでで良いとのことだった。

後半も色々な意見が出てくる。
不思議なことに、ほんの数時間一緒に過ごしただけなのに、明らかに
メンバーの距離感が縮まっている。
最初接点が見出せるかな?と感じた、各々のバックグラウンドの違いは
途中、共感や尊敬に変わり、
「この人たちは『なんとかならないかな』で終わりたくない
『何とかしたい』人たちなのかも・・」という親近感が場を温めていた。

後半のテーマは、「学校や子ども達がイキイキとするために、私たちが出来ることは」
というもの。
前半で出た問題点に対する具体的な方法を探る。
前向きで現実的なアイデアを出したい気持ちはあるものの、
なかなか良い案は出てこない。
それぞれ理想とするところはあるのだが、それを阻む現実が。

「多種多様な子どもたちを認めてあげる教育がしたい」
「子どもの自主性を尊重する教育を」
⇒公立学校の教師一人に35から40といった多人数教育では限界が。

「核家族化で孤立し視野が狭くなっている親たちの気軽な話し合いの場づくり」
⇒これは私のやっている「親学習」なども有効か。でもなかなか普及していないのも
現実。(もっと参加者を増やすために垣根の低いものが必要か)

「生活そのものが苦しい親や地域への支援」
⇒お金が必要。行政の範疇か。親の価値観も様々。

私たちができること・・と考えていくと、そこに集まっているメンバーは
既にその「何か」をしている人たちだったと気づく。

公立学校の教師たちに余裕がないなら、もっともっと地域の人たちが
学校に入って授業をしていけばいいのでは、という意見が出たが、
私も小学校や高校の授業に参加してきたし、
ファシリテーターをしている大学生も様々な職業を持った集団で
中学校に出前授業をするという活動をしている。

学校の選択支が少ないという話も出たが、
メンバーの一人はこの4月に高校生対象のフリースクールを立ち上げるという。
ちなみに、彼は元私立高校と塾の教師でまだ28歳。

まだ20代の彼らが、具体的に出来ることをちゃんと見つけて
やっている。
私にはそのことが、今回一番の収穫になった。
若い彼らの行動力に、とっても刺激を受けた。

終了後、各グループの話し合いの結果を発表された。
「まずは大人がイキイキとするために8時間以上は働かない!」
「子どもたちに学びの場や機会を提供できる人たちが、自由に
 情報交換できるインターネットのサイトを立ち上げる!」
「子どもたちを指導するのではなく、見守る大人が大切」など、
これは!!という妙案が出たわけではないが、
実際に熱意、行動力のある方が多く集まっていることは
わかり、何とかこの繋がりを今後に活かせないかという話で
会は幕を閉じた。

私としては、日ごろモヤモヤしていたことが話せて、とってもすっきり。
そして何より若い人たちが、子ども達のために色んな行動を始めていること
に触れることができて、とても心強かった。

私たちのように、子を持つと、まず「自分の子」という狭い視野に立ってしまい
がちだが、社会全体としての「子ども」というものが、いかに重要で
まさに未来そのものだということは、誰も否定はできないだろう。
大人も子ども、もどんどん息が詰まるような世の中になっているような
気がしてならない。
ファシリテーターの大学生が言っていた。
「せっかく大学に入学したのに、『就活』一色で、何を学ぼうとか
何がしたいのかとか全く見えなくて、ひどい閉塞感で潰れてしまいそうだった。」
実際『就活』で上手くいかなくて自殺する大学生が増えているという。
幸い彼女は休学して、色んな世界を見て随分視野が広がったと言う。
社会が、親が、良い会社に就職することをゴールに子供たちを育てて
いるのだとしたら・・・。
考えるだけでオソロシイ。
でも、周りを見回しても、小学校の塾通いなんかも、きっとそれが終着点なのだろう。
本当にそれで大丈夫??

私は声を大にして言いたい。
「『就活』がゴール??そんなわけないやん!!」
もっと世界は広し。人生は自由。そして、生きることはキビシイ!のだと。
自分の子どもだけに、言ってても意味ない。
さあ、自分に何ができるかなあ。
せっかく色々な方面の人とお知り合いになれたので、
私も微力ながら、自分で出来ることを広げていこう。
そんな力が湧いてくる、とってもいい時間だった。

参考までに、 毎日新聞に載った当日の記事





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最終更新日  2011年03月09日 16時52分15秒
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