堕落



彼氏と別れてから凛は部屋に帰れなくなった。
彼の匂いが残ったあの部屋に、、、。

毎晩飲み歩き
朝までつぶれるまで飲んだ。

会ったばかりの名前も知らない人や2,3回遊んだことのあるたいしてつながりもない人と分別なく寝た。

本当に堕落していた。
彼氏が立て直してくれた凛はあっという間に崩れ去った。

そんな凛を助けてくれたのは
トキだった。

ある日朝まで飲んで酔っ払った凛はトキに電話した。
いや、かかってきたのかもしれない。
ホストしていたトキは仕事上がりにたまに朝飯食いに行こうと誘うことがあった。

そのときも最初はそんなノリだったんだと思う。

あの日のことはよく憶えてないんだけど
泣いてしまったことは憶えている。
なんで泣いたのか分からない。
理由はいっぱいあるけど
でも
ずっと泣かなかった。

彼氏の前でも泣かなかった。

泣かないようにしてきたのに
トキの前で崩れた。

何をはなしたのか分からない。
でも凛をぎゅっと抱きしめて話を聞いてくれた。
そして
キスをした。

びっくりした。
本当に。
トキは凛の前で男を見せなかったから。
それまでトキの部屋で二人っきりで一晩中飲み明かして同じベッドで眠ってしまったときも何もなかったし

凛の部屋にきても何もしなかった。

そのトキがいきなり言った。


『なんでもっと早く言ってくれんかった?
俺はずっとお前が好きやったと』



なにを言ってるのか分からなかった。
『好き?わたしのことが?・』
同情だと思った。

泣きついたことを悔やんだ。

男を感じずに自然でいられるそんなトキが好きだったから、、、。

なんどもなんども確かめた。
でもトキは本気みたいだった。

『もっとタイミング見計らって言うつもりだったのに、、、お前が泣いたりするけん、言ってしまったやんかぁ』

その日トキと初めて寝たんだけど
酔っ払ってて夢のような記憶になっている。

でもすごく後悔した。
トキは大事な友達なんだ、、、。

泣きながら帰り道を歩いた、、、。




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