桃さんの読書日記

桃さんの読書日記

2021.02.08
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カテゴリ: 読書感想
結構厚い本なのにあっという間に読んでしまいました。
これは元証券マンの男性が、お金と人間の関わりをもっと見たいと思い二年間の世界の旅に出る、そのレポートです。

お金とは何か、日本人はすごく働いているのにどうしてお金持ちになれないのか、
世界各国の人たちは何を幸せとして、どんな所得や経済状態で生きているのかなどを知るために会社を辞め、世界一周の旅に出かけます。

そこで知ったのは、お金が無くても心豊かに暮らす人々でした。アフリカ、中東、中国、そして北欧の人たちの旅先での触れあいやエピソード。そこまではよくある展開です。しかし米国のメガ証券会社にいた著者の見方はちょっと違います。
どこに行って何を見てもその底にはお金という正体不明のものを見極めようという意志があります。
お金が取引の手段ではなく世界中に広がる巨大なマーケットによって派生商品や為替取引など世界中の現物の数倍に膨れ上がり暴走するものとなってしまった。人々はお金をサービスと換金できる金券ではなくて、信用を受け渡すものとして扱うようになった。
そういうお金の位置づけも考えながら、限りある生を生きる人間がお金に振り回されることが愚かだという思いを強くします。

著者は「カウチサーフィン」というバックパッカー向けのサービスを使いました。
世界中にいるホスト、「ただで宿泊させてあげます」というホストの家に泊めてもらいお金を節約しました。2年間で28人のホストに計122泊したそうです。(2012~2013年当時)
今やお金をかけなくてもこのようなサービスを利用すれば世界の旅がハードルの高いものではなくなります。

そう言えば、私が若い頃は若者の間でユースホステルの旅が流行っていたなぁと思いました。
ユースホステルでは夜のレクリェーションなどで親交を深めたりしたものです。

著者は、9時半に出勤し5時には帰り、家族との時間や夜のイベントが盛んなデンマークを見て羨ましく思いますが、自由の国オランダがその昔チューリップの投機で国が傾いたこと、
ウガンダでは恵んで貰うことが当然の権利のように市民が振る舞っていること、などお金がなくても心豊かに暮らす国ばかりでないことが描かれています。

一番心に残ったのは最終章の、著者が出会ったピストル強盗の話でした。
コロンビアで、著者は何も知らずに危険な地区、スラム街に足を踏み入れ、数人組の強盗に額に拳銃を突きつけられます。持ち物を奪われ身ぐるみ剥がされてしまいます。言葉も分からず全財産とスマホを奪い取られた著者は地面を転げながら泣くしかありませんでした。
ここが生々しかったです。近くの教会の牧師さんが力になってくれ警察に通報し、牧師さんがお金までくれたそうです。
結局日本でお金を募り、かなりの額が集まって親切にしてくれた牧師さんにお金も返せたそうですが。

お金が投機対象や幸せを補償するものでないと感じていた著者はここでやっとお金の持つ意味を噛みしめます。金融について書かれてる部分もあり散漫な感じでしたが、最後に引き締まりました。

本を書くために世界一周したのか、それとももっと強く世の中とお金の関わりを知りたいと望んで旅したのか知りませんが、いずれにしろ凄い行動力です。
間一髪で強盗に殺されずに済みましたが、やはりコロンビアや一部の国は怖いとつくづく思いました。
そんな著者ですが、帰国後起業家を育成する会社に勤め、資金提供の方法を構築する仕事をしているそうです。






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最終更新日  2021.02.08 11:32:57
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