第7官界彷徨

第7官界彷徨

チラウラ俳句その2


4月
・ほんたうは○○○の○○○よ4月馬鹿
・木の花は木の色のまま散りにけり
・花の雨伊勢のみやびの初講義
・花の雲デイサービスのバスも寄る
・花冷えや古き良きこと多かりき
・花の雲憲法9条にも合う景色
・友と会う花びらほどの愛持ちて
・今は主役桜吹雪の中に立つ
・朝あさに会うこともなし鳥帰る
・欲望の形にムスカリ咲きいでぬ
・春愁や終末時計の針進む
・カビさせたサラミの匂い巴里土産
・春バッグまず9条のバッジつけ
・新緑や空気の成分図りかね
・野の花に笑う双体道祖神
・9条の標語に白蝶来て遊ぶ
・花わさび呪詛はほとんど悪しきもの
・花わさび水道水に浸けられて
・紫金草戦場となりし満州野
・報道もせめぎあいあり春の鳥
・なまなまと花粉の匂うつめくさ野
・手のひらを丸く重ねて薔薇の菓子
・証明は無理私が私であることの
/鳥帰る日も間近くて空の青
/散りゆくは春の心の闇の中
/春ショール輪廻のかたちのあたたかさ
/春の夜記憶の恋のよみがえる

5月
・メーデーは5月1日よ9条旗
・革命の無い国だけど薔薇の蕾
・花いばら海まで続く白い道
・旅鳥の愛はほとんど本能か
・潮引けば鳥は汀を追いかけて
・憲法を守る形に薔薇の蕾
・俗物ねモッコウバラには棘がない
・薔薇の棘コンマ1秒後の痛さ
・冷蔵庫に冷えゆくものは誰の愛
・寒天に海の匂いを探しおり
・寒天や観念は人類だけのもの
・管理社会つめくさの野も丸がりに
・紫は唯物論の色と知り
・美しき文来る昼の雲の峰
・剣よりもペン強しと群れるイトトンボ
・紛争は金剛石も血の色に
・四街道歴史街道分かれ道
・春真昼天空には秋の星座あり
・桑の木の茶箪笥桑のみ熟るる頃
・いちごジャム馴れ合うときの蜜の味
・馴れ合いを知らず赤き実へび苺
・桑の実は悪玉菌の形して
・五月雨やみだれそめにしわれのくに
・電車事故見知らぬ町の時計草
・豪華さは美徳背徳薔薇の咲く
・雑俳は雑な俳句と読む無粋
・ふるさとは死者の待つ家やまぼうし
・帚木や昔の友の京訛り
・琉球の人頭税石 崖青み

6月
・伊豆さまの手の小ささや業平忌
・薔薇枝垂る何の重みか堪えかねて
・タチアオイ天をめざしてまずひとつ
・草原の輝き雲と呼応して
・決算書出してまず犬の病院へ
・憲法談義むんむんむんと栗の花
・驟雨なり人には貸せぬ花の傘
・梅の実の鋪道に一つまた一つ
・日比谷から銀座に抜ける初夏のデモ
・デモ隊は畑中をゆくハイリゲンダム
・国会は未来の神話の乱造所?
・琉球の人頭税石崖青む
・ふるさとは母の喪い家破竹炊く
・新月や異国の亀も産卵す
・飾りなきグラスを選ぶ紫蘇ジュース
・ソーダ水ドリンクバーの一杯目
・紫陽花やただ咲くだけで褒められる
・貝塚やアズマタンポポ育みて
・桜桃やパリコミューンに色添えて
・梅雨ふけや不意に遠出がしたくなり
・雨上がる消火装置の泡の中
・番猫やブルーベリーの畑にいて

7月
・アズマギク師匠の器は大きすぎ
・梅雨ふけや森の高みの自分の木
・ポンヌフの恋人若くしぶき雨
・七夕や泥沼の道廬溝橋
・寂しさが天衝く形薔薇の蕾
・被爆の夏平和の夏と言い換えて
・夏の予感に押されてリュック風に干す
・夕霧と雲居の雁の草葉露
・選挙カーカタバミはぜる辻にいて
・守られて海の日にぎわう三番瀬
・囚われてウサギ夢見るたんぽぽ野
・梔子や阿字子の夢はマイペース
・天才と努力の紅天女かな
・平和なり夏蝶も来る爆心地
・梅雨ふけや見張り見張られ隣り組
/民主党食えば毒あるきのこかも
/夏選挙終わり始まりでもなくて
/とらわれの中民主主義説くローザ
/夕霧はりちぎもんです子だくさん
/朝顔や連続ドラマスタートす
/日焼け止め去年のものは腕に塗り
/囚人となりし白秋爪紅の花
/仏桑花咲き継ぐことが尊くて

8月
/広島や記憶新たに原爆忌
/夏栗や確かな実りの予感あり
/荷物置き署名する人原爆忌
/破れつつ咲く朝顔や署名とり
/幾たびも氷足しつつ麦茶売り
/夏の薔薇思い思いの向きに咲く
/盆提灯下げて家紋の由来聞く
/猛暑日はアールグレイのアイスティー
/逝くことで評価定まる鳳仙花
/未完なり夏のコロッケ揚がるとも
/異形との境界ゆるむ猛暑かな
/ふるさとは晩夏細道9条塚
/プラマイの歴史カメムシ高山寺
/組閣なりアイスまんじゅう溶けるとも
/組閣なり季節も終わるスイカ羹
/草原の記憶花壇のねこじゃらし

9月
/野分後の日はなかなかに暮れなくて
/花売りの露天の後に黄菊散る
/9条も秋の実りの時を待つ
/ぶらさがる事を拒んで丸い月
/夕霧を思う源氏の昨日今日

10月
/ほめられもせず十月の彼岸花
/パソコンを変えて決別過去の我
/ほうきぐさまず一番に紅葉して
/収穫のあとは太古の陽に晒し
/初茸やつげ義春のリアリズム
/寺庭は運動会なり南無阿弥陀
/食まずして久女作りし菊枕
/海近し秋の小魚売られおり
/敷島の大和9条ここにあり
/最上川逆白波の茂吉の碑
/葉も種子も秋の別れのごとく降る
/美しきいさかいもあり旅の鴨
/赤トンボ群れ飛ぶ先は爆薬庫
/沈黙の戦争遺跡木の実降る
/千年の後は自立の女宮

2006年11月
・磨くのはガラスだけぢゃあないわ秋の空
・紅筆を忍ばせていく秋海棠
・見られるの好きな日嫌な日熱帯魚
・しみふたつ完熟林檎はほこらしげ
・枯れ行けど花野の名残りおみなえし
・二、三枚下葉の枯れておとこえし
・水底に沈む日もあり地方自治
・木枯らしが昨日のメイク吹き飛ばす
11月
/国会は赤信号です秋の風
/塗籠(ぬりごめ)は落葉の宮のバリケード
/決意ある別れのごとく木の実降る
/草に寝て空の人恋うホームレス
/山に寝て夏の雪崩を背なに聞く
/大仏の胎内めぐり冬の蝉
/はしゃぎつつ紅葉とともに彷徨す
/水底に沈む萱原道祖神
/いち早く片付けられし仁王像
/野あざみは卒塔婆墓むら埋めて咲き
/明るみて木の下陰に落ち葉積む

12月
・夕張の原野に沈む日大きくて
・怒りつつ冬の菜花の茹で上がる
・ひとつある憂さは秘密よ冬薔薇
・曇天にコートの衿の頼りなさ
・プランターに九条ねぎなる種を蒔く
・小さき手に赤紙渡す冬の駅
・咲きながら老婆みたいね冬の薔薇
・敗北を知らず冬の陽上りをり
・君たちがそこにある意味冬の薔薇
・冬の海形留めぬ貝拾ふ
・揺りゆられ裸木の先空の青
・夕霧と落葉の宮の陀羅尼かな
・双対の道祖神立つ霧の中
・君と見る落ち葉降り敷く砂防ダム
・何を言っても怒らない筈ぢゃあなかったの
・喧嘩別れしたくはないさおでん鍋
・背を伸ばし小娘のふり冬の傘
・林檎囓る文学少女の毒と蜜
・幕張の海に霙の降りにけり
・浚渫の船に見られる冬の恋
・この先は進入禁止冬の海
・冬肥りして餌ねだる海の猫
・冬の海どこまで行っても他人の海
・冬銀河全ての人のふるさとへ
・日脚伸ぶスズメセキレイふくれゐて
・若者をまた征かすのか赤トンボ
・時間かけて赤き冬薔薇咲きにけり
・歳晩やミックス犬の影長く
・一輪だけ咲きて紅梅売られおり
・猫だけがテレビ見ている大晦日

12月
/上海の月は魯迅のごとく澄み
/いずちいづち雲居雁の乱れ恋
/蕪村忌や京の地蔵は目の高さ
/風水は知らねど「黄色い本」が好き
/小袋にあふれる黄色ゆず給う

1月
2007年1月
・売れた家のみ華やかに年賀客
・七草や家の中でも着ぶくれて
・束の間のプラハの春をうたがはず
・羊叱る大病の君強くして
・水仙の畑咲いたり芽吹いたり
・束ねられ冷蔵庫の中菜花咲く
・武士道を我も語りて寒の入り
・暖冬やコゲラ木つつく暇もなし
・凛とした言葉清しき寒椿
・根性がないわけぢゃあないわ寒牡丹
・グアンタナモ季語なき土地に囚われて
・手袋や温度差のある人と会ふ
・相手にはちと不足あり春の膳
・君の手の暖かさ我と反比例
・殆どの鳥は思春期寒の月
・生チョコのもっちりを恋ふ寒の月
・そこはまだ真昼の陽射し雲の峰
・パンジーはみなこちら向く冬日なた
・冬の日を湛えて睡蓮鉢ぬるむ
・紅梅のわずかに濃きを喜ばず
・春寒の玄関灯の密かにて
2008年
1月
/業平と高子の恋はなびら餅
/平安の落葉の宮もガーリッシュ
/大寒の卵求めて街走る
/うちつけは落葉の宮の家司など
/大寒の卵は福のお裾分け
/憂さ辛さ業平高子華の恋
/冴え返る空の色さえ覚悟色

2月
・2月なり車の窓を開けてみる
・物置の片付けもして雛の家
・ちょっとだけ走る立春の風受けて
・初めてのメジロを見たり薮椿
・紅梅は枝も蕾も花の色
・節分の日暮れ以外と長くあり
・節分の嵐散りゆくものもなし
・節分の朝を十字に白鳥座(夏の星座だけど、朝見えるって)
・情勢に追いつかぬまま春会議
・屋根裏もかたづけてみる雛の家
・闘いは三番瀬カルタに留め置き
・居住まいを正し2月のツグミかな
・難解な春の句無骨に書かれおり
・ままごとの子らも野に出るひなの月
・うましかや四街道の冬木立
・ガンダムも並べ飾りし雛の家
・菜の花や八年ぶりの友と会う
・虚子嫌ひかな女嫌ひの春の雨(久女・ひとへ帯)
・ポイントはバレンタインで使い切り
・断定が言える女さ冬の薔薇
・北風に乗ってバースデイケーキ来る
・希望色のエアメール春の花添えて
・気がつけば昨日の花となりにけり
・春雨やローザの庭にも芽ぐむもの(久女の庭に芽ぐむもの)
・憲法の姿勢は二月のツグミかな
・小骨あるわたしが揚げし穴子天
・春長し時のアセスをちらつかせ
・業平のカルタを春のポスターに
・人の世をこんなに軽く冬鏡
・ふるさとは墓地開発の春の闇
・啄木もだりあの色の社会詠
・人権の麦青きまま刈られゆく
・長病みの冬のてのひら重ね合う
・太古なり入江は小川菜花土手
・レプリカと気取って言うも萱の家
・貝塚や犬もまあるく葬られ
・竪穴式住居の中に君とゐて
・春真昼遠くで人の声を聞く
・行って帰る古代の村の散歩道
・貝塚の前の飲み屋は縄文屋
・焼き餅でお銚子1本空けたこと
・貝塚の飲み屋「縄文屋」今はなし
・この春は草食獣なり野菜膳
2月
/雲居雁なまけやけしとはみたまへど
/人生の第3ラウンド華の宴

3月
・双眼鏡のリボンも変えて春弥生
・三月や墓碑には東京大空襲
・囚われの俳句春の句戸坂潤
・今生の別れにも似て雛納め
・歯を抜けば何やら淋し春化粧
・平和なり踏まれもせずに落ち椿
・嫉妬心忘れしままに春深し
・紫は春のショールの色と決め
・グアムに咲くブーゲンビリアよそこは基地
・赤い実は伊勢の杜なるおがたまの木
・9条でつなぐ手のあり花メール
・山笑う山動く日はどう動く
・春寒に隅田川燃ゆ孤児数多
・俯瞰図や前世は春に死にし鳥
・匕首を胸に忍ばせ有夫恋(時実新子さん没)
・ブレーキはかけずに春は自転車で
・紫の風をまといて菫咲く
・前世はあるやなしやの唯物論
・赤毛のアン「国の娘」の苦き春
・薔薇門のポストに阿字子の本届く
・「いっせい」を序言葉にして春花壇
・春彼岸ままごとに似て供花供物
・北辺の太郎の屋根にウラン降り積む
・会ひみてののちは荒れ地のタンポポ野
・花冷えや基本六法年度末
・町の名が消えてリラ冷え動態図
・春は恋単衣の御衣(おんぞ)ほころびて
・予言者の言葉は不安春の鳩
・にくらしやLANかき乱すヘリコプター
・ジェーンエア ヒースの原の返り花
・まずお風呂恋猫痩せて戻りけり
・野蒜蒲公英ままごとの菜豊富なり
・軽率に殆どの花開きけり
・傾きて電車の停まる春の駅
・軽佻浮薄春のアスパラ細くして
・春雷や歯に衣着せぬ友といて
3月
/ぬいぐるみ最早飾らぬ雛の家
/隠り居を土ふる空のせいにして
/人生のカーテンコールも念頭に
/にび色の午後は桜を待つ心
/蟹工船過去と未来を繋ぐ春
/白熱のカルタ会なり春うらら
/幕末の春を映画の中に行く
/赤き灯を初音にウグイスカグラ咲き
/辺境を花なき里と読む古今
/チベットは地獄極楽蓮の花
/イラクでは木の芽起こさぬ銃の雨
/京茶碗購って侘しい春霞み
/ゆきうるい放浪の民と連帯す
/椿落つ音を遠くに聴いており
/沖縄は辺土にあらず仏桑花
/ほうき草空飛ぶ夢も忘れ果て
/やがてくる命の果ての桜かな
/あの恋はマディソン郡の青い花
/花の雨思い抱きて逝きし友
・弥生尽人に告ぐべきこと多く









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