ミュータントウオーズ・新人類戦記-飛鳥京香作品

ミュータントウオーズ・新人類戦記-飛鳥京香作品

ミュータント・ウオーズ●第2回


[ ミュータント・ウオーズ ]
ミュータント・ウオーズ(超人類戦記)(1978年作品)
第一章 激 怒
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
(■30年前の小説ですので、設定がその時代です。)

●第2回

 翁と呼ばれた老人は八十才ぐらいだううか.。
この男は日本の政界黒幕、それも巨頭といわれていた。

彼はしばらく考えていたようだが、やがてゆっくりと目を開き、答えた。

「よろしい。ひきうけょう。しかし貴国政府、はこのお返しに何を約束してくれるかな」
「それは大統領のか心次第です」
 外人は長い廊下を通Iジ玄関へ向ズノ。小さな声が後から宛せられた。
「円高じゃな、モリス君」
 それは翁の声かどうかわからなかったが、直ちにモリスが、本国へ打電されるはずであった。
 翁は秘書の一人を呼び出し、命令を下した。

 「島の所長を呼ぴだせ。そして東郷竜を我のもとへ連れてくるように言いなさい」

 北海道の最北端、つまり日本の最北端は宗谷岬と普通考えられているが、実は一つの島が北に存在していた。樺太のタリリオン岬と宗谷岬の中間、つまり宗谷海峡のど真中に、その島はあった。

戦後、人工的に作られたこの島の事は、ごく一部の政府上層部のものしか知らない。
知っていても、ありえない島ということになっている。
北方への防備と共に、監獄として使用されていた。
日本国内の刑法で欲ききれない犯罪者の群れがこの島に生息しているのだ。
 冷風が吹きすさぶ、この地はまさに北の端である。

 東郷竜は独房の中で黙想している。
 東郷竜は政府直属のアクションサービスの一員であったが 
たが、退去に受けた精神的な外傷(トラウマ)のために突発的な犯罪を犯す危険性が内在し
ている男なのだ。
 年に数度、仕事のためにこの島を離れるのだが、すぐこの島に連れもどされてくる。
 独房のドアがあいた。
重々しい音が石だたみの廊下に響いていた。所長じきじきのおでましだ。
「竜、また、翁がおよびだぞ」
竜はにこりともせず、独房を出た。
飛行服に着換える。
竜専用の垂直上昇ジェット機がこの島には用意されている。

 やがて、島の飛行場から、竜の操縦するジエット紐が山梨へと向かった。

 漁船に一人の男が立ち、島の方を望遠鏡でながめていた。
飛行機が飛び立ったのを見て、男は操舵室へ潜りこみ、無線でいずかへ連
絡をとり姑めた。

「君に頼まなけれぱならない事態。君のその力を必要とする事件が起こった」
翁は言うが、竜は終始無言である。
 「行先はベトナムだ。君は、土地鑑もあるだろう。
あの男に会えるかもしれんぞ。相手はアメリカ軍が作りあげた殺人機械だ。君もかって関
係したことのあるプロジュエクトの所産だ」
 翁の顔からも、表情を誂みとることができない。
 「この写真を見てくれ、五十名からの人間が皆殺しになっている。ベトナム軍とカンボジア軍はお互いを非難しているのだが」
「わかった。仕事はやろらう。お返しに何力月くれるんだ」
「1ケ月自由に勣け」

 竜は定期的に神経が異常なたかぷりが存在し、その感情を一度に激発させなければ生き
てばいけないのだ。殺人行為を伺カ月かに一度行なわなければストレスが解消しないのだ。

 日本のアクションサービスの一員として養われているが、その行動のゆえに
社会生活を長く読けることはできないのだ。

政府の庇護のもとに、東郷は生存がゆるされている。

 「それでベトナムヘ渡る方法は」
 「それはこちらで準備する。君は我々の手先に座る前に新聞記者の経験があったな」
 「ぞうだ。それ以後もフリーライターという名刺で通っている」
「ょし、三ヵ日後にベトナムヘ向かう日本記者団がある。その中に潜り込んでもらおう」


 翁は竜にさがるょうに合図した。細かい打合せは翁の秘書の役目だった。
 翁は誰もいなくなった後、ひとりごとだ。
「あの男と会うのは最後かもしれんな、あの男が秘密兵器を発見した後、アメリカがどういう手を打つかだ」

 訪ベトナム日本人記者団のりちの一人が急拠いれかわった。しかし充分な身上調査が政府の手で行なわれ、経歴も不信をいだかせるものはなかった。
 外国人記者団はまずハノイに行かなければならない。そこから空路ホーチミン市(旧サイゴン市)へと向かった。

(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/


Last updated Aug 15, 2007 06:59:27 PM
| トラックバック(0)
この記事のトラックバックURL:
http://tb.plaza.rakuten.co.jp/asukakyouka11/diary/200707010000/a67c6/

│<< 前へ │次へ >> │一覧 │ 一番上に戻る │

Powered By 楽天ブログは国内最大級の無料ブログサービスです。楽天・Infoseekと連動した豊富なコンテンツや簡単アフィリエイト機能、フォトアルバムも使えます。デザインも豊富・簡単カスタマイズが可能!
Copyright (c) 1997-2007 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: