ミュータントウオーズ・新人類戦記-飛鳥京香作品

ミュータントウオーズ・新人類戦記-飛鳥京香作品

ミュータント・ウオーズ第8回


(1978年作品)
第一章 激 怒
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
(■30年前の小説ですので、設定がその時代です。)

村の北東三キロの所に、小さな台地があった。
爆音がきこえ、ヘリコプターが飛来し、降下
した。
 ヘリから、二人の男が降りてきた。
「やあ、また合ったな」
 彼らはフランス人とイタリア人の記者だっ
た              ゛
「あんただちは一体」
「我々はKGBのエージェントだ」
 彼らはハイ=ニンの方へ話しかける。
「同志ハイ=ニン、御荷物はどこだ」
 ハイニンは竜が背負っているジウをあご
で示した。 
「この娘さ」
「ごくろうだっだ」
フランス人はぬくても見せず、ハイ=ニン
の胸をねらい銃を撃った。ハイニンの胸が
一瞬真っ赤に染誉る。信しられないという顔
でハイニンは後へのけぞる。
 銃声が、ある意志の引金をひいた。
気を失っているジウの意識と記憶をよみがえらせた。

世界がまた、深紅の世界へと変化した。
フランス人とイタリア人はヘリコプタに
飛び乗ろうとする。
が、パイロットはすでにジウの精神エネルギーに
犯させている。
パイロットの、投げたこスパナのイタリア人の頭にあた
り血しぶきがとんだ。
フランス人は構えていた銃をやたらに乖ち姑める。

竜も、その狂気に犯されつつあったか、かろうじ
て冷静をたもとうとしていた。
ハイニンのヘルメットをとろうとあがいていた。
何とか、竜がヘルメットをつけた時、ヘリコプタは
舞い上がっていた。
中でパイロットとフランス人がつかみあっていた。
やがでヘリはコントロールを失い、落下し、爆発した。

そのなりゆきをみていたジウは、再び自をと
し、意識を急に失座った。
ハイニンは虫の息だった。
「竜、残念だよ。金をおがめなぐてな。俺の
最期は弾に撃ちぬかれて死ぬと思ったが、こ
んなに早いとはな」
「しっかりしろ」
 血ヘドをはいている。      
「いいか、よく聞いてくれ、竜。俺はKGB
のエージェントから聞いたことがあふんだ。
彼女のような進化した超能力者「ミュータント」が世界中に
多数存在するんだ。
彼女を助けろ。それが何かの手掛りとなる。
お前のためにもなること々んだ」
ハイニンは、そう遺言すると、息をひきとった。

竜は、先刻、ジウを殺して分けばよかった
と後悔していた。
彼、竜の使命は、東京からの指令は、秘密兵器の破壊
であった。
秘密兵器はジウである。
彼女は、アメリカ心理戦研究所が開発した
ミュータント部隊の一員だったのだ。

彼女の精神エネルギーは強烈であった。
彼女の近くにいる、人の心の中の殺意を増幅させ、
「狂気と超暴力の世卑」へと彼らを引きずりこむ
のだ。
あとには、ただ、静寂と死体しか残らない。

 竜はハイニンの死体から銃をとりあげた。
それから、ジウの側へたちもどり、銃口をジ
ウの頭へゆっくりと向けた。
指令を実行するために。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/


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