夢の時間
ちっちゃな女の子は空を見上げました
灰色の雲がいっぱいで、今にも雨が降ってきそうな…
ちっちゃな女の子は思いました
『お日様泣きたいのかな・・・』
窓辺に頬杖をついて空を見つめていました
雀が話しをしていました
「チュンチュン チュン」
ちっちゃな女の子は雀の話しに耳を傾け驚きました
「風が怒ってる、これから雨が降ってくるよ」
『風さん…いつも優しいのに…』
ちょっぴり哀しくなりました
ちっちゃな女の子の瞳に涙がいっぱい
それを見ていた女の子のママが言いました
「風は、遠くから幸せを運んできてくれるんだよ
雨は、土に染みこんで、木や花を咲かせる手伝いをしてくれる」
「哀しいことは、何もないんだよ
明日になったら、みんなに幸せ届けてくれるよ」
ちっちゃな女の子は、ママの言葉を聞いて ちょっと安心しました
そして、暖かいベッドに入って目を閉じました
風と窓を打つ雨の演奏を聴きながら
ちっちゃな女の子が眠りにつくと
小さな扉が１つ夢の中に現れました
小さな扉の前に立っていると
中から楽しそうな声が聞こえてきました
ちいさな女の子は中に入ってみたくなりました
そっと 扉を叩いてみました
「トントン トン」
扉は何も言いません
ちいさな女の子は声をかけてみました
『こんにちは♪どなたかいませんか？』
すると・・・・・
水色の鳥がやってきました
「こんにちは 何かごようですか？」
『初めまして ここはどこですか？
雲の階段を上ってきたら楽しそうな声がきこえたので』
「ようこそ ここは夢の中です
あなたも遊んでいきますか？」
ちいさな女の子は照れくさそうに言いました
『はい 遊んでいきたいです』
「では どうぞ」
水色の鳥は
小さな扉の鍵を開けました
ゆっくりと開いた扉の中には
たくさんの子供と動物が仲良く遊んでいました
「さあどうぞ でも 約束があります 守れますか？」
小さな女の子はニコニコして答えました
『はい 約束は守ります』
水色の鳥は約束事を ちいさな女の子に告げました
「１.ケンカはしないこと
２.時の鐘が鳴ったら家に帰ること」
「時の鐘が鳴っても帰らないでいると大変な事が起きます
いいですか？必ずここへ戻ってきてください」
それだけ言うと水色の鳥は空の中へ飛んでいってしまいました
時の鐘が鳴ったら戻ってくる…
ちっちゃな女の子は
鳥の言った言葉を忘れないように扉の中へ入っていきました
楽しそうな声の聞こえる方へ
ワクワクしながら歩みを早めました
中には
女の子の近くの遊園地のように
たくさんの乗り物と
たくさんの動物達が
たくさんの子供と遊んでいました
でも…
不思議なことに
扉の中にはオトナの人が１人もいないのです
女の子は１人で遊園地に来たことがありません
どの乗り物も列を作っていました
並んでいるのは みんな子供です
女の子は列の一番後ろに並びました
女の子が乗ろうとしていたのは
大きな観覧車です
知らない子供達の中にポツンと１人で…
話す相手もいないまま下を向いていました
『みんな楽しそうに話しをしているなぁ・・・』
女の子はちょっぴり淋しくなりました
そんな時
女の子の後ろにならんだ男の子が話しかけてきました
「キミ…１人できたの？何故ここにきたの？」
『…よく…わからないの…雲の上を歩いていたら扉があって…』
「そうか ぼくは ママに教えてもらったんだ
ぼくのママは風の精なんだ」
『風の精？？？私のママは妖精じゃないよ
ここは妖精の子供達の遊園地なの？』
「そうだよ ここにいるのはみんな妖精の子供ばかりだよ
キミはこれから妖精になる試験を受けるんだよ」
何も知らないで扉の中に入ってしまった女の子
楽しそうだったから入ってきてしまった女の子
そして…
妖精の試験って…
ちっちゃな女の子は
あわてて来た道を戻ろうとしました
だって・・・
普通の女の子なのに
妖精になんてなれるわけないって思ったのです
ママも妖精じゃないし…
試験なんて受ける資格もないんですから…
振り返って歩き出そうとした時男の子が言いました
「キミ何故帰るの？僕と一緒に行こうよ」
『私…妖精じゃないし…』
「なぁんだ そんなことか あはははは」
男の子は愉快そうに笑いました
そして こう言ったのです
「始めはみんな妖精なんかじゃないのさ
みんな試験を受けて妖精になるんだよ
キミは選ばれたんだ空の神様に
だから ここに来ることができたのさ」
女の子はビックリしました
『私が…神様に選ばれた？そんなはずはないわ
私は神様を知らないし会ったこともないもの…』
「キミは外を眺めていたよね？雨と風の歌を聴きながら
それを見ていた神様がここへ連れてきてくれたんだよ
心の透き通ったキミを そして妖精になってほしいって」
『私が…？…妖精になんてなれっこない
雨と風の歌は聴いていたけど…』
「キミは妖精になる心を持っているんだ
だから神様がここへ呼んだんだよ」
男の子と話しをしていると
列はいつの間にか短くなって
ちっちゃな女の子の乗る順番が近づいてきました
観覧車のゴンドラがゆっくり降りてきました
女の子の前まで降りてきたゴンドラは
お花の形をしていまいした
『わー可愛い』
女の子はゴンドラに乗ろうとしました
ところが
後ろにいた男の子も付いてきたのです
すると 不思議なことが起こったのです
２人の乗ろうとしたゴンドラの形が変わったのです
お花の形から お日様の形に
驚いている間もなく
男の子に手を取られて
ゴンドラに乗ってしまいました
ゴンドラの中で驚いている女の子に
男の子は言いました
「キミは お日様の妖精になるんだ
そして 僕も同じ妖精に選ばれたんだよ」
『私が・・・お日様の妖精…？』
「このゴンドラは 乗り込むときに
一番合った妖精の形に変わるんだ」
『お日様の妖精って…何をしたらいいのかな？』
ゴンドラは ゆっくり上にあがっていきました
雲の上にある不思議な遊園地
雲の下には 女の子の住む街が広がっていました
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