突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.08.04
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 「本当だよ! 気のせいなんかじゃないってば!」

 「なぁ、こいつはいつもこんな調子なんだ。 子猫一匹通っただけで、魔物でも現れたような騒ぎ。 こんな臆病なやつに、よくここの警備兵がつとまるもんだと、俺は前から不思議でならなかったんだ」
 オーレスタの視線の先で、昨夜ここに配属されたばかりのアンギラス二等戦士が、その陰気な細い目をぎろりと光らせて、オーレスタを、それからアニルを、上目遣いに睨めあげた。
 「そうかね、隊長さん。 だが、アニルはあんたより長くここに勤めている。 この邪悪な気配に満ち満ちた城跡では、臆病すぎるくらい慎重に振舞うのが賢いやり方ってもんじゃないのかね。 もしみんながアニルのように慎重だったなら、わしのような年寄りまでこんな城跡に引っ張り出されることもなかっただろうに」

 自分で言うとおり、新米戦士と呼ぶにはあまりにも年をとりすぎた、この、アンギラス二等戦士はちょっと変わった経歴の持ち主で、毎年行われる軍の入隊審査を、一度も受けたことがないのだという。 では、金の力でこっそり入隊合格証を買ったもぐりの戦士かというと(そういうやつは実際多いらしい)、そうでもなくて、本人の話によれば、この老戦士には特殊な能力があり、それを見込んだ“黒衣の宰相”がじきじきに声をかけた、客戦士という異例の待遇なのだそうだ。 だから通常の訓練は免除されているけれども、まだまだ、体力的にも若い者には負けはせん、と、これも本人の言だ。 
 その特殊な能力によるものなのかどうか、アンギラス二等戦士は、昨夜カナヘビ軍曹に伴われて宿舎に入ってくるとすぐ、皆に(といっても現在ここにいるのはオーレスタ隊長とアニルと雑役パピトのパルクの3人だけになってしまったが)紹介される前から大食堂の中を眼光鋭くぎろぎろと睨めまわし、奥の戸棚の、一番下の棚に突っ込んであった古い汚い箱に目を留めるなり顔色を変えてこう叫んだのだった。
 「あった! あの棚の下の箱じゃ。 あの箱こそ、この部屋の中に滞る邪悪な気の、源じゃ。 あのような不吉なものがなぜここにある? まさか、箱を開けて中身を取り出したりした者はおらんじゃろうな?」
 それは先日、城跡調査の行われた次の日の夜、アニルが、今は亡きジャモーに無理やり誘われて迷宮の入り口付近まで行ったとき、城跡の草むらで見つけたものだった。 ジャモーは、調査兵の一人が迷宮から財宝を持ち出し、それをアナルケルに奪われたと聞いて、それなら現場には他にも何か金目のものが落ちているんじゃないかと期待していたようだったが、普段は人も行かないそんなところに、雑草と石くれ以外の何もあるはずはなく、ただ、暗闇の中でうっすら光っているこの箱が目についたので、不思議に思って拾ってきたものだ。 けれど宿舎に戻って明るい光の中で見たら、それはぼろぼろに腐りかけた古い汚い木箱で、光ったように見えたのは、表面に何か描かれていたらしい模様の、剥がれ落ちた塗料の跡に過ぎず、しかも中は空っぽだったので、がっかりしてそのままほったらかして忘れていたのだった。 パルクが掃除する時にでも、捨てていいのか悪いのか迷って、とりあえず棚の下に突っ込んでおいたのだろう。

 「これはただのボロ箱ではない。 こう見えてもこれは、伝説の秘宝『王妃の宝石箱』 ――― 王に裏切られた王妃の、恨みの念がこもった禍々しい秘宝なのじゃ。 空っぽだったのは幸いじゃったが、もし中に美しい宝石などが入っておって、うっかりそれを取り出したりしていたら大変なことになっていたぞ。 こんな不吉なものはここに置いておいてはいかん。 いらぬ邪気まで呼び寄せてしまう。 よいか、パルク、これは、城跡の外堀通りの、バルドーラ居住区にある『嘆きの館』へ持っていって、そこの館主、ケンタウロスに預かってもらいなさい。 ケンタウロスは、どんな病人でも怪我人でも治すことができる名医じゃが、同時に、悪しき秘宝の災いをことごとく打ち払い、かつ、それを正当な持ち主に渡すためにあそこに居を構えておる。 ケンタウロスにできぬことは、悪しき秘宝を善き秘宝に変えることと、死人を生き返らせることくらいのものじゃろうて」

 「そんなことはどうでもいいんだ!」
 アニルが涙を浮かべてオーレスタに訴えた。
 「俺は臆病かもしれないけど、ありもしないものが見えたなんてことは一度もないよ! 嘘じゃない、あの殺し屋はまたここに戻ってきたよ! ゆうべ、俺の部屋の窓の外であいつが幽霊みたいに立って、俺の部屋を覗き込んでいるのを、確かに見たんだから!」
 くすくす笑ってオーレスタが言った。
 「誰か殺しに戻ってきた、って? だって、あいつはベベルギアの命を狙ってここへ現れたんだろ? ガレも、ソフィアも、ベベルギアと間違って殺されたんだろ? ベベルギアがいなくなっちまったのに、誰を殺しに来るって言うんだよ? ・・・ははん、アニル、お前か? お前はベベルギアがあいつに殺されそうになったとき2度も助けちゃったものな。 それで仕返しを怖がってるんだ、なるほど」
 じだんだ踏んで、アニルが言い返した。
 「そういう話じゃないだろ! オーレスタ、あんたからカナヘビ軍曹に頼んで、はやく、ここにもっとたくさん警備兵を補充してもらってくれ、って言ってるんだ。 ガレと、ソフィアと、ジャモーと、おまけにベベルギアまでいなくなって、ここには強い戦力になるやつが一人もいなくなっちゃったじゃないか。 なのに、その代わりが何でこんなじいさん1人だけなんだよ!」





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最終更新日  2009.08.04 16:02:59
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Re:城跡警備隊の面々その後(08/04)  
お久しぶりです

実はブログをしばらくお休みすることにしました

ふろぷしーさんの暖かいコメントにいつも励まされました
ありがとうございました
お元気でね (2009.08.04 17:06:44)

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