突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2012.03.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類


鬼の棲む街2





 トゥレディオの酒場 <24> 




 その、上を下への大騒ぎの中で、しかし、ルドゥアだけはその場に凍りついたまま、動けなかった。
 こんな大失敗、今までやったこともない。
 自分のやったこととは、とても信じられない!

 ガルネは、駆けつけてきた女の子たちに後の始末を任せると、ルドゥアをフロアの隅へと引っ立て、柳眉を逆立てて小言を言い始めた。
 「ルドゥア、あなたいったい、何を考えてるのよ! 5つ6つの子どもだって、あなたよりずっと上手に応対できるわよ! クーレさんのお話にちゃんとお返事するか、それともお酒をお出しすることに専念するか、せめてどちらかひとつくらい、人並みにしっかり勤めてくれなければ、あたしまで恥をかくじゃないの。 ごらんなさい、クーレさん、あんなに怒っていらっしゃるわ。 ルドゥア、どうするのよ!」

 言われるままにそのテーブルを見ると、なるほど、そのクーレという客は、自分の周りで、スーツの汚れを拭ったりテーブルの上を片付けたりしてせっせと動き回っている大勢の女の子たちに向かって、しきりに何か文句を言っている様子だ。

 が、しかしルドゥアは、ガルネの小言を聞きながら、申し訳ないと思いつつ、実は、少しばかり気が楽になるのを感じていた。
 こんな大失敗をしても、あのバルドーラは、ああしてただ文句を言うだけで、怒りにまかせて暴れ出すこともなければ、ルドゥアに対して手を振り上げようともしない。
 きっと、この国のバルドーラはみんな、あんなふうにおとなしいのだ、と、そのことがようやく今、実感できた気がするのだ。


 「・・・でも、まあ、いきなりあんな大切なお客さまの相手をさせた、私も悪かったわ。 あとでエメラねえさんといっしょに、お詫びに行きましょう。 エメラねえさんがきっとうまくとりなしてくれると思うわ。 ルドゥア、そのときは絶対しくじらないでね。 今度しくじったら、あなた、もうこの街にはいられないわよ」

 この言葉に、いったん静まりかけたルドゥアの心臓が、再びどきんと跳ね上がった。
 「ここで恥をかかされた、その仕返しに来るの?!」

 ガルネが思いきり渋面を作った。
 「馬鹿ね! あの方がそんなお下劣な真似をなさるわけがないでしょ! ルドゥア、あなたが恥ずかしくてこのあたりを歩けなくなるでしょ、と言っているのよ!」 

 ほっとして、もう一度客のほうをそっとうかがい見ると、客は、大勢の女の子たちに取り囲まれ、ちやほやご機嫌取りをされて、すでに、もとの笑顔を取り戻しつつあった。

 ガルネもほっとしたように胸をなでおろした、そのときまた、別の客が、入り口の戸を開けて店の中に入ってきた。

 その姿を見たとたん、ガルネの顔が、ぱっと輝いた。
 「あっ、マルスさんがお見えだわ!」




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最終更新日  2012.03.01 18:05:03
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☆バルドーラの人々☆  
風とケーナ  さん
昨夜はとってもハラハラしましたが、
ルドゥアちゃんのこの出来事のおかげで、
イルプシマのバルドーラの人々と、
この国のバルドーラの人々との違いが、
かえって鮮明に浮き彫りになって、
この国のバルドーラの人々の優しさや温和さが、
私の中でもいっそう実感できた思いです!d(*゚∀゚*).:*・☆


> 「ここで恥をかかされた、その仕返しに来るの?!」

この一言で、
ルドゥアちゃんがこれまでの人生の中で、
バルドーラの人々との間で
どんな思いをさせられてきたかが強く伝わってきて、
思わず胸締め付けられる思いがいたします…!

この国のバルドーラの人々が、
皆、ヴィスバルやクーレさんのような人々であってほしい!
そして、ルドゥアちゃんが安心して暮らせて、
たくさん、たくさん、幸せになってほしいです!!

(2012.03.01 23:46:21)

バルドーラ  
千菊丸2151  さん
ルドゥアちゃん、バルドーラの人々に酷い仕打ちを受けてきたんでしょうね。
だから、酒場で失敗して青ざめてしまったのでしょう。
何だか、ファンタジー小説でありながら現実世界の問題を投影しているようです。 (2012.03.02 12:07:19)

ケーナさま、感激です☆・'.: *:。.: *:・+:.'゚  
昨日は、楽プロのほうにもコメントいただいたのに、
書き込もうとしたお返事、消えちゃって(゚Д゚;)
失礼しちゃいました。ごめんなさーい!

ヒロインたるルドゥアに、
いきなりこんな大失態させてしまって、
すっかりへこんでたところ。
あたたかいお言葉をいただき、本当に嬉しかったです!!

この物語では、
バルドーラ族とパピト族の間の
軋轢みたいなものを書きたいと思っていたので、
こんな初めの段階で、ここまで読み取っていただき、
本当に驚き、嬉しく、感動し、そして救われた思いで一杯です!

憎しみ、まではいかないんだけど何だかぎくしゃく、
でも協力し合わないと世の中回っていかない、
そんな両者の間の微妙な距離を、
これからもしつこく書いていこうと思っています。

ケーナさん、本当にありがとうございます!

(2012.03.02 17:48:00)

千菊丸さま☆・'.: *:。.: *:・+:.'゚  
ルドゥアにあたたかい援護のお言葉、
ありがとうございます!!

ルドゥアは元気な女の子なので
すぐにこの環境に順応してしまいますが、
この、表向き華やかなパピトの国で、
心の奥底に鬱屈した思いを秘めたやつが
このあとたくさん出てきます。
それに『雑種』も絡んで、
またまた、しっちゃかめっちゃかのお話になってしまいそう (T_T)・・・

(2012.03.02 17:59:38)

ああ!!! 大変失礼いたしました``m(_ _)m´´  
風とケーナ  さん
今、千菊丸さまへの御返事を拝読していて、
ハッとしました!!
ヴィスバルは混血の男性、『雑種』でした☆:゜*

大変失礼なコメントを書いてしまいましたのに、
お優しく温かさに満ちた御返事を頂きまして、
深く恐縮しつつも、感激しています。´艸)тндйк уoц☆
どうか失礼をお許しくださいませ!! m(; ;)m


それでは♪♪
今夜のご更新も、
胸高鳴らせながら拝読に伺わせて頂きます!!
いざっ.:*・☆

(2012.03.02 21:31:34)

ケーナさま、お心遣いありがとうございます☆.: *:・  
そんなことはどうぞ気になさらないでくださいませ。
『失礼』だなんて、もったいない!!

『雑種』といっても、1/2ばかりでなく1/4やら1/8やら、
よくわかんないのまで出てくる本当に雑多な存在です。
ヴィスバルは1/2雑種ですが、
かく言う私も、昨日のお返事コメントでは
少し自分の意図とずれた内容を書いてしまったかなあと
反省していたところです。
『バルドーラ族とパピト族の間の軋轢みたいなものを書きたい』
と書いたのですけど、
どちらかと言えば
その軋轢の中で振り回される、
微妙な立場の『雑種』を書きたいというほうが正確なのかな?
・・・あんまり違わないか?
言いたいこと、うまく言えなくてごめんなさい。m(;_;)m

ついでに言うと、この『雑種』と言う言葉にも
いまだに悩んでいるふろぷしーです。
ケーナさまの書いてくださった『混血』という言葉のほうがふさわしいような気もしたのですが。
ごちゃごちゃよくわかんないmixedというニュアンスで
こっちにしました。
ちなみに私の手書きノートのほうには、ミクストとルビがふってあります。∵ゞ(>ε<; )ppp

(2012.03.03 20:00:16)

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