必殺必中仕猫屋稼業

はじまり

光・・・。
すべてを包み込むような光の渦。
でもそれは・・・。
とても冷たい光・・・。

作戦は予定の計画どおり1秒の狂いもなく完璧に進んでいた。
武志の所属する、PMC(プライベート・ミリタリー・コントラクター)のチームは敵アジトへの突入に成功。
解放軍のテロリストたちをあらかた制圧し、のこるは拉致された要人を救出するため最後のひと部屋に乗り込むだけであった。
部隊長以下、5人の隊員たちがドアを蹴破り、部屋の中に飛び込んだ。
要人は無傷でいた。
敵はいない・・・。
隊員たちに一瞬安堵の色が浮かんだ。
しかし・・・。
それが彼らの命取りになった・・・。
武志の背後に小さな影が不意に飛び出したのだ。
解放軍の着古したマントを頭からすっぽりかぶっている小さな影・・・。
振り返った武志は反射的に腰の COLT45 を抜き、躊躇せずトリガー(引き金)をひいた。
PAN!という乾いた音が響き、小さな影から深紅の澄んだ血が噴出した。
スローモーションのように・・・。影はゆっくり影は倒れ頭を覆ったフードがめくれる・・・。
・・・少年だった・・・。
どう見ても14、5歳にしか見えない・・・。
テロリストに対しては、たとえそれが子供でも、確実に息の根を止めるまでは情け容赦なく打たなければ自分が危ない。
だが・・・。武志はためらった・・・。
倒れた少年の顔に笑みが浮かんでいたからだ。
あまりにもあどけないその微笑が・・・。
彼を戦場にいる緊張感を一瞬にして溶かしてしまった・・・。
次の瞬間、光がすべてを包み込んだ。
少年の両手に抱かれた、中央が不自然に膨らんだ物体がさくれつしたのだ。
喉をつく噴煙、血と肉の焦げる匂い。
武志の体は、元いた場所から3メートル以上吹き飛ばされ壁に背中を叩きつけられていた・・・。
目をこすろうと持ち上げた手はどす黒い血にまみれ、瓦礫の中に埋もれた身体を起こすと激痛が走った。
爆弾の破片が突き刺さった右足は痺れ感覚がない。
彼の横には部隊長が瓦礫の中に倒れている・・・。
その向こうに、上半身を吹っ飛ばされた前衛のニックらしい肉塊が転がっている・・・。
確保すべき要人と他の3人はどうなったのだろう・・・。
この現状の中では・・・。
おそらく生きてはいまい・・・。
作戦は失敗し・・・。
部隊は全滅したのだ・・・。
武志は、激痛の走る身体を持ち上げ、前方の廊下に目をやった。
そこに倒れているはずの少年の姿も消えていた・・・。
腕に抱いた爆弾の爆発でその小さな肢体は四散し、この世から消え去ったのだろう・・・。
彼の右足に再び激痛が走った。
血が噴出し、戦闘服のズボンを赤黒く染めていく・・・。
意識が再び遠のき・・・。
武志は深い深い闇の中に落ちていった・・・。





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