必殺必中仕猫屋稼業

第4話

武志はお喋りに熱中しだした二人の少女を残したまま船室に戻ると、フェリーが島に到着するのを待った。
フェリーはその後も渦潮を避けて島のまわりをのらりくらりと巡り、結局は予定より15分遅れで古い漁港に到着した。
別に急ぐ用事があるでもない。
島の人間を先に下ろし、武志は最後に客室を出た。
赤錆の浮いたタラップを降り、岸壁から見回すと、数隻の古びた漁船と、小さな引き込みドックが一つだけあるだけの港だった。
魚の木箱があちこっち積みっぱなしにされたまま朽ち果てている。
港から、細い道路を挟んだ向こう側は小さな村落があり、何件かの魚の加工場らしき建物も見られたが、人影もなく、島全体がひっそり静まり返っている。
なるほど・・・。
まさに時代に取り残された島だな・・・。まず、今夜の宿探しか・・・。
ほんの数枚の着替えしか入ってない擦り切れたバッグをぶらさげ、武志は歩き出した。
その時、背後から涼しげな声が話しかけてきた。
「あの・・・。村には宿屋が一軒しかないんですけど・・・。案内しましょうか・・・?」
振り向くと、レインと呼ばれた少女が、グリーンの大きなスーツケースのキャスターをゴロゴロ鳴らしながら近づいてくる。
「迷惑ですか・・・?」
「いや・・・。別に・・・。」
レインの隣に立っているヘレンは、見るからに重そうなバッグを肩からさげている。
「だったらレインの荷物持ってあげてよね。重いんだから。ええと・・・。」
「武志・河村・・・。武志でいい・・・。」
あけすけなヘレンの物言いに武志は苦笑すると、ひょいとスーツケースのとってをレインから奪い取った。
「あっ、いいんです。自分で持ちますから。」
「いいわよ♪いいわよ♪ついでに私のも、ね、武志」
自分のバッグも武志に押し付け、ヘレンは軽い足どりで先に立って歩き出す。
「もうヘレンったら。すいません・・・。」
レインは困惑した表情で武志にあやまり、
「ねぇ、だったら先に叔父さんの家にいかない?その方が近いし。そこに荷物をおいてから宿屋に案内した方が武志も楽でしょうし。」
屈託なく笑いながら先を行くレインとヘレンを追って、武志もスーツケースをひっっぱって歩きだしたが・・・。
その足が止まった・・・。
誰かに見られている・・・!?


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