必殺必中仕猫屋稼業

第7話

「ここにあったはずなのよ・・・。つぶれちゃったのかしら?どうしよう・・・。」
辺りには他に店らしい店もなく、暗くなった道には人通りもない。
途方にくれていたレインもヘレンも顔を強張らせて振り返る。
暗がりから人影が出てきた。
民家の明かりに、その顔がぼんやりと浮かび上がる。
まだ若い男だったが、武志はその男が港で自分を見ていた若者だとすぐ気がついた。
「なんだぁ、ロバートじゃない。驚かせないでよ。」
レインが懐かしそうに笑みを浮かべながら駆け寄った。
だが、ロバートと呼ばれた若者は笑みも返さず、武志を気にしておどおどした様子で、ただそこに突っ立っている。
「どうしたのロバート?大丈夫よ。この人は武志といって怪しい人じゃないんだから。」
ロバートはごくりと喉を鳴らし、それでもまだ武志を恐れている様子で口ごもっている。
「ねぇ。それより叔父さんがいないのよ。どこいったか知らない?」
その時、背後のカーテンがゆれ、漏れてくる光がわずかに動いた。
ロバートの顔に極度の緊張が走った。
「明日の船で島を出るんだ!今夜寝るときは戸締りを厳重にするんだよ!」
「どういうこと?出ていけだなんて。それに厳重にしろっていっても、鍵がかかって入れないんだから。」
だがロバートは、それ以上何も言わず、逃げるように闇の中に消えていきレインは唖然として見送った。
だが武志は、今の若者が単なる脅しや悪ふざけであんなことを言ったのではないと直感した。
なぜならロバートが身をひるがえした時、よれよれのジャケットの前がはだけ腰のベルトに無造作に突っ込まれている 小さな拳銃 を見たからだ。
こんなちっぽけで凶悪な事件など起こりそうもない島なのに、なぜ若者が拳銃を持っているんだ。
武志は得体の知れない不安を感じた。




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